By Atsushi Ito
マルドゥ、アブザン、ティムール、ジェスカイ、スゥルタイ……
R6時点での上位アーキタイプを見てもわかる通り、今のスタンダード環境はほとんどのアーキタイプのデッキパワーが拮抗し、飛び抜けたデッキが存在しない環境だ。
だからこそ、プレイヤーたちは新しいテクニックに飢えている。
少しでもライバルに差をつけるために。
そんな中で、調整の末に練り上げた独自のデッキで連勝を重ねる男がいた。
アブザンアグロを駆る星野 正彰(千葉)。
アブザンアグロといえば第2回BMOスタンダードでも優勝しており、すっかり定番のアーキタイプといった感じだが、星野はそこに自分なりのチューンを加え、先週末の『The Last Sun2014』予選を成田店、晴れる屋TCと立て続けに突破、今日も6回戦を終えて5-1と、トップ8まであと一歩というラインにまで迫っている。
そんな星野のアブザンアグロについて、インタビューしてみた。
星野 正彰
--「ほとんどのパーツがFoilということで、結構このデッキを使い込んでいる印象がありますが、どういった経緯で使用されているんでしょうか?」
星野 「もともと前の『ラヴニカへの回帰』-『テーロス』環境では『黒単信心』を使っていて、その名残で《英雄の破滅/Hero’s Downfall(THS)》のFoilは手元に持っていたんですね。それでその後に『タルキール覇王譚』が出た際、こういう《羊毛鬣のライオン》から除去を絡めつつビートダウンするデッキが強いだろうと思って、《英雄の破滅》も持っているしと、デッキの入りそうなひととおりのFoilカードを発売時に一気に揃えたんです。《荒野の後継者》のFoilなんかも、発売時に『こいつは強い』と思って揃えました。そんなわけで発売時からずっと使ってます」
--「発売時からこのアーキタイプの登場を見越していたとは慧眼ですね。通常のアブザンアグロと比べると、《思考囲い》のスロットが抜けて5マナ圏になっているところが特徴的ですよね。これは何故なんでしょうか?」
星野 「使用した感じ、今の環境だと《思考囲い》は自分が2点ライフを失うだけの結果に終わることが多かったのと、後半トップデッキしたときの弱さが気になって抜いてしまいました。このデッキの強みは、《羊毛鬣のライオン》《荒野の後継者》《ラクシャーサの死与え》といった2マナ圏ですら後半トップデッキしても一定の働きをするという点にあるので、そういった観点から通常のアブザンアグロと比較して強力な5マナ圏のカードを多めに入れています」
--「特に有利不利がつくデッキはありますか?」
星野 「取り立てて有利というほどのデッキはないかな……逆にどのデッキ相手にも戦えるのがむしろ魅力と言えるかもしれません。それがこのデッキを使っている理由でもあるので。たださっきシディシウィップに当たったのですが、メインサイド合わせて《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost(KTK)》が4枚入っているので、さすがに有利でしたね(笑) 世界選手権でシディシウィップがかなり活躍していたので、風向きは良さそうです」
--「サイドの《アラシンの上級歩哨》もなかなか見ないカードで面白いですね」
星野 「メインは地上戦最強みたいなデッキなので、サイド後は弱点である飛行を克服しようと思って良さそうなカードを探したところ、これに行き着きました。少しファンカードっぽくもありますが、《太陽の勇者、エルズペス》に流されない絶妙なサイズと、能力がサイド後に除去コンとしてインスタントタイミングで動くことが多いこのデッキにかみ合っていることから、かなりお気に入りのサイドカードですね」
--「《信者の沈黙》はどういった趣旨で入っているんでしょうか?」
星野 「特にグルールやティムール相手の負けパターンとして《灰雲のフェニックス》や《嵐の息吹のドラゴン》が止まらないということがあるので、それらに対処できるこのカードは重宝しますね。追加の《英雄の破滅》といってもいいかもしれません」
--「ありがとうございました」
2 《森》 1 《平地》 1 《沼》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 3 《静寂の神殿》 2 《疾病の神殿》 3 《ラノワールの荒原》 2 《コイロスの洞窟》 1 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《荒野の後継者》 3 《ラクシャーサの死与え》 3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《責め苦の伝令》 4 《包囲サイ》 3 《風番いのロック》 -クリーチャー(22)- | 2 《胆汁病》 4 《英雄の破滅》 4 《アブザンの魔除け》 3 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《英雄の導師、アジャニ》 -呪文(14)- | 3 《思考囲い》 2 《アラシンの上級歩哨》 2 《胆汁病》 2 《完全なる終わり》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 1 《悲哀まみれ》 1 《信者の沈黙》 1 《英雄の導師、アジャニ》 -サイドボード(15)- |