皆さんこんにちは。
早いもので来月には新エキスパンションの「ドラゴンの迷路/Dragon’s Maze」がリリースされます。多色のカードをフィーチャーしたセットのようです。多色には《至高の評決》や《突然の衰微》のように最近印刷されたカードでも現在のレガシーで一線級で活躍しているものが多いので今から楽しみです。
さて今回はStarCityGames.com Open Series(SCGO) Kansas Cityのデッキ解説と、おまけとしてマジックオンラインのDaily Eventの入賞デッキの解説をしていきたいと思います。
SCGO Kansas City トップ8デッキアーキタイプ
2013年3月24日
1位 ANT/ANT
2位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶+黒
3位 Reanimator/リアニメイト
4位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
5位 Elves/エルフ
6位 Lands/土地単
7位 Punishing Jund/ジャンド
8位 Nic Fit/ジャンド
前回のSCGO Washington, DCに続いてストーム系のコンボデッキ(ANT)の優勝でした。今回のトップ8は、最近のほぼ青一色と異なり、LandsやNic Fit等のデッキも見られバラエティに富んでいます。
SCGO Kansas City デッキ解説
「ANT」「Esper Stoneblade」「RUG Delver」「Reanimator」「Nic Fit」
1 《島》 2 《沼》 2 《宝石鉱山》 1 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 -土地(15)- -クリーチャー(0)- |
1 《むかつき》 4 《渦まく知識》 4 《陰謀団の儀式》 4 《暗黒の儀式》 2 《陰謀団式療法》 4 《強迫》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《冥府の教示者》 1 《炎の中の過去》 4 《思案》 4 《定業》 1 《苦悶の触手》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(45)- |
3 《花の絨毯》 4 《突然の衰微》 2 《蒸気の連鎖》 2 《殺戮の契約》 1 《陰謀団式療法》 1 《苦悶の触手》 1 《Tropical Island》 1 《Karakas》 -サイドボード(15)- |
レガシーを代表するストームを使った瞬殺コンボデッキ。SCG OpenやInvitationalで入賞している強豪プレイヤーのAdam Prosakと、サイドボードの一部のカードを除いてほぼ同様のリストです。前回優勝したTESとは異なりキャントリップを16枚搭載した安定性重視の構成です。メインはほぼ青黒の2色で、最近定番の《燃え立つ願い》は採用されておらず《炎の中の過去》の為だけに赤を足しています。
サイドボードもコンボミラー用に追加の《陰謀団式療法》、RUG Delver等マナ否定戦略に対して《花の絨毯》、《ガドック・ティーグ》や《スレイベンの守護者、サリア》対策に《Karakas》、《相殺》等の置物対策に《突然の衰微》と隙の無い構成です。このリストには追加の除去の《殺戮の契約》と追加のコンボパーツの《苦悶の触手》が採用されています。
2 《島》 2 《平地》 1 《沼》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《Scrubland》 3 《Tundra》 2 《Underground Sea》 1 《不毛の大地》 1 《アカデミーの廃墟》 1 《Karakas》 -土地(22)- 3 《瞬唱の魔道士》 4 《石鍛冶の神秘家》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 1 《対抗呪文》 4 《Force of Will》 4 《剣を鍬に》 2 《コジレックの審問》 3 《未練ある魂》 2 《思案》 1 《至高の評決》 2 《思考囲い》 1 《名誉回復》 1 《殴打頭蓋》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(30)- |
1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《解呪》 3 《根絶》 2 《呪文貫き》 3 《聖トラフトの霊》 2 《陰謀団式療法》 1 《コジレックの審問》 1 《非業の死》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
現在のレガシーの代表的な中速コントロールデッキで毎回安定した成績を出しているEsper Stoneblade。今回入賞したNick Carlsonのリストはメイン、サイド共に比較的オーソドックスですが、サイドボードに追加のハンデスとして《未練ある魂》と相性の良い《陰謀団式療法》が採用されていて、コンボを意識しているのが分かります。このデッキのみならずコントロールデッキの宿命として、コンボ相手に除去を引きすぎたり、ゴブリン等カウンターの効果の薄い相手に《Force of Will》を抱えたり、引きが噛み合わずあっさりと負けてしまう事もあります。しかし打ち消し、除去、手札破壊と一通り揃っていてメタによってカスタマイズできるデッキなのでSCGOやGPのような長丁場ではベストなチョイスの一つと言えます。
4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 4 《稲妻》 3 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 4 《もみ消し》 4 《思案》 1 《森の知恵》 -呪文(30)- |
2 《墓掘りの檻》 1 《硫黄の精霊》 1 《精神支配》 2 《硫黄の渦》 2 《クローサの掌握》 2 《赤霊破》 3 《水没》 2 《Rough+Tumble》 -サイドボード(15)- |
定番のRUG Delverも変わらず安定したパフォーマンスです。今回入賞したJeff Rasmussenのリストはセカンドバーンスペルとして採用されている事が多い《二股の稲妻》や《Chain Lightning》が取られておらず、代わりに消耗戦に強い《森の知恵》や、コンボやコントロールに強い《呪文嵌め》《呪文貫き》が多目に取られています。コンボが復権してきているのでそれらに対して役に立たないバーンスペルよりも優先されているのは納得です。
サイドもEsper StonebladeやUW Miracleに対して高い効果が望める《クローサの掌握》や《硫黄の渦》、スピリットトークン対策に《硫黄の精霊》が採用されています。Esper Stoneblade同様に環境に応じてカスタマイズできるのでこれからも上位で見かけることが多くなるでしょう。
1 《島》 2 《沼》 1 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 4 《Underground Sea》 3 《新緑の地下墓地》 1 《Karakas》 -土地(16)- 1 《魅力的な執政官》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 4 《グリセルブランド》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 3 《目くらまし》 4 《納墓》 4 《Force of Will》 4 《入念な研究》 4 《死体発掘》 4 《再活性》 4 《思考囲い》 2 《動く死体》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(37)- |
1 《墨溜まりのリバイアサン》 1 《潮吹きの暴君》 3 《狼狽の嵐》 2 《水没》 2 《外科的摘出》 4 《実物提示教育》 2 《裏切り者の都》 -サイドボード(15)- |
環境に多数存在する墓地対策にもかかわらずコンスタントに入賞し続けているReanimator。最近は《実物提示教育》をメインに積んだ型をよく見かけましたが、今回入賞したDevin Koepkeのリストは伝統的なリストで、サイド後に《実物提示教育》を導入して変形します。
サイドにはコンボ対策に《狼狽の嵐》を3枚積んでいます。
3 《森》 2 《山》 2 《沼》 1 《Badlands》 2 《Bayou》 4 《燃え柳の木立ち》 1 《ケッシグの狼の地》 1 《Taiga》 4 《新緑の地下墓地》 2 《樹木茂る山麓》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(23)- 1 《若き群れのドラゴン》 1 《死儀礼のシャーマン》 2 《永遠の証人》 2 《高原の狩りの達人》 1 《原始のタイタン》 1 《漁る軟泥》 1 《スラーグ牙》 4 《老練の探険者》 1 《最後のトロール、スラーン》 -クリーチャー(14)- |
2 《突然の衰微》 4 《罰する火》 4 《陰謀団式療法》 4 《緑の太陽の頂点》 2 《大渦の脈動》 3 《破滅的な行為》 3 《師範の占い独楽》 1 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(23)- |
3 《花の絨毯》 2 《精神壊しの罠》 3 《赤霊破》 3 《外科的摘出》 2 《殺戮遊戯》 2 《思考囲い》 -サイドボード(15)- |
今回Tim Wilsonが入賞したJundカラーの中速デッキは、最近流行のPunishing Jundとは異なる、The Rockタイプのデッキです。《陰謀団式療法》で相手の手札を破壊しつつ《老練の探険者》を墓地に送り土地を伸ばし、《原始のタイタン》等のパワーカードを展開していきます。《ケッシグの狼の地》と《原始のタイタン》の組み合わせは少し前のスタンダードを彷彿させます。アドバンテージを稼ぐ手段が豊富でコンボ以外のデッキに対しては互角以上に戦う事が出来ます。
その分サイドには《精神壊しの罠》や《赤霊破》、追加のハンデスの《思考囲い》等コンボ対策のカードが多めに取られています。《殺戮遊戯》はスタンダードでも中速デッキ相手のサイドボードとしてよく見かけますが、カウンターされないのでレガシーでも青系のコントロールが使ってくる《精神を刻む者、ジェイス》等を取り除けるので、マナの出るこのデッキなら有効な選択です。
MO Legacy Daily デッキ解説
「マナレスドレッジ」「Zoo」「Tempo BUGw」
SCGO Orlandoは両日共にスタンダードでレガシーはお休みだった為、今回はマジックオンライン(MO)のレガシーのDaily Eventの入賞デッキをおまけとして解説していきます。
4 《ドライアドの東屋》 -土地(4)- 4 《別館の大長》 1 《憎悪縛りの剥ぎ取り》 4 《ゴルガリの墓トロール》 4 《ゴルガリの凶漢》 2 《グリセルブランド》 4 《イチョリッド》 4 《ナルコメーバ》 3 《冥界の影》 4 《変幻影魔》 3 《よろめく殻》 4 《臭い草のインプ》 4 《通りの悪霊》 -クリーチャー(41)- |
4 《黄泉からの橋》 4 《陰謀団式療法》 3 《戦慄の復活》 4 《不快な群れ》 -呪文(15)- |
1 《絶望の天使》 4 《Contagion》 2 《浄火の大天使》 4 《神聖の力線》 4 《精神壊しの罠》 -サイドボード(15)- |
cjlack92の入賞したデッキはマナレスドレッジと呼ばれるバージョンで、マナを一切使わずにゲームに勝利することからそう呼ばれています。通常このバージョンは土地を1枚も採用していないのですが、cjlack92は4枚の《ドライアドの東屋》を採用しています。《ドライアドの東屋》がクリーチャーである事を利用し《陰謀団式療法》や《戦慄の復活》のコストにする事が出来ます。
土地のスロットを発掘持ちのカードに使うことが出来るのがこのデッキの強みです。《変幻影魔》は発掘持ちのカードを《打開》等を通すことなく墓地に送る手段になり《イチョリッド》の餌にもなります。
1 《森》 1 《山》 1 《平地》 2 《Plateau》 1 《Savannah》 2 《Taiga》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 4 《乾燥台地》 -土地(20)- 3 《渋面の溶岩使い》 4 《密林の猿人》 4 《壌土のライオン》 2 《クァーサルの群れ魔道士》 4 《タルモゴイフ》 4 《野生のナカティル》 -クリーチャー(21)- |
4 《Chain Lightning》 4 《稲妻》 4 《稲妻のらせん》 4 《流刑への道》 1 《森の知恵》 2 《梅澤の十手》 -呪文(19)- |
2 《Karakas》 3 《エーテル宣誓会の法学者》 3 《ガドック・ティーグ》 3 《精神壊しの罠》 4 《紅蓮破》 -サイドボード(15)- |
《稲妻のらせん》等火力が多めに取られている懐かしい型のZoo。サイドはほぼコンボ対策一色です。《紅蓮破》4枚と《Karakas》が2枚採用されている事からコンボの中でも特に《実物提示教育》系のデッキを意識しているようです。
4 《溢れかえる岸辺》 4 《霧深い雨林》 1 《沸騰する小湖》 1 《Scrubland》 2 《Tropical Island》 2 《Tundra》 2 《Underground Sea》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《闇の腹心》 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《秘密を掘り下げる者》 3 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(14)- |
2 《突然の衰微》 4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 4 《もみ消し》 4 《剣を鍬に》 4 《思案》 -呪文(26)- |
1 《突然の衰微》 1 《聖トラフトの霊》 4 《水没》 3 《外科的摘出》 4 《思考囲い》 2 《造物の学者、ヴェンセール》 -サイドボード(15)- |
Tempo BUGに白を足したデッキ。白を足すことによって優秀なクロックの《聖トラフトの霊》と除去の《剣を鍬に》が使用できるようになりました。4色のデッキに4枚の《不毛の大地》という一見無茶な構成も《死儀礼のシャーマン》が可能にしています。《聖トラフトの霊》と《造物の学者、ヴェンセール》が採用されているのでそれらのクリーチャーと相性の良い《Karakas》の採用も検討しても良いかもしれません。
総括
SCGO Kansas Cityも前回のSCGO Washington, DCと同様にストームコンボ(ANT)の優勝でした。Kansas Cityのトップ8は8名とも異なるアーキタイプで入賞しており、久々にレガシーらしいバラエティに富んだ結果でした。
以上、SCGO Kansas Cityの解説でした。
次回の記事ではStarCity Open Atlantaの解説を予定しています。AtlantaではStarCity Invitationalも合同で開催されます。筆者もプレイヤーとして参加予定です。StarCity Invitationalの参加は初めてですが良い結果が出るように頑張ります。
それでは次回の記事で会いましょう。楽しいレガシーを!