7勝1敗で迎えた9回戦目。
通常の大会ならば、両者ともに何の憂いもなくIDを選択する場面だろう。
しかし、345人もの参加人数がそれを許さない。
トップ8への椅子は、自らの力で勝ち取るしかないのだ。
中村はPTQ突破常連の強豪であり、古風な言い方をするならば、「赤使い」あるいは「ビートダウン使い」である。今回もキャラ通りの赤単タッチ黒を使用している。
対して桐戸は、昨年のグランプリ名古屋からの復帰組とのことだが、トップメタであるジャンクリアニメイトを駆り、見事トップ8まであと一歩のところまで漕ぎつけた。
トップ8を賭けた最後の戦いが、今始まる。
Game 1
先手の桐戸が《東屋のエルフ》、対して中村が《ラクドスの哄笑者》。お互いロケットスタートだ。
だが、さらに桐戸が《根囲い》で《堀葬の儀式》《孔蹄のビヒモス》のセットを落とすと、さすがにこれを釣られてはたまらないと中村、《小悪魔の遊び》で《東屋のエルフ》を除去。返す桐戸は《ケンタウルスの癒し手》でライフを維持しつつ盤面を止める。
これに対して中村は《悪名の騎士》をプレイ、《ラクドスの哄笑者》を賛美させてアタック。《ケンタウルスの癒し手》と相打ちとすると、戦闘後に《流城の貴族》で攻め手を緩めない。
しかし桐戸は落ち着いて2体目の《ケンタウルスの癒し手》。中村はこれも《流城の貴族》の賛美チャンプアタックと《小悪魔の遊び》フラッシュバックとの合わせ技で処理するが、かなりのリソースを消費したにも関わらず桐戸のライフを一向に削ることができていない。
桐戸 敬介(山梨)
そしてついに桐戸は手札から《堀葬の儀式》をプレイ、《孔蹄のビヒモス》をリアニメイトして中村を攻め立てる。
ライフ19点を残す桐戸に対し、《ファルケンラスの貴種》で果敢に食い下がる中村だったが。
続くターンに《静穏の天使》までリアニメイトされると、《雷口のヘルカイト》をトップするものの、中村は成す術がないのだった。
桐戸 1-0 中村
Game 2
ランド6枚で秒マリガンの中村に対し、ランド1枚に《アヴァシンの巡礼者》2枚の桐戸がかなり悩んだものの、こちらもマリガン。そしてすぐにお互いダブルマリガンへと突入する。
こうなるとゲームはもはや運否天賦の領域。
中村が《灰の盲信者》《悪名の騎士》と出すが、桐戸は《ケンタウルスの癒し手》をトップし、これを送り出す。
中村は賛美3点アタックの後2体目の《灰の盲信者》を出すが、これはまとめて《血統の切断》の餌食に。さらに《情け知らずのガラク》で《悪名の騎士》も葬られ、中村、絶体絶命。
が、ここで中村は《雷口のヘルカイト》をトップデッキ!!
本体にアタックすると、桐戸の残りライフはわずかに6。
続くターン……果たして桐戸に回答はなく。
そのまま《灼熱の槍》が桐戸を介錯した。
桐戸 1-1 中村
Game 3
《森》1枚に《アヴァシンの巡礼者》2枚というリスキーな手札を、覚悟を決めてキープする桐戸。
そのかいあってか、2ターン目のトップは《森林の墓地》!
そのまま先手2ターン目に《ケンタウルスの癒し手》を展開し、返す中村の《灰の盲信者》を棒立ちにすることに成功する。さらに続く土地は引けないものの、2体目の《アヴァシンの巡礼者》を出し、《ボロスの反攻者》は《悪鬼の狩人》と、完璧な立ち回り。
それでも、歴戦の強豪である中村がこの程度で音を上げるわけもなく、《ファルケンラスの貴種》をプレイして果敢にアタックを続ける。
中村 篤史(静岡)
しかし桐戸は《スラーグ牙》《修復の天使》とお決まりのコンボを展開。ライフが、一向に減らない。
対して意外にも中村のライフの方が、桐戸の地道なアタックにより既に10前後となってしまっている始末。
なおも中村は《悪名の騎士》《雷口のヘルカイト》と畳み掛けるのだが、《忌まわしい回収》で桐戸に2枚目の《修復の天使》がもたらされると、シーソーゲームの終幕は近い。
……と、ここでドローした桐戸が冷静に計算を始める。
そして引いてきた《突然の衰微》でブロッカーの《悪名の騎士》を排除すると、中村のライフは綺麗に0を割ったのだった。
桐戸 2-1 中村