Round 5: 棚橋 雅康(新潟) vs. 佐々木 允也(秋田)

晴れる屋



By Daisuke Kawasaki


 スタンダードで行われた4ラウンドを終え、モダンに突入する第5ラウンド。

 昨年のWMCQ東京で惜しくも高橋 純也(神奈川)に敗れた佐々木だが、最近ではほとんどマジックをしなくなっているという。

佐々木 「今、大月の方に住んでるんですが、もうカードもほとんど売ってしまって3ヶ月ぶりくらいのマジックですね」

 ほぼ引退状態の佐々木だったが、今回、The Last Sunの権利を持っていたので友人からデッキを借りて参加したとのことだ。

 一方の棚橋も、モダンのデッキは中島 主税(東京)から借りたものだという。

 使用しているデッキは、《タルモゴイフ》抜きのタルモトロン。何を言っているか分からないかもしれないので簡単に説明すると、元々中島が貸したデッキはタルモトロンだったが、直前で《タルモゴイフ》を抜いたという。

 せっかく入っていた《タルモゴイフ》を抜いた理由を尋ねると「始まる前に一人回ししていて、《タルモゴイフ》を出した次のターンに《大祖始の遺産》を引いて、おや?と思いまして」とのこと。筆者も全くその通りだと思う。

 互いにデッキは借り物だが、プレイの腕は本物の二人の対戦、果たして勝者となるのはどちらか。





Game 1

 ダイスロールで先手は佐々木。

 お互いにマリガンなく、佐々木は1ターン目に《霧深い雨林》をセットする。対する棚橋がセットしたのは《ウルザの魔力炉》。そして、そこからの《探検の地図》。棚橋のターンエンドに《霧深い雨林》から《蒸気孔》を持ってくると、続いて《霧深い雨林》からさらに《島》を持ってきて、《ゴブリンの電術師》をプレイする。

 棚橋は《ウルザの塔》をセット。これで、すでに配置されている《探検の地図》と合わせれば、次のターンにはウルザトロンが完成という最速に近いパターンの展開。

 しかし、ここで佐々木は自身のターンを迎え、ドローをするとフィーチャーテーブルに備え付けられている、ストームカウント用のボードに手をかける。そう、このターンにストームコンボスタートの準備を始めたのだ。

 まず、《ゴブリンの電術師》でアタックし、棚橋のライフを18とすると、続いて、自身の手札を見ながらサイコロを使い、プランを検討する。

佐々木 「これ、エアー(実際にはプレイしていない)ですから。久々のマジックで使うデッキじゃないな、これ……」

 と何度も手札を検討した結果、佐々木はターンを終了する。棚橋はターンエンドに《ウルザの鉱山》をサーチしてウルザトロンを完成させる。


佐々木 允也 



 棚橋はまず《ウルザの塔》から3マナを生み出すと、《探検の地図》《彩色の宝球》《大祖始の遺産》とプレイ。この《大祖始の遺産》に佐々木は少し反応する。

 さらに棚橋は《彩色の宝球》から生み出した緑マナで《古きものの活性》《忘却石》を手に入れるとターンを終了する。

 ターンを返した棚橋に対して、佐々木は再び《ゴブリンの電術師》でアタックして棚橋のライフを16とすると、ターン終了。このターンエンドに棚橋は《ウギンの目》をサーチする。そして、自身のターンに《解放された者、カーン》をプレイし、「-3」能力で《ゴブリンの電術師》を処理する。

 佐々木は《紅蓮術士の昇天》をプレイするが、《大祖始の遺産》がある状況下では有効に機能しない。

 棚橋が《ウギンの目》でサーチした《隔離するタイタン》をプレイし、赤マナ発生源である2枚の《蒸気孔》が破壊されてしまうと、佐々木は《ギタクシア派の調査》で棚橋の手札を見た後に投了した。


棚橋 1-0 佐々木



Game 2

 互いに即断でキープし、先攻の佐々木が《ギタクシア派の調査》をプレイする。

 ここで公開された手札は、《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《森の占術》と実質トロンは揃っているが、残りの手札が《隔離するタイタン》が3枚に《墓掘りの檻》と緑マナが足りない状況。佐々木はさらに《手練》をプレイする。

 棚橋は《墓掘りの檻》をプレイしてターンを返し、佐々木は《紅蓮術士の昇天》をプレイする。

 そして、続くターンに、佐々木はさらに2発の《ギタクシア派の調査》をプレイして《紅蓮術士の昇天》の条件を達成。《思考掃き》をコピー含めて2発自分に打ち込むと、2枚目の《紅蓮術士の昇天》をプレイしてターンを終了する。

 棚橋は、ここで《探検の地図》をトップデックし、プレイ。これで次のターンからはトロンが揃って《隔離するタイタン》を連打できる状況が確定する。

 しかし、すでに《紅蓮術士の昇天》が条件達成している状況でターンを迎えた佐々木が棚橋にターンを返すわけもなかった。

 まず、《宝船の巡航》をコピー含めて2発撃ち、手札を充実させると、続いて《ゴブリンの電術師》をプレイする。ここで残った1マナで《捨て身の儀式》をプレイし、コピー含めて赤マナを6つ確保する。

 さらに2枚目の《捨て身の儀式》《紅蓮術士の昇天》にカウンターを載せつつマナを増やすと、今度は《魔力変》をプレイして色マナを変換しつつ、マナを増やし、2枚目の《魔力変》プレイで、2個目の《紅蓮術士の昇天》も条件達成をする。

 ここで3枚目の《紅蓮術士の昇天》をプレイした後に、《発熱の儀式》をプレイした上で、佐々木が墓地をチェックし、リムーブする素振りを見せると、棚橋は《宝船の巡航》が2回コピーされてしまっては勝機が無いと、土地を片付けるのだった。

紅蓮術士の昇天紅蓮術士の昇天宝船の巡航



棚橋 1-1 佐々木



Game 3

 先手の棚橋は《ウルザの魔力炉》から《大祖始の遺産》をプレイしてターンを終了。

 返すターンで、佐々木はまず《ギタクシア派の調査》をプレイ。ここで開示された棚橋の手札が《ウルザの鉱山》《ウルザの塔》《大祖始の遺産》《解放された者、カーン》《原基の印章》

佐々木 「あれ?揃ってます?」

棚橋 「天和です」



棚橋 雅康 



 だが、佐々木も負けじと2ターン目に《発熱の儀式》から《血染めの月》をプレイする。

 棚橋は3枚目のトロンとなるはずだった《ウルザの塔》をセットすると、3マナで《忘却石》をプレイ。返しで佐々木は《ゴブリンの電術師》をプレイする。

 順調に4枚目の土地をセットし、《忘却石》起動まであと1ターンとなった棚橋。ここで佐々木は《ゴブリンの電術師》でアタックした上で、このターンに勝てるかプランを構築するが、結果、《血清の幻視》をプレイするのみにとどまる。棚橋はこのターンエンドに《大祖始の遺産》に運命カウンターを設置する。

 そして、続く佐々木のターンエンドに《忘却石》を起動し、《大祖始の遺産》を残しつつ邪魔な《血染めの月》を排除することに成功、有り余るマナで《隔離するタイタン》をプレイし、佐々木のマナベースを攻撃する。

 勝負が決まったかに見えたが、ここで佐々木はセットランドから《ゴブリンの電術師》をプレイすると、残った1マナで《捨て身の儀式》をプレイし、手札を検討するのだが……。

佐々木 「無理ですね」


棚橋 2-1 佐々木