決勝戦: Manuel Traboco(東京) vs. 平松 葵(東京)

晴れる屋

By Daisuke Kawasaki


  新エキスパンション発売一か月後に、新環境スタンダードを占うべく開催されはじめた、Gameday。世界的に同時開催されているこのイベント。新エキスパンションが出た後のスタンダードを楽しむという意味合いがあるとか無いとか。
 だが、基本セット2012は、少し特殊な状況に置かれていて、発売日翌日に開催された日本選手権を皮切りに、各国の選手権が開催され、楽しむという視点ではなく、トーナメントマジックに非常に特化した形で、通常では考えられないようなスピードでメタゲームが進んでいった。日本選手権でTOP8に二人いた、《鍛えられた鋼》デッキはアメリカ選手権には一人もいなかったし、逆に、Caw-Bladeは、日本選手権には一人もいなかった。
 そんなめまぐるしく動くメタゲームは、誰かが”流行っている!!”といって無理矢理に作るわけでもないし、”Caw-Bladeを使ってトーナメントに出るとお小遣いが貰える!!”なんていう陰謀が渦巻いているわけでもない。誰かが使った、秀逸なデッキレシピが、共感を呼び、伝播し、メタゲームを形成していく。
 Gamedayは世界同時開催と先ほどもいった。つまり、今後のメタゲームを、世界中で考えたプレイヤー達が、同時に発表会に臨んでいるようなものなのだ。
 そして、「俺のデッキは強い!」とわかりやすく勝ち名乗りを上げる権利は、単純明快にGamedayの優勝者に与えられる。
 
 最後に、勝ち名乗りをあげるのは、果たしてどちらなのか?勝負の行方を見てみよう。

Game 1

 先手平松。互いに、逡巡も無く、キープを宣言。
 《天界の列柱》スタートで始まる。Trabocoは、《ゴブリンの先達》スタートという上々のスタートだが、《定業》がめくれているのに、1マナだけ立ててターンエンドする平松に対し、少し悩むが、《燃え上がる憤怒の祭殿》をプレイ。だが、ここは平松が一枚上手。きっちりと《呪文貫き》されてしまう。

 《ゴブリンの先達》《四肢切断》されるものの、決勝までたどり着いた原動力となった(?)《焼炉の悪獣》をプレイする。

 だが、このあたりからが世界を席巻している、Caw-Bladeの得意とする時間帯。《戦隊の鷹》で手札を増やしつつ、いまいちクロックを用意できないTrabocoに対して、ビートダウンキラーの代名詞、《ギデオン・ジュラ》を降臨させる。Trabocoは当然のように、しかめっ面をする。

 しかし、それだけでは諦めない。自分にはまだライフがあるし、手札もある。悲観する必要などどこにも無いとばかりに、果敢に攻める。
 地上からアタック出来なければ、火力で焼いてしまえばいい。

 《電弧の痕跡》《炎の斬りつけ》で相手のクリーチャーを退けながら、既に攻撃に転じている《ギデオン・ジュラ》の間隙を突き、平松のライフを削ろうとするTraboco。
 しかし、冷静沈着な平松が、無謀なアタックをするわけも無く、安全圏だと判断してアタックしているのである。当然のように、《天界の列柱》《ギデオン・ジュラ》によって、Trabocoのライフは削り取られてしまった。

Traboco 0-1 平松


Game 2

 1ターン目《渋面の溶岩使い》という良いスタートから、平松は少し厳しめのキープだったのか、4ターン連続で何もしない。合間に打った《稲妻》を含めて、既に平松のライフは14。

 何もしてこない平松を見て、いぶかしげに思ったTrabocoは、《よろめきショック》で平松の様子を探ろうとするが、《マナ漏出》をするだけで、アクションと言えるアクションを何もしない。


 これに対し、淡々と、毎ターン《渋面の溶岩使い》がライフを蝕んでいく。

 マナが6マナに到達したあたりから、平松がゲームの主導権をとろうと積極的に動き出す。
 まずは小手調べと言わんばかりに、《刃砦の英雄》をプレイ。Trabocoも手札を温存している状態だったので、これは難なく《渋面の溶岩使い》《稲妻》で処理。さらにもう1体も同じコンビネーションで処理するのだが、その上から出てきたのは、《太陽のタイタン》

 これは、大きく悩んで《燃え上がる憤怒の祭殿》で処理して、《太陽のタイタン》によって帰ってきていた《ジェイス・ベレレン》《渋面の溶岩使い》によって処理。残りの墓地の枚数は3枚と、少し不安は残るが、盤面だけで見れば、Traboco優位の場を築き上げる。

 だが、平松の手札から出てきたのは、《呪文滑り》とトップデッキした《戦隊の鷹》

 そして、潤沢な土地があるため、瞬く間に4匹の鷹が戦場に舞い降りる。

 相手のライフを先に削りきるための攻勢に特化しているTrabocoのデッキは、《太陽のタイタン》に大きな飛び道具である《燃え上がる憤怒の祭殿》を割いてしまっている時点で、相当に厳しいはずなのだが、このタイミングで出てくる《戦隊の鷹》は更に最悪である。

 1:複数交換が出来るカードが《電弧の痕跡》しか入っていない上に、このタイミングで《電弧の痕跡》を持っているわけでもなければ、あったとして、それを《戦隊の鷹》に打っている余裕は無い。《渋面の溶岩使い》だって弾数に限界があるのだ。

 基本セット2011で登場し、約半年間見向きもされず、浅原によって活用方法を見出され、ミラディンブロックから各色の剣という相棒を得たことによって、環境を代表するクリーチャーとなった、対処しづらい、回避能力持ちの4点クロックが、Trabocoに敗北の2文字をちらつかせる。

 《呪文滑り》によって、満足にクリーチャーを排除出来ず、小分けにされた《戦隊の鷹》達は、複数枚のカードを使っての対処を要求し、さらには、《黄金のたてがみのアジャニ》を追い落として、基本セットレギュラーへと昇格を果たした、《ギデオン・ジュラ》が、戦場へと着地したところで、Trabocoは平松にGameday優勝の祝福を行った。

Traboco 0-2 平松


Conguraturations!! Mamoru Hiramatsu!!!