先週末はGP神戸がありました。併催イベントとして日本レガシー選手権2014Summerも開催されましたが、皆さん楽しい週末を過ごせましたか?
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open(SCGO) Washington DCと日本レガシー選手権2014Summerの解説をしていきたいと思います。また、おまけとしてミシガン州の強豪プレイヤーとのインタビューも掲載しましたので是非ご覧ください。
SCGO Washington DC トップ8
~優勝はShardless BUG、DredgeやMetalworkerも久々に上位入賞~
2014年8月24日
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1位 Shardless BUG/続唱青黒緑
2位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
3位 Esper Deathblade/デスブレード
4位 Bant Stoneblade/ソプターコントロール
5位 Metalworker/茶単
6位 Dredge/発掘
7位 Dredge/発掘
8位 UWR Delver/パトリオット
相変わらずコンボが少ないメタですが、青いフェアデッキに強いとされるMetalworkerやDredgeが見られます。
今大会を制したのは、Delver系のテンポ戦略に続唱からのアドバンテージで対抗するShardless BUGでした。
SCGO Washington DC デッキ解説
「Shardless BUG」「Bant Stoneblade」「Metalworker」「Dredge」
1 《沼》 3 《Underground Sea》 2 《Bayou》 2 《Tropical Island》 4 《新緑の地下墓地》 4 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 2 《忍び寄るタール坑》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 2 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 -クリーチャー(14)- |
4 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 3 《思考囲い》 4 《突然の衰微》 1 《Hymn to Tourach》 1 《毒の濁流》 3 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(24)- |
2 《見栄え損ない》 2 《狼狽の嵐》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《Hymn to Tourach》 2 《寒け》 1 《思考囲い》 1 《毒の濁流》 1 《Force of Will》 -サイドボード(15)- |
Delver系の対抗勢力として最近結果を残し続けているShardless BUG。決勝戦でもRUG Delverを倒して優勝を収めています。
確実にアドバンテージが取れ「続唱」でめくれて嬉しいカードの1枚である《Hymn to Tourach》ですが、(黒)(黒)を要求される上、後手ではテンポデッキ相手に少し遅いせいか、相手の情報を掴むことができ確実に脅威を取り除くことができる《思考囲い》がメインでは優先されています。このことからも安定性を重視していることが伺えます。
サイドには最近結果を残し続けているBurn対策に《寒け》が採用されています。BUGは《梅澤の十手》や《殴打頭蓋》をサーチしてこれる《石鍛冶の神秘家》が使えないので、ライフゲインする手段が限られています。特殊地形に大きく依存しているため4~8点程ライフを削られてしまう《発展の代価》も頭痛の種なので、Burn相手には専用のサイドカードが必要なようです。
2 《島》 1 《平地》 1 《森》 3 《Tundra》 2 《Tropical Island》 1 《Savannah》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《霧深い雨林》 2 《吹きさらしの荒野》 1 《Karakas》 1 《アカデミーの廃墟》 -土地(22)- 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《断片無き工作員》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(9)- |
4 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 1 《悟りの教示者》 4 《Force of Will》 1 《誤った指図》 1 《拘留の宝球》 1 《師範の占い独楽》 3 《飛行機械の鋳造所》 1 《罠の橋》 1 《梅澤の十手》 1 《弱者の剣》 1 《殴打頭蓋》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(29)- |
3 《翻弄する魔道士》 2 《狼狽の嵐》 2 《至高の評決》 2 《大祖始の遺産》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《流刑への道》 1 《浄化の印章》 1 《謙虚》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
青白の《弱者の剣》+《飛行機械の鋳造所》のコンボを搭載したコントロールに《断片無き工作員》のために緑を足しています。
ツールボックス的な要素が強く除去や妨害スペルが少なめですが、そこは「続唱」からのアドバンテージで補っています。《悟りの教示者》で《飛行機械の鋳造所》など必要に応じたアーティファクトカードをトップに仕込んで《断片無き工作員》からマナを支払わずに場に出すことも可能です。ライブラリーのトップを操作できる《師範の占い独楽》も「続唱」と相性の良いカードで、Shardless BUGよりも安定した「続唱」の効果が期待できそうです。
サイドには 《翻弄する魔道士》、《狼狽の嵐》、《エーテル宣誓会の法学者》などコンボ対策が多数積まれています。「続唱」でめくれても嬉しくない《狼狽の嵐》ですが、コンボ相手には遅い《断片無き工作員》はサイドアウトされる傾向があるためそこまで大きな問題ではありません。元々クリーチャーデッキに強いデッキですが、サイド後は追加の除去として《流刑への道》と《至高の評決》が投入されます。《謙虚》は相手のクリーチャーが1/1のバニラと化しますが、《飛行機械の鋳造所》から生まれる1/1のThopterトークンが主力であるこのデッキにはあまり影響がありません。
4 《魂の洞窟》 4 《大焼炉》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの溶接工》 4 《金属細工師》 4 《磁石のゴーレム》 4 《カルドーサの鍛冶場主》 3 《ワームとぐろエンジン》 1 《白金の帝像》 1 《荒廃鋼の巨像》 -クリーチャー(21)- |
4 《虚空の杯》 2 《モックス・ダイアモンド》 2 《オパールのモックス》 2 《通電式キー》 4 《厳かなモノリス》 2 《稲妻のすね当て》 1 《世界のるつぼ》 1 《威圧の杖》 1 《イシュ・サーの背骨》 -呪文(19)- |
3 《ファイレクシアの破棄者》 3 《三なる宝球》 2 《トーモッドの墓所》 2 《漸増爆弾》 1 《映し身人形》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《抵抗の宝球》 1 《アメジストのとげ》 1 《精神隷属器》 -サイドボード(15)- |
2マナランドや《厳かなモノリス》、《金属細工師》などのマナ加速や《カルドーサの鍛冶場主》からカードパワーの高い《ワームとぐろエンジン》や《荒廃鋼の巨像》に繋げて相手を圧倒します。《磁石のゴーレム》と《不毛の大地》+ 《世界のるつぼ》や 《虚空の杯》、サイドの《三なる宝球》で相手の動きを著しく制限するプリズン要素も備えています。ブン回りによって圧倒的に勝利する事もあればドローが噛み合わずあっさり負けてしまうこともあるなど安定性に難はありますが、1ターン目の《虚空の杯》X=1などトップメタのDelver系のデッキに対して強い動きも多いデッキです。
12Postを搭載した型等いくつか異なるバリエーションが存在するアーキタイプで、今回入賞したバージョンは《ゴブリンの溶接工》のために赤を足したWelder型です。特にこのWelder型は《魂の洞窟》を採用していることもあり青いフェアデッキに強い構成となっています。
サイドボードの《漸増爆弾》はDelver系のデッキのように低マナコストのパーマネントを展開してくるデッキにサイドインされます。《ファイレクシアの破棄者》は主にSneak and Show対策です。《映し身人形》は《カルドーサの鍛冶場主》でサーチしてこれる除去として、《精神隷属器》はこのデッキでは特に《ゴブリンの溶接工》で使い回す戦略が強力です。
4 《マナの合流点》 4 《真鍮の都》 2 《宝石鉱山》 3 《セファリッドの円形競技場》 -土地(13)- 4 《朽ちゆくインプ》 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《ナルコメーバ》 4 《イチョリッド》 4 《臭い草のインプ》 4 《ゴルガリの墓トロール》 -クリーチャー(24)- |
4 《陰謀団式療法》 4 《入念な研究》 4 《信仰無き物あさり》 3 《打開》 4 《黄泉からの橋》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 -呪文(23)- |
4 《炎の嵐》 4 《突然の衰微》 3 《水蓮の花びら》 2 《宝石鉱山》 1 《古えの遺恨》 1 《記憶の旅》 -サイドボード(15)- |
《死儀礼のシャーマン》というメインから無理なく採用可能な墓地対策を搭載したBUGやDeath bladeが多く勝ち残る中での入賞です。今回入賞したChris Jordanのリストは《ライオンの瞳のダイアモンド》型ですが、最も印象に残ったのは<戦慄の復活>が不採用である点です。代わりに《真鍮の都》と《マナの合流点》がフルに採用されているなど色マナソースが多めで、《戦慄の復活》の入ったバージョンでは2~3枚だった《ゴルガリの凶漢》も4枚採用されているなどブン回りよりも安定性が優先されているようです。
《炎の嵐》は墓地ヘイトクリーチャーの《死儀礼のシャーマン》や《漁る軟泥》を一掃しつつ、「発掘」カードを墓地に送ることができます。《突然の衰微》は色拘束が強く今までのDredgeでは見ないカードでしたが、《自然の要求》と異なり《墓掘りの檻》や《安らかなる眠り》だけでなくクリーチャーの《死儀礼のシャーマン》や《漁る軟泥》にも効き、カウンターされる心配もありません。これらのカードを安定してキャストするために追加の色マナソースの《水蓮の花びら》と《宝石鉱山》がサイドボードに用意されています。《突然の衰微》では《虚空の力線》は割れないのでメタによっては《自然の要求》の方が優先されることもありそうですが、現在では《虚空の力線》をサイドに採っているデッキは少なめなので、当分は《突然の衰微》が優先されそうです。
日本レガシー選手権2014 Summer トップ8
~夏のレガシー選手権を制したのはElves~
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2014年8月24日
スイスラウンド1位 Omni-tell/ドリーム・ホール
スイスラウンド2位 Shardless BUG/続唱青黒緑
スイスラウンド3位 Elves/エルフ
スイスラウンド4位 UR Painter/ペインター
スイスラウンド5位 Sneak and Show/スニーク・ショー
スイスラウンド6位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
スイスラウンド7位 UR Painter/ペインター
スイスラウンド8位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
SCGOでも結果を出し続けているShardless BUGやRUG Delverも見られますが、Delver系やBUGでトップ8の半数以上になる傾向のある最近のSCGOと異なりPainterや《実物提示教育》系といったコンボも見られます。
そんな中、今夏のレガシー選手権を制したのはElvesでした。
日本レガシー選手権2014 Summer デッキ解説
「Omni-tell」「Esper Stoneblade」
4 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《霧深い雨林》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -土地(13)- 1 《グリセルブランド》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(2)- |
3 《否定の契約》 4 《思案》 4 《渦まく知識》 3 《狡猾な願い》 4 《実物提示教育》 2 《狼狽の嵐》 2 《直観》 4 《Force of Will》 4 《無限への突入》 3 《ドリーム・ホール》 4 《全知》 2 《師範の占い独楽》 -呪文(39)- |
4 《神聖の力線》 3 《防御の光網》 1 《拭い捨て》 1 《蟻の解き放ち》 1 《エラダムリーの呼び声》 1 《否定の契約》 1 《急流》 1 《直観》 1 《計略縛り》 1 《殺戮の契約》 -サイドボード(15)- |
《実物提示教育》系のコンボのバリエーションの一つのOmni-tell。《すべてを護るもの、母聖樹》は《実物提示教育》や《狡猾な願い》といったキースペルをカウンターを多く搭載したDelver系のデッキに対して通すことを容易にします。
多くのリストで採用されている《定業》の代わりに<師範の占い独楽>と<狼狽の嵐>が採用されています。《師範の占い独楽》はBUG等ハンデスを多数搭載した相手にドローの質を高めて中盤以降のゲームを有利にする助けになりますが、コンボデッキであるこのデッキにとってキーカードを探し当てるドローサポート呪文の《定業》よりも優先して採用されているのは意外でした。
クリーチャーは多くのリストは《引き裂かれし永劫、エムラクール》のみですが、オオノさんのリストは《グリセルブランド》も採用されています。サイドの《エラダムリーの呼び声》は、相手が《全知》コンボを封じる《ガドック・ティーグ》や《スレイベンの守護者、サリア》などのヘイトベアーをコントロールしている際に《グリセルブランド》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》をサーチすることでゲームに勝つことを可能にします。
2 《平地》 3 《島》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 2 《湿地の干潟》 3 《Tundra》 2 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 1 《忍び寄るタール坑》 1 《Karakas》 1 《ムーアランドの憑依地》 -土地(23)- 4 《戦隊の鷹》 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(11)- |
4 《渦まく知識》 3 《思考囲い》 1 《思案》 1 《呪文貫き》 1 《対抗呪文》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 4 《Force of Will》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 4 《剣を鍬に》 1 《殴打頭蓋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(26)- |
3 《闇の腹心》 2 《安らかなる眠り》 1 《戦争と平和の剣》 1 《流刑への道》 1 《至高の評決》 1 《真髄の針》 1 《思考囲い》 1 《呪文貫き》 1 《狼狽の嵐》 1 《否認》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《外科的摘出》 -サイドボード(15)- |
《死儀礼のシャーマン》を採用したDeathbladeではなく純正のEsper Stonebladeです。今回入賞したササハラさんのリストは今までSCGOで入賞していたリストと比較すると異なる所がいくつか見られます。
《戦隊の鷹》は過去のスタンダードでトップメタとして活躍したCawbladeにも《精神を刻む者、ジェイス》の「+0」能力とのシナジーを活用してアドバンテージ獲得手段として採用されていました。2マナと軽く、相手のPWにプレッシャーを与えると同時に自軍のPW保護手段としても使え装備品と組み合わせて優秀なクロックとして活躍しました。《渦まく知識》があるレガシーでは手軽なシャッフル手段にもなり、単体除去が中心なので当時のスタンダードよりも強力です。
Esper Stonebladeでは必ずと言って良い程見かける《未練ある魂》は不採用で黒は《思考囲い》とサイドの《闇の腹心》のためだけのタッチのようです。《ムーアランドの憑依地》は過去のスタンダードのUW Delverなどにも採用され活躍していたカードで、墓地に落ちたクリーチャーを1/1飛行持ちのスピリットクリーチャートークンに変換してプレッシャーを与え続けます。《不毛の大地》を採用していないUW Miraclesに特に強そうな印象です。
サイドには3枚目の装備品として《戦争と平和の剣》が採用されています。多くのリストではカードアドバンテージを稼げて土地をアンタップすることで手数も稼げる《饗宴と飢餓の剣》が採用されているケースが多いですが、《戦隊の鷹》の能力と相性が良く、「プロテクション(白)」と「プロテクション(赤)」は環境の代表的な除去の《剣を鍬に》と《稲妻》に対して耐性が付きます。
ボーナストピック ~Force of Community RIW Hobbies~
アメリカのプロプレイヤーを含める多くのマジック関係者は、今年6月の初めに交通事故に遭い多額の医療費とリハビリ費用を必要としていたMariah Paglioccoさん(Wizards of the Coast 社員・Tony Paglioccoのご息女)のために寄付金を集めています。(詳しくは【こちら】)
筆者の住むアメリカ・ミシガン州のレベル3ジャッジDavid Rappaport はジャッジ報酬として贈られた《Force of Will》とその他のジャッジ報酬カードを大会の賞品として提供し、チャリティーイベントの「Force of Community」を開催しました。
◆Interview With Ben Perry
Ben Perryは過去にSCGOでも入賞経験のある強豪プレイヤーでコンボデッキを得意とします。今回はレガシーでも比較的珍しい部類に入るLandsで見事に優勝を収めました。
1 《森》 3 《樹木茂る山麓》 2 《Taiga》 4 《燃え柳の木立ち》 4 《演劇の舞台》 3 《平穏な茂み》 1 《Karakas》 4 《不毛の大地》 4 《リシャーダの港》 1 《Glacial Chasm》 4 《Maze of Ith》 2 《暗黒の深部》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地(34)- -クリーチャー(0)- |
4 《ギャンブル》 4 《輪作》 2 《マナ結合》 4 《罰する火》 4 《踏査》 4 《壌土からの生命》 4 《モックス・ダイアモンド》 -呪文(26)- |
4 《虚空の杯》 4 《抵抗の宝球》 3 《クローサの掌握》 2 《暗黒の深部》 1 《原始のタイタン》 1 《ボジューカの沼》 -サイドボード(15)- |
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– :優勝おめでとう。まず最初の質問だけど、今回選択したLandsは参考にしたリストとかある?基本的な動きと合わせて教えて貰えるかな?
Ben :今回のリストは以前SCGOで結果を残していたKurt Spiessのリストを参考にしたんだ。現在のLandsの一般的な型はこの緑赤タイプで、過去に存在した緑黒青の採用していたサーチスペルの《直観》が《ギャンブル》になりデッキのスピードが上がった。《燃え柳の木立ち》+《罰する火》によってフェアデッキやヘイトベアーに対してより強くなった。
Landsというデッキは《壌土からの生命》デッキのバリエーションの一つで、プリズン要素(《不毛の大地》や《リシャーダの港》《The Tabernacle at Pendrell Vale》)で相手をコントロールしていき《踏査》や《マナ結合》といったマナ加速で展開していき、《演劇の舞台》+《暗黒の深部》のコンボで勝つ。去年変更されたレジェンドルールを活用した<演劇の舞台>+<暗黒の深部>のコンボは、ゲームを決定付ける勝ち手段が少なかったこのデッキにとって最も欲しかったものだ。このデッキでは《Demonic Tutor》と殆ど変らない働きをする《輪作》と《ギャンブル》のおかげでコンボも揃いやすい。多くのリストでは4枚目の《輪作》はサイドに採られているけど今大会ではメインのフェッチ1枚と入れ替えた。《輪作》は「20/20(マリット・レイジトークン)」をインスタントスピードで出す事もできるから隙も少なくて《ヴェールのリリアナ》の「-2」能力も怖くない。
– :去年のSCGO CincinattiやSCGO Columbusで入賞したBelcherや、最近はSneak and Showなどコンボを使ってるのをよく見かけるけど、今大会Landsを選択した理由は?
Ben :コンボが好きで大きな大会ではコンボ以外ではほとんど参加したことが無いね。元々はヴィンテージをやっていてレガシーを本格的に触るようになったのは《神秘の教示者》が禁止になる直前。その時はReanimatorを使っていた。禁止改訂後は使いたいと思えるデッキがなかなか見つからずLoamやANTなど色々なデッキを使ったが、Belcherに落ち着いた。
Belcherは流石に厳しくなってきたからSneak and Showを使い始めて、SCGOでもコンスタントにマナーフィニッシュしたりとそこそこ勝てたけど、Delverや最近多くなってきたDeath and Taxesもキツく他のデッキを探していたときにこのLandsというデッキを見つけた。コンボの中でもコントロール要素を持ったデッキが好きだから、相手の行動を制限しつつ《演劇の舞台》+《暗黒の深部》のようなパワフルな戦略で勝つこのデッキは自分のスタイルにフィットしていた。とはいえまだ経験が浅くプレイングに自信が持てなかったから大会直前までは使い慣れていたSneak and Showで参加予定だったんだけど、最近は対策されていてメタ的にも厳しい位置にあるデッキを使う気にはならず、Sneak and Showが苦戦するマッチアップで有利なLandsを最終的には使うことに決めたんだ。
– :思い悩んだ末にデッキを決めたんだね。でも結果的には使い慣れていないデッキでもメタ的に良い位置にいたLandsが正しい選択だったみたい。《燃え柳の木立ち》+《罰する火》はクリーチャー主体のデッキに特に強そうだね。
Ben :Death and TaxesやDelver系のデッキに特に強くてJundも悪くないマッチアップだね。Miraclesはコンボ以外のデッキの中では基本地形が多数採られているから《不毛の大地》があまり効かず、厳しい部類に入ると思う。メインはMiracles側も無駄カードが結構あるけどあまり対戦経験が無いから何とも言えないね。サイドは苦手なコンボとの対戦に備えて《虚空の杯》と《抵抗の宝球》を4枚ずつ採用した。これらのカードでコンボを完全に止めるのは難しいけどLands側の準備が整うまでスローダウンさせる事は出来ると思う。
大会中で唯一の負けはスイスラウンドで当たったRW Painterの「1ターン目《血染めの月》」だったけど、《血染めの月》のようなアンチ特殊地形に対してもサイド後は《モックス・ダイアモンド》を駆使して 《クローサの掌握》で割る事もできる。どのデッキにもキツいマッチがあるけど、このデッキが相性が悪いとされるデッキは環境のトップメタデッキとの相性が良くないのもあって、今のメタゲームだとLandsは良い位置にあると思う。
– :なるほど。コンボの多くはDelver系のデッキに相性が悪くて最近は数を減らしていて、そのDelver系を初めとした青いデッキやその他のクリーチャーデッキに強いのがLandsなんだね。最後の質問になるけど君にとってレガシーというフォーマットは?
Ben :色々なデッキにチャンスがあるレガシーは楽しめるフォーマットだと思う。ヴィンテージ以外ではレガシーは他のフォーマットよりもプレイしたいフォーマットだ。仕事が忙しくてあまり多くの大会には参加できないけど、日曜日のSCGOレガシーやGP New Jersey、エターナルチャンピオンシップには参加予定だ。
– :今回はインタビューに協力してくれてありがとう。次の大会も頑張って!
総括
SCGO Washington DCは最近コンスタントに入賞し続けているShardless BUGの優勝で幕を閉じました。久々にDredgeやMetalworkerも見られました。日本レガシー選手権2014 Summerではコンボデッキが大勢ベスト8に残る中、Elvesが優勝しました。
来週末にはSCG Invitational New Jerseyが開催されます。SCGOや各地の予選を勝ち抜いたプレイヤーやSCGサイトのライターも参加するハイレベルな大会なので楽しみです。
以上で今回の解説を終わります。次回の記事ではSCG Invitational New Jersey、SCGO New Jersey、SCGO St.Louisの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『SCGO Washington DC event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/230814_washingtondc.html
また、レガシー選手権2014 Summerの写真につきましては、優勝者・撮影者の許可のもと掲載しております。