ついに神に挑まんとする精鋭が出揃った。
だがここから先は生存競争だ。
たとえ2.7%、8/300に勝ち残ろうと、最終的に神を名乗れるのはただ一人。
長い9回戦を終えても、三連勝が必要になる。
そう、勇者たちも疲れている暇は無い。
今回のモダン神決定戦ではトップ8からデッキリストを公開しているため、僅かな時間で相手のリストを確認する必要があるのだ。
特に小堺は《納墓の総督》や《弁論の幻霊》の能力を確認したり、大根田のデッキ確認に必死な様子。
それもそうだ、小堺のバーンにとって厄介な相手が大根田のメリーラポッドである。
最近のトレンドとして、”ノンメリーラ”と呼ばれる《思考囲い》《突然の衰微》でコントロール力を高めた殻デッキがいる一方、大根田のそれは3枚ずつの《シルヴォクののけ者、メリーラ》《臓物の予見者》が特徴的な昔ながらのメリーラポッドなのだから。
はたして「ライフ100万点!」という大根田の声が響き渡るのか。
それとも小堺の情熱がそれを上回るのか。
Game 1
ダイスロールにより大根田の先手から始まる。
ただその大根田の初動は《寺院の庭》タップインから。
一般的にマナクリーチャーから始まるかどうかがゲームの趨勢を分けることもあるが、既に小堺のデッキをバーンと知る以上、脆弱なマナクリーチャーに頼らず始められるのは幸運なことかもしれない。
かたや小堺は《ゴブリンの先達》から。
だが大根田が《根の壁》をプレイすると若干嫌そうな顔を見せると、大根田は当然のように《ゴブリンの先達》の攻撃をスルー。
攻め続けるより他の無い小堺は《渋面の溶岩使い》、《苛立たしい小悪魔》(これはライフを支払われ生贄に)と呼び続けるものの、大根田は第3ターン早くも《イーオスのレインジャー》。
《臓物の予見者》2枚が手札に加わり、”無限頑強”コンボ達成へと進み続ける。
しかし《ゴブリンの先達》のアタックにより3枚目の《臓物の予見者》がめくられると雲行きが怪しくなり、土地の止まった大根田は2枚の《臓物の予見者》《極楽鳥》と並べることしか出来ない。
そこに突き刺さる小堺の《二股の稲妻》。
大根田は何とか占術で《台所の嫌がらせ屋》に辿り着くのだが、既にライフは射程圏内。
ライフは6、小堺の手札には《欠片の飛来》、場には《渋面の溶岩使い》。
元より待てない大根田は、僅かな可能性に賭け動くしか無い。
手札から3枚目の《臓物の予見者》、X=2の《召喚の調べ》。
もちろん小堺はそれにスタックして《渋面の溶岩使い》の能力を《臓物の予見者》へ。
大根田は選択肢が無く《台所の嫌がらせ屋》をサクリファイス、頑強で得たライフで僅かな時間を作ろうとする。
小堺の火力呪文は猶予を許さなかった。
引いてきたのが《ボロスの魔除け》、そして最後の手札は《欠片の飛来》。
小堺 1-0 大根田
Game 2
再び先手となった大根田、今度は《新緑の地下墓地》から《沼》をフェッチ。
《臓物の予見者》より第2ゲームが始まる。
対して小堺はフェッチより《聖なる鋳造所》をサーチすると、《苛立たしい小悪魔》。
これがライフ支払いにより退けられ、大根田は再びとなる《根の壁》から。
互いにターンを返し、大根田のターン終了時に小堺がフェッチランドを切ると、それに合わせられる《召喚の調べ》X=3。
《台所の嫌がらせ屋》が呼び出され、大根田はコンボ達成に進み続ける。
こうなると確実なクロックの無い小堺は苦しい。
大根田に《稲妻のらせん》をぶつけ、引いてきた《渋面の溶岩使い》を呼び、大根田の動きを見つめることしか出来ない。
大根田 祥宏 |
ここで大根田は値千金の《出産の殻》!
《台所の嫌がらせ屋》が《残忍なレッドキャップ》に生まれ変わると、癌となる《渋面の溶岩使い》が葬り去られ追い詰められる小堺。
《摩耗/Wear》で《出産の殻》を割り、《裂け目の稲妻》を待機してターンを返すのだが……大根田は《強情なベイロス》をプレイ。
ここで小堺のデッキは折れてしまう。
《強情なベイロス》でライフ回復された直後に《倦怠の宝珠》を引いてしまうと、小堺は「遅すぎ」とぼやきながら場を畳むより他なかった。
小堺 1-1大根田
Game 3
先手後手が入れ替わり、運命の最終ゲームは小堺の先攻で始まる。
小堺が《ゴブリンの先達》をレッドゾーンに滑り込ませると、
大根田「《ゴブリンの先達》で土地めくれないですね」
小堺「そういえば」
こんなやり取りが。
大根田がこう言いたくなるのも分かるほど、小堺の《ゴブリンの先達》は良く訓練されている(一度も土地を捲らない)。
そんな大根田の初動は《草むした墓》アンタップインからの《臓物の予見者》。
構わず小堺は全力で攻め続ける。
《裂け目の稲妻》を待機、《溶岩の撃ち込み》を大根田に。
この待機された《裂け目の稲妻》を大根田が読んだ《クァーサルの群れ魔道士》にぶつけ、ただひたすらに《ゴブリンの先達》で攻め続ける。
さらに《倦怠の宝珠》で蓋し、盤石となりつつある小堺。
小堺 透雄 |
だがターン終了時に《ボロスの魔除け》で”詰めろ”を仕掛けると、大根田はここで《召喚の調べ》をX=2。
《台所の嫌がらせ屋》に頼らずライフ回復が出来る、《漁る軟泥》を呼び出すことに成功する。
こうなると流れが変わったか、不要牌の可能性がある2枚目の《倦怠の宝珠》を引いてしまう小堺。
大根田のライフは6、小堺の手札には3点火力が1枚のみ。
対して大根田は《漁る軟泥》をコントロールしている。
互いの墓地にクリーチャーは居ないものの、《臓物の予見者》の存在ゆえいつでもライフを増やせる状況だ。
明らかに不利な小堺。
しかしマナオープンで手札が3枚の大根田が選んだ選択肢はターンを返すことだった。
動かない小堺を前に、小堺のターン終了時にフルタップの《召喚の調べ》。
《根の壁》からのマナも駆使したX=5の《召喚の調べ》だ。
小堺は土地をタップする。
1枚、2枚、手札から公開される《頭蓋割り》。
そして最後の1枚が……引いたばかりの《稲妻のらせん》。
小堺 2-1 大根田
最後のターン、大根田が手札に持っていたのは《不浄なる者、ミケウス》《出産の殻》《召喚の調べ》だった。
《不浄なる者、ミケウス》は色マナが足りないためプレイ出来ず、また《倦怠の宝珠》により制約が辛いため《出産の殻》の効果は薄い。
そんな中《目覚ましヒバリ》による短期決着を目指したのだと言う。
しかし小堺の意志(引きとも言う)はその機を逃さなかった。
一進一退の好ゲーム、準決勝に駒を進めたのは小堺 透雄!