皆さんこんにちは!
いよいよ来週末には新セット『タルキール覇王譚』のプレリリースがありますが、皆さんは参加されますか。オンスロートフェッチランドの再録など、アメリカでも大きな話題となっています。
さて、今回の記事ではSCG Invitational Somerset、StarCityGames.com Open Series(SCGO) Somerset, SCGO St Louisの結果を見ていきたいと思います。
SCG Invitational Somerset
~前大会の覇者Tom Rossがチャンピオンの座を防衛~
2014年8月29日-31日
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1位 Infect/感染アグロ
2位 UWR Miracles/白青奇跡
3位 BUG Delver/青黒緑アグロ
4位 BUG Delver/青黒緑アグロ
5位 Jund/ジャンド
6位 4-C Delver/青黒赤ジャンク
7位 UWR Miracles/白青奇跡
8位 Sneak and Show/スニーク・ショー
SCG Invitationalのトップ8らしく、青いフェアデッキが大半を占められています。Reid Duke, Chi Hoi Yim, Jared Boettcherといった強豪プレイヤーが名を重ねる中、Infectを使い続けている前回のSCG Invitational Columbusの優勝者のTom Rossが優勝を飾り、見事に連覇を成し遂げました。
SCG Invitational Somerset デッキ解説
「UG Infect」「UWR Miracles」「BUG Delver」
1 《森》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 3 《Tropical Island》 1 《Savannah》 1 《ドライアドの東屋》 1 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 1 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《貴族の教主》 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《荒廃の工作員》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 -クリーチャー(13)- |
4 《渦まく知識》 4 《巨森の蔦》 2 《ギタクシア派の調査》 2 《Berserk》 2 《呪文貫き》 1 《思案》 1 《緑の太陽の頂点》 1 《輪作》 3 《目くらまし》 4 《激励》 3 《Force of Will》 -呪文(27)- |
2 《剣を鍬に》 2 《屍百足》 2 《安らかなる眠り》 2 《クローサの掌握》 1 《森の知恵》 1 《Force of Will》 1 《水流破》 1 《自然の要求》 1 《海賊の魔除け》 1 《呪文貫き》 1 《Karakas》 -サイドボード(15)- |
今大会見事に優勝を飾ったInfectは、感染持ちのクリーチャーを《貴族の教主》の「賛美」や《ペンデルヘイヴン》、各種パンプスペルで強化して速やかに10個の毒カウンターを与えて勝利するデッキです。
《Force of Will》や《目くらまし》といった0マナでキャストできるカウンターのバックアップから、強化された感染持ちのクリーチャーの攻撃を無理やり通すことで最速2ターンキルも狙えるため、遅めのコンボデッキに対してはスピード勝負で勝つことも可能です。
《激励》はパンプスペルの中でも特に強力で、相手にライフを与えることによって0マナでキャストすることが可能で、毒カウンターを与えて勝利するこのデッキにとっては相手のライフゲインも問題になりません。《Berserk》との組み合わせは特に凶悪です。こういった強化スペルを使用する際に頭痛の種となるのがレガシーを代表する《剣を鍬に》、《稲妻》といった軽い除去スペルですが、このデッキにフル搭載された《巨森の蔦》はそれらを弾くことが可能で、しかもパンプスペルとしても使えるので無駄カードになりにくく、カウンターできない《突然の衰微》からもクリーチャーを守れる優秀なスペルです。
メインに1枚差された《緑の太陽の頂点》は興味深い選択です。感染持ちクリーチャーの《ぎらつかせのエルフ》や《梅澤の十手》をはじめとする置物対策の《ヴィリジアンの堕落者》、「賛美」持ちの《貴族の教主》といったカードの水増しになります。
メインの除去が《突然の衰微》のShardless BUGやBUG Delverは《墨蛾の生息地》に触るのが困難なため、これらのデッキに対しては比較的有利にゲームが進みます。UWR Miraclesに対しては《師範の占い独楽》+ 《相殺》を揃えられたときを除けばそこまで難しいゲームにはならない印象です。
筆者もUWR Miraclesでこのデッキと対戦したことが数回ありますが、除去のためにマリガンをしなければならず、「奇跡」呪文のセットアップも、ANTやBelcherにはスピードで劣るものの実質高速コンボに分類されるInfect相手には遅く、苦戦を強いられました。他方、《稲妻》と《剣を鍬に》を搭載し《梅澤の十手》にアクセスできるUWR Delverは、Delver系の中では最もキツいマッチとなりそうです。
6 《島》 3 《平地》 1 《山》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 2 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 1 《Karakas》 -土地(24)- -クリーチャー(0)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 1 《赤霊破》 1 《呪文貫き》 2 《対抗呪文》 2 《議会の採決》 2 《天使への願い》 1 《至高の評決》 4 《Force of Will》 3 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(36)- |
2 《紅蓮破》 2 《血染めの月》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《墓掘りの檻》 1 《トーモッドの墓所》 1 《悪斬の天使》 1 《安らかなる眠り》 1 《青霊破》 1 《赤霊破》 1 《呪文貫き》 1 《至高の評決》 1 《終末》 -サイドボード(15)- |
5 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 -土地(21)- 3 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(3)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 1 《紅蓮破》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 4 《Force of Will》 4 《終末》 3 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(36)- |
3 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《狼狽の嵐》 1 《イゼットの静電術師》 1 《嵐の神、ケラノス》 1 《Wear》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《紅蓮地獄》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 1 《血染めの月》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
惜しくも決勝戦でInfectを操るTom Rossに敗れてしまいましたが、アメリカのプロプレイヤーのReid Dukeがメインはノンクリーチャーの特徴的なリストのUWR Miraclesで準優勝を果たしました。メインにクリーチャーを一切採用していないので、相手のクリーチャー除去を腐らせ、結果的に疑似的なカードアドバンテージとなります。
Delver系のデッキを相当意識していたようで、基本地形はMiraclesでも多めの10枚です。カウンターされないスイーパーの《至高の評決》もメインから採用されています。ミラーマッチも意識していたようで、通常のリストでは3枚採用されていることが多い<精神を刻む者、ジェイス>が4枚採用されています。サイドには《悪斬の天使》や《ヴェンディリオン三人衆》が忍ばせてあり、除去をサイドアウトした相手にとっては対処が困難になります。また、基本地形を多めに採用されている構成を活かせるように、サイドにはアンチ特殊地形カードの《血染めの月》が2枚と多めに入っています。基本地形を採用していないことの多いShardless BUGやDeathblade等に劇的に刺ささります。
コントロールデッキのエキスパートであるChi Hoi Yimは今大会でも得意のUWR Miraclesで、前回から引き続いて連続入賞を果たしました。<思案>をフル搭載している関係か、土地はこのタイプのデッキとしては少なめの21枚です。追加のライブラリー操作の《思案》を採用している利点として、「奇跡」呪文が使いやすくなっています。 シャッフル手段にもなるので《師範の占い独楽》と相性が良く、その《師範の占い独楽》を《真髄の針》等で止められて動きがぎこちなくなってしまうことも少なくなり、安定性が向上している印象です。
メインのクリーチャーは《瞬唱の魔道士》のみで、多くのリストでメインから採用されていることの多い《ヴェンディリオン三人衆》はサイドに落とされています。サイドには他のリストでも多く見られる追加の除去、カウンターが多くを占められる中、先ほど解説したReid Dukeのリストにも採用されていた《血染めの月》、追加の勝ち手段として青赤GODの 《嵐の神、ケラノス》が見られます。5マナと決して軽くはないカードですが、Shardless BUGやJundはハンデス以外では対処手段が非常に限られています。ミラーマッチでも場に出てしまえば《議会の採決》以外では除去されないので、サイドインされそうです。
4 《霧深い雨林》 3 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 3 《闇の腹心》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(17)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 3 《もみ消し》 4 《目くらまし》 4 《突然の衰微》 3 《Force of Will》 -呪文(25)- |
2 《見栄え損ない》 2 《方向転換》 2 《思考囲い》 2 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《狼狽の嵐》 1 《Force of Will》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《呪文貫き》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《大渦の脈動》 -サイドボード(15)- |
4 《汚染された三角州》 4 《新緑の地下墓地》 3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(14)- |
4 《思案》 4 《渦まく知識》 4 《もみ消し》 2 《呪文貫き》 2 《ギタクシア派の調査》 1 《見栄え損ない》 4 《目くらまし》 4 《突然の衰微》 3 《Force of Will》 -呪文(28)- |
2 《思考囲い》 2 《見栄え損ない》 2 《被覆》 2 《毒の濁流》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《真の名の宿敵》 1 《森の知恵》 1 《Force of Will》 1 《大渦の脈動》 -サイドボード(15)- |
Delver系の中でも最近特に人気のあるBUG delver。入賞を果たした両プレイヤー共にハンデスがメインに不採用で、BUG Delverではあまり見かけない《もみ消し》が採用されています。
Peter Ingramは除去やカウンターも必要最低限で、クリーチャーが多めに採用されています。どちらか一方が採用されているリストが多数派ですが、Peterのリストは《闇の腹心》と《真の名の宿敵》が両方採られています。
Devon O’Donnellのリストはフィニッシャー枠には《真の名の宿敵》2枚で、カウンターと除去の数もPeter Ingramのリストよりも多めです。BUGには珍しく《ギタクシア派の調査》が採られています。相手の手札の内容を掌握しつつ脅威となるカードを落とすことが出来る《思考囲い》があるためBUGではあまり採用されていませんが、ブルーカウントが多めになっているため《Force of Will》を安定してピッチでキャストできるようになっているようです。
《もみ消し》が採用されているため、RUG Delverのようにマナ否定戦略も可能になりました。またメインでの妨害スペルが最低限まで絞られている分、両プレイヤー共にサイドにはハンデス、カウンター、除去が多めに積まれています。定番のスペルが多くを占める中、Peter Ingramがサイドに採っている《方向転換》は面白いアプローチです。同系やShardless BUGとのマッチアップで《突然の衰微》やハンデスの対象を変更したりと活躍が期待できそうです。
SCGO Somerset
~優勝はUWR Miracles。上位にはElves、Death and Taxesの他に比較的珍しいLandsなど~
2014年8月31日
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1位 UWR Miracles/白青奇跡
2位 Elves/エルフ
3位 Death and Taxes/白ウィニー
4位 Painter/ペインター
5位 Lands/土地単
6位 UR Delver/青赤デルバー
7位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
8位 UWR Delver/パトリオット
SCG Invitationalと同時開催されたオープンでは、最近のほぼ青いフェアデッキ一色だったメタと異なり、ElvesやPainter、比較的レアなデッキであるLandsも見られました。Delver系のデッキは8位のUWR Delverと6位のUR Delverのみと近年のSCGOと比較すると少なめで、そのDelver系の中でも定番のRUGやBUGの姿が今大会のトップ8では見られませんでした。そんな中、優勝はInvitationalでも入賞していたUWR Miraclesでした。
◆Interview With Dan Musser
今大会見事に優勝を収めたDan MusserにFacebookでインタビューをすることができました。
4 《島》 2 《平地》 1 《山》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 3 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 1 《秘教の門》 2 《Karakas》 -土地(23)- 1 《瞬唱の魔道士》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー(5)- |
4 《渦まく知識》 2 《赤霊破》 2 《呪文貫き》 2 《剣を鍬に》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 4 《終末》 4 《師範の占い独楽》 4 《相殺》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(32)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《安らかなる眠り》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《イゼットの静電術師》 1 《対抗呪文》 1 《誤った指図》 1 《赤霊破》 1 《Wear》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《議会の採決》 1 《天使への願い》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
--UWR Miraclesを選択した理由は?
Dan: Miraclesはもうずいぶん長い間使っていて使い慣れているデッキだから、特にメタゲーム的な意味でのチョイスではないんだ。でも最近のレガシーはMiraclesにとって勝ちやすいメタだと思うよ。
--今回のリストを使用しての感想、あと参考にしたリストは?
Dan: 今回のリストはすごく気に入っている。今回使用したリストはMiraclesで結果を残し続けているJoe Lossetが作成した。彼とは4か月以上もデッキについて情報交換していて、今大会のリストも彼とシェアしたんだ。
--なるほど、確かにメインの2枚の《赤霊破》や《剣を鍬に》、《Karakas》など、Joe Lossetが普段使用しているリストと似てたから多分そうかなと思った。ところで他の多くのリストが《剣を鍬に》を4枚採用しているところ、メインに2枚にまで減らされているけど、大会中足りないと思ったことはなかった?
Dan: メインから《剣を鍬に》の枚数を減らしてその枠に《赤霊破》を入れているバージョンはチーターバージョンという名で呼ばれている(《赤霊破》など特定の色や戦略に対して劇的に刺さるカードで普段はサイドに忍ばせてあるはずがメインから入っていて、ゲーム1からサイドボードした状態でマッチに臨むことからチーター(英語でずるいという意味)と呼ばれているらしい)。
Dan: Delver系や同系、Sneak and Showなど、青いスペルを多用するコンボに対して強い代わりに、Death and Taxes, Elves, Jund等には無駄カードになるので少し弱くなっている。Delver系に対しては《秘密を掘り下げる者》に対しては除去として機能しながら《Force of Will》や《もみ消し》をカウンターできるから《剣を鍬に》以上の強さを発揮する。今大会ではJundと2回、Elvesと1回当たっていて、確かにそれらのデッキとの対戦では無駄カードだったけど、同系とDeathbladeなど青いデッキとのマッチアップの方が多かったから、トータルでは良いチョイスだったと思う。これからも多分この2-2スプリット(《剣を鍬に》と《赤霊破》をメインに2枚ずつ)を使い続けると思う。
--マナベースも他のMiraclesのリストと比べると2枚目の《Volcanic Island》が基本地形の《山》になっていたり《秘教の門》を入れるなどの変更点が見られるけど、採用理由を詳しく教えて貰える?
Dan: 《山》は 《不毛の大地》を使ってくるDelver系に対してメインの《赤霊破》を活用するために必要だから採用することにしたんだ。もし、今後《赤霊破》がサイドに落とされることがあれば、《山》の代わりに2枚目の《Volcanic Island》を採用しようと思う。《秘教の門》は白マナソースと《秘教の門》しかないようなシチュエーションでも《相殺》のように青青を要求するスペルをキャストできるようになるし、このデッキにとって厄介な《窒息》を貼られて何にもできないなんてことも起きにくくなる。何故かあまり使われていないけどね。
--サイドボードのカードについても教えてもらえる?特に《誤った指図》、《イゼットの静電術師》、追加の《天使への願い》、《造物の学者、ヴェンセール》など。
Dan: 《誤った指図》は主に《突然の衰微》を使ったデッキにサイドインされるカードで、相手のクリーチャーに跳ね返したり 《Hymn to Tourach》の対象を相手に変えたりと場合によっては莫大なアドバンテージを取れるスペルだ。カウンター合戦時には5枚目の《Force of Will》としても使える。《イゼットの静電術師》はDeath and TaxesやElves, Goblinsのように小型のクリーチャーを並べてくるデッキに対して強いカードだ。準々決勝で当たったShaheen(《未練ある魂》型のEsper Stoneblade)との対戦でも、スピリットトークンや《概念泥棒》を撃ち落としたりと大活躍だったよ。
Dan: 追加の《天使への願い》はShardless BUGや、Jund, Deathbladeのように長期戦になりがちなミッドレンジデッキとの対戦でサイドインする。場合によっては同系戦でもサイドインされる。このデッキにとってゲームを速やかに終わらせる数少ない手段で、限られた時間の中で3ゲーム目に突入したときもゲームに勝つ可能性を大きくしてくれる。《造物の学者、ヴェンセール》はSneak and Show相手には明らかにオールスターなカードなのと同時に、ミッドレンジデッキとの対戦でも強い。《突然の衰微》で落ちない上に、《相殺》を《突然の衰微》からバウンス能力で守ったりもできる。「瞬速」持ちだから自分のターンにタップアウトしなくても良いし、カウンターを掻い潜ってきた相手の脅威をバウンスして仕切り直したりと、活躍の機会が多い。《Karakas》とのコンボもすばらしいね。
--今後大会に同じデッキで参加する際に変更したい箇所とかある?
Dan: 今後のメタの動きによっては《対抗呪文》、《狼狽の嵐》、《赤霊破》、《誤った指図》、 《呪文貫き》あたりの枚数の調整が考えられる。《瞬唱の魔道士》を多めに採用して《思案》を採用したバージョンやBBD型(《石鍛冶の神秘家》をメインから搭載したバージョン)など色々と試してみたけどこの形が一番自分のスタイルに合っていたから、しばらくは同じデッキを使い続けると思う。デッキをシェアしてくれたJoe Lossetには感謝してるよ。
--今日はインタビューに付き合ってくれてありがとう。Miraclesは最近特に人気のあるデッキなので、同じデッキを使い続けていて結果も出しているプレイヤーからの意見は大変貴重だから話が出来て良かった。優勝おめでとう。次の大会でも頑張って。
SCGO St Louis ~Death and Taxesの躍進、優勝はElves~
2014年9月7日
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1位 Elves/エルフ
2位 Death and Taxes/デス&タックス
3位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
4位 Death and Taxes/デス&タックス
5位 Sneak and Show/スニーク・ショー
6位 BUG Delver/青黒緑アグロ
7位 Esper Deathblade/デスブレード
8位 UWR Miracles/白青奇跡
前回のSCGO Somersetと比べると青が少し多めですが、Sneak and Showなどのコンボデッキも戻ってきました。青以外のフェアデッキの代表格であるDeath and Taxesも勝ち残る中、優勝したのは前回も準優勝と大健闘していた部族系コンボデッキのElvesでした。
SCGO St Louis デッキ解説
「Elves」「Death and Taxes」「Esper Stoneblade」
2 《森》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 2 《Bayou》 1 《Taiga》 2 《ドライアドの東屋》 4 《ガイアの揺籃の地》 -土地(19)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《ワイアウッドの共生虫》 3 《クウィリーオン・レインジャー》 2 《ラノワールのエルフ》 2 《イラクサの歩哨》 4 《エルフの幻想家》 2 《遺産のドルイド》 1 《樺の知識のレインジャー》 1 《漁る軟泥》 1 《再利用の賢者》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 1 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(26)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《垣間見る自然》 4 《緑の太陽の頂点》 3 《自然の秩序》 -呪文(15)- |
4 《血染めの月》 3 《思考囲い》 3 《陰謀団式療法》 3 《突然の衰微》 1 《大祖始》 1 《自然の秩序》 -サイドボード(15)- |
部族の中でも現在のレガシーで最も高い勝率を誇るElves。デッキが複雑なため使いこなすにはある程度の慣れが必要なことから、デッキの強さに対して使用者が少なめなデッキの一つです。
今回見事に優勝を飾ったSteve Medanicのリストは他のリストと比べると個性的な箇所が幾つか見られます。まず挙げられるのは定番と思われていた《遺産のドルイド》と《イラクサの歩哨》が2枚に減量されている点です。代わりにドロースペルの《ギタクシア派の調査》が4枚採られています。ファイレクシアマナのおかげでライフを支払えればどのデッキにも入るカードで今やレガシーの定番のドロースペルとなった《ギタクシア派の調査》ですが、遂にElvesにも採用されるようになったようです。
2枚目の《孔蹄のビヒモス》の枠に採用されている《自由なる者ルーリク・サー》は、コンボだけでなくMiraclesのようなコントロールにも強いカードで、このデッキならサーチスペルに頼らずに素でキャストすることも可能です。
メインから個性的な構成ですが、サイドにはなんとアンチ特殊地形の《血染めの月》がフル搭載されています。相手もまさかElvesから《血染めの月》が来るとは思っていなかったでしょうから、多くのマッチで活躍したことが予想されます。デッキによってはElvesのコンボを決めることなく勝利することも可能になりました。
11 《平地》 1 《地平線の梢》 3 《Karakas》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《ファイレクシアの破棄者》 3 《セラの報復者》 3 《ちらつき鬼火》 2 《ミラディンの十字軍》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《コロンドールのマンガラ》 -クリーチャー(26)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《剣を鍬に》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(11)- |
2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《萎れ葉のしもべ》 2 《安らかなる眠り》 2 《迷宮の霊魂》 2 《大変動》 2 《議会の採決》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《悟りの教示者》 -サイドボード(15)- |
非青フェアデッキの中でもコンスタントに入賞し続けているDeath and Taxes。Jamie Schefferのリストは最近あまり見かけなくなってきた《コロンドールのマンガラ》+《Karakas》のコンボを搭載しています。コンボ相手には遅いので《コロンドールのマンガラ》+《Karakas》は抜けていきましたが、コンボデッキが少なくフェアデッキが多い現在のメタでは活躍が期待できそうです。
最近のリストではメインに差されていることも多い《迷宮の霊魂》や《オレスコスの王、ブリマーズ》は不採用で、少し前のリストを彷彿とさせます。
サイドには追加の除去として、《真の名の宿敵》さえも追放できる《議会の採決》や他にも《大変動》が採られており、さらに《悟りの教示者》によるシルバーバレット戦略も採られているなど、良く目にするリストと同様にコントロール寄りにシフトする構成です。
2 《平地》 2 《島》 1 《沼》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《湿地の干潟》 3 《Tundra》 2 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 1 《忍び寄るタール坑》 1 《Karakas》 1 《ムーアランドの憑依地》 -土地(22)- 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《瞬唱の魔道士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 2 《思考囲い》 2 《コジレックの審問》 1 《盲信的迫害》 2 《未練ある魂》 1 《毒の濁流》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 4 《Force of Will》 1 《師範の占い独楽》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 1 《悪夢の織り手、アショク》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《イニストラードの君主、ソリン》 -呪文(30)- |
2 《安らかなる眠り》 《仕組まれた爆薬》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《概念泥棒》 1 《仕組まれた疫病》 1 《対抗呪文》 1 《解呪》 1 《外科的摘出》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《強迫》 1 《至高の評決》 1 《名誉回復》 -サイドボード(15)- |
Al KarabellはSCGO Kansas Cityでも同デッキで入賞していて、個性的な構成が印象的でした。今大会では以前はメインに1枚差されていた《方向転換》が《毒の濁流》に差し替えられていたり、サイドのカードに一部の変更点が見られます。純正のEsper Stonebladeで《真の名の宿敵》ではなく《未練ある魂》が採られているなど、一昔前のEsper Stonebladeを彷彿させる構成です。
PWが多めに搭載されており、墓地に落ちたクリーチャーをトークンに変換する《ムーアランドの憑依地》も採用されていることからUWR Miraclesに対して強い構成で、準々決勝でもUWR Miraclesを駆るJoe Bernalに勝利しています。《イニストラードの君主、ソリン》はレガシーでは珍しいカードですが、《ムーアランドの憑依地》と《未練ある魂》と相性が良く、-2能力使用後に強化されたトークンは脅威となります。
妨害要素を必要最低限にしPWを多数採用しているため、デッキパワーは上がりましたがコンボへの耐性が下がっているようなので、少なくともサイドにはあと数枚ほど追加のカウンターまたはハンデスが欲しいところです。
総括
SCG Invitational SomersetはTom Rossが使い続けているInfectで優勝を飾り、2連覇を遂げました。Tom Rossの他にもReid DukeやChi Hoi Yim、Jared Boettcherといったプレイヤーが連続入賞を果たしています。同時開催されていたSCGO Somersetの優勝デッキはInvitational本戦でもトップ8に2人送り込んだUWR Miraclesで、3名とも異なるアプローチを施したリストで入賞していることからも、Miraclesというデッキの地力の高さは勿論のこと、構築においても自由度の高いデッキであることが窺えます。
現在の環境では相変わらず特殊地形に頼ったデッキが多く存在するので、《血染めの月》は依然として強力なカードです。《血染めの月》デッキの代表格のPainterの他にも最近はUWR Miraclesのサイドにも見かけるカードで、果てはElvesにもサイドボードに採用されるほどです。それだけに、特殊地形に頼らずに基本地形を多く採用したUWR MiraclesやDeath and Taxes、エルフクリーチャーからマナを捻出することが可能なElvesといったデッキは、今後も上位で良く見かけることになりそうです。
以上で今回の解説を終わります。次回の記事では『タルキール覇王譚』リリース前の最後のオープンとなるSCGO Atlantaの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『SCG Invitational/Open Somerset event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/300814_somerset.html
『SCGO St Louis event coverage』
http://www.starcitygames.com/events/060914_stlouis.html