USA Standard Express vol.27 -SCGO Syracuse, GP Utrecht, WMCQ2014 Oakland, Tokyo-

Kenta Hiroki



皆さんこんにちは!

先週末は国別代表を決めるワールドマジックカップ2014予選(WMCQ2014)がありました。日本でも東京で開催され387名のプレイヤーが競い合い、GP名古屋2012でも準優勝の経験のある強豪プレイヤーであるアリャビマ アウリア ラーマンさんが見事に日本代表の座に着きました。

さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open(SCGO) SyracuseGrand Prix UtrechtWMCQ2014 OaklandWMCQ2014 東京の解説をしていきたいと思います。



SCGO Syracuse トップ8

~プロツアーでも活躍したデッキが多数入賞。優勝は黒単信心タッチ青~


2014年8月10日

Jared Boettcher 


1位 BU Devotion/黒信心
2位 Rabble Red/赤単
3位 Rabble Red/赤単
4位 GW Aggro/緑白ビートダウン
5位 UW Control/白青コントロール
6位 UW Control/白青コントロール
7位 GW Aggro/緑白ビートダウン
8位 Mono White Aggro/白単ビートダウン

プロツアー『マジック2015』を制したUW Controlや、多くのプロが選択していたM15からの新カード《ゴブリンの熟練扇動者》をフィーチャーした赤単色の高速ビートダウンRabble Red、コンスタントに入賞を続けているGW Aggro等がトップ8に残りました。そんな中、2014年度のルーキーであるJared Boettcherが黒単信心タッチ青で優勝を飾りました。



SCGO Syracuse デッキ解説

「BU Devotion」「Rabble Red」「UW Control」


Jared Boettcher 「BU devotion」 SCGO Syracuse (1位)

13 《沼》
3 《湿った墓》
4 《欺瞞の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
4 《変わり谷》

-土地(25)-

4 《群れネズミ》
4 《夜帷の死霊》
4 《冒涜の悪魔》
4 《アスフォデルの灰色商人》

-クリーチャー(16)-
4 《思考囲い》
1 《強迫》
4 《肉貪り》
2 《血の署名》
2 《胆汁病》
3 《地下世界の人脈》
3 《英雄の破滅》

-呪文(19)-
3 《生命散らしのゾンビ》
3 《強迫》
3 《破滅の刃》
2 《死者の神、エレボス》
2 《否認》
1 《概念泥棒》
1 《地下世界の人脈》

-サイドボード(15)-
hareruya


既存のデッキに独自の調整を加えたデッキを持ち込むことが多いJared Boettcher。GP Chicagoでは黒単信心に赤をタッチしたバージョンで入賞していたことも記憶に新しいですが、今大会では黒単信心に青をタッチしたバージョンで見事に優勝を果たしました。

サイドに忍ばせてある《概念泥棒》プロツアー『マジック2015』を制したUW Controlの 《スフィンクスの啓示》《予言》をシャットダウンします。瞬速持ちでパワーが3あるので《今わの際》で除去されず、純正青白は《急かし》《至高の評決》以外にインスタントスピードでクリーチャーを除去する手段が限られているのもあり、優秀なクリーチャーです。《否認》はコントロール相手にはもちろんのこと、PWなど重いスペルを多用するJund Walkersに対しても有効です。

メインでは不利が付く青白やJund Walkersに対しては、サイド後はハンデスとカウンターにより互角以上に戦える印象です。タップインランドやショックランドの影響で速いアグロデッキとのマッチアップは辛そうですが、決勝戦では環境の高速ビートダウンであるRabble Redに勝利して優勝しています。

群れネズミ概念泥棒否認





Adam Bruce 「Rabble Red」 SCGO Syracuse (3位)

18 《山》
3 《変わり谷》

-土地(21)-

4 《火飲みのサテュロス》
4 《鋳造所通りの住人》
4 《軍勢の忠節者》
3 《ラクドスの哄笑者》
4 《炎樹族の使者》
3 《火拳の打撃者》
2 《灰の盲信者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
3 《瓦礫帯のマーカ》

-クリーチャー(31)-
1 《タイタンの力》
3 《稲妻の一撃》
4 《かき立てる炎》

-呪文(8)-
4 《大歓楽の幻霊》
3 《馬力充電》
2 《マグマのしぶき》
2 《頭蓋割り》
2 《ミジウムの迫撃砲》
1 《炬火の炎》
1 《地鳴りの踏みつけ》

-サイドボード(15)-
hareruya


M15から新たに加わった 《ゴブリンの熟練扇動者》をデッキの核に据え、15体もの1マナクリーチャーを搭載した赤単色の高速ビートダウンデッキ。

《ゴブリンの熟練扇動者》は除去されずに生き残れば毎ターンゴブリントークンを生み出す上に《ゴブリンの熟練扇動者》のサイズも上がります。「大隊」持ちの《軍勢の忠節者》や赤いクリーチャーが場に出るたびに強化される《鋳造所通りの住人》とも相性の良い優秀なクリーチャーです。
同様にM15から加入した4点火力の《かき立てる炎》はゲーム中盤以降も相手のライフを削りやすくし、「召集」もクリーチャーの並ぶこのデッキと相性が良く優秀なスペルです。

サイドの 《馬力充電》は赤単よりもサイズで勝るクリーチャーで押してくるGW Aggroや《凍結燃焼の奇魔》《夜帷の死霊》などの高タフネスのクリーチャーを展開してくる青単に対してサイドインされます。「大隊」を達成することにより自軍のクリーチャーに「先制攻撃」と「トランプル」を与える《軍勢の忠節者》との組み合わせは強力です。レガシーでもBurnに採用されている《大歓楽の幻霊》は、軽い除去を多用してくるUW ControlやMono Black Devotion、サイド後に軽い除去を増量してくるJund Walkersとのマッチアップで強さを発揮します。

鋳造所通りの住人ゴブリンの熟練扇動者馬力充電





Bryant Cook 「UW Control」 SCGO Syracuse (6位)

6 《島》
5 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《啓蒙の神殿》
2 《アゾリウスのギルド門》
1 《欺瞞の神殿》
1 《静寂の神殿》
3 《変わり谷》

-土地(26)-

1 《霊異種》

-クリーチャー(1)-
3 《急かし》
2 《中略》
1 《不死の霊薬》
4 《アゾリウスの魔除け》
2 《今わの際》
4 《解消》
3 《予言》
4 《スフィンクスの啓示》
4 《至高の評決》
3 《思考を築く者、ジェイス》
3 《次元の浄化》

-呪文(33)-
3 《ニクス毛の雄羊》
3 《ニクス毛の雄羊》
2 《盲従》
2 《天界のほとばしり》
2 《否認》
1 《霊異種》
1 《神討ち》
1 《今わの際》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
happymtg.com


プロツアー『マジック2015』を制した《次元の浄化》搭載型のUW Control。プロツアー『マジック2015』の優勝リストと異なりメインから<霊異種>を勝ち手段として採用しています。 《不死の霊薬》《変わり谷》《思考を築く者、ジェイス》だけでは流石に時間を食うので、同型も増えるでしょうし時間的に少しでも有利にしたいといったところでしょうか。その考えはサイドの追加の 《霊異種》にも見て取れます。

最近流行りのRabble Redのような、速攻クリーチャーを多く搭載したデッキに対しては《盲従》でスローダウンさせます。

霊異種至高の評決盲従





Grand Prix Utrecht トップ8

~青単信心の復権。色を足した信心の活躍も~


2014年8月10日

Oliver Polak-Rottmann 


1位 Mono Blue Devotion/青信心
2位 UW Devotion/青信心
3位 UW Control/白青コントロール
4位 BG Devotion/黒信心
5位 BW Midrange/白黒コントロール
6位 RW Burn/バーン
7位 Mono Red Aggro/赤単
8位 Mono Blue Devotion/青信心

プロツアー『マジック2015』では対策されていたのもあり勝ち残れなかった青単信心でしたが、今大会ではタッチ白も含めて上位に3名と多くの入賞者を出し優勝も青単信心でした。
多くのプレイヤーがマナ基盤の安定する単色を選択している傾向がありますが、今大会では他の色をタッチした型も見られました。



GP Utrecht デッキ解説

「UW Devotion」「BG Devotion」


Eliott Boussaudi 「UW Devotion」 GP Utrecht (2位)

10 《島》
4 《神聖なる泉》
4 《啓蒙の神殿》
2 《マナの合流点》
4 《変わり谷》

-土地(24)-

4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
4 《波使い》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》

-クリーチャー(28)-
2 《急速混成》
4 《拘留の宝球》
2 《タッサの二叉槍》

-呪文(8)-
4 《否認》
3 《払拭》
2 《霊異種》
2 《復仇》
2 《閉所恐怖症》
1 《神討ち》
1 《反論》

-サイドボード(15)-
hareruya


今回入賞したEliottのリストはメインの《拘留の宝球》とサイドの《復仇》《神討ち》のために白を足した青単信心でした。青単タッチ白は過去のSCGOやGP Cincinatti14でも入賞していましたが、今までは安定性重視で単色の方が人気がありました。

《復仇》はGW aggroなどパワー4以上のクリーチャーを多数搭載したデッキとのマッチアップで活躍します。メインの《拘留の宝球》と合わせて除去の薄い青信心を支えますが、最近はJundや後に紹介する黒信心タッチ緑など多くのデッキに《突然の衰微》が採られているので、過信は禁物です。

波使い拘留の宝球復仇





Susanne Bornelov 「BG Devotion」 GP Utrecht (4位)

6 《沼》
1 《森》
4 《草むした墓》
4 《疾病の神殿》
4 《ラノワールの荒原》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
4 《変わり谷》

-土地(25)-

4 《群れネズミ》
4 《生命散らしのゾンビ》
4 《冒涜の悪魔》
4 《アスフォデルの灰色商人》

-クリーチャー(16)-
4 《思考囲い》
3 《突然の衰微》
2 《血の署名》
2 《胆汁病》
1 《究極の価格》
4 《英雄の破滅》
3 《地下世界の人脈》

-呪文(19)-
4 《強迫》
3 《漁る軟泥》
2 《ゴルガリの魔除け》
2 《破滅の刃》
2 《悲哀まみれ》
1 《地下世界の人脈》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》

-サイドボード(15)-
hareruya


黒単信心にメインの《突然の衰微》とサイドの《漁る軟泥》《ゴルガリの魔除け》《世界を目覚めさせる者、ニッサ》のために緑をタッチしたバージョンで、日本人プロプレイヤーの渡辺 雄也さんや津村 健志さんもプロツアー『マジック2015』で使用していました。

黒単タッチ緑は以前から存在しましたが、マナ基盤の安定性を優先して多くのプレイヤーが単色を選択していました。しかしM15から《ラノワールの荒原》が再録されたことにより以前よりも緑マナを調達しやすくなりました。タッチ緑には黒単色のときには触れなかった《拘留の宝球》《地下世界の人脈》を除去できる《突然の衰微》にアクセスできることや、サイドボードの選択の幅が広がるというメリットがあります。

このタッチ緑が強化された要因は再録された対抗色ペインランドによるマナ基盤の安定化と、M15の新PWの《世界を目覚めさせる者、ニッサ》の加入です。デッキに採用されている《森》としてカウントされる土地はわずか5枚なので、土地を4/4トランプルに変換する「+1」能力が主に使用される能力となります。無色のクリーチャーになるので、単色のときと比べると《ヴィズコーパの血男爵》に泣かされることも減り、余分な土地を4/4トランプルに変換する能力はマナフラッド防止にもなるので、コントロールに対してとても強いカードです。

《ゴルガリの魔除け》の「-1/-1」モードは、小型のクリーチャーを並べてプレッシャーをかけてくる単体除去では追いつかないため厳しいマッチアップである赤単などに対して活躍します。追加のエンチャント対策としても使え、自軍のクリーチャーを再生するモードもUW Controlの 《至高の評決》対策になるなど用途の広さも魅力です。《漁る軟泥》のライフゲインはRW Burnとのマッチアップで特に強さを発揮します。

冒涜の悪魔突然の衰微ゴルガリの魔除け




WMCQ2014 Oakland トップ8

~アメリカ代表の座を勝ち取ったのはRabble Red~


2014年8月16日

Isaac Sears 

 
1位 Rabble Red/赤単
2位 BG Devotion/黒信心
3位 Jund Walkers/黒赤緑コントロール
4位 Mono Black Devotion/黒信心
5位 UW Control/白青コントロール
6位 Jund Walkers/黒赤緑コントロール
7位 Mono Blue Devotion/青信心
8位 Mono Black Aggro/黒単アグロ

アメリカ・Oakland で開催されたWMCQの参加者は400人以上にも上り、プロツアー『マジック2015』でも多数のプロプレイヤーが選択していたRabble Redを駆るIsaac Searsが代表入りを果たしました。



WMCQ2014 Oakland デッキ解説

「Rabble Red」「Jund Walkers」


Isaac Sears 「Rabble Red」 WMCQ2014 Oakland (1位)

18《山》
3 《変わり谷》

-土地(21)-

4 《鋳造所通りの住人》
4 《火飲みのサテュロス》
4 《ラクドスの哄笑者》
3 《軍勢の忠節者》
4 《炎樹族の使者》
3 《火拳の打撃者》
2 《灰の盲信者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
3 《瓦礫帯のマーカ》

-クリーチャー(31)-
3 《稲妻の一撃》
4 《かき立てる炎》
1 《凱旋の間》

-呪文(8)-
4 《大歓楽の幻霊》
2 《馬力充電》
2 《マグマのしぶき》
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《頭蓋割り》
1 《灰の盲信者》
1 《軍勢の忠節者》
1 《凱旋の間》

-サイドボード(15)-
hareruya



軍勢の忠節者炎樹族の使者凱旋の間


Isaac Searsのリストは軽い強化スペルの《タイタンの力》が解雇され、代わりに自軍のクリーチャーを全体強化する《凱旋の間》がメイン・サイドに1枚ずつ採用されています。3マナとこのデッキにとっては少し重いカードですが、《ゴルガリの魔除け》《悲哀まみれ》などの全体除去に耐性が付きます。




Eric Guillen 「Jund Walkers」 WMCQ2014 Oakland (3位)

3 《森》
4 《踏み鳴らされる地》
2 《草むした墓》
1 《血の墓所》
3 《ラノワールの荒原》
3 《奔放の神殿》
4 《疾病の神殿》
1 《悪意の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
2 《変わり谷》

-土地(24)-

4《エルフの神秘家》
4《森の女人像》
4《クルフィックスの狩猟者》

-クリーチャー(12)-
2 《思考囲い》
3 《ミジウムの迫撃砲》
2 《戦慄掘り》
1 《ラクドスの復活》
1 《突然の衰微》
2 《ゴルガリの魔除け》
2 《骨読み》
2 《英雄の破滅》
1 《化膿》
2 《見えざる者、ヴラスカ》
1 《紅蓮の達人チャンドラ》
2 《歓楽者ゼナゴス》
3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》

-呪文(24)-
4 《霧裂きのハイドラ》
3 《神々の憤怒》
2 《マグマのしぶき》
2 《嵐の息吹のドラゴン》
2 《真髄の針》
1 《ゴルガリの魔除け》
1 《ミジウムの迫撃砲》

-サイドボード(15)-
hareruya


市川ユウキさんがプロツアー『マジック2015』に持ち込みトップ8入賞を果たしたことも記憶に新しいJund Walkers。PWの枚数が減量されるとともに土地の枚数が25枚に増量され、ドロースペルの《骨読み》《英雄の破滅》が採用されています。《英雄の破滅》は色拘束が強いのが難点ですが《究極の価格》と異なり 《幽霊議員オブゼダート》など多色のクリーチャーやPWに触れる汎用性の高いカードです。サイドにも《真髄の針》が採られているなどミラーマッチを意識しているようです。

《エルフの神秘家》《森の女人像》とのアンチシナジーが気になりますが、《神々の憤怒》は単体除去だけでは捌き切れず押し切られてしまうことも多いRabble Redや青単、GW Aggroに対してサイドインされます。《嵐の息吹のドラゴン》はUW Controlや同系に強く、「プロテクション(白)」のおかげで《払拭の光》《セレズニアの魔除け》が効かないのでGW Aggroに対しても悪くないカードです。

世界を目覚めさせる者、ニッサ英雄の破滅嵐の息吹のドラゴン




WMCQ2014 東京 トップ8

~信心やUW Controlの不在。優勝はRW Burn~


2014年8月16日

Aryabhima A Rahman 


1位 RW Burn/バーン
2位 Jund Walkers/黒赤緑コントロール
3位 RW Burn/バーン
4位 GW Aggro/緑白ビートダウン
5位 Mono Red/赤単
6位 GW Aggro/緑白ビートダウン
7位 BW Midrange/白黒コントロール
8位 RG Monsters/赤緑怪物

387人の参加者を出した東京予選。黒信心・青信心やプロツアーを制したUW Controlはトップ8に見られず、GW AggroやRW Burn、Rabble Redといったアグロデッキが多く結果を残しました。


WMCQ2014 東京 デッキ解説

「RW Burn」「GW Aggro」



アリャビマ アウリア ラーマン 「RW Burn」 WMCQ2014 東京 (1位)

9 《山》
4 《聖なる鋳造所》
4 《戦場の鍛冶場》
4 《凱旋の神殿》
3 《変わり谷》

-土地(24)-

4 《若き紅蓮術士》
1 《大歓楽の幻霊》
4 《チャンドラのフェニックス》

-クリーチャー(9)-
4 《ショック》
4 《稲妻の一撃》
4 《ボロスの魔除け》
4 《頭蓋割り》
4 《灼熱の血》
4 《かき立てる炎》
3 《戦導者のらせん》

-呪文(27)-
4 《サテュロスの火踊り》
2 《異端の輝き》
2 《労苦+苦難》
2 《岩への繋ぎ止め》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》
1 《摩耗+損耗》
1 《神々の憤怒》
1 《戦導者のらせん》

-サイドボード(15)-
hareruya



チャンドラのフェニックス戦導者のらせん労苦+苦難




M15から加入した《かき立てる炎》によって強化されたデッキの一つです。今大会で見事に代表入りを果たしたアリャビマ アウリア ラーマンさんのリストはメインは《頭蓋割り》《戦導者のらせん》の枚数が入れ替わっている以外はプロツアー『マジック2015』で入賞を果たしたMatt Sperlingのリストと同様ですが、サイドにプロツアー後のメタに合わせた変化が見られます。

《Toil》はプロツアー『マジック2015』を制したUW Controlに強く、小型クリーチャー群を一掃する《神々の憤怒》はプロツアー以来コンスタントに結果を残しているRabble Redとのマッチアップで役に立ちます。《異端の輝き》は今大会でもトップ8に2名のプレイヤーを送り込む活躍を見せたGW Aggro、サイズで勝る 《ロクソドンの強打者》やクリーチャーのサイズを強化し「絆魂」を与えるバーンにとって厄介なオーラ《ひるまぬ勇気》をわずか2マナで追放します。 「信心」デッキが少なくなるメタを見越していたのか《冒涜の悪魔》《波使い》対策の《岩への繋ぎ止め》の枚数が減量されているのも特徴的です。




有田 賢人 「GW Aggro」 WMCQ2014 東京 (3位)

8 《平地》
8 《森》
4 《寺院の庭》
4 《マナの合流点》

-土地(24)-

4 《万神殿の兵士》
4 《実験体》
1 《陽刃のエルフ》
4 《羊毛鬣のライオン》
4 《復活の声》
3 《ロクソドンの強打者》
2 《加護のサテュロス》

-クリーチャー(22)-
3 《セレズニアの魔除け》
4 《ワームの到来》
3 《払拭の光》
1 《ヘリオッドの槍》
3 《群れの統率者アジャニ》

-呪文(14)-
4 《セテッサ式戦術》
3 《空殴り》
3 《ひるまぬ勇気》
2 《アジャニの存在》
2 《異端の輝き》
1 《不動のアジャニ》

-サイドボード(15)-
hareruya


プロツアー『マジック2015』でも準優勝という好成績を残した、緑と白の優秀なクリーチャーでビートダウンしていくGW Aggro。サイドボードのカード選択に若干の違いは見られるものの、デッキをシェアされた萩原 紀幸さんもほぼ同様のリストでトップ8に入賞していました。

わずかながらプロツアー『マジック2015』のリストからの変更点も見られます。メインに一枚採用されている《ヘリオッドの槍》は自軍のクリーチャーのサイズを強化することによって《ミジウムの迫撃砲》《神々の憤怒》などの火力除去スペルに耐性を付けます。ミラーマッチもしっかり意識していたようで、サイドボードには《異端の輝き》も見られます。

羊毛鬣のライオンヘリオッドの槍異端の輝き





総括

今回解説したSCGO SyracuseGrand Prix Utrechtアメリカ日本のWMCQと、全ての大会で<ゴブリンの熟練扇動者>を採用した赤単の高速アグロ「Rabble Red」が結果を残しました。

信心系のデッキ、特に青単信心はGP Utrechtでは優勝者を含め3名をトップ8に送り込む活躍を見せましたが、かつてのような勢いは失われつつあるようです。対抗色ペインランドの再録により緑や白を足すことが容易になった黒信心と比べるとM15からこれといった大きな収穫も無く、相性の良かった赤系のアグロも《軍勢の忠節者》《瓦礫帯のマーカ》によってエレメンタルトークンの群れや《凍結燃焼の奇魔》等を乗り越えられるように構築されているため、以前のように大きな有利は付かなくなってきています。

今後スタンダードの大会に参加する際はRabble Redをはじめとしたアグロデッキ対策はしっかりしていきたいところです。

以上で今回の解説を終わります。
次回の記事ではSCGO Washington DCとSCGO New Jersey, SCG Invitational New Jerseyの解説を予定しています。

それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!


※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『SCGO Syracuse event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/090814_syracuse.html
『GRAND PRIX UTRECHT – COVERAGE – EVENT』
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gputr14
『#WMCQ2014 Top 8 Standard Deck Lists』
http://www.channelfireball.com/articles/wmcq2014-top-8-standard-deck-lists/