モダンには「キャラ」がある。
Patrick Dickmannなら《欠片の双子》、尹 壽漢(ユンスハン)なら《出産の殻》といった風に。
プレイヤーとアーキタイプとの強固な結びつきは時に合理性を超え、常識では測れないほどのシナジーを生むことすらありうるのだ。
その顕著な例が、グランプリ横浜12で鮮やかに優勝を飾った「白黒トークン」の使い手、宮島 淳一(新潟)だ。
あれからちょうど2年が経ち、モダン環境も当時のままではないというのに、この「モダン神決定戦」で宮島は、当時と同じように「白黒トークン」を使用して勝ち続けている。
その強さの秘訣は、何なのか。1つのデッキへのこだわりか、それとも白黒トークンというデッキに秘められたポテンシャル故か。
ちょうど「スタンダード神決定戦」で同じ新潟の木原が勝ったということもある。
GP当時は決勝のカバレージこそ私が書いたものの、会場の時間の関係もあって出来なかったインタビューを、この機会に2年越しにやらせてもらうことにした。
--「今回この『モダン神決定戦』には新潟から10人弱という、結構な人数の参加者がいらっしゃってるようですが、これはやはり木原さんの活躍に触発されてのことでしょうか?」
宮島 「そういう人もいるかもしれませんが、僕の場合はやはりPTQやグランプリに向けての練習という目的がありますね」
--「宮島さんはずっと白黒トークンを『トークンを並べたいから』という理由でひたすらずっと使い続けていらっしゃるそうですが、それはより具体的にはどういう動機あるいはモチベーションによるものなのでしょうか?」
宮島 「と言われましても、それ以上説明しようがないですね(苦笑) あえて言えば本能みたいなものでしょうか」
--「ビートダウン使いがビートダウンしか使えない、使いたがらないように、宮島は白黒トークンしか使わない、ということですか。そんなにまでこだわっている『白黒トークン』というデッキですが、これはモダン環境ではちょっとマイナーな部類に入りますよね。一体どういう立ち位置のデッキになるんでしょうか?」
宮島 「基本的にはビートに強く、コンボに弱いというデッキです。ただコンボとはいっても《欠片の双子》のようにクリーチャーコンボだったら《流刑への道》による妨害ができるので、良い勝負ができます。逆にストームやトロン、リビングエンドのような全く盤面に関わらない動きをするコンボにはほとんど勝てません」
--「なるほど。では『白黒トークン』の魅力はどのような点にあるのでしょうか?」
宮島 「僕自身、あまり難しいデッキは苦手なので、その点このデッキはトークン出して殴るだけで単純なのが魅力です。カードを引き増したりすることは出来ませんが、複数体のトークンを出すことで擬似的なアドバンテージは取れますし、手札破壊と除去もあるのでどんなデッキ相手にも立ち回れる地力があるのも良いですね」
--「プレイングが簡単な上に、意外にバランスが良いデッキなんですね。ちなみに2年前から何かデッキが進化した、といったような部分はありますか?」
宮島 「まだお試しではありますが、《太陽の勇者、エルズペス》を入れてます」
--「It is done. ……じゃなくて、モダンではなかなか珍しいカード採用ですね」
宮島 「BG系のデッキに対して、後半トップデッキして盤面を引っくり返せるカードということで、強いんじゃないかなーと。トークンも出せますし」
--「BG系を使っていて出されたら《大渦の脈動》がない限りどうしようもなさそうですね。さて最後に、今の宮島さんの目標はやっぱり、8月のグランプリ神戸ですか?」
宮島 「そうですね。出来れば2日目に残って、結果が残せればいいなと」
--「是非とも新潟勢に、そして出来れば宮島さん自身に、国内モダンGP2連覇という偉業を達成していただきたいなと思います」
宮島 「まあ、出来たらいいな、ということで(笑)」
--「ありがとうございました」
トークンへのこだわりも、白黒トークンというアーキタイプ自体の強さももちろんだが。
宮島の一番の強みは、その実直な人柄にこそあるのかもしれない。
8 《平地》 2 《沼》 3 《神無き祭殿》 4 《湿地の干潟》 2 《悪臭の荒野》 4 《風立ての高地》 1 《変わり谷》 1 《大天使の霊堂》 -土地(25)- 4 《オーリオックのチャンピオン》 4 《潮の虚ろの漕ぎ手》 2 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(10)- |
4 《流刑への道》 4 《急報》 4 《盲信的迫害》 4 《未練ある魂》 4 《幽体の行列》 2 《四肢切断》 3 《清浄の名誉》 -呪文(25)- |
4 《太陽の勇者、エルズペス》 3 《エイヴンの思考検閲者》 2 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 2 《思考囲い》 2 《隔離する成長》 2 《石のような静寂》 -サイドボード(15)- |