最近は「家眠杯」なるものがあるらしい。
もし私、平林が出るとしたら、何を持っていくだろうか。
そう考えたとき、5つのデッキに思い至った。
18年のマジック歴の中でも、特に思い入れの深い、大好きなデッキたち。
私の好きな5つの物語を、語らせて欲しい。
《渦まく知識》(*1)。
かの偉大なる1マナドロースペルはレガシーというフォーマットを象徴するカードとなった。
その汎用性の高さはヴィンテージで制限になるほどであり、万能さは万人が認めるところであろう。
無論その融通性はリシャッフルに依るところも大きく、かつては《氾濫原》、今は《汚染された三角州》などのフェッチランドに支えられてきた。
全然ダメな手札が1枚のトップデッキにより、素晴らしい手札に生まれ変わる。
時には《強迫》の魔の手からキーパーツを守り、《ドルイドの誓い》デッキやリアニメイトデッキの不要なファッティをライブラリーへと戻す。
かくのごとく八面六臂の活躍を見せる《渦まく知識》。
今回のグレイトフルデックスにおける主役は、《渦まく知識》を始めとしたドロースペルである。
*1 《渦まく知識》
もし入れ得にしか見えないのなら、もしかしたらあなたはフェッチゆとりかもしれない。
リシャッフル手段が用意できないのなら、1枚ドローと変わらないのだから。
それにしても何故”渦巻く”ではなく”渦まく”と訳したのだろうか。
謎である。→戻る
1.ターボゼロックス
ゼロックス理論の始祖は今より17年前、1997年に生まれた。
第5版、アライアンス、ミラージュ、ビジョンズ期のスタンダード(*2)のことである。
17 《島》 -土地(17)- 4 《大クラゲ》 4 《スークアタの火渡り》 4 《竜巻のジン》 -クリーチャー(12)- |
4 《先触れ》 4 《魔力消沈》 4 《記憶の欠落》 4 《予兆》 4 《衝動》 4 《対抗呪文》 3 《雲散霧消》 4 《Force of Will》 1 《夢の潮流》 -呪文(32)- |
4 《ダンダーン》 4 《水流破》 3 《霧の騎士》 2 《臨機応変》 1 《雲散霧消》 1 《夢の潮流》 -サイドボード(15)- |
投入されているキャントリップ呪文は3種。
《先触れ》(*3)《衝動》(*4)《予兆》(*5)になる。
デッキの基本コンセプトは、ドロースペルにより土地を限界まで減らしマナフラッドの可能性をぎりぎりまで減らすこと。
つまり序盤は土地を探し、中盤以降はスペルを探すことに終始する。
それがゼロックス理論におけるドロースペルの役割である。
だからこそ、ここで言うドロースペルはただのキャントリップでは役目を果たすことが出来ない。
あくまで必要なときに必要なリソースを供給する役割を求められるからだ。
ちなみにゼロックスというコンセプトが青いことには2つの理由がある。
1つはマジックにおけるカラーパイ(*6)により、青がドローの役割を与えられていること。
もう1つはひとえにカウンター呪文の存在だ。
皆さんはカウンターにどういうイメージを抱いているだろうか。
やりたいことをさせてもらえない嫌な呪文?
それとも持っているだけで安心できる保険のようなもの?
ゲーム的観点から見たカウンターは、ほぼ確実な1対1リソースを交換できるカードである(*7)。
つまり持っているだけで安心できるというのは概ね間違いではない。
十分なマナがあるならば、カウンターの枚数はそのまま盾となる。
そしてカウンター呪文、最大の強みはテンポ獲得にある。
レガシー環境における《目くらまし》の強さ、そして《対抗呪文》を目にする頻度を考えてもらうと分かりやすいかもしれない。
《対抗呪文》を使うなら、2マナ以上のカードをカウンターしなければテンポを失ってしまう。
だからこそレガシーでは《対抗呪文》の運用が難しいし、なればこそスタンダードから放逐されているのだ。
《精神を刻む者、ジェイス》の在りし頃、4マナ以上のクリーチャーはその存在意義を失いかけていた。
それは支払ったマナを《精神を刻む者、ジェイス》のプレイだけで無かったことにされてしまい、大幅にテンポを失ってしまうからである。
《対抗呪文》がある環境もまた同様である。
青2マナが残っている対戦相手に4マナ以上の呪文はとても唱えたくはならないだろう。
古典的なコントロールは、カウンター呪文をアドバンテージによってバックアップしてきた(*8)。
ゼロックス理論の目指すところは単純なアドバンテージでは無く、選択式ドローによりドローの質を向上させることによって疑似的なアドバンテージを獲得することにある。
*2 スタンダード
かつてブロックというシステムが確立するまでのスタンダードは、基本セット+3つのエキスパンションという仕様だった。
そのため1997年に第5版が発売されたときは、第5版、アライアンス、ミラージュ、ビジョンズという内容だったのが、ウェザーライト発売後には、第5版、アイスエイジブロック(アイスエイジ、ホームランド、アライアンス)、ミラージュブロック(ミラージュ、ビジョンズ、ウェザーライト)という一気に2倍近いボリュームになってしまったということもあった。→戻る
*3 《先触れ》
《思案》のご先祖様。
スロートリップと呼ばれる、”次のアップキープステップにドローする”というシリーズの一つ。
直ぐに手札に加わらないため物足りなさは否めないが、それでもライブラリー操作は大事なものである。→戻る
*4 《衝動》
ドロー操作と言えばこれ。
96年から99年にかけて、スタンダードからエクステンデッドまで幅広く使われた。
From the Vault:Twentyに収録されるだけの存在感はあった。→戻る
*5 《予兆》
前述のスロートリップ版《予報》。
概ね自らに使用し、最も当たる確率の高い《島》を宣言することも多いのだが、《渦まく知識》《記憶の欠落》と組み合わせると絶対当たる宝くじ。→戻る
*6 カラーパイ
端的に言えば色の役割である。
リミテッドにおいて青のクリーチャーが弱いのは別に嫌がらせを受けているからではない。
その代償として青はカウンター、ドロー、ライブラリー操作、バウンス等の恩恵を受けている。→戻る
*7 ほぼ確実な1対1リソースを交換できるカード
Olivier Ruel「《取り消し》とは! すなわち、インスタントタイミングでプレイできるッ、3マナのッ、しかも単色の《名誉回復》なのであるッ!」 (興奮気味に)
(グランプリ岡山08クイックインタビューから引用しました)→戻る
*8 アドバンテージ
《Thawing Glaciers》《ミューズの囁き》《蓄積した知識》《嘘か真か》。
時には《知恵の蛇》《呪師の弟子/Jushi Apprentice》、ところにより《陶片のフェニックス》。
《闇の腹心》で《Force of Will》をめくっちゃう人も居ましたね。→戻る
2.選択する世界
1997年に発生したゼロックス理論はそれからしばらく姿を消すことになる。
青いデッキのマジョリティが《ミューズの囁き》を主としたアドバンテージ獲得に移行したこと、また《Force of Will》の退場によりカウンターそのものでのテンポ獲得が難しくなったからである。
《衝動》が失われたことも大きなトピックだろう。
だが言い換えるなら、良質なピッチカウンターと優良キャントリップがある限り有効なコンセプトということでもある。
19 《島》 -土地(19)- 3 《大気の精霊》 -クリーチャー(3)- |
4 《渦まく知識》 4 《選択》 4 《蓄積した知識》 4 《対抗呪文》 2 《目くらまし》 3 《威圧》 2 《排撃》 3 《妨害》 2 《嘘か真か》 2 《撃退》 2 《洗い流し》 2 《袖の下》 2 《誤った指図》 2 《サーボの網》 -呪文(38)- |
4 《ルートウォーターの泥棒》 4 《氷河の壁》 4 《呪われたトーテム像》 1 《洗い流し》 1 《誤った指図》 1 《袖の下》 -サイドボード(15)- |
マスクスブロックのピッチカウンター、そしてインベイジョンに収録された《選択》(*9)により復活を遂げたゼロックス。
フィニッシャーが《大気の精霊》《袖の下》かつ《威圧》も入っているということもあり、土地19枚のわりには必要マナ数の大きいデッキなのだが、デッキのドローカードの総数(18枚)ゆえに成立しているコンセプト。
そもそもカウンターを構えるというアクション自体、無為にマナを残す可能性があるためインスタントのドロースペル(《蓄積した知識》(*10)《嘘か真か》(*11))とは相性が良い。
とはいえ土地を削っている都合上ドローを遅らせることは難しく、そういう意味ではピッチカウンターの存在はやはり必須に近い。
また一般的にオプトブルーと言えばエクステンデッドのそれだろう。
当時ネクロドネイトに支配されていたエクステンデッド環境、その末期に現れた青き尖兵。
17 《島》 -土地(17)- 4 《知恵の蛇》 3 《マスティコア》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《選択》 4 《無効》 4 《対抗呪文》 2 《マナ漏出》 2 《目くらまし》 1 《禁止》 2 《撃退》 4 《Force of Will》 3 《レガシーの魅惑》 3 《基本に帰れ》 -呪文(33)- |
4 《ダンダーン》 3 《高波》 3 《火薬樽》 2 《水流破》 2 《誤った指図》 1 《基本に帰れ》 -サイドボード(15)- |
2000年末に行われたThe Finals00を最後に、ネクロドネイトは環境から放逐された。
2001年秋のプロツアーニューオーリンズ01までエクステンデッドのプレミアイベントが無かったことと、4月に《Demonic Consultation》《ネクロポーテンス》《適者生存》《補充》と大々的な禁止カードリスト更新が行われたからだ。
だがその僅かな期間にもメタゲームは進んでいた。
それがこのオプトブルーである。
《ネクロポーテンス》しかり、はたまた《適者生存》や《ドルイドの誓い》しかり。
当時のエクステンデッドでデッドリーなパーマネントが押しなべてクリーチャー以外のパーマネント、すなわちアーティファクトやエンチャントであることから光る4枚の《無効》。
何しろデッキのマナベース(17枚)よりカウンター総数が多いという驚異のパーミッションだ。
これだけ少ない土地で無理やり運用出来るのはやはり《渦まく知識》《選択》が優秀なことゆえ、と言いたいところだがデッキの主役はむしろ《知恵の蛇》だろう。
ちょうど1年前(1999年秋)に第4版が退場したことによって《稲妻》が失われ(*12)、主要なデッキが白を含まないことにより《剣を鍬に》に遭遇する機会はあまり多くなかった。
結果最も優秀なドロー強化が《知恵の蛇》という事態を生むことになる。
*9 《選択》
ライブラリー操作能力は高くないものの、1マナインスタントでドロー出来るとあって人気を博した1枚。
ちょうど復活してきた「占術」同様、その悩ましさが魅力の1つである。→戻る
*10 《蓄積した知識》
「ミラーはクソゲー」の最たるカード。
それで無くてもコントロール対決は土地が止まった方が不利だというのに、土地を求めてドローすることすら難しくなるという酷いカードである。
《直観》との相性が素晴らしく、エクステンデッドでも長く使われた。→戻る
*11 《嘘か真か》
貴様は断じてゼロックスではない!……と言いたいが、ここでついでに紹介しておこう。
過去に刷られたカードの中でも、アドバンテージ自体の獲得で言えば最もイージーな1枚と言える。
何しろインスタントで使うことが出来るのだから。
《蒸気占い》では満足できません。→戻る
*12 《稲妻》が失われ
それから10年、基本セットマジック2010、通称M10に再録され《稲妻》は復活を遂げる。
10年……言葉にすればわずか2文字だが随分長い年月だ。
そんな《稲妻》がスタンダードやモダンで活躍している様は色々と感慨深いものである。→戻る
3.ミラクルグロウ
時代は巡り、ゼロックスは新たなステージへ。
短期間とはいえ、ゼロックス理論が主要なトーナメントを席巻した時代。
それが2001~2002、冬のエクステンデッド。
6 《島》 4 《Tropical Island》 -土地(10)- 4 《クウィリーオンのドライアド》 4 《マーフォークの物あさり》 4 《アトランティスの王》 3 《ガイアの空の民》 -クリーチャー(15)- |
4 《渦まく知識》 4 《手練》 4 《目くらまし》 4 《土地譲渡》 3 《撃退》 4 《噴出》 4 《Force of Will》 4 《好奇心》 4 《冬の宝珠》 -呪文(35)- |
4 《水没》 4 《寒け》 3 《エメラルドの魔除け》 2 《ブーメラン》 2 《誤った指図》 -サイドボード(15)- |
ゼロックス理論の《大祖始》、Comer先生(*13)の新たな作品(オモチャ)は《クウィリーオンのドライアド》(*14)に着目したものだった。
そう、《クウィリーオンのドライアド》である。
《再活性》で《悲哀の化身》がリアニメイトされたり、墓地から《灰燼のグール》がわらわら湧いてきたり、ライフが20点増えてあなたは20点減りマースなんてやり取りの最中、Comer先生は2マナ1/1の可愛いドライアドをせっせと育てていた。
それもたった10枚の土地で。
《土地譲渡》(*15)の恩恵があるとはいえ、おそらくコンボデッキを除くと最小の土地総数だろう。
このデッキの肝は《冬の宝珠》である。
直前のプロツアー、Kai Budde最強伝説を不動のものにしたプロツアーニューオーリンズ01を制覇したのはトリックスだった。
そのトリックスが最も苦手なもの、それがマナ拘束。
そして自身は《Force of Will》《目くらまし》《撃退》というピッチカウンターでゲームをコントロールし、《噴出》(*16)が更なる戦力を呼び込む。
このミラクルグロウはわずか1週間の後に更なるディベロップが加わり、より実戦的な形でトーナメントシーンに現れる。
件のComer先生のグランプリラスベガス01は9位という結果に終わっていた。
だが翌週のグランプリ仙台では。
6 《島》 4 《Tropical Island》 -土地(10)- 4 《クウィリーオンのドライアド》 4 《熊人間》 4 《野生の雑種犬》 2 《波止場の用心棒》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《手練》 2 《選択》 4 《目くらまし》 4 《土地譲渡》 2 《撃退》 4 《噴出》 4 《Force of Will》 4 《好奇心》 4 《冬の宝珠》 -呪文(36)- |
4 《寒け》 4 《レガシーの魅惑》 2 《水流破》 2 《水没》 2 《ファイレクシアの炉》 1 《無効》 -サイドボード(15)- |
ラスベガスから一週間後、冬の仙台では改良型ミラクルグロウを駆るMike Longが準決勝まで上り詰めていた。
ドロースペル、ピッチカウンター、切り詰めたマナベースという基本構造は全て変わらず。
だが勝ち手段としてのクリーチャーたちは、デッキの名を冠した《クウィリーオンのドライアド》以外の全てが入れ替わったものになっていた。
特に白眉は《熊人間》(*17)だろう。
デッキの構造上「スレッショルド」に到達するまでがとても早く、またマナクリーチャーとして《冬の宝珠》のマナ拘束を弱めるという重要な役割を果たす。
こうしてミラクルグロウはトーナメントシーンに鮮烈なインパクトを残した。
私見ではあるが、このミラクルグロウがゼロックス理論の1つの完成型であると思う。
限界まで圧縮されたマナベース、選抜されたクリーチャー布陣、マナ拘束にピッチカウンター。
後述するが、今でいうレガシー環境の各種デルバーにも通ずるこのコンセプト。
そして世界は塗り変わった。
仙台の次のフィールド、グランプリヒューストンのデッキ分布ははたしてミラクルグロウが支配的なものとなった。
そう、誰の目にもミラクルグロウが有力であることは明らかだったからだ。
ラスベガスで勝ったマルカデスに優位だったトリックスが仙台では躍進したように、ヒューストンではミラクルグロウこそが渦中の存在だった。
そして巡るはメタゲーム。
1 《島》 4 《Tropical Island》 4 《Tundra》 1 《Savannah》 4 《氾濫原》 -土地(14)- 4 《マーフォークの物あさり》 4 《クウィリーオンのドライアド》 4 《熊人間》 3 《秘教の処罰者》 -クリーチャー(15)- |
4 《渦まく知識》 4 《手練》 3 《剣を鍬に》 4 《土地譲渡》 3 《目くらまし》 2 《撃退》 4 《Force of Will》 3 《冬の宝珠》 -呪文(27)- |
4 《翻弄する魔道士》 4 《レガシーの魅惑》 3 《水没》 2 《増進》 1 《剣を鍬に》 1 《冬の宝珠》 -サイドボード(15)- |
ミラクルグロウが絶対的な人気を博する。
そのことはある種のプレイヤーたちには予見された出来事であった。
ならばそれに対応させれば良い。
全てはミラクルグロウ同型に勝利するため。
そのコンセプトで作られたのがスーパーグロウである。
このコンセプトは効果覿面であった。
何しろ使用者たちの勝率がまさしく圧倒的。
決勝こそJoshua Smith駆る黒青緑コントロールに敗れてしまったが(*18)、かのBrian Kiblerが準優勝(スイスラウンドのスコアは10-2-1)。
その他に使用したプレイヤーも、下記のように素晴らしいパフォーマンスを残している。
4位(10-1-2) Ben Rubin
11位(10-3) Phil Freneau
16位(9-3-1) Dan O’Mahoney-Schwartz
21位(9-4) Chris Benafel
33位(8-4-1) Lan D. Ho
11位(10-3) Phil Freneau
16位(9-3-1) Dan O’Mahoney-Schwartz
21位(9-4) Chris Benafel
33位(8-4-1) Lan D. Ho
2日目進出者67名中、グロウ系25名(37.3%!)という状況を考えると慧眼としか言えないだろう。
なお仙台において活躍したトリックスはわずか3名しか残らなかったということも記しておきたい。
以下は余談になるが、以降のエクステンデッドはミラクルグロウを食うためのオース(《ドルイドの誓い》デッキ)が勢力を伸ばし(グランプリリスボン02)、そのオースに有利なトリックスが再び復権するという面白いメタゲームを形成する(マスターズニース02)。
だがそのマスターズニースにて、トリックスを操るKai Buddeを破り、そのまま栄冠についたのはスーパーグロウだった。
*13 Alan Comer
イメージとしてはスーサイドブラウンやミラクルグロウなど、ある種カジュアル的要素も併せ持つ面白デッキデザイナーであるが、自身は5回のプロツアーベスト8保持者であり、それも世界選手権、2回のブースタードラフト、ブロック構築、チームリミテッドとどのフォーマットにも精通する多才さを誇る。
当然のことながらマジックプロツアー殿堂に選ばれており、それも殿堂システムが始まった初年度である2005年に選出されている。
楽しそうにプレイする姿が印象的で、まさにゲーマーの鑑とも言える存在だろう。→戻る
*14 《クウィリーオンのドライアド》
当初のイメージよりすくすく育つ、2マナとは思えない意外と優秀なフィニッシャー。
親戚には《知識鱗のコアトル》や《地割れ潜み》が居ます。
え?《タルモゴイフ》?→戻る
*15 《土地譲渡》
手札の公開という面白いピッチコストが設定されているサーチカード。
未だタップインフェッチランドしか存在しない世界では《渦まく知識》とのシナジーも馬鹿にはならないし、色マナの安定供給的にもその価値は高い。
ノーランドマリガン(古すぎ!)とは違って《Force of Will》されることもあるから気を付けましょう。
私もサバイバルでお世話になりました。 →戻る
*16 《噴出》
ピッチスペルはあかん。
そう思わせる代表格で《冬の宝珠》とのシナジーもさることながら、《サイカトグ》との即死コンボなどその悪行、枚挙に暇が無い。
かつてのターボランドのように《踏査》《Fastbond》を使うとイージーなアドバンテージが得られるため、レガシーでは禁止になってしまっている。→戻る
*17 《熊人間》
マナクリーチャーかつフィニッシャー、私がこよなく愛したクリーチャーの1枚。
ゼロックス理論と相性が良く、はたまた《嘘か真か》とのシナジーも抜群である。
奴が出るまではレガシーでも良く見かけたナイスな奴。→戻る
*18 黒青緑コントロール
《破滅的な行為》を主軸に置いたヘビーコントロールで、《冬の宝珠》をケアしたメイン4枚の《強迫》、サイドには《水没》が4枚とそれはそれはグロウ系を激しくメタった形となっていた。
除去のベースも《悪魔の布告》と《秘教の処罰者》を意に介さず、ある意味このデッキも勝つべくして勝ったと言えるのかもしれない。→戻る
4.一方のスタンダード
さてピッチカウンターの跳梁跋扈するエクステンデッドはここで一旦幕を下ろす。
《Force of Will》とデュアルランドの退場によって。
ならゼロックスの系譜も一度ここで途切れてしまっていたのか?
はたしてそうはならなかった。
スタンダードにおいてもゼロックス理論をデッキとして昇華させようという者たちがいたからだ。
11 《島》 4 《森》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(19)- 4《敏捷なマングース》 4《熊人間》 -クリーチャー(8)- |
4 《選択》 4 《中略》 3 《魔力の乱れ》 4 《対抗呪文》 4 《記憶の欠落》 4 《予報》 4 《排撃》 4 《嘘か真か》 2 《激動》 -呪文(33)- |
4 《反論》 4 《たい肥》 3 《クローサの獣》 3 《冬眠》 1 《枯渇》 -サイドボード(15)- |
ああ《激動》。
時にはコントロール、ある時はアグレッシブ、そして《激動》。
かの悪名高き《サイカトグ》がデッキとしてこれほどまでに成功し、なおかつ圧倒的だったその背景にはかような多岐に渡る戦略を持っていることが最大の理由に挙げられる。
だが《激動》という必殺技は《サイカトグ》、はたまた《夜景学院の使い魔》だけの専売特許というものでもない。
オンスロートから神河期において圧倒的な国内グランプリにおける勝率を叩き出し、特に構築戦において独自のセンスを発揮した浅原 晃。
後の活躍はともかくとして、彼の大型トーナメントにおけるシングルエリミネーションデビューはThe Finals01が初出であった。
青いドローとカウンターを、緑のハイスペッククリーチャーと組み合わせたコンセプト。
この後《堂々巡り》が追加されたのち、サイカトグの隆盛と共に青緑マッドネスが人気を博したわけだが、この時点ではまだ青と緑の組み合わせに注目するプレイヤーは少なかった。
もちろん手札破壊とクリーチャー除去、王道コンビネーションである青黒にはコントロール力が一歩劣るのは否めない。
だからこそのサイドボードに光る4枚の《たい肥》。
メタゲーム的に優位かどうかはともかく、一度回してみたいと思わせる綺麗な構成はさすがの一言だ。
また若干手前味噌にはなってしまうが、当時私が使っていたデッキもここに紹介しておこう。
9 《島》 5 《森》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《トリーヴァの廃墟》 -土地(19)- 4 《日を浴びるルートワラ》 4 《マーフォークの物あさり》 4 《熊人間》 4 《野生の雑種犬》 2 《クローサの獣》 2 《不可思議》 3 《尊大なワーム》 -クリーチャー(23)- |
4 《選択》 4 《手練》 4 《入念な研究》 4 《堂々巡り》 2 《綿密な分析》 -呪文(18)- |
3 《ワームの咆哮》 2 《天啓の光》 2 《反論》 2 《対抗呪文》 2 《麻痺の感触》 2 《不自然な淘汰》 1 《物静かな思索》 1 《クローサ流再利用》 -サイドボード(15)- |
当時サイカトグを倒そうとして様々なデッキを模索していた私が(*19)、最終的に辿り着いたのもまたゼロックスだった。
アドバンテージ面で勝ることは難しいため、可能な限りの手数と効果的な妨害。
のちにクロックパーミッションと呼ばれるコンセプトである。
その年の日本選手権では、《サイカトグ》と《野生の雑種犬》を意識した《麻痺の感触》を4枚入れたバージョンで出場していたのだが、
・キャントリップとして用意していた《強迫的な捜索》があまりに弱かった
・サイドボード後クローシスカラーのサイカトグに《火炎舌のカヴー》でいわされた(*20)
これらを克服するため、グランプリ台北で用意したのがこのバージョンだ。
《選択》《手練》(*21)《入念な研究》がデッキの安定性に貢献し、追加された《クローサの獣》が凶暴な打撃力を提供する。
思惑通りのパフォーマンスを示してくれたのだが、結局は再びクローシスサイカトグの前に敗れてしまった(*22)。
*19 様々なデッキを模索していた
迷走していたとも言う。
メタゲームが固まってきた後期にプレイヤーが陥りやすい状況。→戻る
*20 《火炎舌のカヴー》でいわされた
《反論》4枚は万能ではない。
安直なサイドボードが咎められた好例。→戻る
*21 《手練》
1マナドローの中でも、ソーサリーゆえあまり目立たなかった1枚。
上位互換も多く刷られてしまったおかげか出番はあまり無いものの、訳あって再び見る機会も増えてきている。→戻る
*22 再びクローシスサイカトグの前に敗れてしまった
勝てばベスト8の最終戦、《虚空》X=2で全てを失いました(涙)→戻る
5.第三のコンセプト
ここで一度寄り道をしていこう。
低マナドロースペルがカウンターと相性の良いことは、初期型ゼロックス、またオプトブルーで証明されている。
またクリーチャーによるバックアップが有力なことも、ミラクルグロウが示している。
ならばキャントリップはコントロールとアグロ、両戦略の専売特許なのだろうか。
否。
絶対的な教示者シリーズが存在した黎明期はいざ知らず、それが存在しないのならコンボデッキにとってもそれは有力な選択肢になり得る。
8 《島》 1 《湿った墓》 4 《沸騰する小湖》 2 《トレイリア西部》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(19)- 4 《荒廃の工作員》 1 《大祖始》 -クリーチャー(5)- |
1 《否定の契約》 1 《召喚士の契約》 2 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《定業》 4 《呪文貫き》 4 《深遠の覗き見》 4 《交錯の混乱》 1 《応じ返し》 4 《猛火の群れ》 3 《撹乱する群れ》 4 《ドラゴンの嵐》 -呪文(36)- |
4 《呪文滑り》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《剥奪》 2 《ジェイス・ベレレン》 1 《殺戮の契約》 1 《計略縛り》 1 《残響する真実》 1 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
5 《島》 3 《山》 3 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 4 《沸騰する小湖》 3 《霧深い雨林》 4 《滝の断崖》 -土地(23)- 2 《呪文滑り》 4 《詐欺師の総督》 3 《やっかい児》 2 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(11)- |
2《否定の契約》 4《思案》 4《定業》 2《払拭》 1《稲妻》 1《手練》 4《差し戻し》 1《撹乱する群れ》 3《炎渦竜巻》 4《欠片の双子》 -呪文(26)- |
3 《血染めの月》 2 《呪文滑り》 2 《稲妻》 2 《古えの遺恨》 2 《四肢切断》 2 《仕組まれた爆薬》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《剥奪》 -サイドボード(15)- |
時系列的に前後してしまっていることはご容赦いただきたい。
かの如く使われ尽くした《定業》(*23)《思案》(*24)はモダン環境から放逐された。
既に代替たる《血清の幻視》(*25)を良く見る現在を見るに、この2枚が復権する未来はおそらく来ないだろう。
さてプロツアーフィラデルフィアにおいて《定業》《思案》が行使された最大の理由、それはキーパーツを手札に集めること、そして土地総数を切り詰めデッキの密度を上げるためであった。
もちろんそれはゼロックス理論の賜物であるとも言えるのだが、しかしミラクルグロウやその子孫ほど美しさに長じているとは思えない。
何故ならこれらのデッキにドロースペルが必須では無いからだ。
《クウィリーオンのドライアド》《熊人間》を有用たらしめたのは、ひとえに1マナキャントリップとの親和性ゆえ。
だがコンボデッキの中でも、ゼロックス理論を必須とするデッキは多数存在する。
例えば同プロツアーにおいても、この《紅蓮術士の昇天》(*26)は最たるものだろう。
6 《島》 1 《山》 3 《蒸気孔》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 -土地(18)- -クリーチャー(0)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《定業》 4 《炎の儀式》 4 《稲妻》 1 《苦悩火》 4 《差し戻し》 4 《深遠の覗き見》 4 《魔力変》 2 《留まらぬ発想》 2 《交錯の混乱》 1 《ぶどう弾》 4 《紅蓮術士の昇天》 -呪文(42)- |
4 《炎の斬りつけ》 3 《呪文貫き》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 3 《血染めの月》 1 《破壊放題》 1 《拭い捨て》 -サイドボード(15)- |
《紅蓮術士の昇天》を探すためのドロー、そして《紅蓮術士の昇天》のクエストを達成するためのドロー。
達成したならば手札を増強するためのドロー。
1マナドロースペルは、引き増すためのカードではない。
それはもちろん字面通り、1マナの呪文であるがゆえ手札が増えないから(*27)。
あくまで手札の質を高めるための存在であり、決して主役とはなり得なかった。
だが《渦まく知識》はフェッチランドと巡り合ったことにより神の如き存在となり、《クウィリーオンのドライアド》《熊人間》のおかげでキャントリップ呪文そのものが勝利に繋がる手段足り得た。
そう、全てはシナジーの賜物である。
グレイトフルデックス vol.2で紹介しているANT、モダン版ストームは、構造上ドロー呪文そのものが10カウントになるし、サニーサイドアップはサイクルを回し続けるためにそもそものドローエンジンが必需品となっている(*28)。
*23 《定業》
『マジック基本セット2011』に収録され、当時のスタンダードで青黒コントロールやカウブレードなど、青いデッキには必ず4枚常備されていたドローカード。
何しろマナの安定からスペルの補充までこなし、不要カードすら下に送れるとあっては死角が無い。
そのためグランプリダラス/フォートワース11では、ベスト8に32枚の《定業》と《精神を刻む者、ジェイス》が存在するという異常事態が発生した。
なお私はこういう安直なカードが嫌いである。
構築の幅が狭まるだけだと思います……入れ得反対!→戻る
*24 《思案》
レガシードロー界で《渦まく知識》の次といえばこれ、とばかりにいつの間にやら立ち位置を確立させたナイスなドロー。
最大のメリットは掘ることの出来る量が1マナカードのわりには多いこと(見る3枚、リシャッフルで1枚)。
そのため土地や特定のキーカードを探す役割にうってつけであり、またライブラリーを組み立てるため、後述する《秘密を掘り下げる者》とも相性が良い。
“ポンダー”という音の響きがキャッチーなことも高得点である。→戻る
*25 《血清の幻視》
これまた訳有りで最近出番が増えてきた1枚。
《思案》の登場以前はレガシーでもお呼びがかかっていた、のだが今では影も形も無い。
モダンマスターズに再録されなかった都合上、コモンとは思えない値段に泣いた人も多いはず。→戻る
*26 《紅蓮術士の昇天》
ストームというコンセプトを除くならば、ゼロックス理論=コンボを体現するこれ以上にないカード。
ドローを繰り返し《紅蓮術士の昇天》に辿り着き、ドローを繰り返しクエストの達成、ドローを繰り返しアドバンテージの獲得により勝利する。
ライブラリー圧縮というゼロックスの別ルート、《ギタクシア派の調査》《魔力変》が最も光るデッキである。
なお《突然の衰微》というカードのせいで(以下略)
エンチャントを気軽に壊してほしくないと思うのは古い考えでしょうかね?→戻る
*27 1マナの呪文であるがゆえ手札が増えない
《Ancestral Recall》なんて子は知りません!→戻る
*28 サニーサイドアップ
《妖術師のガラクタ》《彩色の星》《彩色の宝球》、これらをゼロックスのスペルと同列に扱うのはやや乱暴かもしれないが、方向性としてはある程度近いもの。
ドローソースがコンボに組み込まれている場合、足らないパーツも力業で補充出来る可能性もあるわけでやはり力強い。
《石のような静寂》は勘弁な。→戻る
6.そしてデルバーへ
刻は流れ、既にミラクルグロウの登場から10年余りが過ぎた。
エクステンデッドから、ある時はスタンダードに姿を見せたゼロックス理論も、主戦場を新たなフォーマットに移している現代。
《渦まく知識》の跳梁跋扈する環境……レガシーである。
4 《Tropical Island》 3 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 -土地(18)- 4 《敏捷なマングース》 4 《熊人間》 4 《翻弄する魔道士》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《留意》 4 《血清の幻視》 3 《稲妻》 4 《目くらまし》 3 《対抗呪文》 2 《火/Fire》 4 《Force of Will》 2 《真髄の針》 -呪文(30)- |
4 《寒け》 3 《トーモッドの墓所》 3 《不毛の大地》 2 《赤霊破》 2 《方向転換》 1 《帰化》 -サイドボード(15)- |
レガシー制定から二度目となったレガシーグランプリで優勝したスレッショルド。
初めて開催されたグランプリである、グランプリフィラデルフィア05においてもベスト8に3人のプレイヤーを輩出しており、環境初期から有力なデッキとされていた。
今見ても現レガシーのそれと基本構造が変わらないことが見てとってもらえるだろうか。
メインに《不毛の大地》が入っていないことにはやや違和感を覚えるが、これはスレッショルドというデッキそのものが今の形より、マナそのものを必要としてしまっていること、それと肝心要のドロー呪文が今よりやや弱い。
《思案》《呪文貫き》が無い時代の産物なのだから。
何しろ《タルモゴイフ》すら影も形も存在しない(*29)。
さてここで今一度の年代ジャンプを。
ゼロックス理論の新たな担い手は奇しくも《クウィリーオンのドライアド》から10年の時を超え現れた。
皆さんもうんざりするほどお目にかかっているだろう存在、《秘密を掘り下げる者》時代の幕開けである(*30)。
1 《平地》 9 《島》 4 《氷河の城砦》 4 《金属海の沿岸》 3 《ムーアランドの憑依地》 -土地(21)- 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《不可視の忍び寄り》 4 《瞬唱の魔道士》 4 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(15)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《蒸気の絡みつき》 2 《思考掃き》 4 《マナ漏出》 2 《四肢切断》 2 《ルーン唱えの長槍》 2 《戦争と平和の剣》 -呪文(24)- |
2 《幻影の像》 2 《腐食の突風》 2 《天界の粛清》 2 《機を見た援軍》 2 《雲散霧消》 1 《外科的摘出》 1 《存在の破棄》 1 《神への捧げ物》 1 《殴打頭蓋》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
ちょうど《石鍛冶の神秘家》《精神を刻む者、ジェイス》という、親和パーツ以来6年ぶりの禁止カードを出したばかりのスタンダード。
カウブレード一強とも言える状況から再び支配的なデッキが現れた。
世界選手権11、プロツアー「闇の隆盛」こそ赤緑ケッシグが制したものの、その後のグランプリはというとこの有様である。
グランプリボルチモア12 青白デルバー
グランプリリール12 青黒ゾンビ
グランプリクアラルンプール12 青白デルバー
グランプリソルトレイクシティ12 青白デルバー
グランプリミネアポリス12 青赤デルバー
グランプリマニラ12 青白デルバー
一つのグランプリを除いて5/6の優勝がデルバーという状況になってしまった。
《秘密を掘り下げる者》はその性質上ドロースペルとの親和性が極めて高い。
土地を限界まで切り詰めようとするゼロックス理論そのものが、《秘密を掘り下げる者》のスペックを最大限にまで引き出す力となる。
この土地を削ることが出来るというメリットは、ある条件をクリアすることが出来るなら、メタゲーム上他のデッキを出し抜く要因となり得る。
ほぼ低マナのカードで形成されている以上、これらのカードで中~高マナのカードを捌かねばならない。
デルバーで言えばそれが《マナ漏出》であり、また《蒸気の絡みつき》の役割である。
場合によれば《瞬唱の魔道士》もその枠に収まるだろう。
つまりこれらのカードがメタゲーム上効果的に機能するのであれば、それこそがテンポ獲得に繋がる。
より低マナのカードで、より多くのアクションを、より多くの有効牌によって。
かつてはピッチスペルで成し遂げていたこのアクションを、現代のカードで体現したデルバーこそゼロックス理論の完成系なのではないか。
古くは《Force of Will》がスタンダードリーガルだった時代、Alan Comerが構想したゼロックス理論。
《渦まく知識》以来の名脇役、《思案》のサポートを受け。
《タルモゴイフ》、《秘密を掘り下げる者》、はたまた《瞬唱の魔道士》などの強カードに支えられながら。
フェッチランド、時には《不毛の大地》の力を借りつつも。
今となっては殿堂入りしたComerを知らないプレイヤーたちも、知らず知らずのうちにその理論を体得しうる時代となっている。
そう、Alan Comerのゼロックス理論は現代でも生きている。
最後に昨今のデルバー三人衆を紹介して本稿の締めとしたい。
ローテーションという輪廻により《秘密を掘り下げる者》はスタンダードから姿を消す。
だが未だその支配が続いていることは、レガシーを見れば一目瞭然と言えるだろう。
《秘密を掘り下げる者》の登場以降、レガシーのメタゲーム上主要な位置を占め続けているからだ。
3 《Volcanic Island》 3 《Tropical Island》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 3 《タルモゴイフ》 1 《漁る軟泥》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《呪文貫き》 3 《稲妻》 3 《思考掃き》 2 《呪文嵌め》 4 《目くらまし》 2 《火/Fire》 4 《Force of Will》 -呪文(30)- |
4 《水没》 3 《外科的摘出》 2 《古えの遺恨》 2 《呪われたトーテム像》 1 《漁る軟泥》 1 《金粉のドレイク》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 -サイドボード(15)- |
4 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《乾燥台地》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 4 《剣を鍬に》 4 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
4 《翻弄する魔道士》 2 《渋面の溶岩使い》 2 《紅蓮破》 2 《安らかなる眠り》 1 《真の名の宿敵》 1 《赤霊破》 1 《摩耗/Wear》 1 《墓掘りの檻》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
4 《Underground Sea》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《新緑の地下墓地》 1 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 2 《闇の腹心》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 2 《思考囲い》 4 《目くらまし》 4 《突然の衰微》 3 《Hymn to Tourach》 3 《Force of Will》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(26)- |
2 《見栄え損ない》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《呪文貫き》 1 《悪魔の布告》 1 《Hymn to Tourach》 1 《四肢切断》 1 《Force of Will》 1 《森の知恵》 1 《仕組まれた疫病》 1 《墓掘りの檻》 1 《無のロッド》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
やりたいことは似ているようで各々異なる。
つまり《もみ消し》によるマナ拘束で速やかにゲームに決着を付けるか。
放置出来ない《死儀礼のシャーマン》《石鍛冶の神秘家》への処理能力を取るか。
《死儀礼のシャーマン》《突然の衰微》の対応力によるコントロールか。
いずれにせよ最高の選択肢は、往々にして最速のクロック。
《秘密を掘り下げる者》の時代が終わるのはまだまだ先になりそうだ。
*29 《タルモゴイフ》すら影も形も存在しない
まさか自分が追い落とされる運命にあろうとは、当時の《熊人間》さんには思いもよらなかったのです。→戻る
*30 《秘密を掘り下げる者》
似たカードに《若き紅蓮術士》もあるが、あちらはプレイ後にスペルを唱える必要が生じるため過剰に土地を削ることが難しくなっている。
やはり現代ゼロックスの顔はこいつが1番か。
万能兵器《突然の衰微》も1マナクリーチャー相手には分が悪いと言わざるを得ない。
……いや0マナクリーチャーか。→戻る
7.次回予告
5つのデッキ、5つの物語。
時にはコンボ特集と間違えられたグレイトフルデックス、最後の番を務めるは。
そのコンセプトは時にはコンボ、常にはコントロール。
使い分けられる二面性、捉えどころの無いその手管、数多の幻惑される者有り。
緩急自在の在り様それこそが、全ての解へと収束する。
次回、グレイトフルデックス最終回、トリックス。
乞うご期待!