はじめに
みなさん、こんにちは。スタンダード記事担当の紳さんです。
「限界突破スタンダード!」では、スタンダードの大会で実績を挙げたユニークな構築のローグデッキをたくさん紹介していきます。
今回は『イクサラン:失われし洞窟』発売後の新環境でいち早く輝きを放った新作ローグデッキたちを厳選して紹介!
今はローグでもいつかはTier1、そんな魅力がたっぷり詰まった面白デッキたちを紹介します。
ローグデッキ紹介
洞窟コントロール
ローグデッキの聖地・宇都宮で、またしてもとんでもないデッキが結果を残しました。
採用された洞窟土地の数、なんと25枚。デッキ内でアンタップインできる土地はわずか10枚と序盤はまともに呪文がプレイできそうもありません。
はてさて。赤単やアゾリウス兵士、ボロス人間といった高速アグロデッキがひしめく現環境において、悠長に土地をタップインしている暇はあるのでしょうか。
大丈夫なんです。殴られるのは覚悟の上、と言わんばかりに《洞窟探検》や《梓の幾多の旅》でライフを回復しながら、確実に洞窟を戦場に展開していきます。
ある程度、洞窟が並んだところで……
必殺の全体除去《壊滅的な落盤》でリセット!
中盤以降は洞窟シナジーを活かしてパワーカードを叩きつけます。《コウモリの群棲》は飛行1/1を3体戦場に送り込みながら、洞窟が戦場に出るたびにクリーチャー強化できるナイスカード。《コズミュームの合流点》はMAXで9/9速攻クリーチャーを生成することができますし、いざとなれば《婚礼の発表》や《忠義の徳目》をまとめて破壊することも可能です。
このデッキにおける《開花の亀》も強力で、各種ミシュラランドの起動コストを下げながらスタッツを強化します。《洞窟探検》があれば誘発型能力で戦場に出した土地はアンタップインしますし、「発見4」で《開花の亀》がめくれる点も見過ごせません。
リソース勝負になれば《世界の導管》が輝きますし、《真夜中の一撃》でほとんどのパーマネントに触ることもできるため、とても粘り強く戦うことができそうです。
《壊滅的な落盤》を引けなかったときの展開こそ気になりますが、《コウモリの群棲》から出たトークンをチャンプブロック要員にして耐えることはできそうです。
「土地が主役!」という強いメッセージ性が込められた素晴らしいローグデッキですね。まだまだ洞窟シナジーを持ったカードはたくさんあるので、いろんなタイプの洞窟デッキが活躍するのが楽しみです!
落魄「《秘儀の代理者》」
落魄をテーマにしたデッキで、クリーチャーメインではなくスペルメインのアプローチをしたケースは珍しいです。どんな動きをするデッキなのでしょうか。
序盤は新カードの《困惑の謎掛け》に加え、《アモンケットへの侵攻》や《完成化した精神、ジェイス》など強力な切削能力を持ったカードを駆使して墓地にカードを送り込みます。
すみやかに「落魄8」が達成できたのならば《忘れられた者たちの嘆き》が真価を発揮。1:2交換+αの効果は2マナの呪文とは思えない有能ぶりです。
そしてすかさず、4枚フル投入の《秘儀の代理者》で《忘れられた者たちの嘆き》の再利用を試みます。2回、3回と《忘れられた者たちの嘆き》を唱えられたならリソース的にもかなり差がつけられるでしょう。
運悪く《忘れられた者たちの嘆き》にアクセスできなかったとしても、スタンダードを代表するこれら低マナ除去たちをコピーする動きだって弱くありません。
終盤は《知識の徳目》で《秘儀の代理者》や《アモンケットへの侵攻》の効果を2倍にさせたり、《不穏な浅瀬》のアタックでライフを詰めたり、状況によっては《アモンケットへの侵攻》を裏返しにいくことも考えられます。
ディミーアカラーながら《忘れられた者たちの嘆き》のおかげでエンチャントやアーティファクトなど置物に触れることができるのもこのデッキの強みです。「落魄」の新しい可能性が見える、ユニークなローグデッキですね。
墓地を肥やすことに喜びを感じる人にもオススメのデッキです!
誘発ソルジャー
マジックにおけるクリーチャー・タイプ「戦士」といえば何を連想しますか?
はい、そうです。誘発ですね。新カードの《うろつく玉座》は選ばれたタイプのクリーチャーの誘発型能力を追加でさらに1回誘発させる能力を持っています。
え?戦士に誘発のイメージがないですって?
現スタンダード環境には強力な誘発型能力を持った戦士たちがこんなにもいます。人間や兵士ばかりに注目が集まりがちですが、これからは戦士の時代です。《うろつく玉座》で誘発の効果が2倍、3倍となれば勝利は目前。
《うろつく玉座》は戦士デッキに限らず、いろんなデッキに採用されそうですね。どんなローグデッキが誕生するのか楽しみです!
エニグマジュエル
こちらのデッキは9マナの「作製」というロマンを実現させてしまいました。
令和の《太陽の指輪》こと《奇怪な宝石》を有効活用するべく《蒐集家の保管庫》や《ミレックス》が4枚フル投入されています。これは《奇怪な宝石》の悪魔的な裏面の強さを巧妙に隠すテクニックなのかも知れません。
一見すると《奇怪な宝石》は「2マナ捻出するためのマナアーティファクト」ぐらいにしか思えませんが、9マナ支払って「作製」すると……
《啓蒙の神座》はこれを作製するために追放されているカードのすべての起動型能力を持つ。それらの各能力をそれぞれ、毎ターン1回のみ起動してもよい。
あなたがマナ能力でない能力を起動するたび、それをコピーする。そのコピーの新しい対象を選んでもよい。
ほぼゲームエンド級のフィニッシャーへと変身します。ちなみに起動型能力をコピーする上で発生源が《啓蒙の神座》である必要はありません。
《啓蒙の神座》をコントロールしている限り、すべての起動型能力がコピーされるのです。
プレインズウォーカーの忠誠度能力もコピーされます。
《蒐集家の保管庫》は2回ルーティングした上で宝物が2つ。《ミレックス》はダニ・トークンが2体。《高波エンジン》は6枚ドロー。《啓蒙の神座》があると世界が変わります。
「9マナの作製コストはロマン」という意見もありそうですが、《マイトストーンとウィークストーン》のマナ能力に加え《蒐集家の保管庫》によって生成された宝物・トークン、《奇怪な宝石》自身から生み出された2マナなども使えるため、わりと現実的に狙えるのではないでしょうか。
準備が整うまでは優秀な白の除去たちが場をつないでくれますし、《攪乱プロトコル》や《鏡殻のカニ》のような妨害札も揃っており、堅実に勝利が目指せる新型のコントロールデッキという印象です。
ちなみに《鏡殻のカニ》は「魂力」が起動型能力である点が評価されて採用されているようです。青1マナ+《奇怪な宝石》でマナが支払えるため、《困惑の謎掛け》や《否認》より強い場合があります。
ほかにも《護国卿、ウルザ》の合体を狙ったり、《高波エンジン》で殴ったり、《ミレックス》で大発生したダニによる毒殺などいろんな勝利プランがあるのが良いですね!
番外編:天才ローグデッキ紹介
- 2023/11/17
- 天才デッキビルダー『イクサラン:失われし洞窟』:全応募デッキリスト
今回、番外編として『発見!天才デッキビルダー』企画にご応募いただいたデッキの中から私が個人的に気になったものを紹介させていただきます。
【#天才デッキビルダー】
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) November 10, 2023
テーマに沿ってオリジナルデッキを構築せよ!
『発見!天才デッキビルダー』‼‼
~イクサラン:失われし洞窟編~
天才デッキビルダーに選ばれると……
🎖晴れる屋ポイント5,000pt進呈
🎖投稿デッキを晴れる屋チャンネルで紹介
詳細&応募方法は画像をタップ🔎 pic.twitter.com/Cor9MwmsJi
『発見!天才デッキビルダー』とはX(旧Twitter)上で晴れる屋公式アカウントが行っている名物企画。デッキ構築機能を用いてテーマに沿ったオリジナルデッキを構築し、「#天才デッキビルダー」のハッシュタグをつけてシェア(ポスト)することで誰でも簡単に応募することができる。
応募の中から最終的に選ばれるデッキは2つであり、各デッキの作者には晴れる屋ポイントが5000ポイント進呈される。
ちなみに今回の『発見!天才デッキビルダー』で選ばれたデッキ同士による対戦動画が晴れる屋公式チャンネルでアップされておりますので、興味のある方はそちらもぜひ、ごらんください。
ハイパージェネシス・ガルタ
今回の『発見!天才デッキビルダー』にて見事選ばれたデッキ「NO茂みアマリア」と同じ作者であるスマイルさんによるもう1つの応募作品が「ハイパージェネシス・ガルタ」です。
《機械の母、エリシュ・ノーン》《超能力すり》《暴走暴君、ガルタ》が同時に戦場に出ると半無限コンボがスタートするという究極のドリームがこのデッキの特徴なのですが、普通にプレイしていても揃えることは不可能に近いでしょう。
しかし、《蒐集家の保管庫》や《大いなる扉、マツァラントリ》でコンボパーツを墓地に落とし、《リッチの騎士の征服》で一気に釣り上げることで容易(?)にこの条件を達成することができます。
どんなことが起きるのかは、下記の動画をみるのが一番わかりやすいです。
ハイパージェネシス・ガルタで無限ループするドン!https://t.co/rgrKEyZV2W#天才デッキビルダー pic.twitter.com/IrKdGWU5IK
— スマイル@サイバ流デッキ構築道場 (@KamigawaCat) November 15, 2023
8マナの《暴走暴君、ガルタ》が自らの能力によって何度も戦場に出る様子はマジックの「スタック」という領域の奥深さを表現していて、とても好きなコンボです。
恐竜複製
おなじく『発見!天才デッキビルダー』に応募いただいたデッキの中から、Hamloidさんの「恐竜複製」を紹介します。
このデッキにはローグデッキにありがちな「やりたいことを優先するために防御を捨てる」というネガティブな要素がありません。火力を多数採用し、序盤からしっかりとクリーチャーを迎撃する用意ができています。
そして、このデッキのキーカードである《ヴェズーヴァの複製術》が戦場に出ると状況は一変します。デッキ内の火力はすべて、自分のクリーチャーに撃てば「コピーを誘発させるためのスペル」へと早変わりし、除去兼コンボパーツとして機能するからです。
では、肝心のコピーするクリーチャーとは?
《嘶くカルノサウルス》と《原初の征服者、エターリ》です。この2体のクリーチャーは戦場にでることで新しい呪文を唱えることができるため、半永久的にコピーを戦場に出すことができます。《原初の征服者、エターリ》からコンボをスタートさせた場合は対戦相手のデッキ次第でフィニッシュまでいく可能性も!?
さながらパイオニアの発見コンボのような強い動きを実現するデッキですが、惜しむらくは戦場に出たコピー全体に速攻を付与する手段がないため、即勝ちとはなりません。とはいえ、全体除去されずにターンが返ってくればほとんど勝ちですが。
また、コンボ開始早々に《ヴェズーヴァの複製術》がめくれた場合はコピーを作れず、コンボが止まる可能性があります。これは《ヴェズーヴァの複製術》が必須コンボパーツゆえに仕方がないことなのかもしれません。
このような弱点はあるものの、十分に実現可能なコンボである上に除去札がコンボパーツに切り替わるという発想が素晴らしいローグデッキだと感じます。
おや?サイドボードに1枚だけ《天使火の覚醒》が採用されているようです。《天使火の覚醒》でも《ヴェズーヴァの複製術》は誘発するため、コピーが戦場に出てコンボは継続し、コピー元に速攻を付与することができますね。メインに4枚フル投入もあり得そうですね!
おわりに
新しいカードが登場すれば、新しいローグデッキが誕生する。『イクサラン:失われし洞窟』発売後の新環境で早速、素晴らしいローグデッキたちと出会うことができました。
新環境のスタンダードはまだ始まったばかり。これからどんなカードが活躍するのか楽しみですね!それでは、また。