とあるもんじゃ屋(※1)にて。
1.デッキ選択
AA 「とりあえず、PTパリお疲れさまだぞ、と」
ヤソ 「お疲れだぞ、と」
AA 「マッキー(三原槙仁)が《炎の儀式》トップして勝ったとき(※2)の世界選手権パリはルーブル美術館の地下で華やかだったけど、今回は違ったみたいね」
ヤソ 「何かちょっと田舎だった」
AA 「ルーブル美術館は良かったからね。ヨーロッパ行くときは美術館とか観光地を回ることが多いんだけど、この絵、下手だなーと思ったら、ゴッホだったときあったよ。レンブラントは綺麗。デッキで言えば、1枚差しの多いデッキと全部4枚のデッキくらい違う」
ヤソ 「芸術のセンスが無いだけじゃないですか。あと、その話、いろいろな意味で時間軸が崩壊してるんでやめましょう」
AA 「ですね」
AA 「何にせよ、俺もこっちでF5連打してたし。PTパリのトップ8の日本人は中田くんと石村くんだったけど、どんな感じのフィールドだったの?」
ヤソ 「2人とも青白使ってたけど、上の方も青白が多かった。青黒は青白に食われてた感じ。《饗宴と飢餓の剣》で完全に相性が逆転したからね。ヴァラクートはデッキパワーとしてはそこそこ安定してたけど、ヴァラクートを選択していた人はドラフトラウンドで落ちてった。そこは、地力のある人や練習してきている人は運ゲー要素が強いヴァラクートを選ばないってのが大きいと思う」
AA 「なるほど、全員じゃないけど優勝したベン・スタークも含めてCFB(※3)は青白を選択してたね、《戦隊の鷹》と《石鍛冶の神秘家》が4枚入ったやつ」
ヤソ 「そうだね。ケロヨン(※4)とライザ(※5)は青白を自分に合わせてチューンして使ってた感じだったけど、CFBのはそれなりに王者っぽいレシピだった。チームで調整するとああいう丸い形になりそう」
AA 「鷹強いの知ってたわー、2年前から知ってたわー」
ヤソ 「2年前には無いっす。それに、世界選手権前にも鷹使ってる人結構いましたから」
AA 「ですね」
2.デッキリストの公開がゲームに与える意味
AA 「それはともかくとして、PTやGPではトップ8の段階でデッキレシピが公開されるから、それでの有利不利予想ってのがあると思うんだけど、今回の焦点としては青白のレシピの違いかな」
ヤソ 「確実に言えるのは、今回はケロヨンが《マナ漏出》無くて、ライザには《審判の日》が無かったから、それで大分不利になったんじゃないかなってこと。レシピが公開されることのダメージが大きかったのは間違いない。青白といえば《マナ漏出》と《審判の日》は入っているものとして相手がプレイしてくるから、それが無いと本来通用するブラフや勝手に相手が自重したりしなくなる。青白相手に《精神を刻む者、ジェイス》を4ターン目に出す、クリーチャーをある限り並べるとか、そんなプレイが相手の最善手として正当化されちゃうんだよね」
5《平地》 4《島》 4《天界の列柱》 4《氷河の城砦》 4《金属海の沿岸》 1《湿地の干潟》 4《地盤の際》 -土地(26)- 4《戦隊の鷹》 2《石鍛冶の神秘家》 2《太陽のタイタン》 -クリーチャー(8)- |
4《定業》 2《未達への旅》 2《広がりゆく海》 1《剥奪》 1《乱動への突入》 2《転倒の磁石》 4《審判の日》 1《肉体と精神の剣》 1《饗宴と飢餓の剣》 3《精神を刻む者、ジェイス》 2《エルズペス・ティレル》 2《ギデオン・ジュラ》 1《滞留者ヴェンセール》 -呪文(26)- |
1《コーの奉納者》 2《糾弾》 4《光輝王の昇天》 2《存在の破棄》 2《広がりゆく海》 1《漸増爆弾》 3《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
4《平地》 3《島》 4《天界の列柱》 4《氷河の城砦》 4《金属海の沿岸》 1《乾燥台地》 1《沸騰する小湖》 4《地盤の際》 -土地(25)- 4《闘争の学び手》 4《石鍛冶の神秘家》 3《ミラディンの十字軍》 -クリーチャー(11)- |
4《定業》 4《失脚》 3《呪文貫き》 4《マナ漏出》 2《未達への旅》 1《饗宴と飢餓の剣》 2《肉体と精神の剣》 4《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(24)- |
4《戦隊の鷹》 2《海門の神官》 1《コーの奉納者》 2《悪斬の天使》 3《漸増爆弾》 1《瞬間凍結》 1《屈折の罠》 1《天界の粛清》 -サイドボード(15)- |
AA 「個人的にはそこは難しいと思うけど、結局、その問題が具現化するのってトップ8からだよね? 実際に《マナ漏出》や《審判の日》が青白にいるかいらないかというのはデッキの戦略の方向性やメタゲーム的判断だと思うけど、予選ラウンドでは青白コントロールというデッキ像が当然相手にあるから、持っているフリとか、ラス撃つぞオーラとか出せるじゃない?逆に入ってないってのがアドバンテージになることもあるよ。入ってないのに警戒させてるわけだから効率いいし」
ヤソ 「デッキに入っていると思ってる相手には持っているフリは結構効くね。ここの問題はデッキの強さじゃなくて、トップ8に入ることが想定されてなかったんじゃないかってことじゃないかな。CFBっていうのは明確にトップ8を目指す集団だから、レシピ公開後、さらに3本先取ってことに対しても意識的にデッキを作っていると思う」
5《島》 4《平地》 4《天界の列柱》 4《氷河の城砦》 4《金属海の沿岸》 1《霧深い雨林》 4《地盤の際》 -土地(26)- 4《戦隊の鷹》 4《石鍛冶の神秘家》 -クリーチャー(8)- |
4《定業》 4《呪文貫き》 3《マナ漏出》 1《剥奪》 1《冷静な反論》 4《審判の日》 1《シルヴォクの生命杖》 1《饗宴と飢餓の剣》 4《精神を刻む者、ジェイス》 3《ギデオン・ジュラ》 -呪文(26)- |
2《悪斬の天使》 4《失脚》 3《漸増爆弾》 2《神への捧げ物》 2《瞬間凍結》 1《否認》 1《肉体と精神の剣》 -サイドボード(15)- |
AA 「なる。ただ、もし二人が、トップ8へ入るのにベストなデッキとして、これらの青白を作ってきたのなら、それはそれでいいと思うけどね。まず、トップ8に入ることが先決で、その先にトップ8の戦いがあるから、そこからの当たりによっては、このレシピ自体が吉と出ることもあるだろうし」
3.チームで調整?個人で調整?
ヤソ 「そこは、チームでやるか個人でやるかの差が出てる。CFBみたいにチームでやる場合は、誰かがトップ8には入るものとして調整するから、意識のレベルが高い。日本は個人個人での調整が多すぎるのに加えて、特定の個人の能力に頼りすぎてるから、今回のモリカツの青黒にナカシューが開始前に乗り換えたっては典型的例だし。全員がトップ8を目指して調整してきているCFBに比べ完成度で劣るのはしょうがないとは思うよ。ちょっと踏み込んだ話だと、日本人は個人がトップ8に入るためのデッキをチームが使っているって形になるから歪なんだよね、例に出たモリカツデッキだと、多分使いこなせるのってモリカツだけじゃないかな。実力というよりプレイスタイル的に」
AA 「それはあるかもね。使って後悔するっていうのは、本人に事前に後悔しないだけの調整が出来てないってことだし。使わなきゃ良かったじゃなくて、もうちょっと良く出来たはず、ならいい後悔かもしれないとは思う。ある程度共通の形から個人の形に落とし込んでいくってのが本来のチームが作る理想的なデッキなのかな」
ヤソ 「個人でやるにしてもチームでやるにしても日本はそこの意識レベルが海外のチームに比べて低いと思う。半端は良くないよ。まあ、僕は個人で優勝を狙うけどさ」
AA 「俺もそうと言えばそうだけど。んー、まあ、個人でやる意識としてはトップ8に入るのが一番でもいいと思う。例えば今回の中田くんと石村くんのデッキは、対ビートダウン、対コントロールって明確な意思が感じられて、嵌ったときに好成績を出せるデッキと言えるのかな。これは聞いたわけじゃないから推測でしかないけど、個人として大会に臨むなら正解だと思う。何より、デッキから意思を感じるのは好きだね。俺もそういう構築ばっかしてるし」
ヤソ 「デッキを自分なりに作り上げるってのは重要ですしね。ただ、1回トップ8に入ったなら、次は優勝を目指して欲しいのと、そのためのに意識のレベルを上げることが必要かもしれない。デッキを練り込む余地っていくらでもあるはずだから。あと、勝つとモチベーションが上がるから、そこで自分が変われれば化けるんじゃないかな」
AA 「それはいい話だけど、ヤソってあまり練りこむ方じゃないよね。自分のデッキを誰かと調整してるのほとんど見たことないし」
ヤソ 「やってるよ、脳内で」
AA 「のーなのかー」
ヤソ 「まあ、レシピがばれて不利になるってどのデッキでも一緒だよね。例えば、CFBのデッキでもメインの《饗宴と飢餓の剣》は1本しか入ってないから《石鍛冶の神秘家》で持ってきたときにハンデスで落とすって戦略が有効。だから、1ターン目に《コジレックの審問》は打たないでとっておくって考え方ができる。レシピを知ることでプレイを変えていくってのがプレイヤーが享受すべきメタゲームの一つだしね」
AA 「コピーデッキで出ること自体は否定しないけど、そのディスアドバンテージは理解したほうがいいってことね、それは納得。知られてないことのアドバンテージと、知られていることのディスアドバンテージって結構ばかにならないからなぁ」
ヤソ 「デッキは作るのが理想だよ、やっぱり。その方が楽しいし」
AA 「楽しいのは同意。まあ、その辺は適正もあるし、お互いに欠けているところを補えるから仲間とかチームがあるわけで難しいところだけど。そーいえばPTパリだと、ヤソ、9-1くらいまで行ってたと思うけど、気づいたら死んでたね」
ヤソ 「そこから強いとこばっか踏んで、ウボアーした」
AA 「チャピンとかLSVとかその辺と当たりまくってたね」
ヤソ 「強い奴とやるのはきつい」
AA 「ストⅡのリュウみたいに強い奴に会いに行く精神でいいじゃん」
ヤソ 「いや、実際に強い奴と当たるメリットないから」
AA 「だよね」
ヤソ 「そろそろ、もんじゃ食いたいんだけど……」
4.再来週の、ヴァーサスッッ!!は?
AA 「いいですとも! じゃあ、この辺で次の友達を紹介して貰えるとありがたいんですが」
ヤソ 「そんな制度あるの?」
AA 「今作った」
ヤソ 「じゃあ、コムシューで」
AA 「却下、コガモにしよう」
ヤソ 「ええええ、なにそれえええ」
※1 中井にあるとあるもんじゃ屋
※2 準々決勝でマナを間違えたものトップが唯一の回答である《炎の儀式》で解決してそのまま優勝、本人曰く演出。
※3 チャネルファイヤーボール、日本では中村修平も所属している。
※4、5 中田直樹と石村信太郎のニックネーム