はじめに
みなさん、こんにちは。
『Eternal Weekend 2023』の場所と日程も決まり、今年の冬はレガシーのイベントが充実していますね。また『エルドレインの森』がリリースされ、MOでも実装されました。
今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』と『Legacy Challenge』『4SeasonsTournaments』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Showcase Challenge 8/20
Dimirが強いレガシー
2023年8月20日
- 1位 Death’s Shadow
- 2位 Dimir Scam
- 3位 Temur Cascade
- 4位 Death and Taxes
- 5位 Dimir Scam
- 6位 Selesnya Depths
- 7位 Doomsday
- 8位 Death’s Shadow
トップ8のデッキリストはこちら
参加者300人超えという大変長丁場なイベントだった『Legacy Showcase Challenge』の上位は、Death’s ShadowとDimir Scamがもっとも人気があったデッキで、上位でも複数の入賞者がいました。
主に《オークの弓使い》を強く使えるデッキか、Seleznya Depths、Temur Cascadeなどそれらを無視できるタイプのデッキが中心となっています。
デッキ紹介
Dimir Scam
『指輪物語:中つ国の伝承』がレガシーに与えた影響は大きく、特に《オークの弓使い》と《カザド=ドゥームのトロール》は青黒という色の組み合わせをレガシーのトップに押し上げました。
除去・カウンター・ハンデスを多数搭載したミッドレンジで、妨害しながら《濁浪の執政》など強力な脅威でプレッシャーをかけていきます。《悲嘆》+《再活性》のエンジンを最大限に活用できるように構築されており、相手のゲームプランを序盤から崩しにいくことが可能です。
「基本土地サイクリング」のおかげでデッキの回りも安定しており、《サウロンの交換条件》+《神秘の聖域》というアドバンテージ源も搭載されているのでロングゲームにも対応することができます。
☆注目ポイント
《悲嘆》+《再活性》の組み合わせはフェア、コンボ問わず強力な動きの一つになります。《目くらまし》によって無理やりコンボを通すことも可能です。また序盤にサイクリングした《カザド=ドゥームのトロール》をリアニメイトすることもでき、それらを《意志の力》や《目くらまし》でバックアップしていくだけでも相手にとっては脅威となります。
《再活性》は相手の墓地に落ちた《オークの弓使い》を奪い取ることもでき、少ないライフロスでゲームを有利に進めることができます。
強力な妨害能力を有する《悲嘆》ですが、《悲嘆》+《再活性》によるコンボはリソースの消費も著しいためカードアドバンテージ源は欠かせません。《サウロンの交換条件》は《神秘の聖域》と組み合わせることで、あの《表現の反復》のように中盤以降の強力なアドバンテージエンジンとして機能します。選ばれなかった束は墓地に落ちるので「探査」や《再活性》ととも相性が良く、ドローではないため《オークの弓使い》の能力を誘発させる心配もありません。
《シェオルドレッドの勅令》はそれほど効率的な除去ではないものの、《マリット・レイジトークン》や《カザド=ドゥームのトロール》《濁浪の執政》対策にもなります。また青黒は一度通ってしまった置物に対する対処法に貧しいため、《虚空の杯》などを対策できる《火薬樽》は必須となります。
Death’s Shadow
Death’s ShadowはGrixis Delverと並んで現環境の代表的なテンポデッキで、《オークの弓使い》を強く使えるデッキです。
フェッチランドやショックランド、《四肢切断》《思考囲い》《殺し》などによって相手を妨害する過程で必然的にライフを失うことになるため、《死の影》を早い段階で展開することができます。
《死の影》を一早く展開するために、レガシー定番の《Underground Sea》よりも《湿った墓》を使うことが肯定されています。青いデッキの中では比較的リーズナブルなので、レガシーになかなか手が出しにくいという方にもオススメです。
☆注目ポイント
《再活性》でサイクリングした《カザド=ドゥームのトロール》を出せば一気に6点のライフを減らすことができ、《死の影》を展開しやすくなります。すでに《死の影》が場にいる状態であれば、一瞬でサイズアップすることも可能です。
このリストの最大の特徴は、サイドボードの《溶融》と《敵対するもの、オブ・ニクシリス》のために赤をタッチしているところです。青黒はアーティファクトを対策する手段に乏しいので、《溶融》は8 CastやPainterをはじめとした《ウルザの物語》デッキとのマッチアップで重宝します。《敵対するもの、オブ・ニクシリス》はあまり見かけないカードですがコントロールに有効なカードで、サイズの上がった《死の影》を「犠牲」にいきなり奥義を起動することも可能です。
Legacy Challenge 9/3
コントロールの復権
2023年9月3日
- 1位 4C Midrange
- 2位 8 Cast
- 3位 5C Zenith
- 4位 Dimir Scam
- 5位 Jeskai Stoneblade
- 6位 Jeskai Control
- 7位 Esper Vial
- 8位 Death’s Shadow
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Dimir ScamやDeath’s Shadowといったデッキが入賞しているなか、多色コントロールやJeskai Controlといった《オークの弓使い》を採用していないコントロール、ミッドレンジが複数見られました。
デッキ紹介
Jeskai Control
『指輪物語:中つ国の伝承』統率者デッキからの新カードである《進め、エオルの家の子よ!》は、登場当時はそこまで注目されませんでしたがフィニッシャー兼アドバンテージ源として定着しています。
軽い除去やスイーパーのおかげでGrixis Delverにも有利がつき、《剣を鍬に》は最近流行の《カザド=ドゥームのトロール》や《死の影》を含めた多くの脅威を対策できます。一方でLandsなど軸をずらしたデッキは苦手なマッチアップになります。
☆注目ポイント
《オークの弓使い》が活躍する環境での「統治者」は評価が難しくなりますが、《進め、エオルの家の子よ!》は中盤以降にプレイすれば速やかにゲームを終わらせることができ、勝ち手段が薄くゲームが長引きやすいこのタイプのデッキの弱点をカバーできる優秀なスペルになります。
メインから採用された《基本に帰れ》は、LandsやGrixis Delverなど特殊地形を多用するマッチアップに有効で、サイドの《破滅》と合わせて実質勝ち手段のように機能します。
コンボ対策として《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》や《封じ込める僧侶》といったヘイトベアーが多数サイドに忍ばせてあります。特に《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》は、最近レガシーでも見られるようになったTemur Cascadeに有効なのでオススメのサイドカードです。
4SeasonsTournaments – Legacy Main Event 9/3
期待の新カード
2023年9月3日
- 1位 Forge Combo
- 2位 Lands
- 3位 5C Midrange
- 4位 4C Control
- 5位 4C Control
- 6位 Boros Initiative
- 7位 Esper Vial
- 8位 Dimir Scam
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ヨーロッパで開催された大規模なレガシーイベントで、メインイベントの参加者は405名と盛り上がりを見せていました。
『エルドレインの森』のプレリリースの週末だったため、新カードが使える最初のイベントでした。
今大会の上位は多色コントロールが複数入賞しており、最近MOで活躍しているDimir Scamも勝ち残っています。
4C Control
今大会で複数入賞していた多色コントロール。今大会で入賞していたClaudio氏は、レガシーのグランプリで優勝経験もある強豪です。
除去やカウンターで脅威を捌いていき、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《進め、エオルの家の子よ!》によってアドバンテージ差をつけるコントロールデッキで、Delverなどクリーチャーデッキに強いデッキになります。
☆注目ポイント
『エルドレインの森』で登場した《豆の木をのぼれ》がフル投入されています。《意志の力》や《力線の束縛》《終末》など軽いマナコストで唱えられるスペルが多くあるので、妨害しているだけでカードを引くことができます。
黒いデッキが多い環境に対抗するためにメインから《夏の帳》が採用されています。ハンデスをかわす以外にも《時を超えた英雄、ミンスクとブー》などの脅威を通すために使うことが可能です。《激しい叱責》は《ウルザの物語》の構築物・トークンや《偉大なる統一者、アトラクサ》《タッサの神託者》を対策できる受けの広いカードなのでメインからの採用になっています。
Legacy Super Qualifier 9/9
まだまだ健在のイニシアチブ
2023年9月9日
- 1位 Blue Zenith
- 2位 Boros Initiative
- 3位 Golgari Depths
- 4位 4C Control
- 5位 Lands
- 6位 Abzan Maverick
- 7位 Cephalid Breakfast
- 8位 Mythic Combo
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先週末にMOで開催されたRCQは、スイスラウンド9ラウンドと大変長丁場なイベントでした。
『エルドレインの森』が実装されて初の大規模なイベントで、『エルドレインの森』からの新カードも見られました。
デッキ紹介
Blue Zenith
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は《表現の反復》禁止後の環境で青いフェアデッキの有力なアドバンテージ源として活躍しています。マナアドバンテージとカードアドバンテージを両方稼ぎつつ、カウンターや除去でコントロールしていきます。
典型的な多色のグッドスタッフデッキであり、Delver系をはじめとしたほかのフェアデッキを圧倒します。しかし、クロックが遅く除去が無駄になりやすいDoomsdayやStormなどコンボデッキとのマッチアップは不利になります。
☆注目ポイント
《喜ぶハーフリング》のおかげで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《時を解す者、テフェリー》といったカードをカウンターされることなく展開できるようになりました。タフネスも2なので《オークの弓使い》に引っかからないところも強みです。
《時を解す者、テフェリー》は《死の影》《濁浪の執政》《カザド=ドゥームのトロール》など多くの脅威をバウンスすることができ、ロングゲームに持ち込むことを可能にします。《時を超えた英雄、ミンスクとブー》は現在のレガシーで最高のプレインズウォーカーであり、《喜ぶハーフリング》を利用することでカウンターされずに早い段階から展開することができます。
Boros Initiative
《白羽山の冒険者》が禁止になっても「イニシアチブ」というメカニズム自体は健在なため、禁止改定後の環境でも活躍しています。
多色コントロールなどクリーチャーが少ないデッキが活躍している環境では「イニシアチブ」デッキは良チョイスになります。
☆注目ポイント
《精霊界との接触》や《剣を鍬に》といった白い除去のおかげで、Death’s ShadowやDimir Scamなどの脅威を対策しやすくなっています。《安らかなる眠り》《封じ込める僧侶》といった墓地対策は、《カザド=ドゥームのトロール》+《再活性》などフェアデッキも墓地を使うため活躍する機会も多くなります。
《ウルザの物語》や《暗黒の深部》など厄介な特殊地形を対策する必要もあるため、《月の大魔術師》もサイドに採用されています。
総括
《オークの弓使い》はここ数か月でレガシー環境を支配しており、《再活性》パッケージなど《オークの弓使い》をいかに強く使うかが焦点になっています。《オークの弓使い》デッキ以外では、Lands、Temur Cascadeなど《オークの弓使い》を無視できる戦略が中心になっています。
《オークの弓使い》の支配力は確かに目に余るところはあるものの、禁止改定前の環境のようにDelver系とInitiativeの2強状態のときと比べると戦略の幅も広く比較的健全という意見も見られます。今後のメタゲームはどうなるのでしょうか、要注目です。
USA Legacy Express vol.222は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!