のぶおの部屋 -第9回 ドレッジ(後編)-

斉藤 伸夫



第9回 前編は【こちら】



斉藤 「前回はデッキ構造について解説していただきました。続く今回は、ドレッジの弱点やサイドボーディングなどプレイ中のテクニックについて教えていただきたいと思います。平木 孝佳さん今回もよろしくお願いします。」

平木 「はい。よろしくお願いします!」



■弱点・やられて嫌なことは?

斉藤 「ドレッジを使っていて、やられたら嫌なことや苦手なカードを教えてください。」

平木 「大きく分けて以下のようなことがドレッジの弱点だと思います。

(1).墓地対策全般
墓地利用のデッキなので当たり前ですが、墓地を封じるカードは苦手とします。特に割らないとその後の展開ができない《安らかなる眠り》《墓掘りの檻》はことさらきついですね。また、どんなデッキでもナチュラルに入ってくる《死儀礼のシャーマン》は相手にするのがめんどうです。相手の先手《死儀礼のシャーマン》だけで、苦しむことも多いですね。

《死儀礼のシャーマン》については、ドレッジ3大エンジン(《イチョリッド》《ナルコメーバ》《黄泉からの橋》)の<イチョリッド>と<ナルコメーバ>を重点的に攻めることをオススメします。

イチョリッドナルコメーバ黄泉からの橋


“発掘”パーツを追放して”発掘”自体を防ごうとする行動が多々見受けられますが、ほとんどの場合は悪手であり、そのため勝ちを拾うことも多いからです。ドレッジは《イチョリッド》《ナルコメーバ》がいないとほぼクロックを準備できないので、即死ルートに限って確実に絞っていくことが大切です。《ナルコメーバ》は置換効果で直接場に出るのではなく、墓地に落ちてから誘発するので、その誘発したタイミングで《死儀礼のシャーマン》などで取り除くことができるのもポイントですね。


(2).カウンター
次に初動をカウンターされることです。ドレッジにとって、1ターン目の初動が最も重要なアクション(特に《信仰無き物あさり》の場合)のため、初動をカウンターされると苦しいです。ドレッジを相手にするのなら、カウンターは選んで当てるのではなく、とにかく初動から打ち消せるものから順に打ち消すことをオススメします。よほどドレッジに精通した人でない限り、ピンポイントのカウンターでドレッジを止めることは不可能かと思いますね。


(3).土地破壊
単純に土地が少ないので、復旧に手間取ります。また、復旧しても《目くらまし》などのスペルにかかりやすくなるために土地を縛る行為はとても強いです。デルバーデッキに初動をカウンターされてから《不毛の大地》をされると、そのまま何もできなくなることもしばしばあります。

(4).自殺要員の確保
ドレッジの3大エンジンのうち1つが機能不全に陥る自殺要因の確保は嫌な動きです。《黄泉からの橋》がインスタントタイミングで飛ばされると”if節”のため発動しないので、クロックが減って押し込めなくなることがおこります。ドレッジというデッキ自体がほとんどソーサリータイミングで墓地に自らの生物を送るデッキなので、インスタントタイミングでクリーチャーを自殺されるのは厳しいですね。


斉藤 「分かりやすい説明ありがとうございます。共通することは初動をいかに潰せるかが大事といえるでしょう。サイド後など、メイン戦において強い初手をキープしてそのまま負けるということをよく見かけますが、しっかりと初動を潰せる初手をキープできるように勇気あるマリガンもとても大切ですね。」

平木 「そうですね。適当な7枚ハンドキープをしてくる相手より、しっかりとマリガンをして対策を握ってくる相手のほうがよっぽどやりづらいです。」





■サイドボード後のゲームプラン

斉藤 「まずはアーキタイプごとの話をする前に、サイド後のゲームプランは、どのように考えているか聞かせてもらえればと思います。やはり墓地対策への対策を入念にしているのですか?」

平木 「サイド後全般に言えることとして、自分はメインをとって、3ゲーム目を先手2キルすることを前提に戦っています。その状況にできなかった場合は、負けでもやむなしと割り切ってプレイしています。割り切れない人は2ゲーム目のように対策カードを取りつつ戦うことをオススメします。」

打開黄泉からの橋戦慄の復活


斉藤 「先手2キルを目指すということは3ゲーム目は墓地対策への対策を減らしたりするのでしょうか?」

平木 「個人的な所感でしかないですが、墓地対策への対策カードをサイドインし、相手の墓地対策を対処つつ復旧しながら戦うより、墓地対策を出される前に圧殺する方が勝率が高いと明確に感じています。時間がかかればかかるだけ、追加の墓地対策や有効カード(《終末》や自殺要員など)を引かれるため、墓地対策を対処しても負けることも多々あるためです。」

斉藤 「墓地対策への対策を引きすぎた場合、相手が墓地対策がないクリーチャーハンド(《秘密を掘り下げる者》連打や《タルモゴイフ》連打など)で押してきた場合に殴り負けるケースもありますもんね。」

平木 「墓地対策への対策を入れても入れなくても、どちらも裏目があるので、負けたときに悔しくない方を選ぶのがベターかと思います。悔いが残るサイドは極力しないようにしています。」

斉藤 「コンボデッキはマリガンが大事な印象をうけますが、ドレッジというデッキのマリガンについてはどのように考えていますか?」

平木 「ドレッジは、多少マリガンしても大丈夫なデッキだと思います。普通のフェアデッキ同士の対戦の場合、1枚1枚のカードアドバンテージが重要になりますが、ドレッジは墓地というリソースをメインに使うため、ハンド枚数で多少差がついても問題はないと考えています。むしろドローを”発掘”に置き換える関係上、初手以外はドローしない場合すらあります。なので初手が非常に重要になります。ドレッジは、発掘やドロー、ディスカード手段さえあればよいデッキです。」



■各主要デッキに対するサイドボーディング


平木 孝佳 「Dredge」

4 《真鍮の都》
4 《宝石鉱山》
4 《セファリッドの円形競技場》

-土地(12)-

4 《朽ちゆくインプ》
4 《ナルコメーバ》
2 《ゴルガリの凶漢》
4 《臭い草のインプ》
3 《イチョリッド》
1 《炎の血族の盲信者》
4 《ゴルガリの墓トロール》
1 《グリセルブランド》

-クリーチャー(23)-
4 《入念な研究》
4 《信仰無き物あさり》
4 《打開》
3 《陰謀団式療法》
2 《戦慄の復活》
4 《黄泉からの橋》
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》

-呪文(25)-
3 《炎の嵐》
3 《自然の要求》
2 《知られざる楽園》
1 《鋳塊かじり》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
1 《灰燼の乗り手》
1 《蒸気の連鎖》
1 《陰謀団式療法》
1 《暗黒破》
1 《古えの遺恨》

-サイドボード(15)-
hareruya



斉藤 「それでは、各主要アーキタイプへのサイドチェンジの考え方を教えてください。」

平木 「具体的なサイドボードプランを挙げていきましょう。」



●対RUGデルバー

【後手】

平木 「相手はカウンターが多いため、打ち消されないディスカード手段として<炎の嵐>と<暗黒破>を。これらはついでに《秘密を掘り下げる者》も焼けるため便利です。入ってくる墓地対策は《墓掘りの檻》が多いので、《古えの遺恨》《鋳塊かじり》をサイドインします。《鋳塊かじり》《ゴルガリの凶漢》で使い回せるため、相手のカウンター量を上回ることが可能です。《大修道士、エリシュ・ノーン》は出せばほぼ勝ちなので《炎の血族の盲信者》と入れ替えでサイドインします。土地は《不毛の大地》の標的になりますし、《ゴルガリの凶漢》を使い回すために2マナは欲しいので増量します。」

斉藤 《打開》《ライオンの瞳のダイアモンド》を結構な枚数抜くのですね。また”発掘”で一番掘れる枚数が大きい《ゴルガリの墓トロール》をサイドアウトするのは意外でした。」

平木 《打開》《ライオンの瞳のダイアモンド》は危険性が高すぎるためアウトしますね。後手だと《目くらまし》にひっかかるのも大きいです。《ゴルガリの墓トロール》は消去法で選択します。《ゴルガリの凶漢》《鋳塊かじり》再利用のため、《臭い草のインプ》は接死持ちなのでハードキャストしても使えるため、《ゴルガリの墓トロール》一択になります。《炎の血族の盲信者》の爆発力は後手では求めていないためサイドアウトします。」


【先手】

平木 相手が初手に《Force of Will》がある確率より、こっちの先手2キルの確率が高いことに賭けることが多いです。《鋳塊かじり》は、後手1キル(=《墓掘りの檻》)されるのを防ぐためのお守り程度にサイドインします。」

斉藤 《Force of Will》さえなければそのまま勝つイメージなのでしょうか?」

平木 「はい。初動《Force of Will》なければ勝ちなイメージで進行しています。このマッチは《Force of Will》以外にも1ターン目《秘密を掘り下げる者》《墓掘りの檻》以外は楽なイメージです。」



●対スニークショー

【後手】

平木 「墓地対策は《墓掘りの檻》《大祖始の遺産》を想定しています。手札破壊で抜くか、相手のぶっぱ後にバウンスするか、《実物提示教育》《灰燼の乗り手》を合わせるかが対策になります。できるだけ速度を保った上でのサイドチェンジになります。」

斉藤 「最近の《実物提示教育》デッキはデス&タックスなどに苦しめられているため、サイドの墓地対策が減ってきている印象なのでちょうどいい枚数ですね。」

【先手】

平木 コンボ戦は基本速度勝負します。速さで勝負すれば、《ナルコメーバ》などを生贄にしての《陰謀団式療法》連打というハメパターンにもっていくことができるからです。しかし、2ターン目《実物提示教育》から《グリセルブランド》がでてくるときついです。《戦慄の復活》《灰燼の乗り手》を釣りにいこうとしても、大量ドローからの《Force of Will》でカウンターされてしまうからです。」

斉藤 《引き裂かれし永劫、エムラクール》がでてきても、《灰燼の乗り手》を釣ることによって対処できますし、15点と”滅殺6″された返しに大量のゾンビがわいていてそのまま勝ってしまうことも珍しくありませんよね。」



●対BG系


平木 「BG系を相手する時、後手の1ターン目に<死儀礼のシャーマン>を焼けるようにすることがとても大切です。相手がサイドインしてくる墓地対策は《墓掘りの檻》《外科的摘出》《虚無の呪文爆弾》あたりなので、《鋳塊かじり》をサイドインすることにしています。」

斉藤 「そうですね。BG側は《死儀礼のシャーマン》が明確なキープ基準になるので、それを焼けるようにしておくことは大事ですね。後手時は《死儀礼のシャーマン》がアクティブになるのが早い分大変な戦いになりやすいですからね。」

【先手】

平木 「相手が《墓掘りの檻》を引かない前提でぶっぱします。1枚くらいの《墓掘りの檻》を引かれてしまったり、無理だったらあきらめると決めています。先手は<死儀礼のシャーマン>ケアするより自分のスピードを上げるため、《炎の嵐》を1枚減らします。」

斉藤 《死儀礼のシャーマン》がアクティブが遅れる分、そのまま《死儀礼のシャーマン》ではおいつけないくらいの発掘ができる分減らして自分のスピードをあげているのですね。」



●対石鍛冶系(デス&タックス含む)

【後手】

斉藤 《石鍛冶の神秘家》系のデッキに《暗黒破》をインするのですね。デス&タックスやデスブレードには効きそうですが、エスパー石鍛冶とかにもサイドインするのですか?」

平木 「はい。相手のヘイトベアーを処理するために当てることもありますが、《暗黒破》をサイドインする本当の理由は<剣を鍬に>から<イチョリッド>を守るためです。また、装備品及び《安らかなる眠り》を割るためのサイドを根こそぎ入れます。相手にサイズの大きい生物がいないため、割り物や《灰燼の乗り手》で装備品等のやっかいなものを追放すれば十分殴りきれます。」

斉藤 「追加の土地はやはりマナ拘束を嫌ってでしょうか?」

平木 「そうですね。《不毛の大地》やマナ拘束、さらにデス&タックスなら《スレイベンの守護者、サリア》がくるので土地を追加しています。」

【先手】

平木 「やはり先手2キルを狙います。相手に2ターン目が渡ると途端に苦しくなるので、先に決めきりたいところですね。ヘイトベア系全般、《安らかなる眠り》《石鍛冶の神秘家》といろいろきついです。」

斉藤 「先手後手問わず2ターン目の《石鍛冶の神秘家》はきついのでしょうか?」

平木 「早い段階での《石鍛冶の神秘家》からの《殴打頭蓋》は負けに直結します。《殴打頭蓋》を手札に戻す効果でトークンが墓地にいくために《黄泉からの橋》がリムーブされてしまう上に、絆魂が《イチョリッド》の戦闘を無意味にしてしまうからです。今は採用していませんが、以前は《真髄の針》が墓地対策兼装備品対策を担っていました。」



●対ANT

【後手】

平木 「お互い速いデッキですが、ハンデスの打ち合いによりぐだったときの《闇の腹心》をケアするために《暗黒破》をサイドインします。またキープ基準としては、後手1キルできないときは、《陰謀団式療法》で即死を防げるようにハンデスを基準とします。」

斉藤 「お互い1キルのあるデッキですから、基本スピード勝負になりそうですね。」

【後手】

平木 先手1~2キル狙いの最高速を目指します。相手はカウンターがない上に墓地対策も少ないです。先に墓地にたくさんのカードを送るということが勝ちに繋がります。」



●対エルフ

【後手】

平木 「墓地対策はメインから入っている《死儀礼のシャーマン》《漁る軟泥》以外だと《トーモッドの墓所》《外科的摘出》程度です。とにかく<死儀礼のシャーマン>を中心に除去ることにより失速させましょう。相手の1ターン目のマナクリーチャーは見たら焼いていくことにしています。ゴールとしては《大修道士、エリシュ・ノーン》《戦慄の復活》するまで耐えれば勝ちとなります。理想としては、《炎の嵐》で減速させてから2キルを狙うことですね。」

斉藤 「他に気をつけている点などはあるのでしょうか?」

平木 《漁る軟泥》《大修道士、エリシュ・ノーン》《戦慄の復活》で流せなかった場合は、ほぼ負けと考えていいです。サイズで《ゴルガリの墓トロール》を超えてくるため、殴り勝つのは難しくなります。」

斉藤 「そうなんですよね。私も《引き裂かれし永劫、エムラクール》のサイズを超えた《漁る軟泥》を経験したことがあります。ドレッジ側の墓地以外にも自らエルフをプレイして墓地に落としてからサイズ上げてきます。」

【先手】

平木 「除去は最低限入れつつ、2キルを目指す方針でいっています。」

斉藤 「コンボ戦は真っ向勝負ですね。」



●対ミラクル

【後手】

平木 「墓地対策は基本《安らかなる眠り》を想定しています。《陰謀団式療法》で落とすか、割りにいくようにゲームを進行します。また、《剣を鍬に》《終末》ケアの《暗黒破》は必須です。」

斉藤 《灰燼の乗り手》《炎の血族の盲信者》と入れ替えるのには理由があるのでしょうか?」

平木 《灰燼の乗り手》《罠の橋》が積まれてたときのための保険です。《古えの遺恨》でもいいですが、《灰燼の乗り手》の場合はぶっぱしたときに相手の土地を割りまくってそのまま勝つこともあるため採用しています。」

斉藤 《不毛の大地》のようなマナ拘束がないコントロール相手にも土地を追加するんですね。」

平木 「相手が序盤にとにかくカウンターをしてくるし、《相殺》(サイドアウトされやすいですが)が出るとジリ貧になってしまうため、土地を伸ばすことに価値があります。コントロール相手は《信仰無き物あさり》のフラッシュバックが非常に強力なので、そのためにも土地を伸ばしたいですね。」

【先手】

平木 遅くとも先手2キルを目指しています。ミラクル相手に<安らかなる眠り>を割ってから復旧までつなげるのは至難の業と考えています。体制が整う前に攻め込むイメージでしょうか。」

斉藤 「時間をあたえると《終末》が間に合ってしまいますからね。《神の怒り》などと違い《イチョリッド》がライブラリーボトムに送られてしまうと、シャッフル手段のないこのデッキなのでデッキがなくなるまで引けないですからね。」



●対ドレッジミラー

【先手・後手ともに同じ】

平木 「そもそもミラーはほぼ起きないから気にしていないです。むしろ当たったら嬉しく思うようにしていますね。」

平木 「手札破壊と自殺手段を兼ねる《陰謀団式療法》は非常に大事です。決め手としては《大修道士、エリシュ・ノーン》《戦慄の復活》ですね。」

斉藤 「お互い自殺手段を用意しあうゲームにもなるのでしょうか?」

平木 「なりますね。なので、そのまま決めきれないときはぶっぱしない判断もありです。相手にターンを渡すと、《陰謀団式療法》フラッシュバックでほぼ確実にこちらの《黄泉からの橋》が追放されて、相手にゾンビトークンが湧くことになるからです。《暗黒破》を握っているか、《大修道士、エリシュ・ノーン》までいけるときに限定しましょう。」

平木 「また、ミラーマッチは先手も後手もサイドインは変わりません。やはりコンボ戦なので先手2キルを目指しましょう。」



■細かいテクニックや初歩テクニック

斉藤 「初歩的なテクニックや細かい注意点などあれば教えてください。」

平木 「基本的には《入念な研究》《朽ちゆくインプ》によるディスカードにより墓地にカードを落として2ターン目に”発掘”することを想像するかもしれませんが、ドロ―カードにスタック《ライオンの瞳のダイアモンド》起動で手札を捨てることにより、1ターン目から”発掘”することが可能です。初手に《入念な研究》のようなドローソース、《ライオンの瞳のダイアモンド》、”発掘”パーツ、土地が揃っていて、即決でぶっぱできないようなら私のレシピを使うことはオススメしないです。




斉藤 「ドローソースがないとマリガンになってしまうということでしょうか?」

平木 「相手によりますが、自分に《陰謀団式療法》プレイして”発掘”持ちを落とすことによって、2ターン目に《セファリッドの円形競技場》を使える場合はドローソースなしでもスタートできるのでキープできます。また、後手のナチュラルディスカードを活用することもあります。例えばRUGデルバーやWURデルバー(パトリオット)に対して後手の場合は、《目くらまし》を食らってその後に動けないことも多々あるので、一度《ゴルガリの墓トロール》などの”発掘”カードのナチュラルディスカードからスタートし、2ターン目から仕掛ける判断をするのも重要です。ただし、どんな手札でもナチュラルディスカードすればいいというわけではないので注意することですね。後手の場合は、後手ドローのおかげで<セファリッドの円形競技場>+<ライオンの瞳のダイアモンド>だけでもスレッショルドが達成できるので覚えておくと便利です。」





斉藤 《セファリッドの円形競技場》はカウンターされない、とても便利で強力な土地ですね。なにか注意していることはないのですか?」

平木 《セファリッドの円形競技場》はインスタントタイミングのドローであることを理解しておくことが大事です。”発掘”カードが1枚しかなくとも、スタックで起動して”発掘”することにより《死儀礼のシャーマン》の能力から逃がすことが可能です。また、《イチョリッド》の誘発型能力にスタックしてアップキープに《セファリッドの円形競技場》を起動することによって、《イチョリッド》のエサを補充することも可能です。」

斉藤 「そうですね。通常ドローの前にセファコロを起動するのは大事になる場面が多そうです。アップキープに行動を起こすこととしてダーブラなどもよく使いそうですよね。」

平木 「よくありますね。ヘイトベアー《翻弄する魔道士》《ガドック・ティーグ》などタフネス2が多いですが、土地が2枚あるなら、『アップキープに《暗黒破》→ドローを《暗黒破》の”発掘”に置換→メインで《暗黒破》』というアクションでタフネス2を落とすことも可能です。」

セファリッドの円形競技場暗黒破翻弄する魔道士


平木 「また土地を使うこととして、《宝石鉱山》に乗っているカウンターを意図的に0にすることにより、墓地に落ちることを利用することもあります。相手のエンド時にカウンターが2個乗っている時などにわざと利用先のないマナをだしてカウンターを1にして、自分ターンに使うことにより《宝石鉱山》を墓地におくることでスレッショルドの助けをすることもできるのです。」

斉藤 「いろいろ細かな注意点がありますね。一番の弱点ともいえる墓地対策についてですが、気にかけていることは他にありますか?」

平木 《ゴルガリの凶漢》《墓掘りの檻》の影響下でも誘発するため、《鋳塊かじり》を使い回して破壊できることを考えること。また、《鋳塊かじり》は”想起”でキャストするので、《黄泉からの橋》が誘発するのもよいですね。昔からある《トーモッドの墓所》《大祖始の遺産》などの墓地対策に対しては、《朽ちゆくインプ》+”発掘”カード1枚で少しずつ掘り、《黄泉からの橋》《イチョリッド》1枚ずつくらいで戦うことにより、切ってもらえます。切ったあとに溜めておいた大量のドローソースで勝負を仕掛けます。」

鋳塊かじりゴルガリの凶漢墓掘りの檻


斉藤 「ドレッジを使う上で、通常ドローとかはするものなのですか?」

平木 「はい。しますよ!逆に全てを”発掘”に置換すべきじゃないとも考えています。メインは適当でも《死儀礼のシャーマン》などさえいなければ勝てますが、サイド後は考えた方がいいと思います。”発掘”パーツを1枚墓地に落とせれば、後引きの墓地対策に対応するため、有効牌を通常ドローで探す必要も出てきます。有利、不利で賭ける割合は変わりますが、およそ2.5~3枚に1枚有効牌が引ける期待値があるなら通常ドローを進めていくのも一つの手だと思っています。



■まとめ、ドレッジに興味がある人へ

斉藤 「ドレッジに興味がある人、使う人への一言アドバイスをお願いします。」

平木 「私みたいに、ぶっぱ好きにとてもオススメのデッキです。また逆に、ドレッジは1枚のカードで負けることが多々あります。《ライオンの瞳のダイアモンド》ぶっぱに《Force of Will》、ぶっぱ後やハンデス後に墓地対策をトップされることや、”発掘”の落ちが偏って何もできない等々、一発で倒れることもかなりあるデッキです。そんな時に笑って負けを認める度量がない方は使うべきじゃないと考えます。コンボデッキである以上ムラはありますし、相手のトップデッキ1枚でよく負けます。そんな時に笑えない方はぶっぱにもコンボにも向いてないでしょう。」

平木 「逆に、その上で使うなら使い込んで欲しいと思います。何のデッキでも同じだと思いますが、一つのデッキを使い続けることによって思考の省力化というものがあるのは明確です。自分の手札は一瞬見れば道筋が見えるようになります。その分相手を観察する時間がとれるようになりますね。ドレッジを使うなら、致命傷を防ぐため相手の手札がある程度推測できるようになるまで使って欲しいです。100%じゃなくとも、負け筋を消せるかどうかが勝ちへの一線を画すことになることもあると思います。」

斉藤 「自分を知り、相手を知ることはコンボデッキではとても大事なことですね。《陰謀団式療法》の的中率で勝率が変わったりもしそうです。なにか最後にあればお願いします。」

平木 ドレッジ使いに幸あれ!ヘイトカードの増加により、墓地利用のデッキは減ってきましたが、どんなデッキにも勝てる力をもっていますし、速さで乗り越えてしまえることも多いです。また、サイド後は粘り強い戦いも可能です。
 《陰謀団式療法》で自分の生物を生贄にしているのに生物が盤面に増えるのは非常に面白い動きなので、ぜひ試してみてください!」

斉藤 「今回はありがとうございました!これからもドレッジで勝ち続けてください!」


次回は、続唱BUGを使っているあの人を招待して、一緒に解説していきたいと思います。
それでは、また第10回でお会いしましょう!


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