最終ラウンド、フィーチャーエリアに呼ばれたのは、アトランタの中心で”I GO.”と叫んだ二人。
井川良彦と、《オムニビアン》や「幻のPWCミスター」、「kakao」等、さまざまな二つ名を持つ中村肇。両名はアトランタに所縁があるから呼ばれたのではない。PWCに積極的に参加し、トーナメントマジックを意識し、PTQを遠征して、プロツアーに参戦するようになり、PPCによるプロツアー参加権利を得るレベルにまだ達した、いわゆる草の根発のトーナメントプレイヤーたちである。自分のホームタウン、PWCのチャンピオンシップに参加しないわけがない。
井川は一般的な赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》、中村のデッキは、緑単色らしいのだが、なにやらニコニコ生放送でデッキのコンセプトを募って作ったデッキだとか。噂によると、エクステンデッド顔負けのスピードで勝負を決めることが出来るとか出来ないとか。
勝利の席は一つしか無い。先にI go.と言えるのはどちらなのか?
Game 1
中村肇は4枚のスペルを唱えた。
2ターン目《屍百足》、3ターン目《巨大化》、《地うねり》、《ミラディンの血気》。
井川はいい顔をした。
井川 0-1 中村
Game 2
ファーストアクションは先手井川の《探検》、返しで中村は《屍百足》をプレイし、先ほどの3キル劇を彷彿とさせる。可能性こそ極端に高いわけではないものの、いつでも突然死の可能性があるマッチアップ。
《屍百足》のアタックを悩んで《水蓮のコブラ》でブロックすると、中村は《ミラディンの血気》で貴重な感染クリーチャーを守る。
井川は出来るだけ遅いゲームにするため、突然死の可能性を下げ、アクティブに動ける場を作るために、《屍百足》を《稲妻》で退場願い、《水蓮のコブラ》を戦場へと送り出す。
あまり手札が芳しくないのか、中村は大きく悩んでから《嚢胞抱え》をプレイしてターンを返す。
井川は、守ってばかりもいられないため、《水蓮のコブラ》をレッドゾーンへと送り込み、短期決戦にも対応できるよう、中村のライフを削る。
だが、中村は攻撃の手を緩めない。シークレットサイドボードである《ぐらつく峰》を置き、《嚢胞抱え》のパワーを上げ、さらに《地うねり》をプレイして、井川を蝕むカウンターの数を8つとする。そして中村の場には《墨蛾の生息地》が。4ターン目にして、除去が無ければ何もしなくても、すでに2ターン後には毒殺されてしまう状態である。
全てのパターンをケアしていては勝ち目がない井川は、《業火のタイタン》をプレイし、《嚢胞抱え》を退場させ、巨大化系の呪文が中村に無ければ、なんとか?という場を作り出す。
だが、人生絶好調の中村が、巨大化系スペルを引き込めないはずもなく、《墨蛾の生息地》に対してプレイされたのは、《巨大化》。
かくして、スタンダードにもかかわらず中村が井川を退けるのに要したターン数はマッチを通してわずかに8。即ち末広がり。
井川 0-2 中村