Round 4のカバレージでも書いたように、この大会は、2敗はほぼ確実にトップ8の目が無い。というわけで、1敗の対戦者にとってはその後のすべてのラウンドが崖っぷちなのである。
というわけで、改めて1敗ラインの対戦の中から、高橋と高尾の対戦をお届けしよう。
高尾 翔太(東京)も日本代表には浅からぬ因縁がある。現時点では最後の日本選手権となった2011年の日本選手権、石田 龍一郎(愛知)が戴冠した日本選手権での、準々決勝の石田の対戦相手が高尾だったのだ。
日本選手権の準々決勝といえば、リザーブも含めれば、代表入りとなるある意味「最後の1勝」がかかった戦いであり、過去にもそこで多くの物語が紡がれていった。そして、高尾もまた、そこでの1勝に手が届かなかった一人なのである。
日本選手権と形が変わり、ある意味優勝が義務付けられる厳しい大会になったとはいえ、日本代表は日本代表。ここではまだ負けるわけにはいかない。
対するのは、HappyMTGでもスタンダードの記事を好評連載中の構築のアナリスト、高橋 純也(神奈川)だ。
mtg-jp.comの津村 建志の連載が終わった今、日本でのスタンダード環境について最も影響力のある記事を書いている一人といっていい高橋が、この会場に持ち込んできたデッキには興味を持たざるをえない。そして、何より、自身の記事の正当性をアピールするためにも高橋はこの大会である程度以上の成績を残したいはずだ。
互いに負けられないこの一戦。果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか。
Game 1
高尾 翔太(東京)
先手の高尾はマリガンしたものの、《魂の洞窟》から《実験体》というまずまずのスタート。対して、高橋も《繁殖池》のアンタップインから、《アヴァシンの巡礼者》をプレイする。
だが、ここでマリガンスタートの高尾が不利を被る。2枚めの土地を置くことができなかったのだ。《ボロスの精鋭》を召喚してターンを返す高尾に対して、マナ加速している高橋は《ロクソドンの強打者》をプレイする。
続いて2枚めの土地を引き当てられない高尾。高橋は2体のクリーチャーでアタックし、《アヴァシンの巡礼者》と《ボロスの精鋭》が相打ちする。
なんとか2枚めの土地を引いて《小村の隊長》を召喚し、《実験体》を進化させる高尾だったが、高橋の《ロクソドンの強打者》に《怨恨》がついたことで、土地を片付けるのだった。
高橋 1-0 高尾
Game 2
高橋 純也(神奈川)
互いにマリガンなく、後手の高橋が《アヴァシンの巡礼者》をプレイするところからゲームはスタート。
返しで高尾は《炎樹族の使者》から《小村の隊長》につなげるという流れで展開量で高橋を上回る。
マナ加速スタートしている高橋も《聖トラフトの霊》のプレイによってダメージレースでは差をつけるのだが、高尾はさらに《稲妻のやっかいもの》をプレイして先手をとる。
だが、高橋のデッキはいわゆる呪禁バント。突然のクロック増大はむしろこちらのお家芸といっていい。高尾の《小村の隊長》に《平和な心》をエンチャントすると、さらに《聖トラフトの霊》に《怨恨》と《天上の鎧》をプレイし、クロックは一挙11点に膨れ上がる。これはもはや、クロックでは無く、ロックだ。ロックなビートがビートダウンを開始する。
そして、続くターンに高橋が《オルゾヴァの贈り物》をトップデックし、高尾には対処する術がなくなってしまったのだった。
高橋 2-0 高尾