By Daisuke Kawasaki
The Last Sunと並ぶ晴れる屋が誇る大型イベント、『神決定戦』。
当初は、そのネーミングも含めて、どのようなイベントになるのか誰にも予測がつかなかったが、先日ついに初の防衛戦が行われたことで、人読みも含めた盤外戦と、たったの1ラウンドでタイトルが移動するという緊張感を持った、他に類を見ないイベントであることが周知されたことと思う。
そんな盛り上がりを見せた神決定戦において、一番最初に行われたスタンダード神決定戦でディフェンディング神として対戦したのが、「初代スタンダード神」木原 惇希である。木原のプロフィールに関しては伊藤によるインタビュー記事に詳しいのでそちらに譲るが、独創的なデッキ構築センスを持ち、特にコントロールデッキの構築に関しては多くのトッププレイヤーも一目置くほどだ。
今回木原が使用するデッキは、青黒コントロールに緑をタッチしたスゥルタイコントロールである。
対するのは、今年もっともブレイクしたプレイヤーの「瀬畑」こと市川 ユウキ。使用するデッキは、アブザンアグロだ。
新時代の神は、新世代の旗手相手にどのような戦いを仕掛けるのか。
Game 1
ダイスロールで先手は木原。
後手の市川が《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》セットから《思考囲い》をプレイし、市川の《軽蔑的な一撃》《スゥルタイの魔除け》《英雄の破滅》《荒ぶる波濤、キオーラ》《汚染された三角州》×2という手札から《英雄の破滅》をディスカードさせる。
続いて市川は《ラクシャーサの死与え》を戦場に送り出すが、ここで木原も《悪夢の織り手、アショク》をプレイし、「+2」能力で忠誠度を安全地帯の「5」とする。
市川は《ラクシャーサの死与え》を《悪夢の織り手、アショク》にアタックさせ、パンプアップ能力を使用せずに、残したマナで《荒野の後継者》を戦場に追加する。対して木原は《悪夢の織り手、アショク》の能力で《先頭に立つもの、アナフェンザ》を2枚追放する。
《ラクシャーサの死与え》と《荒野の後継者》が《悪夢の織り手、アショク》へとアタックするが、ここで木原は《スゥルタイの魔除け》で《荒野の後継者》を除去し《悪夢の織り手、アショク》を護る。対して、市川は《アブザンの魔除け》を2ドローのモードで使用する。
木原が《荒ぶる波濤、キオーラ》を呼び出し、市川が《真面目な訪問者、ソリン》を呼び出した上で、2/2トークンを戦場に追加するというやりとりの後に、《荒ぶる波濤、キオーラ》によって忠誠度に余裕ができた《悪夢の織り手、アショク》が《先頭に立つもの、アナフェンザ》をその能力で戦場へと降臨させる。
木原は《荒ぶる波濤、キオーラ》の能力をトークンに使っていたので市川は《ラクシャーサの死与え》を忠誠度が「2」となった《悪夢の織り手、アショク》へとアタックさせ、木原はこれをスルー。
返すターンに木原は《先頭に立つもの、アナフェンザ》でアタックすると、市川はトークンでブロック。その後に、《先頭に立つもの、アナフェンザ》へと《潰瘍化》をプレイ。このトリックには一瞬驚いた木原だったのだが、《スゥルタイの魔除け》でトークンを除去。市川はさらに《胆汁病》を重ね《先頭に立つもの、アナフェンザ》を除去する。続くターンに《真面目な訪問者、ソリン》で2/2トークンを生み出しつつ、《羊毛鬣のライオン》をプレイしてターンを返す。
木原は《荒ぶる波濤、キオーラ》の奥義で「紋章」を手に入れ、さらに《悪夢の織り手、アショク》を戦場に追加すると、「+2」能力を使用、またも《先頭に立つもの、アナフェンザ》が追放される。ここでターンを終了し、9/9トークンを戦場に。
木原 惇希 |
市川はこの9/9を《アブザンの魔除け》で除去すると、2/2トークンと《羊毛鬣のライオン》《ラクシャーサの死与え》を全軍突撃させ、木原のライフを9とする。
木原は《悪夢の織り手、アショク》の能力で《先頭に立つもの、アナフェンザ》を悪夢の世界から戦場に送り込むと、ふたたび9/9トークンを戦場に。市川は《真面目な訪問者、ソリン》の「+1」能力を使用した後に、トークンでアタックし、木原のライフを6としつつ、自身のライフを17にする。
市川は、木原のアップキープに《羊毛鬣のライオン》の「怪物化」能力を起動、これにスタックして木原は《英雄の破滅》をプレイ。まず、《悪夢の織り手、アショク》で《先頭に立つもの、アナフェンザ》と《包囲サイ》を追放すると、《先頭に立つもの、アナフェンザ》でアタック。市川はこれを《ラクシャーサの死与え》でチャンプブロックする。
《悪夢の織り手、アショク》の忠誠度が「4」であり、次のターンに《包囲サイ》を呼び出されてしまうと厳しいので、市川はトークンを《悪夢の織り手、アショク》へとアタックさせると、《真面目な訪問者、ソリン》の能力でトークンを産み出し、さらに《包囲サイ》をキャスト。これは初手の《思考囲い》で見ていた《軽蔑的な一撃》でカウンターされる。《包囲サイ》を呼び出すためにダメージランドを使っていたので市川のライフは18となる。
ここで木原は、2体の9/9トークンを市川自身へ、そして《先頭に立つもの、アナフェンザ》を《真面目な訪問者、ソリン》へとアタックさせ、吸血鬼トークンをブロックに使用せざるを得ないようにするが、市川は《胆汁病》を9/9へと使用することで残りライフを6残し、《真面目な訪問者、ソリン》への《先頭に立つもの、アナフェンザ》は通す。
返すターン、市川は2体の吸血鬼でアタックし、木原のライフを2とする。そして、最後のライフを削り切るべく《包囲サイ》をプレイ。
だが、そこで木原が2枚目の《軽蔑的な一撃》を提示すると、土地を片付けたのだった。
木原 1-0 市川
Game 2
先手の市川は《ラクシャーサの死与え》を2ターン目に召喚すると、続く3ターン目にも《アブザンの魔除け》で2枚ドローと順調な展開。対する木原のファーストアクションは3ターン目の《悪夢の織り手、アショク》だが、この《悪夢の織り手、アショク》は先ほどと違ってどのクリーチャーも悪夢へと誘わない。
一方で、市川は、Game 1では4枚とも追放されてしまった《先頭に立つもの、アナフェンザ》を戦場へ。この《先頭に立つもの、アナフェンザ》は《英雄の破滅》で除去するのだが、《ラクシャーサの死与え》のアタックで条件を達成した《風番いのロック》がトークンを引き連れて戦場へと降臨する。
だが、この《風番いのロック》と《ラクシャーサの死与え》は揃って《霊気渦竜巻》で処理されてしまう。トークンをアタックさせていなかった事で、かろうじて戦線を維持した市川は自身の代名詞とも言えるプレインズウォーカー、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を戦場に。
市川 ユウキ |
木原は《クルフィックスの預言者》を召喚すると、さらに《英雄の破滅》で《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を除去、さらに《悪夢の織り手、アショク》から《包囲サイ》を召喚する。
このアクションで忠誠度が「1」となった《悪夢の織り手、アショク》は3/4トークンがアタックし、さらに《風番いのロック》がトークンを引き連れてくる。
木原は2体目の《クルフィックスの預言者》を召喚してターンを返す。一方の市川は3羽の鳥が攻撃した後に、《包囲サイ》を召喚し、木原のライフを12、自身のライフを22とする。このターンエンドに木原は《時を越えた探索》をプレイする。そしてそのまま自身のターンはドローゴー。
市川は《先頭に立つもの、アナフェンザ》をプレイすると、またも3羽の鳥をレッドゾーンへ。木原は先程の《時を越えた探索》で手に入れた《英雄の破滅》を《風番いのロック》自身へとプレイする。市川も負けじと、木原のターンエンドに《包囲サイ》へと《英雄の破滅》をプレイする。
これによって、地上の防御を失った木原。市川は2体の3/4飛行トークンと、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》で4/4となっている《平地》、さらに《包囲サイ》と《先頭に立つもの、アナフェンザ》でアタック、《先頭に立つもの、アナフェンザ》の能力で《平地》へと+1/+1カウンターを載せる。
この攻撃に対処するべく《時を越えた探索》をプレイした木原。ここで手に入れた《胆汁病》を3/4飛行へとプレイしつつ、地上は2体の《クルフィックスの預言者》でチャンプブロック、ライフを9点残した状態でターンをむかえる。そして、ドローゴー。
この状況でドローゴーできるカードはただひとつ。市川は確信を持って《思考囲い》をプレイする。
木原の手札には《霊気渦竜巻》の姿が。
木原 1-1 市川
Game 3
市川「2分けは負けと変わらない」
などと会話をしながらはじめた残り時間も5分のGame 3なのだが、ここで両名ともマリガンとなる。
続く6枚の手札を木原は苦渋の表情でキープしたが、市川は再びマリガン。
ゲームは市川の3ターン目の《荒野の後継者》が初動というゆっくりしたもの。この《荒野の後継者》を《荒ぶる波濤、キオーラ》で止めようと画策する木原だが、市川は《英雄の破滅》でそれを許さない。
そして市川は、《包囲サイ》で一気に優位を獲得しにいくが、この《包囲サイ》は《軽蔑的な一撃》でカウンター。さらに続くターンの《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を《否認》でカウンターしつつ、《荒野の後継者》に《英雄の破滅》をプレイする。
これで手札が無くなった木原だったが、市川も続くターンに《ラクシャーサの死与え》をプレイしたことで、手札が尽き、互いにトップデッキ勝負となる。そして、先にトップデッキしたのは市川。いきなりの《風番いのロック》光臨で、木原も思わず「強いよ」とこぼす。
このまま、木原のライフが2回にわたって8点ずつ削られて終わるかと思われたが、《ジェイスの創意》を引き当て、ここで《英雄の破滅》を呼び込む。さらに、《クルフィックスの預言者》をプレイし、《荒ぶる波濤、キオーラ》を追加と、市川の盤面を完全に止めきることに成功する。
だが、ここでタイムアップ。木原が《荒ぶる波濤、キオーラ》をプレイしたターンが延長1ターンとなる。
木原の残りライフは1だが、クロックが止まりきっている市川は残り2ターンでライフを削りきらなければならない。クリーチャーでのアタックにダメージソースを頼っている市川のデッキでは、このターンにクロックを用意し、次のターンに対処されないことを願うしかない。市川の運命のドロー。
……ひとつだけ、例外があった。市川のライブラリートップは、《包囲サイ》。
木原 1-2 市川