はじめに
みなさん、こんにちは。
先日の5月13日に禁止改定があり、ステッカーやアトラクションを使ったカードが使用できなくなりました。
この変更によって大きな影響を受けたのがTurbo Muxusで、デッキの爆発力を支えていた《________ Goblin》を失ったことは大きく、デッキの構成を変える必要が出てきそうです。
さて、今回の連載では『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Challenge 32』 5/17 #2
環境最強のスキャムと対抗馬のデルバー
開催日:2024年5月17日
優勝 Temur Delver
準優勝 Dimir Reanimator
3位 Grixis Scam
4位 Doomsday
6位 Orzhov Scam
7位 Painter
禁止改定での大きな変化はそれほどなく、ReanimatorやScam系、Delver系が中心の環境になっています。
デッキ紹介
Temur Delver
安定した勝率を出し続けているTemur Delver。Temurといっても緑は《探索するドルイド》のみの軽いタッチで、ほぼIzzetカラーになっています。
《探索するドルイド》を「出来事」でプレイする分には緑マナが必要なく、アドバンテージを稼げるのでロングゲームにも対応しやすくなっています。Grixisと異なり、基本土地の《島》を採用できる余裕のあるマナ基盤なため、Mono Red Prisonなど《血染めの月》を使ってくるデッキにも若干耐性があります。
《秘密を掘り下げる者》と《ドラゴンの怒りの媒介者》という2種類の1マナクロックを搭載しているため、《目くらまし》や《不毛の大地》と組み合わせることで回ればマッチアップを問わず勝つことができるのがDelver系の強みです。最近は《オークの弓使い》を使うデッキが多いので、これらのクリーチャーをプレイするタイミングに注意する必要があります。
☆注目ポイント
MOではコンボが多いため、《呪文貫き》や《否定の力》といった追加のカウンターが多めに取られています。《相殺》もDimir Reanimatorや同型に対して強いのでメインからの採用になっています。
追加の火力枠に《邪悪な熱気》が採用されています。「昂揚」することでDimir Scamなどが使う《カザド=ドゥームのトロール》など高タフネスのクリーチャーも処理できる優秀な除去になります。
禁止改定によってTurbo Muxusが衰退したため、《水流破》の枚数が減らされています。
Landsなど特殊地形に依存したデッキをロックできる《血染めの月》を採用したリストもありましたが、インスタントでプレイしやすく多色コントロールとのマッチアップでも使える《発展の代価》が選択される傾向にあります。
Orzhov Scam
OrzhovカラーのScamデッキ。《石鍛冶の神秘家》パッケージや《孤独》《剣を鍬に》《害獣駆除》など優秀な除去にアクセスできるところがこのバージョンの特徴です。
《第三の道のロラン》や《石のような静寂》など特定のデッキに刺さるサイドボードカードの選択肢に恵まれていることも白の特徴です。《悲嘆》+《再活性》のScamパッケージや《ダウスィーの虚空歩き》などがあるのでコンボデッキとも互角以上に渡り合えます。
☆注目ポイント
場に出たときの能力持ちのクリーチャーを再利用できる《儚い存在》を使えるのが強みで、《再活性》と異なり墓地対策に引っかからないところもポイントです。《悲嘆》+《儚い存在》によって相手のプランを妨害しつつ、回避能力持ちのクロックでプレッシャーをかけていきます。
Delver系の1マナクリーチャーや《虚空の杯》、《ウルザの物語》の構築物・トークン、《墓掘りの檻》などを除去できる《害獣駆除》は、このデッキにとって大きな収穫です。サイクリングも付いているので無駄になりにくく、全体除去の中でも使いやすいスペルになります。
《腐食の荒馬》は『サンダー・ジャンクションの無法者』から登場した黒のクリーチャーで、ほかのカードと比べるとそれほど高い評価をされていませんでした。《闇の腹心》と似たような能力を持ち、「騎乗」させることで相手に追加のダメージを与えることができます。《カルドラの完成体》や《カザド=ドゥームのトロール》といった重いカードも入っているので、運が良ければ急に大ダメージを叩きこむことも可能です。ただ、回避能力がなくサイズも2/2と貧弱なため除去などでサポートしていく必要があります。
『Legacy Challenge 32』 5/18
Stonebladeが復権
現環境のトップメタであるDimir Reanimatorは、サイドに《害獣駆除》を入れたタッチ白が主流になっています。
今大会で優勝したのは、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を採用したEsper Stonebladeでした。
デッキ紹介
Mono Red Prison
《虚空の杯》や《血染めの月》といった対戦相手をロックするカードを、《古えの墳墓》《金属モックス》などのマナ加速から高速展開するデッキです。
ロックパーツが機能しないマッチアップでは腐りやすいリスクがありましたが、現在では手札入れ替えができる《鏡割りの寓話》やピッチスペルの《激情》といったカードがこの問題を解決してくれます。
《________ Goblin》が禁止改定によって退場した現在は、赤系《古えの墳墓》デッキの代表格に位置しています。
☆注目ポイント
《一つの指輪》は4マナと重いカードですが、マナ加速を多用するこのデッキでは比較的容易にプレイできます。中盤以降の息切れ防止になり、カウンターを使わせた後にプレイされる《一つの指輪》は多くのフェアデッキにとって脅威となります。
《________ Goblin》が禁止になっても《舷側砲の砲撃手》は《古えの墳墓》デッキの主力として活躍し続けることが予想されます。不要になった《金属モックス》を投げることで追加のダメージを狙ったり、《激情》をサクリファイスすれば7点のダメージが入るのでゲームを速やかに終わらせることができます。
《未認可霊柩車》はメインから採用しやすい墓地対策で、Dimir Reanimatorがトップメタの現在では重宝します。特にこのデッキはマナ加速から1ターン目にプレイでき、「昂揚」や「探査」も妨害できるのでDelver系とのマッチアップでも活躍します。
Esper Stoneblade
今大会で優勝したのは、過去のレガシーで活躍していたEsper Stonebladeを現代風に調整したリストでした。《空を放浪するもの、ヨーリオン》が採用された80枚バージョンで、能力を活かすために場に出たときの能力持ちのパーマネントが複数搭載されています。
☆注目ポイント
《呪文探求者》によって状況に応じたソーサリーやインスタントをサーチしてくることができます。《儚い存在》をサーチして《呪文探求者》をブリンクすることによってアドバンテージを稼ぐことが主な使い方です。また《古術師》+《オアリムの詠唱》+《儚い存在》で相手をロックすることもできます。
《謎めいた外套》は装備品を使ったデッキの新戦力として話題に挙がっていたカードで、《石鍛冶の神秘家》の新たなサーチ先として採用されています。回避能力持ちで除去耐性と自身をバウンスする能力により除去されにくく、ほかの装備品との相性も良好です。
総括
『モダンホライゾン3』のリリースが控えていることもあり、筆者も含めた多くの方がノーチェンジだと予想していましたが、《________ Goblin》を含めたステッカーやアトラクションを使ったカードがすべて禁止になるという予想外の変更が加えられました。
また、《オークの弓使い》や《悲嘆》といった現環境を支配しているDimir Reanimatorの強力な黒いカードについて、将来的に再評価する方針を示していることも公式の記事で明かされていました。
《________ Goblin》を失ったTurbo Muxusの復活は難しく、赤いプリズン系のデッキはMono Red Prisonが中心になりそうです。
USA Legacy Express vol.235は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!