ワールドマジックカップ予選東京大会へようこそ!
日本代表の座を勝ち取るべくここ西新宿に集ったマジックプレイヤーは、何と揃いも揃ったり345人(!)。
だが、日本代表となる権利が与えられるのは、この345人の中でたった1人だけなのだ。
ほんのわずかなミスさえも許されない、あまりにも過酷な戦いが幕を開ける。
さてそんな中で、本日最初のフィーチャーマッチに選ばれたのは。
つい昨日、参加者280人というこれまた大規模なPTQを一風変わった構成の人間リアニメイトで見事に優勝し、波に乗る松本だ。
後にデッキテクで紹介する予定だが、台湾勢の活躍により既にアーキタイプとしての限界を迎えたと思われていた人間リアニメイトデッキに新たな命の息吹を吹き込むがごとく、デッキビルダーの松本らしいオリジナルチューンが随所に施されており、傍目にも強力な仕上がりとなっている。
対して寺澤も、エクステンデッドの《平等化》デッキなどで有名なユンスハン謹製のグリクシスコントロールを駆っている。
345人という中にあっても、その個性はいずれも唯一無二。2つのオリジナリティが火花を散らす。
Game 1
先手は寺澤。松本の《アヴァシンの巡礼者》に対し《究極の価格》で初動を抑えると、《根囲い》で態勢を整える松本を尻目にエンド前に《禁忌の錬金術》。
そして早くも先手4ターン目にして対リアニメイトの最終兵器、《オリヴィア・ヴォルダーレン》を降臨させる。
もし松本のデッキが通常の人間リアニメイトだったなら、この時点で半ば詰んでいたことだろう。
そう、通常のリアニメイトであれば。
松本 悠希(東京)
4枚目の土地を置いた松本がキャストしたのは、何とこちらも《オリヴィア・ヴォルダーレン》!!
メインボードでまさかの対消滅に、思わず寺澤はピュウ、と軽く口笛を吹いて感嘆を示す。
さらに《信仰無き物あさり》で手札を整えて時機をはかる松本。寺澤も《ネファリアの溺墓》や《熟慮》で墓地と手札を充実させていくが、間に合うか。
そして、ついに十分に墓地を肥やしたと判断した松本が、《魂の洞窟》で「天使」指定から、《栄光の目覚めの天使》を降臨させる。カウンターを抱えていても何もできない寺澤を尻目に、続々と人間たちが天使の御許に舞い戻ってくる。
それでも何とか《イゼットの静電術師》2体で松本の全軍アタックをしのいだ寺澤だったが、ここで松本は戦闘後、2枚目の《魂の洞窟》で「吸血鬼」指定から、何と再びの《オリヴィア・ヴォルダーレン》!
これにより頼みの《イゼットの静電術師》も撃ち落されてしまい。
味方のときはあんなにも頼もしかった美貌の吸血鬼を前に、寺澤は盤面をしのぎきれずカードを畳むしかなかった。
松本 1-0 寺澤
Game 2
土地が1枚の手札を即座にマリガンする寺澤。
松本の2ターン目の《遥か見》を《中略》するが、続くターンの《根囲い》で《魂の洞窟》含みの3枚の土地を手札に加えられると、さらに2枚目の《遥か見》でマナ差と手札差をともにつけられてしまう。
対して、《熟慮》も《禁忌の錬金術》も引けていない寺澤は淡々とドローゴーを続けるしかない。
ここで松本はきっちり7マナ目から、カウンターできない《栄光の目覚めの天使》をキャスト。《高原の狩りの達人》と《悪鬼の狩人》が墓地から戻ってくる。
寺澤 和也(新潟)
それでも諦めるわけにいかない寺澤は、《高原の狩りの達人》を《戦慄掘り》、《栄光の目覚めの天使》を《究極の価格》でそれぞれ対処し、さらに2体目の《高原の狩りの達人》を《本質の散乱》と紙一重でしのいでいくのだが、やはりドローソースが引けていない分どうしようもなくリソースが足りていない。
そして松本の場に2体目の《栄光の目覚めの天使》が降臨すると、せっかく処理した《高原の狩りの達人》2体が戻ってきてしまう。一縷の望みをかけた《轟く激震》で盤面を一掃するものの、天使本体が止まらない。
さらにダメ押しに《スラーグ牙》や《静穏の天使》まで出てきてしまい、尽きぬ松本のリソースを前に寺澤はやむなく投了したのだった。
寺澤 「《邪悪な双子》も《オリヴィア・ヴォルダーレン》も引かなかったよ……」
松本 2-0 寺澤