どんなプレイヤーにも得意な環境と苦手な環境というものはある。
だからこれだけのトッププレイヤーを集めていても、この菊名合宿では大抵「勝ち組」と「負け組」に分かれるものだ。
故に3-0争いともなれば、その環境が得意な「勝ち組」のプレイヤー同士がぶつかる、見慣れたマッチアップになるのが通常である。
だが、今回の5thドラフトで3-0争いに挑む2人は、どちらかといえば「負け組」に回る方が多いプレイヤーだった。
三原 槙仁。相手の技を全て受け切るミッドレンジ~コントロールを特に好むため、ビートダウンが強いフィールドでは途端に成績が落ちる傾向があり、最近のクリーチャー偏重のドラフト環境では苦戦していた。
井川 良彦。努力型のプレイヤーであり、これまで慣れないドラフト環境の序盤は負け越すことが多かった。
そんな彼らとて4回のドラフトを経れば経験値も溜まる。勝利への道筋も見えてくる。
成長した三原と井川が、3-0を賭けて激突する。
Game 1
先手の三原が怒涛の展開。
《軍団の伏兵》《高山の灰色熊》《遠射兵団》と、マナカーブ通りに生物を送り出していく。
対し、後手3ターン目の井川は何と『変異』クリーチャーすらキャストすることができない。
井川が半分諦め顔でプレイした《雪花石の麒麟》にはしっかり《鐘音の一撃》を合わせ、三原がわずか5ターンでビートダウンを完遂した。
井川 「後手だけど《雪花石の麒麟》《風番いのロック》ってあったらさすがにやるし!」
三原 1-0 井川
Game 2
今度は井川が先手、《煙の語り部》と《軍団の伏兵》が交換になると、『変異』に対して『変異』がプレイされるオーソドックスな展開。
ここで井川が《休息地の見張り》をフェイスアップしつつ《道の探求者》をプレイしてクロックを作るが、これは三原に《弧状の稲妻》で薙ぎ払われてしまう。
たまらず《遠射兵団》をブロッカーに立てる井川だが、三原は構わず『変異』でアタック。さらにこちらも《遠射兵団》を追加する。
思わず「強いな……」とボヤく井川だが、それでも《遠射兵団》の相打ち後に『強襲』を達成した《機を見た軍族朋》で《道の探求者》を呼び戻し、主導権を渡さない。
しかしなおも攻撃してくる三原の『変異』をスルーすると、第2メインに三原がプレイしたのは『強襲』した《マルドゥの心臓貫き》!再び窮地に陥る井川。
《塩路の巡回兵》をブロッカーに立てるが、いよいよ三原の『変異』《雪角の乗り手》が表返り、ライフがピンチに。
続くターンの2体アタックこそ《抵抗の妙技》でしのぐが、《氷河の忍び寄り》まで追加され、劣勢を跳ね返せない。
やがて《石弾の弾幕》でフルアタックを通してからの《矢の嵐》で、井川のライフはゼロを割った。
三原 2-0 井川