最強のアーキタイプは感染。

大澤 拓也


お陰様で第二回を迎えることができました。大澤です。
初めての連載で多少の不安もありましたが、予想以上に反響があって驚いています。これからも期待に応えられるように頑張ります!
そんな中「ちょっと堅すぎない?」という意見がありましたので、今回から多少肩の力を抜いた感じでお送りできたらなと思います(笑)

第一回のMBS/SOM/SOMドラフトアーキタイプbreakdownではミラディンの包囲戦導入後の第一印象を書いてみましたが、今回は実際に実戦してみましょう!
前回の記事でアーキタイプの紹介をしましたが、やはりこの環境と言えば感染。これ最強。構築戦でもリミテッドでも、軸の違う戦い方をするデッキは強かったのですが、wizardsがゲームシステムでそれを推奨するとなれば、それに乗っからない手はありません。感染とはなんたるかを、リミテッドプロツアーチャンプがご覧にいれましょう!



1st Pack:Mirrodin Besieged

【1-1】《ボーラスの工作員、テゼレット》








あっ・・・。《ボーラスの工作員、テゼレット》・・・。
勝った!勝った!戦わずしてこのドラフト勝ったぞー♪…ごめんなさい、さすがに《核をうろつくもの》から感染には切り込めません(泣)
ま、まぁ1パック目の初手なんて水物ですから!初手に引きずられてダメなデッキにならないよう、上家からのシグナルに気をつけていきましょう!

【1-2】《カルドーサの炎魔》








うん!感染て書いてあるカードないね!
色は合ってないけど、《ボーラスの工作員、テゼレット》をタッチで使うことも見据えて《カルドーサの炎魔》をゲッツ。
初手で《不純の焼き払い》を流してしまったから赤は回避すべきなんじゃね?と思う方も中にはいるかもしれませんが、自分はほとんど意識しませんね。
今回の状況で言えば下が《不純の焼き払い》を取っている確証もないですし、もっと言えば、自分と同じように初手で青か黒のカードを取って赤いカードを更に下に流すこともあるわけです。
当然、上の初手が《カルドーサの炎魔》より強い赤いカードだったり、流れ的に上が赤になることもあると思いますが、不確定情報に期待するよりも目の前に見えている《カルドーサの炎魔》が流れてきたという確定情報のが信頼性が高いと思います。
特にこの環境は「感染か否か」という選択が非常に重要だと思うので、上からのシグナルを見逃さないように気をつけなければいけませんよ!

【1-3】《イシュ・サーの背骨》


早速《イシュ・サーの背骨》《カルドーサの炎魔》の贅沢コンボ完成!
生贄に捧げてみたり、手札に戻してみたりで見た目より結構お手軽に使い回せます。

【1-4】《回転エンジン》








《オーガの抵抗者》を取りたいところだけど、《ボーラスの工作員、テゼレット》を生かすためにアーティファクトから押さえておこう!ってことで《回転エンジン》をピック。
カードパワーと、デッキの完成系やバランスのどちらを重視するかはその時々で違います。自分がピックしたカードをしっかり覚えておきながらドラフトするのがコツです。
MOは、自分がピックしたカードを全て見られるので、リアルドラフトとは違って完成系をイメージしやすいので練習に向いていると思います。

【1-5】《マイアの種父》



【1-6】《オーガの抵抗者》



【1-7】《錆びた斬鬼》








一見《ゴブリンの戦煽り》を取ってしまいそうなパックだけど、この時点でデッキのコンセプトと合うことはなさそうなのでパス。具体的に言うとカードパワーの高いカードが多く取れているので短期決戦寄りのデッキを作るのは得策ではないですね。代わりにアーティファクトだし、《イシュ・サーの背骨》ともコンボっちゃう、《錆びた斬鬼》をピック。ぶっちゃけこのカードもメインに入るかは怪しいところですけどね(笑)

【1-8】《尖塔の海蛇》



【1-9】《オーガの抵抗者》



【1-10】《尖塔の海蛇》




《オーガの抵抗者》がたくさん流れてきて、《カルドーサの炎魔》を含め色マナ拘束が強いのでメインカラーは赤でいきたいところ。
《ボーラスの工作員、テゼレット》もまだ全然使えると思うし、《カルドーサの炎魔》もあるので、中途半端な色付きのカードに浮気するよりはアーティファクト中心に取っていきたいですね。

2nd Pack:Scars of Mirrodin

【2-1】《電弧の痕跡》








感染イッパイキター!オソイワー!
ここから感染は少し難しそうなので、”1:2交換を取れ”と書いてある《電弧の痕跡》をピック。ナイス初手です。

【2-2】《感電破》



【2-3】《鉛のマイア》








《鉛のマイア》
色合ってないマイアだったら完全に《剃刀のヒポグリフ》に浮気してましたね。白に行くかどうかは別として、渡りをつける意味でも、カット的な意味を含めてもカードパワーが高い1枚ですから。
でも、甘い誘惑になんか負けるもんかー!

【2-4】《恐慌の呪文爆弾》



【2-5】《転倒の磁石》








《転倒の磁石》
アーティファクト>除去。
こういう意識の積み重ねが大事です!デッキの完成度というのはこうやって積み上げていくもの!

【2-6】《ヴァルショクの模造品》



【2-7】《よじれた映像》



【2-8】《嵌め乗りの滑空者》



【2-9】《ヴァルショクの模造品》



【2-10】《ルーメングリッドのドレイク》



【2-11】《謎鍛冶》



《ボーラスの工作員、テゼレット》から始まって、《尖塔の海蛇》《ルーメングリッドのドレイク》をつまんでなんとなく2色目は青っていうのを匂わせていましたが、やっと青にいく明確な理由になるカードが取れました。11手目で《謎鍛冶》が取れる辺り青が空いてそうな感じですね。都合良く《鉛のマイア》も取れたことだし赤青タッチ黒でほぼ決定。

3rd Pack:Scars of Mirrodin

【3-1】《マイアの戦闘球》


すんまへん。ラッキーマスターですんまへん。

【3-2】《空長魚の群れ》



【3-3】《転倒の磁石》



【3-4】《ゴーレムの職工》



【3-5】《絡み線の壁》








このパックでなんとなーく色合ってるカード取ったそこの君!喝っ!!!
感染か否かを問わず、序盤をがっちり止めてくれる《絡み線の壁》は金属術系のコントロールでは必須パーツ。ここテストに出るから覚えておくように。

【3-6】《粉砕》



【3-7】《冷静な反論》



【3-8】《謎鍛冶》



【3-9】《水銀の縛め》



【3-10】《剣爪のゴーレム》



【3-11】《金切り声のシルカウ》


ミラディンの傷跡が減って活躍の場も減っちゃったけど、感染界のエース《疫病のとげ刺し》を止めれるナイスな奴なんです。
特にとるものが無い順目で拾っておくと、感染デッキへの耐性が上がっていい感じです。

2パック目で指針はほとんど決まっていたので3パック目はほとんど迷うところもなかったですね。
流れ的には色選択も結構良かったんじゃないかな。右へ左へ《剃刀のヒポグリフ》が飛んで行ってしまったとこだけが気になります(笑)

出来上がったデッキはこちら。

Takuya Osawa / 「赤青tテゼレット」
MO8-4draft / 3-0

7 《島》
2 《沼》
9 《山》

-土地(18)-

2 《謎鍛冶》
1 《絡み線の壁》
1 《マイアの種父》
1 《鉛のマイア》
2 《ヴァルショクの模造品》
1 《嵌め乗りの滑空者》
1 《回転エンジン》
2 《オーガの抵抗者》
1 《空長魚の群れ》
1 《ゴーレムの職工》
1 《カルドーサの炎魔》
1 《マイアの戦闘球》

-クリーチャー(15)-
1 《粉砕》
2 《転倒の磁石》
1 《ボーラスの工作員、テゼレット》
1 《イシュ・サーの背骨》
1 《感電破》
1 《電弧の痕跡》

-呪文(7)-
2《尖塔の海蛇》
1《冷静な反論》
1《水銀の縛め》
1《ルーメングリッドのドレイク》
1《恐慌の呪文爆弾》
1《錆びた斬鬼》

-サイドボード-
hareruya



除去や《転倒の磁石》で耐えて、2枚の《謎鍛冶》で強力なカードを引き寄せる!
クリーチャーの質に多少不安がありますが、最低限感染クリーチャーを相打ちできたりしつつ、マナカーブもそれなりに悪くないので及第点でしょう。
そもそも、《ボーラスの工作員、テゼレット》《マイアの戦闘球》に辿り着ければいいわけですしね。


デュエルだッッ!!

Round1:黒緑タッチ赤感染
Game1 ○
《sidebording》






タフネスの低いクリーチャー、金属術のクリーチャー OUT
(《ヴァルショクの模造品》《嵌め乗りの滑空者》)
タフネスの高いクリーチャー、除去(質は問わず) IN
(《尖塔の海蛇》《水銀の縛め》)
感染とはとにかく1対1を取っていくことが重要なので、あらゆる除去という除去は全ていれましょう。今回のデッキの構成的にも、消耗戦に持ち込めれば勝ちは目前です。

Game2 ×






感染クリーチャーで攻め立てられ《汚れた一撃》から無理矢理「毒」9個にされたが、 なんとか踏み止まる。
しかし不用意に《ゴーレムの職工》で自身に飛行を与えてアタックしてしまい《ピスタスの一撃》を喰らって死亡。
後から考えれば、相手の行動からも全然予想できてもおかしくなかったですね。まだまだ環境理解度が低い証拠です。

Game3 ○






相手メインカラーであろう黒マナ引けず。
感染は対戦相手に与える効果が大きい分、召喚が遅れた時はかなり寂しい存在に。
無理して色をタッチするよりも安いカードを使ってデッキ全体を安定させるほうが活き活きしてくれますね。

サイドから投入した《水銀の縛め》は良い活躍したなー。

Round2:白赤
Game1 ○

Game2 ○
赤が中心の素直なビート。
懸念してた《剃刀のヒポグリフ》やかなり苦手であろう《火膨れ杖のシャーマン》を出されることなく、相変わらず《カルドーサの炎魔》《マイアの戦闘球》が絶好調でした。レア強いゲーですいません。

Round3:黒緑感染+《肉体と精神の剣》
Game1 ○
《絡み線の壁》《マイアの種父》《オーガの抵抗者》で耐えて《謎鍛冶》《マイアの戦闘球》を引いてきて勝ち。
理想的な動きですね。

Game2 ○
《肉体と精神の剣》や恐らくサイドカードであろう《ヴィリジアンのお祭り騒ぎ》を出されるも《謎鍛冶》から《粉砕》《イシュ・サーの背骨》がギリギリ間に合って、《カルドーサの炎魔》《イシュ・サーの背骨》のコンボも決めつつ勝ち。
今回は運良く対処できましたけど《ヴィリジアンのお祭り騒ぎ》はサイドカードとしてとても良いカードなので要チェック。2-0してくる相手ともなると抜け目ないです。

今回はカードパワーの高いカードが多く取れ、それを生かすことができたので3-0できました。
結果として、青が比較的空いていたことで、青いカードをある程度集める事が出来、初手の《ボーラスの工作員、テゼレット》が活きる形になりましたが、意識しすぎて《カルドーサの炎魔》を取らなかったり、青と黒に固執していたら全く違う結果になっていたと思います。
ピックの時にも触れたように2-3のマイアが《鉛のマイア》じゃなかったら《剃刀のヒポグリフ》を取っていましたし、それが違う色のカードでも同じです。
ただ、初手を無視して何でもかんでも強いカードから取れということではなくて、例えば1-1で《ボーラスの工作員、テゼレット》を取り、デッキの点数が+5されたとしましょう。
そこから+5の《ボーラスの工作員、テゼレット》を使うために+3の赤いカードと+1の青いカードの選択で青いカードを取り続けていたら簡単に《ボーラスの工作員、テゼレット》の+5の差は埋まってしまいます。
【1-1】も【2-3】も【3-10】も全部同じデッキの1枚になり得るカードですからね!

このデッキの個人的なMVPは《謎鍛冶》ですね。
《ボーラスの工作員、テゼレット》が取れたこともあり、最初からアーティファクトの意識を多少強くしていたおかげで他のプレイヤーが敬遠気味だった《謎鍛冶》を【2-11】、【3-8】で取れたことが大きかったですね。今回のような順目で取れることはなかなかないカードですが、青は基本的に飛行や金属術で押すビート系になることが多いので、カードの強さの割に、比較的遅く流れているところを目撃するカードではあります。

本来なら教科書に載ってるような感染デッキを組み上げて華麗に3-0したかったのですが、思ったよりも自分が感染のカードの点数が低いことに今週10回目のドラフト辺りでようやく気づきました・・・。
人によってプレイスタイルがあるように、ドラフトのピックにもスタイルがあります。僕の場合だと、競合するリスクというものを人よりも重く見る傾向があるので、感染デッキを組むことが相対的に少なくなっているのかもしれません。
でもやはり、対戦する感染デッキは非常に強力なことが多いですし、感染デッキにも積極的に触れていく事で、他のアーキタイプへの理解度も高まるはずなので、自分の中でもうちょっと感染の意識を高めていこうと思っています。

次回の記事では、待望の新エキスパンション”新たなるファイレクシア”が入ったドラフトについてお届けして行こうと思います。発売日の直前になりますが、プレリリースパーティー等もありますので、出来る限りの情報をかき集めて、皆様にお届け出来ればと思っています!エキスパンション名からも、感染デッキが強まる予感がしますが、どうなるか今からとても楽しみです。
今回は、既に全カードリストが発表されているので、発売前にドラフト戦略のあれこれを考えるのも楽しいかもしれません。気になるコンボやこのアーキタイプは強そう!なんてものがあれば、是非コメント欄に書き込んで見て下さい!僕が人身御供となって試してこようと思います!

それでは、今週はこの辺で!