Round 5: 高橋 優太(東京) vs. Aryabhima A. Rahman(神奈川)

晴れる屋

By Daisuke Kawasaki



 さすが、日本代表を決める戦いとあって、会場には、いわゆるトッププロの姿も散見される。

 そんなかでも特に注目が集まるのは、昨年も日本代表チームとしてWMCに参加していた高橋 優太(東京)だろう。昨年のWMCでは、飛行機乗り継ぎにまつわるトラブルによって、十全のパフォーマンスを発揮できたとは言いがたく、不屈のストイシズムを持っている高橋としては今年も代表の座を射止めて、なんとかリベンジを果たしたいところだろう。

 対するは、昨年のグランプリ・名古屋で準優勝のAryabhima A. Rahman(神奈川)。ちょうどスタンダードで行われていた名古屋で使用していたのと同じく、今回も赤黒ゾンビを持ち込んでいる。

 一方で高橋が使用するのは、《秘密を掘り下げる者》の入った赤白青のいわゆるトリコトラフトである。高橋といえば、グランプリ2連覇をした青黒フェアリーの印象が強いが。

高橋 「この環境のフェアリーですよ」

 《苦花》《ヴェンディリオン三人衆》も無いフェアリーデッキは、グランプリ準優勝のゾンビデッキ相手にどのような立ち回りを見せるのか。


Game 1



Aryabhima A. Rahman(神奈川)


 先手のRahmanは、マリガンはしたものの、1ターン目に《墓所這い》をプレイする順当な立ち上がり。さらに《悪名の騎士》を追加して、2ターン目から3点のダメージ。

 対する高橋は、Rahmanの1ターン目のエンドに《思考掃き》をプレイし、墓地を増やしつつ山札を掘り進めるのだが……ここで2枚めの土地を引くことができない。

 《悪名の騎士》《送還》を打ち込み、時間を稼ごうと画策するのだが、Rahmanが《ゲラルフの伝書使》をプレイした返しに2枚めの土地を引けなかったことで、続くGame2に気持ちを切り替えることとした。

Rahman 1-0 高橋


Game 2


 今度は互いにマリガンはなく、高橋が1ターン目に《秘密を掘り下げる者》をプレイするスタート。対してRahmanも《墓所這い》をプレイしてターンを返す。

 高橋の《秘密を掘り下げる者》の変身はお預けとなったものの、2体目の《秘密を掘り下げる者》をプレイ、一方のRahmanも《戦墓のグール》をプレイする。

 現状、《秘密を掘り下げる者》が変身するか否かで有利不利が逆転しうるダメージレース。ここで最低限の均衡を保つために、高橋は《戦墓のグール》へと《拘留の宝球》をプレイする。

 《思考掃き》と2体の《秘密を掘り下げる者》のスタックを利用したギミックによって何とか変身条件を達成したい高橋なのだが、この《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》が中々の恥ずかしがり屋で、表面を見せることを拒否し続ける。Rahmanのプレイした《死儀礼のシャーマン》《火柱》で除去し、さらに続くターンの《悪名の騎士》《瞬唱の魔道士》《火柱》をフラッシュバックして除去し、ダメージレースでは少しずつ有利を築き上げていく高橋なのだが、そんな高橋に《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》は中々応えない。

 それもそのはず。《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》が表面を見せたときは、Rahmanが次のゲームを始めるときなのだから。

Rahman 1-1 高橋


Game 3



高橋 優太(東京)


 先手のRahmanは3ゲーム続けて《墓所這い》を1ターン目にプレイ。この《墓所這い》は高橋の《火柱》によって追放される。

 多少プランは崩れたものの、ここは変わらず2ターン目に《悪名の騎士》をプレイするRahman。2ターン目にアクションのなかった高橋に対して賛美でのアタックを試みるが、ここには当然の《灼熱の槍》

 Rahmanはそのターンに《死儀礼のシャーマン》をプレイするが、ここからゲームのスピードが加速する。まずは、高橋が《聖トラフトの霊》をプレイすると、返してRahmanも《ファルケンラスの貴種》をプレイして速攻でアタック。予断を許さないダメージレースが開始される。

 ここでイニシアチブを握ったのは高橋だった。《拘留の宝球》をプレイして《ファルケンラスの貴種》を追放。そして、ここで十分な攻め手を追加することができない。すでに高橋が《思考掃き》を使用しており、《瞬唱の魔道士》の存在も匂わされていることから、メインターンに《死儀礼のシャーマン》で高橋の《火柱》をリムーブする。

 高橋は、《聖トラフトの霊》でアタックした後に、予定調和的に《瞬唱の魔道士》をプレイ。だが、ここにRahmanは《ラクドスの魔除け》の墓地をリムーブするモードを打ち込むことで、この悪魔のような2/1を本来のスペックを発揮しないただの2/1バニラへと貶める。

 とは言え、ここでRahmanのライフは8。この2/1バニラですらも、ブロッカーさえ対処されてしまえば、1ターンで自分を倒しうる脅威となる。Rahmanは《ヴェールのリリアナ》をプレイし、-2能力を起動。高橋は《瞬唱の魔道士》を墓地へと。

 高橋は《聖トラフトの霊》《ヴェールのリリアナ》には目もくれず本体へと送り込み、Rahmanは《聖トラフトの霊》《死儀礼のシャーマン》でブロックする。

 ここで何とか1ターンを稼いだRahman、高橋のライフもショックランドなどの影響もあり、残り4なのだが……状況への回答を手に入れることはできなかった。

Rahman 1-2 高橋