モダンといえば、フェッチランドや《タルモゴイフ》といった高額カードが飛び交う、いわば金満環境といったイメージがあるかもしれない。
だが、必ずしもそれだけではないということがこの『モダン神決定戦』で証明されようとしている。
その証拠に、300名ものモダンプレイヤーの中からたった8名分しかない決勝ラウンドの枠に生き残った2名のデッキを紹介しよう。
村田のデッキは、マーフォーク。
その権勢はレガシーまで届く、由緒正しき部族の力。
以前まではスリヴァーデッキを使っていたが、デッキパワーに限界を感じ、この凶暴な魚人間の群れに乗り換えたとのこと。
対し内村のデッキは、バーン。
モダンにおいて決して超一流のデッキというわけではないが、安定感あるパフォーマンスが魅力だ。
普段はリミテッド専門のプレイヤーで、構築をやるのは初めてという話だが、メインボードから異彩を放つ4枚の《ラクドスの魔除け》がセンスを感じさせる。
2人のデッキ150枚合わせてもたった1枚のフェッチランドすらも入っていないし、高額カードについてもほとんど同様だろう。
だが、そんなデッキでも300名の先頭集団に入れる。神に、届きうるのだ。
青対赤。古来より戦いを宿命づけられた両者が、相食む。
Game 1
亜光速のゲームが幕を開けた。
先手の内村が《ゴブリンの先達》を走らせると、これに対し村田もマーフォークの最高の動き、1ターン目《霊気の薬瓶》で応える。
だが、《苛立たしい小悪魔》に4点を払った村田の目の前に繰り出されたのは、マーフォークの天敵《渋面の溶岩使い》!しかし内村も《真珠三叉矛の達人》を《稲妻》に差し出した後、バーンにとって厄介なことこの上ない《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》を展開する。
さすがに限られた手札でこの打消し能力にまともに付き合っていられない内村、《渋面の溶岩使い》の能力で本体を狙うが、エンド前に《霊気の薬瓶》から《アトランティスの王》を出した村田は、続けてメインで怒涛の展開を見せる。
すなわち、《霊気の薬瓶》から《メロウの騎兵》、続けて《呪い捕らえ》をプレイして土地をアンタップ、さらに《幻影の像》が《アトランティスの王》に変身!
村田 俊哉 |
一瞬にしてロード3体を用意した村田の圧倒的な展開量にひるんだか、《アトランティスの王》と《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》のアタックを受けた内村は、ここで残りマナがない状態で《欠片の飛来》を放ち、《呪い捕らえ》に打ち消されてしまう。
仕方なく既に役目を果たした《ゴブリンの先達》でチャンプブロックし、肥えた墓地で残った《渋面の溶岩使い》の能力に期待するが、村田はさせじと《蒸気の絡みつき》できっちりと阻む。
内村も《渋面の溶岩使い》を再展開しつつの《夜の衝突》で村田のライフを残りわずか2点まで追い詰めるが。
2枚目の《蒸気の絡みつき》がブロッカーを排除すると、《変わり谷》まで含めた総攻撃が19点ものダメージを内村にもたらしたのだった。
村田 1-0 内村
Game 2
バーンにとってマリガンは死と同義だ。
そんな格言があるかは知らないが、内村は開けた7枚がノーランドだったことにより、かなり厳しい6枚でのスタートを強いられてしまう。
さらに土地が《山》1枚で止まった内村に対し、村田が繰り出したのは《広がりゆく海》!!
内村 好博 |
赤単なのに《島》しかない。
そんな奇怪な状況に置かれた内村は、3ターン目にノーガードでプレイされた《メロウの騎兵》すら焼くことができず。
《メロウの騎兵》《アトランティスの王》《銀エラの達人》《銀エラの達人》《呪い捕らえ》……そして、《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》。
1ゲーム目同様の村田の嵐のような大展開に対し、やりきれぬ《神々の憤怒》を抱えたまま、頭を垂れるのみだった。
村田 2-0 内村