Round 4: 片寄 真吾(神奈川) vs. Anthony Welsh(東京)

晴れる屋

By Daisuke Kawasaki


  スイスラウンド最終戦。

 このイベントは、16人の4回戦でトップ8が選出されるため、7点が安定ラインと予想された。そのため、この時点で2勝し6点を獲得しているプレイヤーたちは、IDによって安全圏の7点を確保できるのだ。

 スタンディングを見て、その状況を理解したプレイヤーたちは、もうひとつ不穏な事に気が付いた。そして、ペアリングが発表されると、ひとりのプレイヤーが悲鳴をあげた。Anthony Welshだ。

 そう、この時点で4点のプレイヤーがおり、6点のプレイヤーがひとり、下あたりによってIDのできないガチ勝負をしなければならず、その運命のくじ引きを引き当ててしまったのがAnthonyだったのだ。

 対するのは、Round 3でもフィーチャリングされていた青黒コントロールをプレイする片寄 真吾。Anthonyの使用するデッキは赤黒吸血鬼なので、相性的には多少優位に見えるが、コントロールデッキを使い続けている片寄のプレイ技術は折り紙付きだ。

 運命のいたずらによって、自力でトップ8への扉を開けなければならなくなってしまったふたり。果たして、勝利をつかみ取るのはどちらか。


Game 1

 先手のAnthonyは《溶岩爪の辺境》のセットから、2ターン目に《恐血鬼》という展開。さらに3ターン目にセットランド前に《恐血鬼》をプレイされ、これを通すと、Anthonyは2枚目の《溶岩爪の辺境》をセットする。

 片寄はターンエンドに《恐血鬼》《喉首狙い》で除去すると、自分のターンに《コジレックの審問》をプレイ。《喉首狙い》《四肢切断》《電弧の痕跡》、さらに4枚目の《恐血鬼》という手札を見て片寄は悩んだ末に《電弧の痕跡》をディスカードさせる。

 そして土地をセットできずにターンを返す片寄。

 そのまま3枚目の土地を引き当てるために2ターンを要した片寄。一方のAnthonyは3体目の《恐血鬼》をプレイしつつ、土地をセットし、《恐血鬼》を戻しつつ《溶岩爪の辺境》を起動するマナを確保してしまう。

 なんとか《黒の太陽の頂点》をプレイし、盤面を一掃した片寄だったが、すでにライフは10を大きく割り込んで4。返しのターンにAnthonyが土地をセットすると、深くため息をついて、土地を片付けた。

Anthony 1-0 片寄


Game 2

 先手を選んだが、マリガンスタートとなってしまった片寄。土地が3枚に《定業》《弱者の消耗》《真面目な身代わり》という手札をキープし、1ターン目に《定業》を撃つ。

 対して、Anthonyは1ターン目に《吸血鬼の裂断者》をプレイするという高速な立ち上がり。さらに《溶岩爪の辺境》をセットしつつの《臓物の予見者》プレイと攻め手を緩めない。

 片寄は《ジェイス・ベレレン》をプレイし、<-1>能力で自分だけドロー、この《ジェイス・ベレレン》は片寄のライフを2点守って墓地に置かれる。

 Anthonyは3ターン目に片寄を警戒して追加のクロックを用意しない。そして片寄の呼び出した《真面目な身代わり》をディスアドバンテージを承知で《破滅の刃》で墓地に送り込み、《溶岩爪の辺境》《臓物の予見者》《吸血鬼の裂断者》でアタック、片寄のライフは12となってしまう。

 片寄は《蔑み》をうち、Anthonyの手札が《吸血鬼の呪詛術士》《マラキールの門番》《黒割れの崖》《竜髑髏の山頂》の土地2枚というのを確認すると、《吸血鬼の呪詛術士》をディスカードさせ、ターンを終了。そして、Anthonyのアタックに対応して《弱者の消耗》を撃つ。

 これに対応して、《臓物の予見者》の占術を使い、《四肢切断》《竜髑髏の山頂》《稲妻》と山札の下に送り込んだAnthony。一方で片寄は《コジレックの審問》を使い、残る有効杯である《マラキールの門番》をディスカードさせる。

 占術で山札の上をフレッシュにしていたAnthonyは《吸血鬼の裂断者》をトップデックし、これをプレイするのだが、《皮裂き》の餌食に。続くトップデックも《四肢切断》ではあったが、これは片寄の《コジレックの審問》プレイに対応して使用し、片寄の《コジレックの審問》を無効化する。

 しかし、片寄が《ジェイス・ベレレン》をプレイし、カードを引き始めると、一気にゲームが片寄のペースになる。片寄は《忍び寄るタール坑》でAnthonyのライフを削りはじめる。

 《ジェイス・ベレレン》への対抗策となる《吸血鬼の呪詛術士》は引き当てたものの、返しで登場した《ワームとぐろエンジン》への対抗策をもたなかったAnthonyは、Game 3をはじめる事を促した。

Anthony 1-1 片寄

 運命のいたずらで直接対決をせざるを得なくなってしまったふたりの対決は最終戦までもつれこむ。


Game 3

 再び先攻はAnthonyに。


 Anthonyは手札を見るなり、力強くキープを宣言したが、片寄は自分に配られた7枚の手札を見て、そして熟考の後にマリガン。

 3枚の土地に《ジェイス・ベレレン》《弱者の消耗》《墓所のタイタン》という手札をキープするが、青マナに不安が残る。

 一方のAnthonyは1ターン目こそ展開はできなかったものの、2ターン目には《吸血鬼の呪詛術士》、そして3ターン目には《カラストリアの貴人》を盤面に追加していく。

 片寄は、2枚目の青マナを引く事ができない。

 《カラストリアの貴人》《喉首狙い》て対処したものの、再び、必要なマナを手に入れるのに2ターンもの時間を要してしまった。

 Anthonyは《吸血鬼の呪詛術士》だけでクロックを刻む。そして、この《吸血鬼の呪詛術士》《皮裂き》の餌食になりそうになると、能力を使用して、《皮裂き》自身に-1/-1カウンターを3つ載せる事を片寄に要求し、その後、新たなクロックとして《マラキールの門番》を追加する。

 この《マラキールの門番》がアタックして片寄のライフは10。さらに《吸血鬼の呪詛術士》を追加されると、片寄は小考の末に、ターンを返す。

 ここでAnthonyが召喚したのが《カラストリアの貴人》。この盤面で《カラストリアの貴人》が通ってしまっては、あっという間に10点のライフを吸い尽くされてしまうので、対応して《弱者の消耗》を使用。《ジェイス・ベレレン》《吸血鬼の呪詛術士》の呪いの犠牲となる。

 Anthonyは《マラキールの門番》を追加し、2マナを残してターンを終了。片寄は、悩んだ末、《黒の太陽の頂点》をプレイ。Anthonyの吸血鬼たちは、《カラストリアの貴人》の力で片寄のライフを吸い取り、片寄の残りライフは6に。

 返すターンにAnthonyは《吸血鬼の裂断者》をプレイ。一方の片寄は《墓所のタイタン》をプレイする。この《墓所のタイタン》《喉首狙い》で対応したAnthonyは《記憶殺し》をプレイ。宣言は、《ワームとぐろエンジン》

 この呪文はカウンターされず、公開された手札は《ジェイス・ベレレン》《黒の太陽の頂点》《墓所のタイタン》が2枚というもの。《墓所のタイタン》を指定すれば良かったと公開しつつも、片寄のライブラリーから《ワームとぐろエンジン》を追放するAnthony。

 片寄は、ばれているならと《墓所のタイタン》を2体連続で召喚し、2ターンの時間制限をAnthonyに与える。序盤をしのぎきった片寄が、このまま一気に逆転勝利でトップ8に駒を進めることになるのか。

 だが、最後のターン、Anthonyのトップデックは《稲妻》。これをプレイし、そして、もう1枚ずっと握っていたカードをプレイする。

 それは、2枚目の《稲妻》

Anthony 2-1 片寄