Deck Tech: 松本 悠希(東京)の「BBB2014」

晴れる屋

By Atsushi Ito


 「BBB」というデッキをご存知だろうか。

 10年以上前、「インベイジョン」ブロックのブロック構築で活躍したデッキだ。

 3つのBはそれぞれBear(熊=2/2クリーチャー)、Bounce(クリーチャーを手札に戻す呪文)、Burn(火力)を指す。

 何故2014年にもなって今更そんな話を、と疑問に思うかもしれない。

 しかし、「BBB」の話を出したのには理由がある。

 「とある男」の手によって、今回の「The Last Sun2014」でついに「BBB」は現代に蘇ったのだ。

 その「とある男」とは……幾多のプロツアー予選突破経験を持ち、デッキビルダーとしてデッキテクの常連でもあるこの男。

 松本 悠希(東京)。




 早速彼の最新作である「BBB2014」について、話を伺ってみた。


--「どういった経緯でこのデッキを製作されたんでしょうか?」

松本 「アブザンミッドレンジを倒そうと思ったんですが、《森の女人像》からマナブーストして4マナ~5マナを叩き付けるパターンだと、結局その4マナ~5マナを捌かれた挙句ろくにダメージも刻めないまま息切れしてしまうんですよね。そこで《森の女人像》には頼らず、2~3マナからしっかりとしたクロックを展開することで、4~5マナ域が捌かれたとしてもダメージで押せる構成にしたかったんです」

--「それで《氷羽のエイヴン》《カマキリの乗り手》ですか」


氷羽のエイヴンカマキリの乗り手


松本 「そうですね。《氷羽のエイヴン》は現代に蘇った《ガイアの空の民》的ポジションです。それに《カマキリの乗り手》はやはり環境の3マナ域のクリーチャー全体の中でも別格の強さなので、こいつのためだけに色を足す価値はあると思いました」

--「なるほど。けれどさすがに《森の女人像》なしで4色というのは、マナベースに問題はないんでしょうか?」

松本 「意外と何とかなりますよ。赤緑青白で『16 : 15 : 14 : 14』と最低限は出ますし、タップインも8枚だけで済んでいます。さすがに4色デッキ持ってきておいて事故って死ぬのは恥でしかないんで、マナベースはちゃんと考えてきました」

--「《氷羽のエイヴン》《カマキリの乗り手》《灰雲のフェニックス》《嵐の息吹のドラゴン》といった航空戦力が充実する中で、《荒野の後継者》《凶暴な拳刃》の部分のチョイスは少し浮いているかなと感じますが」

松本 「スタートが『ティムールタッチ《カマキリの乗り手》』だったというのもありますが、他にもこのデッキを作るにあたっては『相手の《クルフィックスの狩猟者》にモジモジしない』ということを強く意識しているんですよね。《荒野の後継者》も『獰猛』すれば止まらないですし、その点はむしろ一貫していますね」

--「しかし『BBB』を名乗るには『Bounce』の要素が足りないように思われますが……」

松本 何言ってるんですか《氷羽のエイヴン》の能力見てくださいよ!

--「でもこいつ『変異』で出さないでしょ?」

松本 「いやいやマジレスすると後半は結構出しますよ!それに何気に『変異』クリーチャー3種入ってるんで相手も結構幻惑されると思いますよ」


 見た目はかなり禍々しいデッキだが、松本は初日のスタンダードラウンドを3-0と好調の模様。

 これはもしかすると、現代に蘇った『BBB』が再び栄冠を手にする瞬間を目撃することができるかもしれない。






松本 悠希 「BBB2014」 The Last Sun2014 (スタンダード)

2 《島》
2 《山》
1 《森》
1 《平地》
3 《樹木茂る山麓》
2 《溢れかえる岸辺》
4 《マナの合流点》
3 《開拓地の野営地》
2 《神秘の僧院》
3 《豊潤の神殿》
2 《戦場の鍛冶場》
1 《ヤヴィマヤの沿岸》

-土地(26)-

4 《荒野の後継者》
4 《氷羽のエイヴン》
3 《爪鳴らしの神秘家》
4 《カマキリの乗り手》
4 《凶暴な拳刃》
4 《灰雲のフェニックス》
4 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(27)-
4 《稲妻の一撃》
3 《火口の爪》

-呪文(7)-
4 《否認》
3 《歓楽者ゼナゴス》
2 《マグマのしぶき》
2 《消去》
2 《異端の輝き》
2 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
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