Hareruya Wayfinder 『サンダー・ジャンクションの無法者』編
新セット恒例企画「Hareruya Wayfinder」!
「Hareruya Wayfinder」とは、晴れる屋がスポンサードしている“Hareruya Pros”による新環境のデッキ紹介企画です!
今回も『サンダー・ジャンクションの無法者』のカードを使った新デッキをたくさん紹介します!また、新カードの登場で再評価したカードも挙げてもらいました!
松浦 拓海
ボロスヒロイック(スタンダード)
自分はパイオニアでこのデッキが大好きなのですが、今回はスタンダードで組んでみました。新カードのなかで、みなさんも注目されているであろう《精鋭射手団の目立ちたがり》を使用したデッキです。
ヒロイックデッキのように従来通り《照光の巨匠》での勝利も期待できますが、《精鋭射手団の目立ちたがり》を「計画」からプレイして大量のスペルを撃ち込んで大ダメージを与えることを狙います。
妨害が一切なければの話にはなりますが、1ターン目《悪魔の大騒動》を計画、2ターン目《精鋭射手団の目立ちたがり》を計画、3ターン目に計画をしたカードと合わせて《巨怪の怒り》と《双業火》で二段攻撃を付与できれば、3ターン目にして20点叩き込むこともできます。実際には少しずつ削っていって隙を見て大ダメージというのが多そうです。
また、2マナ5点の《焦熱の射撃》は赤いデッキの新たな《黙示録、シェオルドレッド》対策です。赤単のように複数のクリーチャーで攻撃していくデッキであれば、《魔女跡追いの激情》を使用するのがいいと思いますが、このデッキのようにクリーチャーが複数並ばないデッキならこちらも使用候補に挙がることでしょう。
イゼットアーティファクト(スタンダード)
ファストランドの再録で組めるようになった軽いカードを詰め込んだ2色デッキです。新カードを複数採用しています。
《失われた十手》は軽い飛行クリーチャーと相性が良いですし、アーティファクトなので《攪乱プロトコル》《泥棒隼の事件》など相性の良いカードが複数あります。
《軍団の成形機械》は《砕骨の巨人》を思い出させるスペックで、《大洞窟のコウモリ》や《苔森の戦慄騎士》などの軽いクリーチャーを除去したあと、1マナの各種クリーチャーや《双眼のマルコム》などから出たアーティファクト・トークンを3/3に変えてくれます。
《うつろう騙し取り》はこのデッキであれば、マナさえ払えば相手のカードとこちらのトークンや1マナのカードと相手の強力なカードを交換することができます。《強欲の計略》のようなカードを送り付けるのもいいですが、単純にこちらの軽いカードと相手の重いカードを交換するだけでも十分強いと思います。
再評価カード
《英雄の公有地》
今回のセットでは、多色の伝説の呪文が数多く収録されているので、それらを使用する際には非常に便利なものになると思います。最近では『第26期スタンダード神挑戦者決定戦』で優勝した4色レジェンズのように一部のデッキでしか使われていませんでした。《英雄の公有地》といえばほかにはエスパーレジェンズなどで使われてきましたが、ファストランドの再録も相まってエスパー以外の色の組み合わせの伝説のカードだらけのデッキが出てくるかもしれません。
ファストランドと同じ色のミシュラランド
ゴルガリ、アゾリウス、ディミーアのミシュラランドは、それらのデッキなどで多く使用されてきました。ただ、それらの色の組み合わせのデッキが存在しなかったミシュラランドは、ほとんど使われてきませんでした。ファストランドの再録によって2色のアグロ~ミッドレンジデッキに新たなバリエーションが生まれるでしょう。そのときにはこれらのランドたちは、複数枚採用されることになると思います。土地のバリエーションが多いことは、スタンダードに関していえば想像以上に影響を与えるでしょう。
平山 怜
ラクドス悪事(スタンダード)
新セットの「悪事を働く」ギミックを多く入れたデッキです。《見捨てられた鉱夫》や《陽気な擲弾兵、薬瓶砕き》で素早いゲームも狙えながら、《笑う者、ジャスパー・フリント》や《用心棒、ラクドス》でリソースゲームも戦うことができます。
《チビボネの加入》や《陽気な擲弾兵、薬瓶砕き》で悪事を働きつつ、新セットのレアをマナカーブ順にプレイするデッキです。2色デッキであり、中身がレジェンドばかりなので《英雄の公有地》などバリューランドを多く採用できます。特に《廃墟の地》や《鋸歯の痩せ地》は悪事を働くことができるランドとして注目しています。
《用心棒、ラクドス》は《見捨てられた鉱夫》と特に相性がよく、《見捨てられた鉱夫》を生け贄に捧げればラクドスの効果で悪事を働き、すぐに《見捨てられた鉱夫》を場に戻しつつ相手のデッキトップを奪うことができます。
《ラクドスの加入》コンボ(スタンダード)
《アブエロの覚醒》《ラクドスの加入》《巨体変異》を用いた無限ダメージコンボデッキです。墓地に《ラクドスの加入》《巨体変異》があれば《アブエロの覚醒》1枚で無限ダメージになります。
コンボの手順は以下です。
■コンボ手順
③ 《巨体変異》で《ラクドスの加入》をコピー。レジェンド・ルールで《巨体変異》を墓地に送る。
④ 《ラクドスの加入》の死亡誘発で相手にダメージ、《ラクドスの加入》(《巨体変異》)の場に出たときの効果で再度《巨体変異》を出す。
無限!!
《巨体変異》が《ラクドスの加入》をコピーできるように《アブエロの覚醒》を経由しなければならないためひと手間ありますが、墓地が整っていれば《アブエロの覚醒》1枚で即死コンボになります。夢がありますね。
《巨体変異》のエンチャント版(エンチャント・クリーチャーとして場に出るエンチャントのコピー)が出れば《ラクドスの加入》との2枚コンボになるので、将来に期待です。
《三重の稲妻巨人》は《アブエロの覚醒》と《ラクドスの加入》両方の対象になるサブプランです。《アブエロの覚醒》も《ラクドスの加入》もサイズをあげるので《三重の稲妻巨人》と地味に相性が良いのが推しポイントです。
再評価カード
《微小術師》
1マナのスペルしかサーチできないこのカードは、カードプールの狭いスタンダードだとどうしても使いづらいカードでした。新セットでは多数の「放題」呪文が収録されていますが、その多くは1マナです。ということで、《微小術師》の選択肢がたくさん増えました!特におすすめのサーチ先は《三歩先》。カウンターしつつ《微小術師》をコピーすることで次のサーチで《三歩先》をもう一度……。
《硬化した屑鉄喰らい》
《厄介者、ギサ》のような強力な能力を持った悪事カードは、できれば出したターンに誘発させたいです。継続的に悪事を誘発させられるカードの評価は上がるでしょう。できればカードパワーが担保されたものがいいです。《硬化した屑鉄喰らい》は、カードプールの増えた今のスタンダードではあまり見かけなくなりましたが、悪事を誘発する手段として再び使われるようになるかもしれません。
《霊気の薬瓶》
下環境注目カードの《潜入者、悟》。毎ターンマナを使わずにクリーチャーを出せるこのカードとは相性抜群です。《霊気の薬瓶》や《魂寄せ》を使って毎ターン《潜入者、悟》でカードを引くデッキは、新環境でまず試したいデッキです。
ハビエル・ドミンゲス
黒単《無駄省き》(パイオニア)
『サンダー・ジャンクションの無法者』は黒単にとって相性の良さそうなカードがいくつか収録されている。黒単《無駄省き》はパイオニアのまともな競技デッキであり、数枚ほど新カードを迎え入れられそうだ。
このデッキは基本的に「悪事を働く」ように組んであるため、《懲罰者、ケアヴェク》は新カードのなかでも最も有望なクリーチャーだろう。ハンデス呪文を多く採用することで、すでに唱えた妨害呪文を再利用することができ、ケアヴェクはゲームを支配するのに十分な脅威となる。
同じような理由で《厄介者、ギサ》も優秀なカードだろう。カード単体では《黙示録、シェオルドレッド》に劣るが、妨害呪文とのシナジーはこちらのほうがはるかに優れており、デッキ内の「悪事を働く」カードすべてと本当に相性が良い。
これらの強力な伝説のクリーチャーに加えて、このアーキタイプでプレイできそうなカードがもう1枚ある。それが《限りない強欲》だ。このデッキはときにマナフラッドに陥ることがあるが、その状況下での3枚ドローは勝利を大きく引き寄せてくれるだろう。
それだけでなくチューターモードもかなり強力で、《絶滅の契機》や《死人に口無し》を持ってきたり、長期戦になったときは《黙示録、シェオルドレッド》をサーチとちょっとしたシルバーバレット戦略をとることが可能だ。
もし《限りない強欲》が想定より強いカードだとしたら、このアーキタイプ全体の構築が変わるかもしれない。トップデッキ勝負に強くなることで、ドローしたカードをすぐに使えるよう軽い除去呪文を採用できるようになったり、カードパワーはあるが相手の盤面次第ではすぐに落とされてしまう《ヴェールのリリアナ》のようなカードは、必要なときに持ってくればいいので減らすことができる。
ディミーアコントロール(パイオニア)
このデッキは《再覚醒したジェイス》と《嘘の神、ヴァルキー》のシナジーを最大化しようと試みたコントロールデッキだ。
「計画」のルールに則れば、4ターン目に《再覚醒したジェイス》をプレイして《嘘の神、ヴァルキー》を計画状態にし、5ターン目にすべてのマナが使える状況で《星界の騙し屋、ティボルト》としてプレイできる。おまけとして《死人に口無し》を付け加えれば、更地の盤面にティボルトが着地することになるのだ。
プレインズウォーカーで勝つことを目指しているため、ほとんどのスロットは対戦相手の妨害や比較的早くコンボを決めれることに特化している。そのため《推理》のようなカードは入っているが、少し遅く4ターン目のジェイスと動きが被る《記憶の氾濫》は採用していない。
また《再覚醒したジェイス》はコンボだけでなく、不要なカードをルーティングする非常に貴重な手段でもある。重めのコントロールデッキにとってルーティングはかなり重要で、コントロールデッキ相手の全体除去やアグロデッキ相手の遅いカードなど、マッチアップによって腐るカードを有効牌に変えられるからだ。
そのため《再覚醒したジェイス》は、ほとんどのデッキに対して有効だと予想している。同様に《嘘の神、ヴァルキー》も、相手のクリーチャーを奪えれば2マナのクリーチャーとして及第点であるし、コントロールデッキには7マナのフィニッシャーとして機能する。彼らを賢く使おう!
再評価カード:《嘘の神、ヴァルキー》&《再覚醒したジェイス》
《嘘の神、ヴァルキー》と《再覚醒したジェイス》のシナジーは世間で大きく騒がれているが、私はそこになにかがあるのではないかと思っている。5ターン目に《星界の騙し屋、ティボルト》をプレイするのは強力だと思うが、ある程度速いフォーマットで競技的に使うのは十分ではないだろう。
魅力的に感じるのは、《再覚醒したジェイス》が「計画」によって毎ターンマナを生み出す可能性があることだ。もし《再覚醒したジェイス》が構築で使われるほど優秀なカードであれば、《嘘の神、ヴァルキー》を始めとする「計画」で踏み倒せるすべてのカードが再評価されるべきだろう。
マルシオ・カルヴァリョ
グルールアグロ(スタンダード)
《精鋭射手団の目立ちたがり》を手に入れたことで十分な数の果敢クリーチャーがそろい、《巨怪の怒り》や《無鉄砲》で一撃必殺を狙えるクリーチャーが12枚となった。
このデッキの強みはその速さで、2ターン目に《精鋭射手団の目立ちたがり》を「計画」すると、対戦相手は「3-4ターン目にライフを削りきられるかもしれない」といった警戒をしてくれる。実際このデッキは容易に4ターンキルもできるし、《ピクニック荒らし》含む脅威を完璧なマナカーブでプレイできれば3ターンキルも可能だ。このカードの登場により、こちらのプランがよりスムーズに機能するようになったのだ。
白単ウィニー(パウパー)
《コーの空漁師》がデッキのエンジンで、8枚体制になった《ひよっこ捜査員》と《民兵のラッパ手》がもたらすアドバンテージに《聖なる乳牛》が絡んで、このデッキはついに輝くときが来たと思う。
新たに登場した《駅馬車の警備兵》で場に並んだ《金切るときの声》のトークンや《戦隊の鷹》をパンプすれば、いきなりゲームを決めることができるだろう。
再評価カード
《巨怪の怒り》
《巨怪の怒り》は長い間スタンダードで活躍してきたが、今後このカードは《精鋭射手団の目立ちたがり》を使うようなデッキの必須パーツになりうるところまで来ていると思う。《精鋭射手団の目立ちたがり》と《巨怪の怒り》は、さらにもう1枚《火遊び》のようなカードと合わせることで10点ものダメージを与えることが可能だ!次のスタンダードでは、高速で《精鋭射手団の目立ちたがり》にトドメをさされないか注意しよう。
《金切るときの声》
我々は忘れているのかもしれないが、このカードはリミテッドで強力なアンコモンであり、コモンになったあとはパウパーで超定番カードとして使われていた。最近では白単はそこまで注目されていなかったが、《駅馬車の警備兵》が新たに加わったことでティア1に返り咲くかもしれない。
かつては《護衛の誓約》のような全体強化を使っていたが、強く使うためには下準備が必要でトップデッキしたときも弱かった。《駅馬車の警備兵》であればとりあえず「計画」しておき、盤面に大量の鳥たちによる総攻撃が準備できたときにタダで唱えられる。この種の戦略に完璧にフィットするカードなのだ!
マッティ・クイスマ
黒単タッチ赤ミッドレンジ(スタンダード)
このデッキは《アクロゾズの放血者》と『サンダー・ジャンクションの無法者』の新カードである《戦慄の奔出》の一撃必殺コンボを搭載した破壊的なミッドレンジだ。
《チビボネの加入》と《望み無き悪夢》というエンチャントにより、「協約」の《鏡に願いを》でコンボパーツを唱えることができるだけでなく、《限りない強欲》でもサーチすることができる。豊富なチューターカードによってシルバーバレット戦略をとることができ、《危難の道》のようなカードもサーチ可能だ。また新セットから《保安官を撃て》というポテンシャルを秘めた除去を手に入れた。
このような複数のゲームプランを持つデッキは、対戦相手にとって非常にプレイが難しくなることが多い。コンボを警戒していると普通に殴りきられるかもしれないし、逆に序盤のクリーチャーに除去を使ってしまうとコンボが決まりやすくなる。
《大洞窟のコウモリ》や《分派の説教者》は、特に攻撃的なカードではないとはいえよく除去されるカードであり、《アクロゾズの放血者》が生き残る可能性が高い。また、どちらのコンボパーツも単体では死に札にならず、別々に引いても勝利に貢献できるため、コンボデッキにありがちな欠点を回避できるのも嬉しい。
再評価カード:《知識の流れ》
《知識の流れ》を軸にした青単はスタンダードに以前からあったが、最近は見かけなくなった。しかし、私はこのカードがアグレッシブな青単で最高に強力なカードとして《プロフトの映像記憶》や《精神の決闘者》と並んで再びその居場所を見つけることができると考えている!この3枚のカードは非常に相性が良く、このような戦略を試すのが楽しみだ。カードを大量に引くことが嫌いな人がいるだろうか?
ピオトル・グロゴゥスキ
悟親和(モダン)
これは古典的な「親和」デッキの亜種ですが、『サンダー・ジャンクションの無法者』の助けを借りて「親和」の名に忠実であろうとし、名前の由来であるメカニズムを最大限に活用することに重点を置いています。
《身代わり合成機》は最高級の選択肢で、すべての「親和」クリーチャーがこれを誘発させ、盤面を構築物で溢れさせます。《金属ガエル》を出すのは簡単で、7マナの「親和」クリーチャーもすぐにタダで唱えられるようになるでしょう。
そうなれば、ほとんどのクリーチャーを出したときに《潜入者、悟》でドローできますし、《戦闘急使》を「蘇生」することでも誘発します!
より多くのカードを引くことで、ターンごとに圧倒的な盤面を作り出すことだできます。《唯々/諾々》でさらにクレイジーなターンになるよう試みましたが、残念ながら《潜入者、悟》に必要な色マナを用意するだけでも大変なので、このアイデアは没になりました。《糸絡渦の橋》を増やして《ダークスティールの城塞》を減らせば、もしかすると運用できるかもしれません。
《ウルザの物語》で《影槍》をサーチし、構築物・トークンに装備させることで殴りきるプランもありますが、ここでは《失われた十手》も採用しています。それほどの価値があるかは分かりませんが、《ウルザの物語》をアンタップしてさらに多くの構築物・トークンを生み出す動きには期待できます!
再評価カード:《救いの手》
《救いの手》や《再稼働》は、デルバーデッキで《僧院の導師》や《傲慢なジン》を戻す役割を担っていました。これらをリアニメイトし、キャントリップや軽い妨害でクリーチャーを守りながら戦うのです。
《肉大工、ゲラルフ》もまた、マナが起きているときにリアニメイトして嬉しいクリーチャーなようです。戦場に戻したあとにキャントリップを1-2枚唱えることで手強い盤面をすばやく作ることができます。
言うまでもなく、敵対色のファストランドもスタンダードに戻ってきたので、必要な1マナ呪文を安定して唱えられる強固なマナベースが作れそうです。この種の戦略は、新セットで見直す価値がありそうですね。
新環境はもうそこにある!
競技シーンで活躍するプロにさまざまなデッキを構築してもらいました!『サンダー・ジャンクションの無法者』の発売が待ち遠しいですね!
今週末は晴れる屋各店でプレリリースが開催されるので、そちらもふるってご参加ください!今回紹介された新カードに一早く触れる機会でもあります。
また『サンダー・ジャンクションの無法者』の特設ページがオープンしました!各種商品の予約だけでなく、記事や動画がご覧いただけますので、ぜひご活用ください!