準決勝: 高橋 優太(東京) vs. 斉田 逸寛(東京)

晴れる屋

By Shiro Wakayama


準決勝まで勝ち残ってきたのは、昨年末に千葉で開催された世界選手権で日本勢をけん引していた高橋優太。それ以外にも、日本選手権、グランプリ、プロツアーと、プレミアイベントできっちり成績を残している、押しも押されぬ日本を代表するプレイヤーである。PWCに頻繁に参加しているわけではない、高橋は、0byeながらきっちりと勝ち星を重ね、準決勝まで駒を進める姿には、プロプレイヤーとしての貫録が見え隠れする。

対する斉田逸寛はPWCの貴族、相沢に師事している若手プレイヤー。大きなイベントでの活躍こそ無いものの、PWC個人戦では優勝もしているし、コンスタントに成績を残しているからこその2byeを獲得し、ここまでやってきた。

高橋は、世界選手権で一世を風靡した青黒コントロールを独自にチューンした形。斉田は、PWCで圧倒的勝率を誇る相沢謹製の赤緑《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を持ち込んでいる。

決勝まで駒を進めるのは、どっち!?


Game 1



先手斉田の《探検》から幕をあける準決勝。高橋は《水没した地下墓地》から、2ターン目の《コジレックの審問》がファーストアクション。

暴かれた手札は、《原始のタイタン》《ゼンディカーの報復者》《業火のタイタン》《カルニの心臓の探検》《広漠なる変幻地》というハイカロリーな手札。《カルニの心臓の探検》を抜き去り、マナベースの構築を阻害する。

お互いセットランドをするだけの流れだが、高橋は《地盤の際》をセットし、6マナ到達迄の道筋をさらに妨害しようと睨みを利かす。

斉田は手札の圧倒的暴力を有効活用していくため、ため込んでいた《広漠なる変幻地》を2枚とも起動して、6マナ目をそろえようとするが、ここは当然高橋の《地盤の際》《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を破壊する。そうでなくてはゲームならなくなってしまう。

斉田はマナブーストを引き込めず、土地を置いてターンを返すのみ。

返すターン、高橋はこのまま相手のハンドを有効活用されてしまうと、力押しされてしまうため、《精神を刻む者、ジェイス》をプレイ。相手の山の上を除いて蓋をするプランを遂行しだす。

斉田は土地こそ引き込めなかったものの、《耕作》をプレイし、次のターンから、怒涛のクリーチャー連打をする準備をやっと整える。高橋は《精神を刻む者、ジェイス》の能力で《渦まく知識》を起動しながら手札を整理。手札破壊や《定業》を駆使してアクティブに動いていく。

斉田は、座していも《精神を刻む者、ジェイス》の恩恵により窮地に追い込まれてしまうため、《ゼンディカーの報復者》をプレイして高橋を揺さぶりにかかる。プレイを許可されて喜んだのも束の間、トークン発生の誘発にスタックで《喉首狙い》。場に出るのは役立たずの0/1トークンの群れ。

だんだんコントロールをし始めている高橋ではあるが、メインボードには確定カウンターが入っていないのも事実。このまま斉田が9マナに到達してしまうと、どうにもならなくなってしまうため、最低限のマナを残して《忍び寄るタール坑》で斉田の残り時間を削りだす。8マナの状態で、斉田は不可解な《業火のタイタン》プレイ。そして予定調和的に《マナ漏出》を打たれるが、ここで斉田が引き込んでいたのは、なんと《召喚の罠》!!

これには両者目を合わせて苦笑いする。

だが、斉田の笑顔がだんだんと表情は険しくなり、、、めくれた7枚にはクリーチャーが無い。この渾身のトップデッキは不発と終わってしまう。恨めしそうに7枚のカードを眺めてボトムに送り込むと、悔しそうにターンを終了する。

そうする間にも、高橋の《精神を刻む者、ジェイス》をアドバンテージをもらたし続け、《忍び寄るタール坑》は斉田のライフをフェッチランドの起動を含めて11まで削り取る。

だが、斉田もそのまま座して死を待つわけではない。高橋のターン終了時に、やっとの思いで引き当てた《砕土》を打って9マナ揃えると、自らのターンに《原始のタイタン》を躊躇なく、自身に満ちた表情でプレイ。高橋には当然これに抗うすべはなく、着地する。

こうなるともう、斉田のデッキは手が付けられない。《精神を刻む者、ジェイス》《原始のタイタン》のをバウンスし、《忍び寄るタール坑》×2でライフを5まで詰め、王手をかけるが、斉田が冷静にプレイしたのは《原始のタイタン》《砕土》

致死量に十分なダメージが《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》から高橋へと降り注ぎ、Game1を締めくくる。

 高橋 0-1 斉田


最終的にヴァラクートの本領発揮で圧殺して見せたものの、9マナ揃うまでは終始高橋がアクティブに動き、劣勢気味だった斉田。だが、動じることもなく冷静に、淡々とプレイする様は、今まで繰り返してきた練習の密度の濃さを窺わせる。


Game 2


先手高橋、互いにマリガン無し。

高橋の《広がりゆく海》2連打で開幕。斉田のマナベースを攻撃する。だが、斉田は涼しい顔で緑マナを調達し、《水蓮のコブラ》をプレイ。

斉田は、《水蓮のコブラ》の恩恵を最大限に受け、《探検》《耕作》と繋げ、次のターンのビッグアクションを予感させる。

だが、高橋もこのまま為すがままに負けるわけには行かない。《強迫》で斉田の手札を攻め立てるが、さらされたのは《原始のタイタン》×2、《ゼンディカーの報復者》、山、《広漠なる変幻地》。ディスカードする事は出来なかったものの、手札を覗けたことで安全確認ができた。その後の《定業》《喉首狙い》を入手し、《水蓮のコブラ》を除去。次のターンの斉田のビッグアクションを許さない。

これにより緑マナが縛られてしまった斉田だが、山の上から訪れるのは起死回生の《耕作》。早速緑マナの補充をして、ターンを終える。

高橋は、斉田のハイカロリーな手札に対抗すべく、フルタップの危険を冒して《精神を刻む者、ジェイス》をプレイ。

斉田はこの隙に乗じない手はない。冷静に、何の迷いもなく、《原始のタイタン》をプレイ。サーチするランドで少し悩むも、《山》《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をサーチして、砲撃の準備を始める。

高橋は、《原始のタイタン》《精神を刻む者、ジェイス》の能力でバウンス。さらに、《地盤の際》で斉田の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を破壊、次なる斉田のターン、《原始のタイタン》《瞬間凍結》で退けて、もう1枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を、《精神を刻む者、ジェイス》の能力で引き込んだ《地盤の際》で何とか破壊し、厳しいながらもなんとか場を維持する。

だが、斉田の手札には高橋もすでに知っている2体目の《原始のタイタン》がある。これはカウンターすることが出来ず、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をサーチから《広漠なる変幻地》で、《原始のタイタン》をバウンスするためにカウンターが減っていた《精神を刻む者、ジェイス》を屠る。

このタイタンさえ何とかすれば、一筋の光明が見える高橋だが、ライブラリーのトップを見て小さくため息を一つ。投了することを良しとせず、《墓所のタイタン》をプレイしてターンを斉田に渡すと、斉田は澱みないプレイで、高橋を介錯してみせた。

 高橋 0-2 斉田