ラヴニカへカレーを食べに行こう
みなさんはラヴニカを旅したことはありますか?
つまり――「ラヴニカを舞台にしたマジックのセット」に触れたことはありますか?
ラヴニカを舞台にした最後のセット、『灯争大戦』から5年が経とうとしているのです。
2019年4月1日のマジック公式HPより
「天野リリアナ」の衝撃から5年……その間にたくさんの人がマジックの世界にやってきました。つまり、ラヴニカを訪れたことがないプレイヤーもたくさんいるはず!
今週末には『ラヴニカ・リマスター』がリリース、そして現在最新セット『カルロフ邸殺人事件』のプレビューが来週から始まろうとしています!
そんなラヴニカに初めて訪れるみなさん、そしてラヴニカに久しぶりに行くというみなさんに晴れる屋メディアからラヴニカ観光案内をお送りします!
ラヴニカという土地
ラヴニカは、大聖堂、老朽化したスラム街、古代の廃墟、何層にも積み重ねられた石造りの建物、そして張り巡らされた数々の陰謀などがつなぎ合わされた、世界を覆うひとつの巨大な都市です。
ラヴニカはそこに住まう人々によって際限なく都市開発が行われ、次元そのものが大きなひとつの都市のようになっています。
マジックに数多くある次元の中でも文字通り「都会的」で、コーヒーやカレーライスが食されていることでも有名です。「実際に行ってみたい次元は?」という質問に「ラヴニカ!」と答える人は多いのではないでしょうか。
とはいえ、まったく危険ではないというわけではありません。
ラヴニカのギルド
ラヴニカには10のギルドが存在し、これまで覇権を巡って争ってきました。
各ギルドは2つのマナの力を極め、それぞれマジックの色マナの特徴を表現した代名詞的存在になっています。
アゾリウス評議会
ラヴニカの法整備を担う彼らはまさに「ラヴニカの法」。
『カルロフ邸殺人事件』ストーリーでは殺人事件の発覚後、現場にいた人々をアゾリウスの法魔導士が《真理の円》で尋問しました。
「大判事ラヴィニア様ですら尋問を受けることに同意なさいました。そして皆様も同意して頂くよう、私を送られました。例外があってはならないのです」
「真理の円は唱えられますか?」 オレリアは尋ねた。
緊張に耐えながら、若いアゾリウス評議会員は頷いた。
「結構です。それでは私たちを尋問し、それから調査を任せて下さい」
ディミーア家
確かに存在しているが、「誰も知らない」、そういうことになっている秘密組織がディミーア家です。
『カルロフ邸殺人事件』では《静める者、エトラータ》がセレズニア議事会のメンバーを装ってパーティーに侵入します。
「ディミーアの色をまとう人は見かけなかったけれど」
「ディミーアの工作員がそのように自分たちの存在を明白にすると本当に思うかね? 彼女がセレズニア議事会の同僚たちとの交流を避けるために細心の注意を払っていなかったら、私も気付かなかったかもしれない。その装いを見るに相手は彼女にとって最も親しい仲間であるべきだ。距離をとる理由にはならない」
ラクドス教団
創始者であるデーモン《暴動の長、ラクドス》を筆頭に、利己的な快楽主義者が集うのがラクドス教団。
『カルロフ邸殺人事件』では《災いの歌姫、ジュディス》がパーティーに出席。しかし死体が発見される前に行方不明になっています……
……だが今夜見かけたラクドス教団員は少ないような。ジュディスだけだった。黒と赤の目立つ革をまとって。
殺害前に姿を消したジュディスだけ。
グルール一族
グルール一族は文明を否定し、人々がその場その時の感情にまかせて生きるべきだと説いています。
その性質は『灯争大戦』『機械兵団の進軍』を経ても変わっていないようで……
わめきたてるケンタウルスをテイサの警備兵が三人がかりで連行していった。グルール一族の装いをまとうそのケンタウルスは明らかに激怒しており、警備兵を振り払おうともがいていた。
「――不当だ!」彼は吼え声をあげた。「アンズラグは俺たちが担うものだ、俺たちの神だ、俺たちに返せ! 神はただその本質に従っただけだというのに!」
ケイヤはその場面から顔をそむけ、動転しているケランを見つめた。「本質的には何も変わらないってことよね。新しい服を着て、作り変えられたって言ってもその表面の下は全く同じ」
セレズニア議事会
「我らと共にあるならば、すべてが平等だ。それまでは、お前の存在は無い」。無私無欲な共同体であるセレズニア議事会は自然を愛し、その拡張を目指していますが、それがほかのギルドとの衝突を生むことも。
オルゾフ組
自らを宗教のように見せかけていますが、その実態は権力と金を渇望する企業ともいえるでしょう。銀行も経営しており、ラヴニカの経済を支えています。(あるいは支配しているかも……)
『カルロフ邸殺人事件』の舞台はまさに《テイサ・カルロフ》の邸宅です。今回の主人公である《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》はオルゾフ組のギルドマスターとなりますが、実権はテイサのものです。
「飲み物を持った方がいいでしょうね」テイサが言った。「手ぶらで立っているなんて、まるで私がけちな主催者みたいに見えますから」
「けちな主催者でしょう」ケイヤは悪意をこめて主張した。「少なくとも、計算高い主催者か。このお祭り騒ぎに費やしたジブ銅貨は、残らずジノ金貨になってあなたに戻ってくる。そうでなければ、不在中の私を出し抜いて何もかもを掌握したような人物じゃないわよ」
ゴルガリ団
「死は自然の一部であり、新たな生につながる」と考え、死体の扱いが得意……死が身近すぎるせいなのか、ギルドマスターはたびたび暗殺によって交代しています。
暗殺が得意なゴルガリ団ですが、カルロフ邸のパーティーには出席していないようです。少なくとも、表向きは。
そして今夜の祝賀会の賓客一覧を見れば、問題がほぼ確実に発生するであろうことは天才でなくともわかった。10のギルドのうち8つが参列している――ディミーア家の出席者の姿は見えず、ゴルガリ団も同じく不在だ――
シミック連合
シミック連合はラヴニカの自然の保護と再生を目指すギルドです。グルールと違い、魔法や科学の研究によって実現しています。
イゼット団
科学者の集団であるイゼット団はラヴニカのギルドとしては珍しく、権力や富に執着がほとんどありません。《パルン、ニヴ=ミゼット》を中心に日夜研究にふける研究グループなのです。
《ラル・ザレック》は今回の小説でまだ姿を見せていません。恋人のトミクはパーティーに出席しているのですが……
すべてのギルドがオルゾフやシミックのような社交的才覚を重視しているわけではない。だがイゼットやグルールにすら演説担当がおり、彼らは明らかにその季節の社交行事にてギルドを代表するために選ばれていた。イゼット団の代表者としてラル・ザレックが出席するとケイヤは予想していたが、その姿が見えないことに彼女はどこか驚いた。プレインズウォーカーを招待するのは野暮だと考えられたのかもしれない――きちんと紐に繋いでおかない限りは。
ボロス軍
ボロス軍は正義と道徳を 重んじ、ラヴニカの平和を守っています。
殺人事件が起きれば当然ボロスの出番、となりそうですが……?
翼を半ば畳んで、オレリアが立食テーブルへと近づいてきた。ケイヤにとっては誰よりも避けたかった相手、だが苦々しい考えがよぎる前にオレリアはテイサに向かうと鋭い口調で言った。「この調査はボロス軍の手にお任せいただくべきです。私たちはギルド内に不安を引き起こすことなく平和を保つ方法を存じております」
ラヴニカ魔法探偵社
テイサが言った。「探偵社が手を貸してくれたのです、あの……不愉快な出来事に続いて起こった混乱を制御し、封じ込めるために。彼らがいなければ、私たちが持て余す役立たずのギルドは二つではすまなかったでしょうね。十のギルドすべてがあの侵略者に破壊し尽くされていたかもしれません。その場合私たちの次元はどうなっていたでしょうか」
ラヴニカ魔法探偵社はラヴニカ十ギルドとはまた別の組織で、ラヴニカで起こるトラブルをスマートに解決することでテイサのような大物からも信用されているようです。『カルロフ邸殺人事件』ではケイヤ、ケランそして探偵のプロフトも殺人事件の捜査をします。ラヴニカを震撼させるこの事件、果たしてラヴニカ魔法探偵社は解決できるでしょうか。
いざラヴニカ
明日には『ラヴニカ・リマスター』が発売、来週からは『カルロフ邸殺人事件』のプレビューがスタートします!そして……現在カルロフ邸にて殺人事件の捜査中……もとい、まだ殺人事件は続いているかもしれません。『カルロフ邸殺人事件』の背景ストーリーにも注目です!
マジックストーリー解説記事『あなたも隣のプレインズウォーカー』