決勝: Aryabhima A. Rahman(東京) vs. 藤村 和晃(大阪)

晴れる屋



By Atsushi Ito


 日本代表を決める大一番。

 渡辺 雄也とともに世界と戦う栄誉を手にするための、最後の難関。

 それがこの、WMCQの決勝戦。

 フィーチャーテーブルに座る2人はともに、ここに来るまでに十分な物語を持っていた。

 かたやRahmanは既に準々決勝で紹介したとおり、GP名古屋12でつかみ損ねた頂点の座を今度こそ勝ち取るべく、ここまで勝ち上がってきた。

 対して、藤村も先日のプロツアーで28位に入賞し、日本勢の中では市川、行弘に続く好成績を残すほどの実力者。

 昨年末のグランプリ静岡14の準々決勝でゲームロスの八十岡に敗北したというエピソードは記憶に新しい。

 ともにGPトップ8経験もプロツアー出場経験も持つ。そんな実力十分な2人だからこそ、どちらが勝ってもおかしくはない。

 Rahmanはバーン。信条である「ゲームを早く終わらせる」に忠実に沿ったデッキ選択だ。

 対して藤村はプロツアー『マジック2015』で市川ユウキが使用したジャンドプレインズウォーカーの最新型を持ち込んでいる。

 1人目の予選通過者として日本代表に名乗りをあげるのはどちらか。

 今、387名の頂点を決める戦いが始まった。





Game 1

 Rahmanの2ターン目《若き紅蓮術士》に対して、ワンマリガンの藤村は《森の女人像》で打点をひとまず抑えようとする。

 だが《チャンドラのフェニックス》がキャストされると、メインではこの不死鳥に恒久的に対処する手段がない藤村。やむなく返しで《紅蓮の達人チャンドラ》をキャスト、《若き紅蓮術士》を葬るが、土地からのダメージが痛い。

 それでも攻め続けるしかない藤村は続くターンに《歓楽者ゼナゴス》をプレイ、トークンを生成してクロックを作るが、エンド前に《かき立てる炎》が飛び、不死鳥のアタックでライフはわずか8しかない。

 ダメ押しに《クルフィックスの狩猟者》でライフを戻そうとしたところに《頭蓋割り》が突き刺さり。

 Rahmanのターンが回ってきた時点で藤村のライフは5点。

 それは既に、バーンの射程圏だった。

ボロスの魔除け


藤村 「手札オープンにしてくれたらさっさと投了すんのにー(笑)」

Rahman 1-0 藤村



 藤村が吐いた捨て台詞はしかし、誇張でもなんでもない。

 それくらいこのマッチアップは、ジャンド側が厳しい。

 乏しいライフゲイン手段。決して早いとはいえないダメージクロック。

 その全てが、藤村の不利を予感させていた。

藤村 「あっさり2本負けそうや(笑)」

 そう嘯く藤村の眼はしかし、笑っていない。どうにか自分のペースに持ち込みたい。そんな必死さが見える。

 日本代表の座は、それだけ魅力的なのだ。


Game 2

 藤村が先手2ターン目に《エルフの神秘家》を送り出すと、Rahmanはこれを処理することができず、《クルフィックスの狩猟者》の着地を許してしまう。それでも1ターン遅れで赤赤を揃えて《灼熱の血》するのだが、この隙に藤村は2体目の《クルフィックスの狩猟者》を召喚。ライフの安定供給体制を整える。

 こうなるとバーンのRahmanはさすがに厳しいか。《チャンドラのフェニックス》をクロックとして出すが、藤村は続けて《歓楽者ゼナゴス》で6点クロックを形成していく。

 このプレインズウォーカーを生かすと《クルフィックスの狩猟者》により巨大な《ラクドスの復活》を食らってしまうことが見えているRahman。たまらず《灼熱の血》をトークンに当て、これを処理する。

 だが藤村もライブラリトップになかなか土地がめくれず苦しい。ここで藤村は《ラクドスの復活》をX=2で撃つと、2体の《クルフィックスの狩猟者》をレッドゾーンへ向かわせる。Rahmanのライフは6点、藤村はまだ16点というところ。

 それでもRahmanは《戦導者のらせん》を放ち、不死鳥のアタックと合わせてライフを10対10に引き戻す。このまま藤村のセットランドがなければ、十分勝機はある。




藤村 和晃 




 しかし。

 続くターン、ようやくめくれた5枚目の土地を惜しげもなくアンタップインした藤村がキャストしたのは、2枚目の《ラクドスの復活》X=3!!

 《ボロスの魔除け》2枚というこれ以上なく濃いリソースを落とされ、決着は3本目に持ち越された。

Rahman 1-1 藤村



藤村 「これで1-1か。先手ダブマリくらいしてくれへんとやる気でーへんなー」

 自分に言い聞かせるように呟く藤村。

 泣いても笑っても、あと1本。日本代表を決める1ゲームだ。

藤村 「なんか昔からこういうのって笑ってしまうな」

 襲い掛かる緊張感を振り払うかのように饒舌な藤村。

 対してRahmanは軽口には付き合わず、微笑を返すのみ。どこまでも集中して己を高め続ける。


Game 3

 はたして藤村が望むようなRahmanのマリガンは……ない。

 3マナのアクションはないが、意を決して《エルフの神秘家》をアンタップインで出す藤村。だがRahmanはこれをノータイムで《稲妻の一撃》。返しで《強迫》により明らかになったのは、

《山》
《チャンドラのフェニックス》
《戦導者のらせん》
《ボロスの魔除け》
《頭蓋割り》

 という強力な手札。ここから《ボロスの魔除け》を落とすが、予定調和の《チャンドラのフェニックス》が走る。

 ここで有効な返し手がない藤村。《大歓楽の幻霊》が出てきた返しでようやく《歓楽者ゼナゴス》を出すが、返すターンにRahmanは4枚目の土地である《変わり谷》をセット。《戦導者のらせん》が見えている今、残された時間は少ない。




Rahman A. Aryabhima 




 やむなく手札3枚のRahmanに対して《ラクドスの復活》X=2を撃つしかない藤村だが、ここでRahman、《頭蓋割り》に加えて引き込んでいた《稲妻の一撃》をも一息に叩き込む。藤村のライフは6点、Rahmanの手札はゼロ枚。だがクロックとして《チャンドラのフェニックス》がいる。

 不死鳥がアタックして2点。そして引き入れた《凱旋の神殿》で見たトップは……上。

藤村 「ノータイムってことは4点……絶望の『上』かー」

 それでも何とか《紅蓮の達人チャンドラ》を1ターンに2回キャストして不死鳥を打ち落とすが。

 Rahmanがめくったトップはやはり、《ボロスの魔除け》なのだった。

Rahman 2-1 藤村







 ワールドマジックカップ2014東京予選、優勝はAryabhima A Rahman!日本代表おめでとう!!