USA Standard Express vol.35 -SCGO Atlanta, GP San Antonio, World Championship, and more-

Kenta Hiroki



皆さんこんにちは!

先週末には世界選手権2014ワールド・マジック・カップ2014がフランス・ニースで開催され、日本勢からは渡辺 雄也選手と山本 賢太郎選手が世界選手権2014でそれぞれ3位・4位入賞を果たしました。

さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open(SCGO) AtlantaGP San Antonio世界選手権2014SCGO Portlandの結果を見ていきたいと思います。



SCGO Atlanta トップ8

~ミッドレンジで占められたトップ8、優勝はSultai Reanimator~


2014年11月30日

Jorn Farrow 


1位 Sultai Reanimator/青黒緑ビートダウン
2位 Abzan Midrange/白黒緑ビートダウン
3位 Abzan Midrange/白黒緑プレインズウォーカー
4位 Mardu Midrange/白黒赤ビートダウン
5位 GR Monsters/赤緑ビートダウン
6位 Mardu Midrange/白黒赤ビートダウン
7位 Mardu Aggro/白黒赤ビートダウン
8位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン

トップ8の大半がミッドレンジの中、ミッドレンジに強い《女王スズメバチ》やそれらのクリーチャーを墓地から釣り上げてアドバンテージを得る手段も持ち合わせているSultai Reanimatorが優勝を収めました。長期戦に強く今大会で人気のあったAbzan MidrangeやMardu Midrangeに対しても相性の良いデッキです



GP San Antonio トップ8

~トップ8はまさに多種多様、優勝はMardu Midrange~


2014年11月30日

Ryan Scullin 


1位 Mardu Midrange/白黒赤ビートダウン
2位 UW Heroic/英雄ビートダウン
3位 Temur Midrange/青赤緑ビートダウン
4位 Sultai Reanimator/青黒緑ビートダウン
5位 Abzan Midrange/白黒緑ビートダウン
6位 Jeskai Wins/白青赤ビートダウン
7位 Abzan Midrange/白黒緑プレインズウォーカー
8位 UR Burn/赤単

優勝デッキのMardu Midrangeを含めミッドレンジが入賞デッキの多くを占めますが、準優勝のUW Heroicや7位入賞のJeskai Wins、8位入賞のUR Burnなどミッドレンジ以外のデッキも結果を残しています



GP San Antonio デッキ解説

「Mardu Midrange」「UR Burn」




Ryan Scullin「Mardu Midrange」
GP San Antonio (1位)

6 《山》
1 《沼》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《遊牧民の前哨地》
3 《凱旋の神殿》
3 《戦場の鍛冶場》
2 《静寂の神殿》
2 《コイロスの洞窟》

-土地(25)-

3 《道の探求者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《軍族の解体者》
1 《風番いのロック》

-クリーチャー(12)-
4 《稲妻の一撃》
1 《マグマの噴流》
4 《軍族童の突発》
4 《はじける破滅》
1 《完全なる終わり》
1 《残忍な切断》
3 《岩への繋ぎ止め》
2 《真面目な訪問者、ソリン》
2 《龍語りのサルカン》
1 《太陽の勇者、エルズペス》
-呪文(23)-
3 《静翼のグリフ》
3 《思考囲い》
3 《神々の憤怒》
2 《骨読み》
1 《異端の輝き》
1 《完全なる終わり》
1 《対立の終結》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
hareruya



このデッキの定番スペルである《軍族童の突発》はKTKリリース直後はあまり評価されていませんでしたが、Brad NelsonがGP Los Angelesでこの《軍族童の突発》を採用したMarduで結果を残したことによりその強さが認識され、最近ではJeskai Winsでも採用され始めました。単体除去が多用されている現在のスタンダードでは環境的にも強く、PWを相手のクリーチャーの攻撃から守ったり、「強襲」が満たしやすいため《風番いのロック》とも相性が良かったりと優秀なスペルです。

今回見事に優勝を果たしたRyan Scullinのリストはメインは至って普通ですが、サイドの《静翼のグリフ》は流行りのAbzan Midrangeなどの《包囲サイ》や、最近人気が出てきているSultai Reanimatorなどが使ってくる《女王スズメバチ》対策になります。

軍族童の突発軍族の解体者静翼のグリフ







Gareth Aye「UR Burn」
GP San Antonio (8位)

6 《山》
2 《島》
4 《血染めのぬかるみ》
1 《樹木茂る山麓》
1 《汚染された三角州》
4 《シヴの浅瀬》
4 《天啓の神殿》
1 《急流の崖》

-土地(23)-

4 《僧院の速槍》
4 《火飲みのサテュロス》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》

-クリーチャー(12)-
4 《マグマの噴流》
4 《稲妻の一撃》
4 《軍族童の突発》
4 《かき立てる炎》
4 《宿命的火災》
3 《宝船の巡航》
2 《龍語りのサルカン》

-呪文(25)-
3 《否認》
3 《軽蔑的な一撃》
3 《神々の憤怒》
3 《紅蓮の達人チャンドラ》
2 《嵐の神、ケラノス》
1 《急流の崖》

-サイドボード(15)-
hareruya



基本的に赤単色のクリーチャーと火力の組み合わせで勝利を目指すRed Deck Winsのような構成のデッキで、息切れ防止のために《宝船の巡航》とサイドボードのカードのために青を足しています。

《軍族童の突発》はこのデッキにも採用されています。《かき立てる炎》の「召集」のコストになり《僧院の速槍》を強化することができます。 《稲妻の一撃》《マグマの噴流》など軽い火力スペルが多数採用されているためレガシーやモダン程ではありませんが「探査」もしやすくなっています。

サイド後はカウンターや、《紅蓮の達人チャンドラ》《神々の憤怒》、追加の勝ち手段の《嵐の神、ケラノス》が投入され青赤コントロールに変形します。サイド後のゲームでは《軍族童の突発》をPWの《紅蓮の達人チャンドラ》を守る手段としても使えます。

ゴブリンの熟練扇動者宝船の巡航嵐の神、ケラノス






世界選手権2014 トップ4 ~Shahar Shenharが連覇を達成~

2014年12月7日

Shahar Shenhar 


1位 Sultai Reanimator/青黒緑ビートダウン
2位 Abzan Midrange/白黒緑プレインズウォーカー
3位 Jeskai Tokens/トークン
4位 Sultai Reanimator/青黒緑ビートダウン

年間を通して最も優秀な成績を収めたプロ24名が世界チャンピオンのタイトルを賭けて競い合う世界選手権。KTKがリリースされて2ヶ月以上が経つ今も新しいデッキが生み出され続けている現在のスタンダードですが、ここ世界選手権でも例外ではなく、特に今大会3位入賞を果たした渡辺選手のJeskai Tokensは全世界のプレイヤーから注目を集めました。

昨年度チャンピオンのShahar Shenharは今大会にSultai Reanimatorを選択し見事に優勝を収め、世界選手権2連覇という偉業を達成しました。





Shahar Shenhar「Sultai Reanimator」
世界選手権 2014 (1位)

3 《森》
2 《沼》
1 《島》
2 《汚染された三角州》
1 《進化する未開地》
4 《華やかな宮殿》
4 《ラノワールの荒原》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《疾病の神殿》
1 《神秘の神殿》
1 《マナの合流点》

-土地(23)-

4 《サテュロスの道探し》
4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《血の暴君、シディシ》
2 《破滅喚起の巨人》
1 《イニストラードの魂》
3 《女王スズメバチ》

-クリーチャー(22)-
3 《思考囲い》
3 《英雄の破滅》
4 《残忍な切断》
3 《エレボスの鞭》
2 《悪夢の織り手、アショク》

-呪文(15)-
3 《胆汁病》
3 《軽蔑的な一撃》
2 《再利用の賢者》
2 《スゥルタイの魔除け》
1 《苦悶の神、ファリカ》
1 《イニストラードの魂》
1 《悲哀まみれ》
1 《時を越えた探索》
1 《悪夢の織り手、アショク》

-サイドボード(15)-
hareruya









山本 賢太郎「Sultai Reanimator」
世界選手権 2014 (4位)

2 《森》
2 《沼》
1 《島》
3 《汚染された三角州》
4 《華やかな宮殿》
4 《疾病の神殿》
4 《ラノワールの荒原》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》

-土地(23)-

4 《サテュロスの道探し》
4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》
1 《再利用の賢者》
4 《血の暴君、シディシ》
2 《破滅喚起の巨人》
2 《イニストラードの魂》
3 《女王スズメバチ》

-クリーチャー(24)-
4 《思考囲い》
2 《英雄の破滅》
1 《スゥルタイの魔除け》
3 《残忍な切断》
3 《エレボスの鞭》

-呪文(13)-
4 《荒野の収穫者》
4 《軽蔑的な一撃》
2 《胆汁病》
2 《悲哀まみれ》
1 《苦悶の神、ファリカ》
1 《霊気のほころび》
1 《時を越えた探索》

-サイドボード(15)-
hareruya



《エレボスの鞭》《血の暴君、シディシ》でアドバンテージを稼いでいくデッキでSidisi Whipとも呼ばれています。《女王スズメバチ》などの高コストで強力なクリーチャーを《エレボスの鞭》で再利用して有利を得る構成になっていて、《サテュロスの道探し》《血の暴君、シディシ》で釣りの対象を墓地に落としていきます。《エレボスの鞭》によるアドバンテージのおかげで長期戦にも強いため、Abzan MidrangeやMardu Midrangeといったミッドレンジに有利が付きます

Shahar Shenharのリストはメインから採用されている《悪夢の織り手、アショク》が特徴です。戦闘でPWを破壊する手段が薄い他のミッドレンジや同系に対して強く、重いスペルの多いこのデッキにとっては速い段階で相手にプレッシャーをかけることができる手段の一つです。《イニストラードの魂》は中盤以降はマナも余り《血の暴君、シディシ》《サテュロスの道探し》のおかげで墓地にもクリーチャーカードが3体以上落ちているはずなので、長期戦において莫大なアドバンテージを得ることを可能にします。

Hareruya Prosの山本 賢太郎選手もSultai Reanimatorで入賞を果たしています。メインから採用されている《再利用の賢者》は同系の《エレボスの鞭》《クルフィックスの狩猟者》、Marduの《岩への繋ぎ止め》、Jeskai コンボの《ジェスカイの隆盛》など現環境では対象先に困ることは少なそうです。

比較的遅いデッキなので、赤単やHeroicのような速いアグロデッキを苦手としています。そのため、両プレイヤー共にサイドに《悲哀まみれ》《胆汁病》を採用し相性の改善を図っています。

血の暴君、シディシイニストラードの魂エレボスの鞭









渡辺 雄也「Jeskai Tokens」
世界選手権 2014 (3位)

2 《平地》
2 《山》
1 《島》
3 《溢れかえる岸辺》
4 《神秘の僧院》
4 《凱旋の神殿》
3 《戦場の鍛冶場》
3 《シヴの浅瀬》
2 《天啓の神殿》

-土地(24)-

4 《道の探求者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》

-クリーチャー(8)-
4 《稲妻の一撃》
4 《急報》
4 《軍族童の突発》
2 《ジェスカイの魔除け》
4 《かき立てる炎》
4 《宝船の巡航》
4 《ジェスカイの隆盛》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》

-呪文(28)-
4 《軽蔑的な一撃》
3 《対立の終結》
2 《マグマのしぶき》
2 《消去》
2 《異端の輝き》
1 《神々の憤怒》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
hareruya



JeskaiですがJeskai Winsと異なり《カマキリの乗り手》は不採用で、《軍族童の突発》《急報》などでトークンクリーチャー軍を展開していくデッキです。デッキの強さは勿論のことですが、デッキの正体を知られていなかったことも大きなアドバンテージだったと思います。余談ですが渡辺 雄也選手は同デッキで第2回Big Magic Openでトップ8入賞を果たしていましたが、今大会のためにデッキリストは非公開でした。今大会でのパフォーマンスから2ヶ月近く待った価値はあったと言えるでしょう。

《ジェスカイの隆盛》を採用していますがコンボ要素は皆無で、クリーチャー強化兼ドローエンジンとして使用されています。 特に「召集」スペルの《かき立てる炎》と相性が良く、《軍族童の突発》《ゴブリンの熟練扇動者》によって生み出された赤いゴブリントークンを利用すれば《かき立てる炎》のコストを払いつつドローを進め自軍のクリーチャーを強化することが出来ます。トークン戦略は単体除去に強く《ジェスカイの隆盛》絡みの突然死も起こり得るため相手にとって不利なブロックを強制することも少なくありません。 各種バーンスペルや《急報》《軍族童の突発》など非クリーチャースペルを多用し《ジェスカイの隆盛》エンジンの恩恵もあり墓地が肥やすのが容易になっているので「探査」もしやすく《宝船の巡航》はこのデッキの戦略にフィットしています。《紅蓮の達人チャンドラ》はバーンスペル1枚で仕留めきれないサイズのクリーチャーを倒す手助けをし、「+0」能力によるカードアドバンテージはロングゲームになった際に重宝します。

メインはアグロ寄りのトークンデッキですが、サイド後は 《対立の終結》《太陽の勇者、エルズペス》 《軽蔑的な一撃》を投入しコントロール寄りの戦略に変形する選択肢もあります。トークン対策にサイドインされる《神々の憤怒》《悲哀まみれ》はこういったコントロール戦略に対してはあまり強くなく、相手からしたら対処がしにくい戦略です。筆者も早速ローカルの平日スタンダードとFNMで使ってみましたが、事前の練習0だったのにもかかわらず両大会とも全勝で終えることが出来ました。デッキパワーが高く弱点も少ないため現時点ではベストデッキに近いポテンシャルを秘めています

《神々の憤怒》《悲哀まみれ》などのスイーパーや《破滅喚起の巨人》《危険な櫃》は厳しそうですが、現在の所は《神々の憤怒》《悲哀まみれ》をメインから採用しているデッキは稀で、先ほど挙げたようにサイド後はコントロール戦略にシフトすることも可能です。《破滅喚起の巨人》《危険な櫃》は一度場に出てしまうと厳しいですが、これらは全て4マナ以上のスペルなので 《軽蔑的な一撃》でカウンターすることが出来ます。

急報ジェスカイの隆盛対立の終結





SCGO Portland トップ8

~世界選手権2014の影響かJeskai TokensやSultai Reanimatorが入賞。優勝はAbzan Midrange~


2014年12月7日

Sheldon Freerksen 


1位 Abzan Midrange/白黒緑プレインズウォーカー
2位 Jeskai Tokens/トークン
3位 Abzan Reanimator/白黒緑ビートダウン
4位 Abzan Reanimator/白黒緑ビートダウン
5位 Mardu Midrange/白黒赤ビートダウン
6位 Jeskai Tokens/トークン
7位 Sultai Reanimator/青黒緑ビートダウン
8位 Abzan Midrange/白黒緑プレインズウォーカー

直前の世界選手権2014予選ラウンドの影響で渡辺選手の使用していたJeskai Tokensが人気で、トップ8にも2名のプレイヤーを輩出しています。GP San Antonioでも《軍族童の突発》を使用したデッキが結果を残していたのもあり、小型のクリーチャーを一掃する 《破滅喚起の巨人》をメインに採用しPWの代わりにミッドレンジ同系に強い《女王スズメバチ》とリアニメイト要素を加えたAbzan Reanimatorも見られました。そんな中優勝を収めたのはドロースペルやスイーパーを多めに採用したコントロール寄りのAbzan Midrangeでした。






Sheldon Freerksen「Abzan Midrange」
SCGO Portland (1位)

3 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《疾病の神殿》
4 《静寂の神殿》
3 《砂草原の城塞》
3 《ラノワールの荒原》
1 《コイロスの洞窟》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(25)-

4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《包囲サイ》

-クリーチャー(12)-
4 《思考囲い》
4 《英雄の破滅》
4 《アブザンの魔除け》
2 《骨読み》
2 《完全なる終わり》
1 《砂塵破》
2 《真面目な訪問者、ソリン》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
3 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(23)-
4 《悲哀まみれ》
2 《骨読み》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
2 《対立の終結》
1 《潰瘍化》
1 《胆汁病》
1 《霊気のほころび》
1 《完全なる終わり》
1 《砂塵破》

-サイドボード(15)-
hareruya




世界選手権2014のスタンダード部門で4-0という好成績を収めたShaun McLarenと全く同じリストのようです。メインの4枚の《アブザンの魔除け》に加え《骨読み》がメインから2枚、サイドにも2枚と多めのドロースペルが特徴で 《砂塵破》もメインから採用されているなどコントロール寄りに仕上がっています。クリーチャーの種類は少なめで「強襲」の条件を満たすのが難しくなっているため、Abzan Midrangeで良く見かける《風番いのロック》は不採用です。

サイドの《悲哀まみれ》《軍族童の突発》などトークン戦略がポピュラーな現在のメタでは必須となります。ミッドレンジ同系に勝つことを重視しているのは追加のスイーパーの《対立の終結》《砂塵破》、追加のドロースペルの 《骨読み》を見ても分かります。逆に赤単やHeroicなどには重めの構成のため不利が付きそうです。サイド後は《悲哀まみれ》《胆汁病》がありますが、これらのデッキが多いメタではもう少し軽めに調整した方が良さそうです。

包囲サイ骨読み太陽の勇者、エルズペス






Interview With Gerry Thompson


Gerry Thompson 

今大会Abzan Reanimatorでトップ4入賞を果たしたSCGのプレミアライターのGerry Thompsonに、Facebook上でインタビューをすることができました。

スイスラウンドで8-0-1でトップ4まで勝ち進み、SCG Players’ Championshipの参加権利に必要なSCGポイントの上乗せが必要だったBrad Nelsonとのマッチを投了しています。







Gerry Thompson「Abzan Reanimator」
SCGO Portland (3位)

4 《森》
1 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
4 《ラノワールの荒原》
3 《疾病の神殿》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
1 《静寂の神殿》
1 《コイロスの洞窟》

-土地(24)-

4 《サテュロスの道探し》
4 《森の女人像》
2 《羊毛鬣のライオン》
4 《クルフィックスの狩猟者》
1 《再利用の賢者》
4 《包囲サイ》
2 《破滅喚起の巨人》
1 《イニストラードの魂》
3 《女王スズメバチ》

-クリーチャー(25)-
1 《思考囲い》
2 《神々との融和》
2 《英雄の破滅》
3 《残忍な切断》
3 《エレボスの鞭》

-呪文(11)-
3 《悲哀まみれ》
2 《思考囲い》
2 《異端の輝き》
2 《アブザンの魔除け》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《再利用の賢者》
1 《苦悶の神、ファリカ》
1 《消去》
1 《完全なる終わり》

-サイドボード(15)-
hareruya





--まず初めに、何故Abzan Reanimatorを使うことにしたの?

Gerry :調整仲間のGlen Jonesと調整をずっとしているんだけど、Glenが大会でもプレイテストでもAbzan Reanimatorを使って負け知らずだったので、今回このデッキを使うことに決めた。今回は2人揃ってトップ4に入賞できたよ。

--なるほど、確かに数枚のカードの違いはあったけどほとんど同じデッキだったね。

Gerry :直前で各々のプレイスタイルに合わせて何枚か変えたけどデッキの核は同じだね。

--今人気のAbzan Midrange, Mardu, Jeskai Tokens, Sultai Reanimatorとのマッチアップはどう?

Gerry :Abzan Reanimatorはロングゲームに強いデッキだから序盤からプレッシャーをかけてくることが少ないAbzan MidrangeやMardu Midrangeには有利が付く。Jeskai Tokensは《宝船の巡航》《ジェスカイの隆盛》があるから長期戦にも強くて序盤からのクロックも速いからキツイマッチになるね。 《エレボスの鞭》《女王スズメバチ》といったAbzan Reanimatorと同じエンジンに加えて《悪夢の織り手、アショク》のような対処が難しい脅威やカウンターの《軽蔑的な一撃》があるSultai Reanimatorもキツイね。でもJeskai TokensやSultai Reanimatorのような不利なマッチアップでも《包囲サイ》で捲ることもできるからトータルで見てそこまで極端には悪くないよ。

--確かに《包囲サイ》を使えるのはAbzanの最大の強みだね。あと、メインに採用されている《破滅喚起の巨人》もJeskai Tokensや相手の《女王スズメバチ》のトークンを一掃できて強そうだね。



--メイン、サイドのカードチョイスについて細かく教えてもらえるかな?メインに少しだけ採用された《羊毛鬣のライオン》《思考囲い》《イニストラードの魂》や、サイドボードの構成は比較的珍しいと思うんだけど。

Gerry :メインに2枚採用された《羊毛鬣のライオン》はアグロデッキに対しては序盤を凌ぐのに適したサイズで、コントロールに対してはプレッシャーを与えることができる。軽いクロックを展開することで相手に違ったゲームプランを要求することができるから、相手にとってはサイドボードプランを練ることが難しくなる。《思考囲い》はメインに2枚採用したかったけど抜きたいカードが見つからなかったから1枚だけ。その分サイドボードに置いた追加の《思考囲い》は、多くのデッキがサイド後《包囲サイ》との戦いに備えて長期戦向けに重い構成にシフトしてきたからほとんどのマッチでサイドインすることになった。《イニストラードの魂》は長期戦で活躍するカードだ。今大会ではあまり活躍したとは思えなかったけど《女王スズメバチ》を使うデッキとの対戦では対処され難くて強かった。

Gerry :サイドの《アブザンの魔除け》は元々は《骨読み》だったんだけど、受けの広さを優先して《アブザンの魔除け》を採用することにしたんだ。 《苦悶の神、ファリカ》は同系やsultai Reanimatorとのマッチで活躍する。 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》はコントロール相手のビートダウンプランにおいて大きな助けになるよ。

--なるほど。最後の質問になるけど最近のSCGOの変更についてはどう思う?

Gerry :新しいSCGOの仕組みは良いね!優勝賞金の$5000は豪華だし、2敗してもトップ8に残るチャンスがあるから運に左右されることも少なくなる(引きや当たりによる運の要素が減る)。これからは毎週オープンに参加するためにアメリカ中を飛び回ることも考えているよ。オープンのフォーマットにレガシーが少ないのはレガシー好きとしては残念だけど、レガシーオープンはスタンダードと比べて参加人数が伸び悩んでいたから仕方ないね。11ラウンドのスタンダードオープンを持続させるのは難しいしね。でも5KIQもあるしレガシーが廃れることは無いと思うな。


--今日は色々と話が聞けて楽しかったよ。インタビューに協力してくれてありがとう。またどこかのSCGOで会おう。今週末のSCG Invitationalもがんばって!


破滅喚起の巨人羊毛鬣のライオンアブザンの魔除け





総括

SCGO AtlantaGP San Antonio世界選手権2014SCGO Portland全ての大会で 《エレボスの鞭》を使ったデッキが結果を残しました。特に世界選手権2014で優勝を飾ったSultai Reanimator(Sidisi Whip)とトップ4に入賞を果たしたJeskai Tokensは今後も良く見かけることになりそうです。効果は限定的なものの墓地対策となる《苦悶の神、ファリカ》《先頭に立つもの、アナフェンザ》、エンチャント対策でメインにも採用できる 《再利用の賢者》やトークンを一掃できる《破滅喚起の巨人》などは今後更に重要になりそうです。今週末にSeattleで開催される年内最後のSCG Invitationalが楽しみです。

以上で今回の解説を終わります。
次回の記事ではSCG Invitational SeattleとSCGO Seattleの解説を予定しています。

それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!



※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php
『MAGIC: THE GATHERING』
http://www.starcitygames.com/index.php