はじめに
みなさん、こんにちは。
予選シーズンも終了し、落ち着いた感があるモダンですが、来月には『第26期モダン神挑戦者決定戦』が開催されます。
さて、今回の連載では『Modern Challenge』と『Secret Lair Showdown Championship』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Challenge 2/24
環境を激変させた《ギルドパクトの力線》
開催日:2024年2月24日
優勝 Domain Zoo
準優勝 Asmo Food
3位 Mono Black
5位 Rakdos Scam
6位 Rakdos Scam
7位 Rakdos Scam
先週末に開催された『Modern Challenge』では、Rakdos Scamがプレイオフに3名と健闘していました。
優勝したのは、各地の地域チャンピオンシップでも結果を残していた《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》入りのDomain Zooとなっています。
デッキ紹介
Domain Zoo
《力線の束縛》が登場したことでトーナメントレベルに復権したDomain Zooでしたが、『カルロフ邸殺人事件』から《ギルドパクトの力線》を得てさらに強化されました。
フェッチランドからショックランドやトライオームをサーチできるため「版図」によるマナコストの減少が容易で、《部族の炎》《力線の束縛》《ドラコの末裔》といった「版図」カードを最大限に活かすことができます。
☆注目ポイント
《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》は現モダンの定番コンボとなっています。《ギルドパクトの力線》によって《ドラコの末裔》をわずか2マナでプレイできるようになり、土地でないパーマネントが5色になるため自軍のクリーチャーが警戒・呪禁・絆魂・先制攻撃・トランプルを持つようになります。
サイドの《毒を選べ》は3種類のカードに対応できるスペルで、多くのデッキのサイドに採用されています。《一つの指輪》や《血染めの月》、同型の《ドラコの末裔》、Izzet Murktideの《濁浪の執政》など問題となるパーマネントを1マナで処理できる優秀なカードです。
Modern Challenge 2/24
版図のワンツーフィニッシュ
今大会でも《ドラコの末裔》+《ギルドパクトの力線》コンボを搭載したデッキが結果を残していました。特に各地の地域チャンピオンシップでも活躍していたDomain CascadeやDomain Zooが高い勝率を出しています。
デッキ紹介
Domain Cascade
Domain Cascadeは、現環境トップメタであるTemur Rhinosをベースに《ドラコの末裔》+《ギルドパクトの力線》コンボを搭載した「続唱」デッキです。これまでは決め手がほとんどサイ・トークンによるものでしたが、2ターン目の《ドラコの末裔》という勝ち手段が新たに追加されました。
☆注目ポイント
《ギルドパクトの力線》の恩恵を受けるのは《ドラコの末裔》だけでなく、フレキシブルな除去である《力線の束縛》も使えるようになるため、環境のさまざまな厄介なパーマネントを対処できるようになりました。
《ギルドパクトの力線》がゲーム中に手札に来てしまったとしても、《否定の力》や《緻密》などのピッチスペルのコストにすることができます。
また、新戦力は力戦だけではありませんでした。諜報ランドはフェッチランドや基本土地サイクリングでサーチすることができ、「続唱」スペルなどのキーカードを探しやすくなっています。デッキの構成上、1ターン目のアクションに貧しかった「続唱」デッキにとって大きな収穫となりました。
Modern Challenge 2/25
Izzet Murktideが複数入賞
地域チャンピオンシップでは振るわなかったIzzet Murktideがプレイオフに3名と健闘していました。Domain Zooは今大会でも結果を残しているなど、《ギルドパクトの力線》が与えた影響の大きさが確認できます。
Esper Reanimator
《御霊の復讐》を使ったリアニメイトデッキ。トップメタではないもののたびたび見かけるデッキで、爆発力があり『チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド2』でも結果を残していました。リアニメイトプラン以外にも、《悲嘆》や《孤独》を《儚い存在》で使いまわすScam要素も搭載されています。
Esper Reanimatorと呼ばれていますが、リアニメイトスペルは《御霊の復讐》のみで、《虹色の終焉》や《緻密》《孤独》など優秀な妨害手段がそろっているため、コントロールデッキのように振る舞うことも可能です。墓地対策されるサイド後は、コントロール寄りにシフトしていく構成になっています。
☆注目ポイント
《儚い存在》は各インカーネーションをブリンクする以外にも、《御霊の復讐》でリアニメイトした《偉大なる統一者、アトラクサ》などを対象にすることで終了ステップに追放させることなく戦場にキープすることができます。
クリーチャーを墓地に落とす手段は《信仰の繕い》と《染みついた耽溺》という2種類のルータースペルです。《御霊の復讐》含めてどちらもインスタントなので、墓地になにもない状態からいきなりリアニメイトを決めることができます。
《ファラジの考古学者》はデッキを掘り進めつつ《御霊の復讐》を回収できる優秀なクリーチャーです。
諜報ランドは性質上リアニメイトデッキと相性がよく、運がよければ1ターン目の諜報で《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に落とし、2ターン目にリアニメイトといったブン回りを可能にします。
Secret Lair Showdown Championship
多色デッキが強い環境
Split the finals of the Secret Lair Showdown. Unreal feeling right now. On top of the world. Ended up with the oversized card as a part of the deal. Please do not play this 4c list! #MagicConChicago pic.twitter.com/O4JAJkRgsd
— Mae (@MaeTcg) February 25, 2024
先週末にアメリカ・イリノイ州シカゴで開催された『MagicCon: Chicago』の目玉イベントであった『Secret Lair Showdown Championship』。参加者32名のシングルエリミネーション5回戦で、Domain Cascadeと4C Omnathが決勝戦でスプリットするという結果になりました。
『Secret Lair Showdown Qualifiers』でトップ8に入賞したプレイヤーが参加でき、今大会の優勝者にはユニークな絵柄の《暗黒の儀式》が与えられました。
デッキ紹介
4C Omnath
《豆の木をのぼれ》が退場したことで《レンと六番》や《虹色の終焉》を採用したバージョンに戻っています。
《力線の束縛》《レンと六番》《時を解す者、テフェリー》《創造の座、オムナス》といった強力なカードにアクセスできるところが魅力で、《一つの指輪》を強く使えるデッキのひとつになります。
☆注目ポイント
《復活した精霊信者、ニッサ》は《創造の座、オムナス》などの脅威を1ターン早くプレイすることを可能にします。フェッチランドと組み合わせることによって、追加で《創造の座、オムナス》や《孤独》を手に入れることが可能です。能力を最大限に活かすために《復活した精霊信者、ニッサ》をプレイした後にフェッチランドをプレイするなど順番にも気をつけたいところです。
《創造の座、オムナス》によるライフゲインとマナ加速があるので、《一つの指輪》を強く使うことができるデッキになります。《一つの指輪》によるアドバンテージのおかげで、《孤独》などピッチスペルのコストも払いやすくなりマナフラッドの問題も解消されます。
《ドラコの末裔》対策として《至高の評決》がメインから採用されています。スイーパーは《喜ぶハーフリング》と相性は悪いものの、単体除去が中心のこのデッキにとっては《ドラコの末裔》は脅威となります。サイドには「続唱」デッキ対策として《虚空の杯》が3枚と多めに積まれています。
総括
Domain ZooやDomain Cascadeなど《ギルドパクトの力線》デッキが複数のイベントで結果を残し続けています。
3月には禁止改定があり、猛威をふるっている「続唱」デッキの《暴力的な突発》や前回禁止を免れた《悲嘆》あたりが禁止になるのではと噂になっています。今後のモダン環境がどうなっていくのか楽しみですね。
USA Modern Express vol. 110は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!