設定マニアが選ぶ!『サンダー・ジャンクションの無法者』推しカード10選!

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさんこんにちは、10度目まして。晴れる屋の島田と申します。

前回に引き続き、今回も4月19日に発売される新セット『サンダー・ジャンクションの無法者』の中から、個人的に感動したカードやみなさんに伝えたいことがあるカードを紹介していきたいと思います。

すりのチビボネ王冠泥棒、オーコ用心棒、ラクドス

今回の舞台は無法者の集う次元「サンダー・ジャンクション」。新規次元ではありますが、領界路によって多数の次元の結束地となったこの場所に集うのは多元宇宙中から集まった札付きの悪党たち……いやそれにしても数が多すぎるだろ!伝説のクリーチャーが次々に登場し、さながら悪役版『灯争大戦』の様相を呈してます。

そしてついに出会ったオーコとケランの親子、消息不明となっていたジェイスとヴラスカの再登場、古い伝承で語られていた「コインの帝国」とその遺産…いったい新しい多元宇宙はこれからどうなっちゃうの〜!?とドキドキしながらストーリーを読んでいたら、オーコの性格が最後まであまりにも悪くていっそ清々しい気持ちになりました。悪党はこうでなくっちゃ。

善と悪が交錯し、善人が闇に堕ちて悪党が世界を救うこともあるマジックの世界観を愛するこの企画、よろしければお付き合いください。

なお、私は毎回以下のような基準でカードを選んでおります。

・絵が可愛い

・カードデザインが美しい

・ストーリーでかっこよく活躍する

・翻訳が上手い

・キャラが好き

・昔のカードのリスペクトが詰まってる

・なんか強そう

・ドラフトで100枚ピックしたい

などなど…つまり特別決まったテーマがあるわけではないので、お気楽な気持ちでご覧ください。

また、今回もMTG公式サイトに掲載されている『サンダー・ジャンクションの無法者』のストーリーネタバレを含みます。ご了承ください。

それでは始めましょう。

カード紹介

《もう一杯ずつ》

もう一杯ずつもう一杯ずつ

翻訳オシャレ~!最初はなんで「Another Round」が「もう一杯ずつ」になるのか知らなかったんですが、そういう英語の言い回しがあるんですね。たとえば「Let’s go for another round」で「もう一軒(飲みに)行こう」という意味になるとか。

またお酒をテーマにした同名の映画もあるようです。相変わらず英語の勉強になるゲームだ。

君たちは酒場で出会った

そしてフレーバーテキストに出てくる「常在酒場」という謎のワード。マジックの世界ではフレーバーテキストに新しい場所が出てきたらだいたい多元宇宙に実在しているので、常在酒場も今後どこかで登場するんでしょうか。心から休息を望むときに現れる次元、いいなぁ。お酒が飲めない人のためにノンアルコールの飲み物も用意してもらえませんか?

効果もかなり珍しく、マナがあれば1回の効果で同じクリーチャーを何回も出し入れ(いわゆる「ちらつき」)できるので無限コンボの気配がビンビンします。Xは0でもいいので、3マナで自分のクリーチャーを好きな数ちらつかせるだけでも何かに使えそう。呪文の解決中に何度も戦場に出た/戦場を離れた能力が誘発するのって絶対不思議なことが起こせそうだな、どれだけルール的にややこしいことができるか一度試してみたい。

《忠実な馬、フォーチュン》

忠実な馬、フォーチュン

《百戦錬磨、アニー・フラッシュ》の愛馬、可愛くて頼れるフォーチュン号はアニーと相性ばっちりの性能でカード化。それはいいんですが、カード名が「忠実な馬」なのにタイプが「ビースト・乗騎」。馬なのかい!ビーストなのかい!どっちなんだーい!一瞬このゲームって馬いないっけ?と思ったけど、そんなわけないよな。

百戦錬磨、アニー・フラッシュ

ストーリー上でもフォーチュンは馬以外の種族であることが示唆されており、イラストでも2本の角と2本の蹄(馬は奇蹄目に属し、足の蹄は普通1本)が見えるので普通の馬でないことは確かでしょう。ただこのゲーム、身体の作りが普通じゃない生き物はいくらでもいるから実際のところはわからんな。

ティムールの軍馬

蹄3本あるな

カードが持っている騎乗したクリーチャーごと「ちらつく」能力の一端もストーリー上で披露しており、もしかしたら次元渡り能力を持っているのかもしれません。ストーリーを読む感じめっちゃ賢いのに方向感覚があんまりないみたいだけど、これも何か背景があるのかな?動物に詳しい人だったらこの情報で彼の種族がわかるのかもしれない。

《再覚醒したジェイス》

再覚醒したジェイス

ジェイス生きてたーっ!!!ってアショクの中身君だったの!?ストーリーでエリエットと一緒に出てきたときからまったくアショク本人であることを疑っていなかったので、カードプレビューでアショクの幻覚を纏ったこのカードが出てきた瞬間本当にびっくりしました。リリアナが《オニキス教授》として出てきたときは一瞬でわかったのに、なんだこの差は。

オニキス教授

出た瞬間ネタバレ

そうなるとアショクはどうなったかが気になるところですが、捕まったエリエットを脱出させたのがアショクに変身したジェイスのようなので、アショクは今ごろエルドレインで「エリエットどっか行っちゃったな……」となっているのかもしれません。アショクもまだ次元渡りの能力を維持しているので、今後2人が遭遇したときにどんな話をするのか気になるところ。アショクが「勝手に俺の格好して好き勝手やりやがって!」と怒……るような性格には見えないな。

忌まわしき干渉者、アショク

再覚醒して早々能力もかなり強力で、特に2つ目の[+1]能力はかなり自由度高くカードを「計画」できるので「出来事」やモードを持つ両面カードで悪用し放題。3ターン目まで唱えられない制限も、これまで《セラの報復者》で散々研究されてきたはずなのでなんとかなるでしょう。一番早いのはリアニメイトかと思ったけど、プレインズウォーカーをリアニメイトするのは結構大変みたい。

なぜかカードナンバーが271と一番後ろに置かれているのもストーリー上の伏線?かと思ったら、これは途中で収録セットが変わったことによる製造上の都合らしいです。なんでも深読みするオタクの悪い癖が出ちゃったぜ。でも深読みしなくなったらこの記事の8割くらいはなくなっちゃうから許してほしい。

《懲罰者、ケアヴェク》

懲罰者、ケアヴェク

生きとったんかワレ!ジェイスは恐らく生きているだろうと思っていたので登場自体にあまり驚きはなかったんですが、ケアヴェクは本当にびっくりしました。カード化は何回かされているんだけどストーリー上での登場は恐らく『ビジョンズ』(1997年2月発売)が最後なので、彼がどういう人でどんな活動をしてたのか知らない人がほとんどのはず。

無慈悲なる者ケアヴェク悪意に満ちた者、ケアヴェク

3度目のカード化

軽く紹介すると、ケアヴェクは『ミラージュ』ブロックのときにマンガラやジョルレイル、そしてあのテフェリーと争ったドミナリアの魔術師です。一度は策略でマンガラを《琥珀の牢》に閉じ込めて優位に立つものの、テフェリーの干渉によって劣勢になり最終的には戦いに敗れて《琥珀の牢》に封印されたはずなのですが……ドミナリアはその後も多くの戦争があったはずだけど、牢に入ってたおかげで生き残れたのか?

琥珀の牢

『ミラージュ』のころは今のようにストーリーを簡単にネットで読むことができず、フレーバーテキストやイラストや雑誌などの外部媒体からストーリーを察していたので彼の人となりはあんまり知らないんですよね。今回明らかになった一人称はまさかの「わし」、いかにも王道の悪役って感じ!カードの能力もだいぶ「悪」を感じさせます。黒で墓地からカードを唱えるのって邪悪なカードが多いですからね。

ヨーグモスの意志過去の罪

《保安官を撃て》

保安官を撃て

見てくださいこのオシャレ注釈文!「暗殺者、海賊、邪術師、ならず者、傭兵が無法者である。それらでないあらゆるものは格好の的である。」!ほかの「無法者」関連のカードには特に書いてないので、除去カードだからこそ特別に用意された文章ってわけですね。普通は注釈文ってフレーバーテキストと違って単なる説明文だから、こういうところに遊び心があると嬉しくなっちゃう。

黒曜石の火心

恐らく初代はこれ?

「召集」や「即席」の注釈文も良いですよね。「召集」は最初に出てきたときは事務的な文章だったのがあるとき今のオシャレ注釈文に変わったから、開発側もなんとかルールをキャッチーに説明しようといろいろ試行錯誤してるんだなぁと。「召集」系はほかのコストを変更するような能力と結構挙動が違うので、頑張って説明してくれるのはジャッジ的にも助かります。

古の放漫トカゲ発明品の唸り

(あなたのクリーチャー/アーティファクトが、この呪文を唱える助けとなる。)

特定のカードタイプにだけ撃てない除去だと最近は《パワー・ワード・キル》がありましたが、あのときは「多相」と同じ環境にあったから《不詳の安息地》に撃てなくて大変でしたが、このカードはどうなるでしょう。スタンダードだと《フェアリーの黒幕》《逃走する暗号破り》に撃てないくらいかな?でも「ファイレクシアン」に撃ててよかった〜!彼ら「法務官」がいるくらいだから法には従ってるか……

黙示録、シェオルドレッド

悪法もまた法

《狡猾なコヨーテ》《強靱なオオミチバシリ》

狡猾なコヨーテ強靱なオオミチバシリ

先に《強靱なオオミチバシリ》だけ見て「プロテクション(コヨーテ)ってなんだ…?『多相』がいる環境ならともかく、そんなニッチなプロテクション意味あるか…?」と思っていたらどうやら元ネタがあるみたいですね。イラストも繋がってるしマナコストもパワー/タフネスも同じ、うーん仲良し。

それこそ「多相」のいる環境だったらプロテクション(コヨーテ)もゲーム的に機能するんだけど、マジック界には《狡猾なコヨーテ》で初登場するクリーチャータイプなので少なくともスタンダードでは専用のプロテクションですね。あるいはこの後ローウィンやカルドハイムに再訪することがあれば大活躍するかもしれない。

変わり谷

新しくコヨーテになります

プロテクションを抜きにしても、2体とも結構強いと思うんですよね。《狡猾なコヨーテ》は2マナ2/2速攻で最低限の性能を確保しながら「計画」で後続をサポートしつつ一緒に殴れるし、《強靱なオオミチバシリ》は少し重いけど《ジンジャーブルート》と同じ回避能力を得られるので相手によってはほぼブロック不可能。でも一緒に使うとコヨーテの強化がプロテクションで弾かれるのはちょっと気になるな。やっぱ仲悪いかも。

ジンジャーブルート

《タンブルウィードの踊り》

タンブルウィードの踊り

か、可愛い!目も口もないのに枝がちょっと手のような形になっているだけで踊ってるように見えるゆるキャラ感、不思議だなー。昔こういうアスキーアートを見た気がするんですが、検索が上手くいかなくて見つからずちょっともやもや。もしこれとそっくりなアスキーアートを覚えているという方がいたらぜひ教えてください。

そもそも「タンブルウィード」って何?マジック固有の種族?と思って調べたら、実在する植物の呼称らしいです。といっても具体的な種を指すわけではなく、風に吹かれて丸まって地上を転がりながら種子を散布するいろんな植物をまとめて呼ぶときに使う言葉だとか。アメリカの乾燥地帯だと一般的に見かける存在だそうで、特に荒野を舞台にした西部劇なんかにはよく登場するそうな。勉強になるなぁ。

Tumble MagnetWeed Strangle

Tumble+Weedで「転がる雑草」、なるほど

といっても雑草だったらそんなに大きくならないし、X/Xのエレメンタルが出てくるのはやっぱりマジック的……と思いきや、検索していたら車よりでっかくなったタンブルウィードが道路を転がる動画が出てきてびっくり。初めて見たら絶対植物のお化けが出た!と思うやつですやん。リアル《茨の精霊》と遭遇するなんて、荒野は怖いところや。

《気性の荒いタンブルワグ》

気性の荒いタンブルワグ

出た!ブラッシュワグ!マジック世界固有の種族というとスリヴァーやベイロス・ヴィダルケンやコーなんかが有名だと思いますが、ブラッシュワグはニッチ方面で一部に有名なんですよ。なぜかというと、最初に出てきたブラッシュワグがびっくりするくらい弱いんですよね……《甲鱗のワーム》《嵐雲のカラス》のように、弱いからこそ愛されるやつ。

ブラッシュワグ

表情もなんとも言えない味わい深さ

長らくタイプ行が「ブラッシュワグ」のカードは1枚だけだったのですが、『イコリア:巨獣の棲処』で2体目となる《万能のブラッシュワグ》が登場したのに続いて今回まさかの3枚目。しかもちゃんと強い!《光輝王の野心家》のように毎ターン+1/+1カウンターを置く能力に加え、騎乗して攻撃することでカウンターを倍にできます。昔と比べるとクリーチャーは全体的に強くなってるけど、さすがにこれは原型止めてない。

万能のブラッシュワグ

で、結局ブラッシュワグって何なの?という疑問は相変わらず解明されないまま。そもそも初代は茨?のなかにいる猫?がだいぶ不本意そうだけど、今回は完全に一体化してますからね。これまで登場したのがジャムーラ・イコリア・サンダージャンクションと自然豊かな場所ばかりなので、自然に類する生き物なんだという推測はできそうですが。待てよ、そういえば次のセット『ブルームバロウ』って……。

《熱心な先駆者、セルヴァラ》

熱心な先駆者、セルヴァラ

セルヴァラさんこんなところでどうしたんですか!?一瞬セルヴァラさんまで悪党になっちゃったのかと思ってびっくりしたけど、クリーチャータイプが「エルフ・スカウト」のままなので善良なままっぽく一安心。ただカリスマに惹かれてか、クリーチャー呪文を唱えるたびに傭兵が一緒についてくるようになりました。相変わらず武闘派に好かれる人だな。

護衛隊長、アドリアナ

敵対していた……とまでは言わないけど、ある程度対立関係にあったマルチェッサもこの次元に来ているようで、フィオーラ(『コンスピラシー』の舞台)は今どうなってるんでしょうね。ファイレクシアの侵攻があったけど、セルヴァラやマルチェッサが健在ってことは少なくともある程度は防衛されたはず。当時は共に戦って次元を守ったんでしょうか?2人の色が白緑と青黒赤でぴったり対照的なの、良いよなぁ。

フィオーラへの侵攻死のディーラー、マルチェッサ

サンダージャンクションは荒野の中にも多様な動植物が存在している次元なので、自然を愛する彼女にとっては案外フィオーラの高層都市よりも居心地がいいのかもしれません。連れている乗騎のヘラジカもずいぶん立派で…いやそいつ身体から棘が生えててなんかおかしくない?角もあまりに大きすぎて乗るときに邪魔なのでは?こんなに大きいと頭のバランス崩れそうだけど、意外と見た目より軽いのか。

登場のたびに持っているちょっとややこしいマナ能力は今回も健在。クリーチャーのパワーが散らばっているほど良いので、クリーチャーが出るたびに+1/+1カウンターを載せられるようなカードと組めば出てきた傭兵にカウンターを載せてすごいことができそう。とはいえ起動にマナがかからないことを考えると、2-3マナ出すだけで十分強いかもしれません。《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》のようにアンタップできるカードもあるし、セルヴァラランプいけるか?

歓喜する喧嘩屋、タイヴァー

《静める者、ヴラスカ》

静める者、ヴラスカ

ジェイスがいるなら当然彼女もいなきゃ噓でしょう!ということで、ヴラスカ船長もプレインズウォーカーの灯は失ったものの五体満足の姿で再登場。本当に生きてて良かった!カップルが片方だけ生き残って再登場するほど辛いことはないですからね。ストーリーでブリーチェスとマルコムが船長に再会したときめちゃくちゃ喜んでたのも感動的だった、ヴラスカ海賊団再結成だ。

爆発の仕掛け人、ブリーチェス双眼のマルコム

ストーリーでは彼女とジェイスがどうやってファイレクシア化から生き延び、サンダージャンクションで《全ての鍵、おたから》を見つけるに至ったかが克明に描かれています。ジェイスのお母さんが治療師という設定が10年ぶりに回収されたり、ジェイスがヴラスカのお嫁さん姿を想像して照れてて面白かったな〜。あとヴリン次元にはゴルゴンが存在しないという地味な設定が明らかに、今後ヴリンがセットの舞台になる日は来るのかな。

全ての鍵、おたから

おたから君と出会った2人の旅路はこれからどうなっていくのでしょう。結婚生活を想像するジェイスは可愛らしかったけど、再び灯を得た彼が多元宇宙へ抱く願いは決して綺麗なものだけではなかったような……おたから君の素性や彼が生まれた背景もまだ明かされてないし、また多元宇宙に厄介事の種が巻かれてしまったのかもしれません。一回これ以上なく闇堕ちしたんだから、しばらくは2人とも善良なままでいてくれよ。

おわりに

今回はここまで。ほかにも『サンダー・ジャンクションの無法者』にはたくさんの魅力的なカードがありますので、ぜひカードリストを見てお気に入りの1枚を探してみてください。

それではみなさま、またどこかでお会いしましょう。さらばじゃ!

『サンダー・ジャンクションの無法者』特設ページ

この記事内で掲載されたカード

再覚醒したジェイス

《《再覚醒したジェイス》

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