準々決勝: Austin Hatfield(東京) vs. 松原 武之(東京)

晴れる屋



By Shin Tomizawa


スイスラウンドを1位で通過したHatfield Austinと8位に残った松原 武之。

トップ8プロフィールに目を移すと、Austinは「ファミコンくん2号店」や「Fの集会場」といった、西東京方面のショップを良く利用しているらしい。
対する松原は東京在住ながら「猫山軍団」に所属する、レガシーを主戦場とするプレイヤー。

「猫山軍団」について簡単に解説すると、これは関西を拠点としたレガシーコミュニティで、なんとあの中島 主税(東京)を迎えて活動しているのだとか。
今年のThe Last Sunにレガシーは採用されなかったが、13回戦で「魔王」三原 槙仁を破り、軍団員の実力を見せ付ける結果を残したというわけだ。


さて、The Last Sunの決勝ラウンドといえば、スイスラウンドを上位で通過したプレイヤーが対戦するフォーマットを選択できるのが普通の大会と大きく違っている点だろう。また、その選択はお互いのデッキリストが公開の上で行われる。

デッキを交換してリストと共に確認し合い、1位通過のAustinがスタンダードを選択した。
松原のデッキは中島 主税のレシピを参考にしたという赤緑ビートダウン、Austinは《ジェスカイの隆盛》コンボ。

これもまた通常の大会とは違い、三本先取で行われる準々決勝が始まった。
 




Game 1

先手はダイスロールに勝利したAustin。
お互いに1回ずつマリガンし、第1ゲームが始まった。

Austinは静かに《開拓地の野営地》をタップインし、松原は《エルフの神秘家》で好調な滑り出し。
2ターン目にはAustinはフェッチランドから《サテュロスの道探し》《マナの合流点》を手札に加えると共に墓地を肥やしていく。

松原は2ターン目にマナを使いきれる手札ではなく、《奔放の神殿》で占術を行うのみ。
Austinも2枚目の《サテュロスの道探し》で順調に墓地を肥やして準備にターンを費やしていく。

続くターンには3マナを寝かせて《ゼナゴスの狂信者》を唱える松原。Austinの「貢納」選択は速攻モード。

3体目の《サテュロスの道探し》を場に送り込むAustin。ちょっと引きが偏ったようだ。
2体の《サテュロスの道探し》をレッドゾーンに送り出し、松原は《灰雲のフェニックス》を戦場に。

ついに《ジェスカイの隆盛》が場に姿を現すが、Austinはコンボを始めずサテュロス3兄弟を戦闘に送り出す。

松原は《ゴブリンの熟練扇動者》を追加してAustinの残りライフは4に。そろそろ終戦が見えてきた。



松原 武之 



自分のターンに入り、Austinは《撤回のらせん》《サテュロスの道探し》Aに。《ジェスカイの隆盛》が誘発し、呪文の解決までを許可する松原。《ゴブリンの熟練扇動者》をバウンスし、続いて2枚目の《撤回のらせん》をまた別の《サテュロスの道探し》Bに。またも解決を見守る松原。《撤回のらせん》が解決され、《エルフの神秘家》《灰雲のフェニックス》までも手札に戻される。

Austinが《神々との融和》をプレイすると、松原は誘発にスタックで《稲妻の一撃》をバウンス能力を得ている片方に打ち込む。

Austinはあの手この手でルーティングを繰り返すも無限ループを引き起こす《贈賄者の財布》《宝船の巡航》《時を越えた探索》といったドロー手段も引き込めず、コンボは中断。1体の《サテュロスの道探し》で攻撃するに留まった。

タップアウトしているAustinのライフを、松原はトークンでの攻撃とフルパワーの《火口の爪》でぴったり削り切った。


Austin 0-1 松原



Game 2

第2ゲームもお互い仲良くマリガンを。
先手Austinは《森の女人像》を2ターン連続展開してマナ基盤を整える。
松原は《荒野の後継者》を攻め手とする。

Austinが《ジェスカイの隆盛》をキャストし、《贈賄者の財布》プレイにスタックで《自然に帰れ》

コンボ阻害に成功し、《灰雲のフェニックス》を追加してクロックを早める松原。

こうなると再度《ジェスカイの隆盛》を引くしかないAustin。
《贈賄者の財布》をX=4で唱えて耐える姿勢を見せる。
松原は《紅蓮の達人チャンドラ》を戦場に追加。Austinはじっと耐えるのみ。

松原にターンが戻ってきて《紅蓮の達人チャンドラ》「0」能力からセットランドし、全軍攻撃。
《森の女人像》でブロックしながらマナを出し、戦闘で倒れた《森の女人像》を含む墓地のカード全てを追放し、フルタップで《時を越えた探索》

時を越えた探索


このプレイにはルール上の誤りがあった。

Austinはこのプレイが可能かどうかをジャッジに求め、それに対する回答はイエスというものだったので《時を越えた探索》を唱え、それは解決されたが、実際のところはダメージ解決の前にマナ能力を起動してしまうと、戦闘ダメージステップにはそのマナは消えている。つまり、本来なら1マナ足りないのに《時を越えた探索》を唱えてしまったことになる。これに対する上告はなく、ゲームが終了した後に改めて確認した結果判明したジャッジミスだったため、ゲームの結果は巻き戻らないこととなった。


松原はマナを残してターンを返したが手札に妨害手段はなく、ついにAustinは2枚目の《ジェスカイの隆盛》を。
続いて《撤回のらせん》《森の女人像》に。

《ジェスカイの隆盛》ループが始まり、ルーティングを続けるAustin。
やがて登場した《群の祭壇》がAustinの勝利を決めた。


Austin 1-1 松原



Game 3

松原が3本連続となるマリガンを宣言すると、Austinも熟考の末、同じくマリガンを。
第1、第2ゲームと変わったのは先手後手だけという形になる。

松原の6枚には赤マナがないが、これをキープ。しかし最初のドローで《山》を引き当て、《荒野の後継者》を。
Austinは《サテュロスの道探し》でやはり準備を始める序盤戦。

松原は追加の《荒野の後継者》をプレイし、Austinは《テイガムの策謀》でライブラリと墓地を整える。
松原は《石弾の弾幕》《サテュロスの道探し》を排除し、4点のダメージを。

そして《森の女人像》を出してコンボの仕込みは完了した。さあ《ジェスカイの隆盛》で1度目の仕掛けを。
松原は後続の《宝船の巡航》にスタックして《破壊的な享楽》でこれを邪魔する。

しかしさらに《ジェスカイの隆盛》を追加し《贈賄者の財布》《贈賄者の財布》《テイガムの策謀》と連発してルーティングに入るが、《撤回のらせん》は見つからず、コンボ成立はならず。

続くアタックをスルーし残りライフ1になるも、Austinの《時を越えた探索》がついに《撤回のらせん》を見つけ出し、またも無限ループが完成した。



Austin Hatfield 



Austin 2-1 松原



Game 4

再び先手は松原に渡る。ようやく初手をキープできた松原だが、対照的にAustinは4連続となるマリガンゲーム。
2度目の6枚も彼を満足させるものではなく、5枚にまで初手を落とし込んだ。

《エルフの神秘家》で立ち上がるも、またしても3マナを使い切れず《エルフの神秘家》を追加するのみの松原。
Austinは《テイガムの策謀》でキーパーツを探す。

さて、松原はというと赤マナに恵まれず手札の《灰雲のフェニックス》を「変異」で唱えた。
Austinは《龍の眼の学者》を素出しして、松原は《ゼナゴスの狂信者》を引き込み全軍突撃しダメージを稼ぐ。

松原は続いてのトップデッキも赤マナ一つで事足りる《ゴブリンの熟練扇動者》
手札の《破壊的な享楽》と見比べて逡巡するが、更なる脅威を展開することを選んだ。

クロック量に耐え切れないと判断したか、Austinはここで早めの投了を。勝負は最終第5ゲームにもつれ込む。


Austin 2-2 松原


Game 5

最後の先手はAustin。ようやくマリガンせずに済んだようだ。
松原はというと、少なめの土地とタップインしかない緑マナと噛み合わないマナクリーチャー、さらには妨害手段もない初手を嫌ってまたもマリガンし、6枚のハンドを渋々キープした。

今度も順調に《森の女人像》から立ち上がり、続いてこの試合初めて見せる《スズメバチの巣》を。
松原には非常に苦しいクリーチャーだ。

さらには「変異」を繰り出すAustin。
占術タップインを繰り返しクリーチャーを展開できない松原を尻目に場を整えていく。

こうなるといつ決まってもおかしくないため、迂闊にクリーチャーを出すことができない松原。《破壊的な享楽》を構えてターンを返す。
《エルフの神秘家》でマナを加速し、2マナを残して《灰雲のフェニックス》を出したところでAustinの《時を越えた探索》がコンボスタートを予感させる。

《ジェスカイの隆盛》を公開して《龍の眼の学者》の「変異」を解き、松原の手札を確認すると、そこには《破壊的な享楽》《自然に帰れ》が。
これを見てAustinは動かず、《宝船の巡航》で対応策を整えていく。

松原は明らかになった《自然に帰れ》《破壊的な享楽》を構えるべく4マナを残して《ゼナゴスの狂信者》を展開。「貢納」は+1/+1カウンターを選択された。

そして準備が整ったか、Austinは動いた。

《ジェスカイの隆盛》を場に出すと、続いて2枚目の《ジェスカイの隆盛》を。
ここまでは許可した松原は続く《テイガムの策謀》《自然に帰れ》を合わせるも《白鳥の歌》で通らない。





松原は仕方なく《ジェスカイの隆盛》《破壊的な享楽》を打ち込むが、これ以上の策はなく、あとはコンボを見守るのみ。

《撤回のらせん》《贈賄者の財布》が見つからないことを祈るが、《ジェスカイの隆盛》を絡めた《時を越えた探索》《宝船の巡航》によって掘り進んでは見つからないはずもなく、Austinがフルカウントのゲームを制した。


Austin 3-2 松原