Round 9: 朴 高志(愛知) vs. 市川 典和(愛知)

晴れる屋



By Shin Tomizawa


はるばる愛知県から同じ車で来たという友人同士がここ東京でまさかのマッチアップ。
お互いに手の内を知り尽くした者同士、トラッシュトークも弾んでいる。

朴は言わずとしれた今年ブレイクしたプレイヤーで、まだ若いが10年以上のマジック暦を誇るベテランでもある。
対する市川は、かつて年末の「構築王決定戦」として定着していた「The Finals」の2008年チャンピオンとして知られている。

「まだ2敗だしIDする?」と相談しているようだが、それではカバレージが成り立たないではないか。どうしたものか。

二人の出した結論は「ここで負けても目無しじゃないし、やろう」と試合を始めた。
 




Game 1

先手は僅差でダイスロールに勝利した市川。
お互いのデッキを熟知している同士、キープ基準も明確なようで、市川は噛み合わない手札をマリガン宣言。
対する朴は「後手は厳しいよ」と曇った顔だがマリガンはせずにゲームを開始した。

市川は《エルフの神秘家》を出し、続いて《森の女人像》を。
対する朴は《鋳造所通りの住人》《国境地帯の匪賊》でパンプアップと繋げてテンポ良くゲームを進めていく。

朴のデッキは第2回BMOで準優勝を果たした赤単アグロを微調整して持ち込んだ。
市川は《苦悶の神、ファリカ》をフィーチャーした緑黒星座デッキを使用している。

《エルフの神秘家》《鋳造所通りの住人》を相打ちさせてゲームスピードを落としにかかり、《サテュロスの道探し》で墓地を肥やして準備を進める市川。
朴は《ゴブリンの熟練扇動者》を展開しひたすらに攻め立てていく。



朴 高志 



《サテュロスの道探し》を1/1トークンとまたも相打ちさせ、《開花の幻霊》を戦場に。
これを《稲妻の一撃》で排除されたがトークンのみをブロックし、ついに市川は《破滅喚起の巨人》に辿り着いた。

返すターンに《火飲みのサテュロス》《軍族童の突発》を戦場に送り込み、ゴブリントークンと《国境地帯の匪賊》で攻撃する朴。《かき立てる炎》を読んでいる市川は《破滅喚起の巨人》でトークンを、《国境地帯の匪賊》《森の女人像》でブロックするのみ。さらには《開花の幻霊》をプレイし、1/1と2/1がひしめいていた朴の戦場を《破滅喚起の巨人》の能力でなぎ払う。

朴は後続を引き込めず、ついに攻勢がとまった。

毎ターン生み出されるトークンを《破滅喚起の巨人》で受け止め、お互いにドローゴーを続けるが、先に動いたのは市川。

《苦悶の神、ファリカ》をついに引き当て、-1/-1オール。即座に能力を起動してさらに-1/-1。
朴は自軍を全て排除されてしまい、投了を余儀なくされた。

破滅喚起の巨人苦悶の神、ファリカ



朴 0-1 市川



Game 2

サイドボードをしながら「先手か。さすがに勝ったな」と虚勢を張る朴。だが次の瞬間には「IDしませんか?」と手のひらをいきなり180度反転させる。全く仲の良い二人だ。

お互いに7枚の初手をキープするものの、朴に1ターン目のクリーチャーはなし。
続くターンには市川が出した《エルフの神秘家》《灼熱の血》を打ち込むがクロックを提示できず、これは市川の望むゲームパターンか。

緑マナが《ラノワールの荒原》のみとやや不安なマナベースの市川だが、《サテュロスの道探し》《疾病の神殿》を探し当て、これを《ゴブリンの熟練扇動者》が呼び出したトークンと相打ちさせる。

続いては《ゴブリンの熟練扇動者》《胆汁病》を浴びせて朴の攻撃を必死で受け流し、《エレボスの鞭》まで繋げるが、墓地には《サテュロスの道探し》1枚と《森の女人像》が3枚のみと芳しくない。《国境地帯の匪賊》《モーギスの軍用犬》を授与されてしまい、ライフは9にまで落ち込んだ。

市川は苦しい表情を見せるが土地からもう1点を受けつつ、なんとか《高木の巨人》にたどり着く。《エレボスの鞭》があるので「6/6・絆魂」だ。「《槌手》だけは勘弁してくれ!」と祈るも朴の手札にはまさに《槌手》《凱旋の間》が。「なんで8も残ってんだよ!」と7点分しかない手札を見てこぼすが、意を決して全リソースを注ぎ込みアタックを敢行。残ライフ1まで落とし込む。

市川は《エレボスの鞭》を起動し《サテュロスの道探し》を呼び戻すがまたもクリーチャーは落ちず。《高木の巨人》でアタックするかを考え、これは「火力だったらどうせ負け!」とブロッカーに回して1点だけのライフゲイン。



市川 典和 


朴のトップはまさかの《山》。なんと8枚目である。2ゲーム続けてのマナフラッド。これにはさすがの朴も悔しそうにセットランド。

《モーギスの軍用犬》の能力で否応無しにレッドゾーンに飛び込んでいく《国境地帯の匪賊》を「絆魂」持ちの《高木の巨人》が優しく受け止めると、もはやこれまで。

市川が「その2枚が《石弾の弾幕》《かき立てる炎》でも残るな。オッケー!」と《女王スズメバチ》を送り込んだところで、朴が一言。

「さっきのIDの話、どうします?」

市川 「ここから!?」


朴 0-2 市川2