準々決勝: 萩原 紀幸(千葉) vs. 有田 賢人(千葉)

晴れる屋



By Kazuya Hirabayashi

《急かし》《次元の浄化》が印象的だった、青きコントロールが制したプロツアーから早2週間。

国別代表を決めるワールドマジックカップ予選、その最初の大会に集うデッキたちは大変殺る気に満ちたラインナップだった。

何しろ白黒ミッドレンジ、ジャンドプレインズウォーカーが最遅のデッキになっているほどだ。


そんな最中、ベスト8緒戦でぶつかるのはセレズニアアグロを繰る二人。

そう、プロツアー準優勝のスペックはフロックでは無かった。

《復活の声》《加護のサテュロス》などタフなクリーチャー群に加え、《セレズニアの魔除け》の器用さから《群れの統率者アジャニ》の一撃まで。


そして彼らのレシピはサイドボードに僅かな差異を残すのみで、メインボードに至っては60枚全てが同一。

同じコミュニティに所属する2人がこの準々決勝で激突する。





Game 1

スイスラウンドで上位となった萩原がノータイムでキープを宣言。

そして後手の有田、初手を見つつ思考の海へ。

やはりアグロデッキの秒キープは怖いもの。

はたしてこの手札で受け切ることが出来るだろうか、勝ち筋が用意出来るかどうか。

デッキが鏡打ちな以上先手有利は間違いない、悩む有田の結論は・・・・マリガン無し。


先手の萩原が《寺院の庭》をショックインから《陽刃のエルフ》を。

淀みない手付きはゲームプランが出来ている証拠だろう、そのまま《復活の声》を追加する。

後手番となった有田が《羊毛鬣のライオン》で待ち構えると、萩原は後の選択肢を吟味しつつ《ヘリオッドの槍》を設置して二体のクリーチャーをレッドゾーンへ。


押されている有田、《羊毛鬣のライオン》と強化された《陽刃のエルフ》との交換を受け入れると、《払拭の光》《復活の声》を盤面から取り除く。

とにかく耐えなければ話にならない。

《群れの統率者アジャニ》による一撃死を考えても、ダメージレースをすることは得策で無いのは自明だからだ。


4マナに辿り着いた萩原だがここでは《復活の声》を追加するのみに留まり、逆に《ワームの到来》は持つものの4マナ目が無い有田は《陽刃のエルフ》《羊毛鬣のライオン》と並べる。

荻原に後続が無い以上、ここで攻守が切り替わったか。



有田 賢人 



とはいえ《ヘリオッドの槍》の恩恵も大きく《復活の声》を上手く止めることの出来ない有田。

《ヘリオッドの槍》の報復能力もバカにならず、さりとて膠着も良策とは言えない。

損害を出しながらも萩原のライフを削っていく選択肢を取る。

攻める有田も苦しい。


だが萩原の土地セットが止まらない。

ここに至り有田の視点からも、萩原がマナフラッドしているだろうことは十分分かる。

スペルを持っているなら使わない訳も無い。

そういった状況になった以上攻めたい有田なのだが、マナが伸びず積極的な展開が出来ないまま。


そうこうするうちに萩原は《群れの統率者アジャニ》を設置、さらには手札を空にしながら《ワームの到来》をプレイ。

2枚ある《マナの合流点》の痛みも構わず攻めの一手を。


《セレズニアの魔除け》

有田が初手から持つ、この攻防一体のスペルが速やかに障害を排除する。

せっかくの打開策は再びふりだしに戻ってしまった。

そして萩原は《復活の声》のエレメンタルトークンを《群れの統率者アジャニ》で育て続けることしか出来ない。


ここが攻め時の有田。

一度ターンを返したのち自身の《ワームの到来》を萩原のターン終了時にプレイすると、《ヘリオッドの槍》を前に我慢し続けていた《万神殿の兵士》と共にワームトークンをレッドゾーンへ。

無論この局面では《群れの統率者アジャニ》ではなく、萩原のライフが狙いである。


一時は《ヘリオッドの槍》に構わず攻め続けていたこともあり、萩原のライフはそれなりに減っていた。

さらにここでの戦闘で、ワームトークンと接触したエレメンタルトークン(《群れの統率者アジャニ》で強化済み)をブロック後《セレズニアの魔除け》で取り除いたため、一気に貫通したトランプルダメージにより有田の勝利は目前に見えた。


だが。

一度は手札を空にした萩原は、ここしかないという局面で《ワームの到来》を引いていた!


ワームの到来


勝ったと思ったその瞬間が最大の隙。

有田が《セレズニアの魔除け》を使ってしまったその機を逃さず、萩原のワームトークンが有田の残るライフを一撃で消し飛ばした。

萩原 1-0 有田



Game 2

サイドボードした《不動のアジャニ》まで素直に伸びる展開が見えた有田はすぐさまキープの宣言を。

受けた萩原は熟考し、マリガンを選択。

しかし続く手札も酷いものだったようで、思わず苦笑い。

結果ダブルマリガンでゲームを開始することになる。


萩原のダブルマリガンを受けて手に力の入る有田、《万神殿の兵士》《羊毛鬣のライオン》と繰り出すロケットスタート。

対しての萩原は《平地》2枚を並べるのみと、ダブルマリガンの爪痕も大きく動くことが出来ない。


そして有田は第3ターン《セレズニアの魔除け》で兵士トークンを戦列に加えると、続くターン容赦なく《不動のアジャニ》をプレイ。

気持ちよく三体のクリーチャー+1/+1カウンターを振り分ける。

不動のアジャニ


「オーバーキルや」

その呟きとともに萩原は2枚の《平地》を片付け、勝負は三本目へともつれ込んだ。

萩原 1-1 有田



Game 3

二本目を落とし、真剣な眼差しと共にシャッフルする萩原。

対してゲームを取り返したことにより俄然手に力の入る有田。

そして萩原はこの三本目でもマリガンすることになる。

漫画なら完全に有田の流れというところだろう。


だがこれは現実のゲームだ。

流れがどうこうというのは全て結果論であり、まだゲームが終わったわけではない・・・・というところで萩原がダブルマリガン。

長い一本目とは対照的にシャッフルしている時間の方が長くなってしまった。

ここまで来てしまえばさすがに萩原不利と言わざるを得ないか。


再び《平地》《森》と土地を並べるのみで動けない萩原。

有田の展開は対照的で、

第1ターン目《実験体》

第2ターン《実験体》《万神殿の兵士》(2体の《実験体》が進化!)

と圧倒的な展開力を見せる。


選択肢の無い萩原が《ロクソドンの強打者》で防御に備えてみれば、有田の手札からは《異端の輝き》

ダブルマリガンといい、展開の差といい。

ここに来て二人の明暗は分かれてしまったか。



萩原 紀幸 



萩原が4マナを立ててターンを返してみれば、《羊毛鬣のライオン》《実験体》が更なる進化。

3/3となった《実験体》が2体、加えて《万神殿の兵士》が萩原の元に殺到すると・・・・萩原はただアンタップしてカードを引くことしか出来なかった。

萩原 1-2 有田



「あーやっぱりマリガン後の手札はキープだったかなぁ」

そう述懐する萩原。

どんな手札かと聞いてみれば、

2 《平地》
1 《実験体》
1 《羊毛鬣のライオン》
1 《ワームの到来》
1 《払拭の光》

……(緑)(緑)が必要な以上、フィルターランドでも引かなければ無理なように見えますね。


「でもマリガン前の手札はもっと酷かったですよ(笑)」

2 《森》
3 《万神殿の兵士》
2 他

これは酷い(笑)


聞けばデッキの作成者は有田で、萩原はスタンダードをほとんどやってないためシェアしてもらったらしい。

ゲームが終わればコミュニティに属する共通の仲間が集まり、感想戦に精を出す。


「思い返せば《払拭の光》《復活の声》は欲張りすぎていて、素直に《ヘリオッドの槍》をリムーブしていたら負けることはなかった」

負けた1ゲーム目を振り返る有田。

「手札は強かったし、《セレズニアの魔除け》2枚で《ワームの到来》も怖くない。正直アタックに合わせて《ワームの到来》が来なかったから、《ワームの到来》が無いと思って油断したかな」

その結果が《ヘリオッドの槍》によって《群れの統率者アジャニ》を腐らせたと。

萩原 「まあ二本目以降は内容ありませんでしたけどね(笑)」


戦友との一戦を制した有田 賢人が準決勝に駒を進める。