準決勝: 光安 祐樹(東京) vs. 佐々木 允也(長野)

晴れる屋

By Atsushi Ito

 あと2つ。

 あとたった2勝で、日本代表。

 もちろん、今さら邪念の混ざる余地はなく、迷いの入る隙間もない。

 だが、よりにもよって。

 この準決勝で行われるのは、命(ライフ)を対価とした究極のデッドヒート。

 すなわち、ビートダウン同士の対決なのだ。

 互いを前にして佐々木も光安も、多分否応なしに「滾った」ことだろう。

 それがビートダウン使いの性であり、業だからだ。



 ナヤ人間(BLITZ)の佐々木。赤単タッチ白の光安。

 刹那でも早く相手の喉笛を切り裂くことができるのは、一体どちらの刃か。


Game 1


 先手はスイスラウンドの順位で佐々木。1ターン目《実験体》という上々の立ち上がりだが、光安が返す《火柱》で出鼻を挫く。

 だが、佐々木は意に介さず《炎樹族の使者》《アヴァブルックの町長》と高速展開。さらに光安がひとまず《灰の盲信者》をプレイしてエンドすると、《前線の衛生兵》を戦線に追加する。

 このままでは全くコンバットにならない光安は、メインで《アヴァブルックの町長》《灼熱の槍》を撃ちこみつつ、さらに《流城の貴族》で反撃の隙を窺う。



 しかしここで待望の2枚目の白マナを引き込んだ佐々木は、《銀刃の聖騎士》をプレイ、《前線の衛生兵》と結魂して一挙6点を叩き込む。もっとも、この段階で佐々木は既に3つのギルドランドをアンタップインしており、ライフは14まで落ち込んでいるため、予断を許さない状況ではある。

 ……が、3枚目の除去を引けない光安を尻目に佐々木が《前線の衛生兵》含みのクリーチャー3体でフルアタックすると、光安は《ボロスの魔除け》を「破壊されない」モードで使用して一旦その場をしのごうとするのだが、そこに佐々木の《セレズニアの魔除け》の「+2/+2トランプル」のモードが突き刺さり、二段攻撃によって佐々木がまずは一本を先取した。

光安 0-1 佐々木


Game 2

 《流城の貴族》《灰の盲信者》に対して《教区の勇者》《火拳の打撃者》とお互い一歩も譲らない立ち上がり。

 さらに2体目の《灰の盲信者》を追加する光安に対して、佐々木はサイドカードの《ボロスの反攻者》で応えるが、光安はこれを《灼熱の槍》で即座に焼き、《流城の貴族》を失いながらも強引にライフにプレッシャーをかける。

 早くも残りライフ9となった佐々木は、やむなく《平和な心》をプレイ、さらに光安に《ミジウムの迫撃砲》を使わせてからの2枚目の《ボロスの反攻者》で、ついに盤面を完全に支配することに成功する。

 しかし、ここで光安が放ったのは《灰の盲信者》へと付与された《火山の力》!!

 返しでこれへの対抗策を引き込めなかった佐々木。勝負は3本目へもつれ込む。

光安 1-1 佐々木


Game 3


 《実験体》には《電謀》《火打ち蹄の猪》に対しては《真火の聖騎士》と完璧に応えてみせた光安だったが、《炎樹族の使者》からの《火拳の打撃者》と並べられると、たまらず虎の子の《灼熱の槍》《火拳の打撃者》に撃ちこまざるをえない。

 さらに佐々木の場に《ボロスの反攻者》が追加されると、赤単故の悲しさか、ほとんどのクリーチャーが戦闘に参加できなくなってしまう。

 それでも《ボロスの反攻者》がアタックした隙をついて《真火の聖騎士》での大ダメージを目論む光安だったが、チャンプブロッカーに阻まれてうまく佐々木のライフを削ることができない。



 そして佐々木が2枚目の《火打ち蹄の猪》を引き込み、《火山の力》ケアで手札に溜めていた《踏み鳴らされる地》をアンタップインしてまで速攻を持たせて攻勢に出ると、いよいよ光安に残されたターンは少ない。

 いや、まだ間に合う。あのカードさえ引けば……

 光安、「引け!」と言いながら力のこもったドロー!

 ……は、しかし求めていた《火山の力》ではなく。

 程なくして佐々木の3/3の群れに蹂躙されてしまったのだった。

光安 1-2 佐々木