皆さんこんにちは。
先週末にはテーロスのプレリリースがありましたが、皆さん楽しんでいただけたでしょうか?
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) Atlanta の上位入賞デッキの解説と、新セット『テーロス』がスタンダードの環境にどのような影響を与えるのかを考案していきたいとおもいます。
SCGO Atlanta トップ8 デッキアーキタイプ
2013年9月14日
1位 Naya Midrange/ナヤミッドレンジ
2位 GR Aggro/グルールミッドレンジ
3位 BG Midrange/黒緑コントロール
4位 Naya Midrange/ナヤミッドレンジ
5位 UWR Flash/トリコフラッシュ
6位 UW Flash/白青フラッシュ
7位 UW Flash/白青フラッシュ
8位 Junk Reanimator/リアニメイト
現環境最後のSCGO Standardを制したのは緑、白、赤の優秀なクリーチャーを多数採用したNaya Midrangeでした。
今回はGP 北九州では少数だったUW FlashがUWR Flashを含めると3人と多目の入賞者を出していました。環境の終盤とありメタが分かり易くなっていたのとカウンターを多数搭載していることで環境に多く存在するミッドレンジに有利なことが今回の入賞の要因だと思われます。
SCGO Atlanta デッキ解説
「Naya Midrange」「UWR Flash」「BW Midrange」
1 《森》 4 《聖なる鋳造所》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 4 《根縛りの岩山》 3 《断崖の避難所》 3 《陽花弁の木立ち》 1 《ガヴォニーの居住区》 -土地(24)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《復活の声》 3 《漁る軟泥》 2 《火打ち蹄の猪》 4 《ボロスの反攻者》 3 《ロクソドンの強打者》 2 《地獄乗り》 4 《雷口のヘルカイト》 -クリーチャー(26)- |
2 《忌むべき者のかがり火》 2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《セレズニアの魔除け》 4 《ドムリ・ラーデ》 -呪文(10)- |
3 《ひるまぬ勇気》 2 《士気溢れる徴集兵》 2 《天啓の光》 2 《ボロスの魔除け》 2 《安らかなる眠り》 1 《地獄乗り》 1 《忌むべき者のかがり火》 1 《忘却の輪》 1 《情け知らずのガラク》 -サイドボード(15)- |
4 《聖なる鋳造所》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 4 《根縛りの岩山》 3 《断崖の避難所》 3 《陽花弁の木立ち》 2 《ケッシグの狼の地》 -土地(24)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 1 《東屋のエルフ》 4 《復活の声》 4 《ボロスの反攻者》 2 《ロクソドンの強打者》 4 《ゴーア族の暴行者》 2 《高原の狩りの達人》 3 《雷口のヘルカイト》 2 《鷺群れのシガルダ》 1 《戦導者オレリア》 -クリーチャー(27)- |
3 《ボロスの魔除け》 3 《ドムリ・ラーデ》 2 《ミジウムの迫撃砲》 1 《情け知らずのガラク》 -呪文(9)- |
2 《天啓の光》 2 《セレズニアの魔除け》 2 《冒涜の行動》 2 《安らかなる眠り》 2 《ひるまぬ勇気》 2 《軍勢の集結》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 1 《オレリアの憤怒》 1 《忘却の輪》 -サイドボード(15)- |
フル投入された《ドムリ・ラーデ》を活かす為に、多くのクリーチャーが採られています。クリーチャーでないスペルは《ドムリ・ラーデ》を除けば《忌むべき者のかがり火》等の数枚の除去のみです。
今回優勝したRudy Briksza のリストは《地獄乗り》等の速攻クリーチャーを多目に採用することでコントロールデッキに対抗しています。4位に入賞したJimmie Smithと比較すると全体的に軽めに調整されています。Jimmie Smithのリストはクリーチャー除去はメインでは《ミジウムの迫撃砲》が2枚のみと少な目でメインから《戦導者オレリア》や《鷺群れのシガルダ》が採用されているなど、Rudyのリストが若干アグロ寄りに調整されているのに比べ、よりミッドレンジらしく調整されています。
両者共に共通している点は2枚採用されている《天啓の光》と《安らかなる眠り》です。
前者はBant Hexproofに対して、後者は主にJunk Reanimatorに対してサイドインされます。特にJunk ReanimatorはM14加入直後の環境では《漁る軟泥》の影響であまり見られませんでしたが、SCGO Cincinnatiと前回のSCGO Philadelphiaで入賞する等復権の兆しを見せており今大会でも入賞していたのでサイドボードに墓地対策を採ったのは正しい判断だと言えます。
ローテーション後の環境ではこのデッキのマナ基盤を支えていた《アヴァシンの巡礼者》等のマナクリーチャーやM10ランドが落ちるので若干の調整が必要になりますが、《復活の声》《ロクソドンの強打者》等のクリーチャーやPWの《ドムリ・ラーデ》、除去の《ミジウムの迫撃砲》等多くのパーツは新環境でも健在なのでアーキタイプ自体は存続可能です。
2 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《聖なる鋳造所》 4 《蒸気孔》 4 《氷河の城砦》 4 《硫黄の滝》 3 《断崖の避難所》 1 《ムーアランドの憑依地》 -土地(26)- 3 《ボーラスの占い師》 3 《瞬唱の魔道士》 4 《修復の天使》 -クリーチャー(10)- |
3 《火柱》 3 《中略》 4 《熟慮》 3 《アゾリウスの魔除け》 2 《イゼットの魔除け》 2 《対抗変転》 3 《スフィンクスの啓示》 2 《至高の評決》 2 《戦導者のらせん》 -呪文(24)- |
2 《イゼットの静電術師》 2 《払拭》 2 《否認》 2 《変化+点火》 2 《拘留の宝球》 1 《霊異種》 1 《天界のほとばしり》 1 《対抗変転》 1 《思考を築く者、ジェイス》 1 《漸増爆弾》 -サイドボード(15)- |
環境初期から存在するデッキで、環境で数少ないカウンターを多数採用したコントロールデッキです。JundやBG Midrangeに対して強く、小型のクリーチャーを多く採ったThe Aristocrats系のデッキに対しても有利が付きます。
環境に《燃え立つ大地》が加入して以来数を減らしてはいましたが今回はBG MidrangeやUW Flash等《燃え立つ大地》を意識して色を2色に絞ったデッキが多く、《燃え立つ大地》が活躍し難かったためUWR Flashにとっては勝ち残りやすいメタだったようです。環境終盤で仮想敵が以前と比べてはっきりしていたのも勝因です。
13 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 2 《ゴルガリのギルド門》 2 《変わり谷》 -土地(25)- 2 《漁る軟泥》 4 《生命散らしのゾンビ》 4 《冒涜の悪魔》 2 《ボーラスの信奉者》 4 《スラーグ牙》 -クリーチャー(16)- |
2 《悲劇的な過ち》 3 《血の署名》 2 《破滅の刃》 2 《突然の衰微》 1 《究極の価格》 2 《化膿》 3 《もぎとり》 3 《ヴェールのリリアナ》 1 《見えざる者、ヴラスカ》 -呪文(19)- |
3 《強迫》 2 《吸血鬼の夜鷲》 2 《花崗岩の凝視》 2 《地下世界の人脈》 2 《悪魔の顕現》 1 《化膿》 1 《もぎとり》 1 《原始の報奨》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード(15)- |
黒緑の除去コントロール。最近は《燃え立つ大地》の影響で多色のJundよりもこの緑黒の方が上位で多く見かけます。2色なので基本地形を多数採用が可能で安定しています。Jund以外のデッキに対しては特に相性の悪いデッキがないのが強みです。カウンターを多数採用しているUW Flash系のデッキに対しても、サイドに相手のカウンターよりも脅威を多く引くことの手助けをする《地下世界の人脈》や手札破壊の《強迫》を採用しているのでサイド後は有利にゲームを進めることができます。
このデッキのスイーパーである《もぎとり》、主力クリーチャーの《スラーグ牙》、PWの《ヴェールのリリアナ》等主要なパーツの多くがローテーション落ちしてしまうので残念ながら現在の型を維持するのは不可能です。しかし、このデッキの主力の大型クリーチャー《冒涜の悪魔》や優秀な単体除去である《化膿》はローテーション後も残るので、テーロスの新カードとの組み合わせによって新たな緑黒ミッドレンジが作られる可能性は十分にあります。
テーロス後のスタンダード
テーロスの新カードがスタンダードの環境にどのような影響を与えるのかを解析していきたいと思います。
■ブロック構築のバージョンアップ
ローテーション直後のスタンダードの環境を占うにあたりよく使われる方法は、ブロック構築で活躍しているデッキを見てみることです。
今年の5月に行われたプロツアー「ドラゴンの迷路」の結果を見ていきます。
9 《森》 9 《平地》 4 《寺院の庭》 1 《セレズニアのギルド門》 -土地(23)- 4 《実験体》 4 《ドライアドの闘士》 4 《審判官の使い魔》 4 《復活の声》 4 《ロクソドンの強打者》 -クリーチャー(20)- |
4 《議事会の招集》 4 《セレズニアの魔除け》 4 《根生まれの防衛》 4 《ワームの到来》 1 《護民官のサーベル》 -呪文(17)- |
4 《セレズニアの声、トロスターニ》 4 《ひるまぬ勇気》 2 《ドルイドの講話》 2 《派手な投光》 1 《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》 1 《オルゾヴァの贈り物》 -サイドボード(15)- |
緑白の優秀なクリーチャーでビートダウンしていくデッキです。この手の戦略の弱点である《至高の評決》《ミジウムの迫撃砲》といったスイーパーを無効にする《根生まれの防衛》、今後も恐らく目にすることになるであろう、《冒涜の悪魔》等の大型クリーチャーに対する除去スペルとしても使える《セレズニアの魔除け》等ユーティリティスペルも充実しています。
テーロスからも、RTRブロックに多数存在する優秀な多色スペルやクリーチャーに対して耐性のある《万神殿の兵士》や、2マナで3/3と優秀なクロックとして活躍が期待でき、怪物化すればその高い除去体制から相手によってはゲームを速やかに終わらせるポテンシャルを持つ《羊毛鬣のライオン》等新戦力となりそうなカードが多数加入します。
9 《森》 9 《平地》 4 《寺院の庭》 1 《セレズニアのギルド門》 -土地(23)- 4 《実験体》 4 《万神殿の兵士》 4 《威圧する君主》 4 《復活の声》 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《ロクソドンの強打者》 -クリーチャー(23)- |
4 《議事会の招集》 4 《セレズニアの魔除け》 2 《根生まれの防衛》 4 《ワームの到来》 -呪文(14)- |
-サイドボード(0)- |
■テーロスの新カードを使ったアーキタイプ
テーロスのリストを眺めていて気が付いたことは赤の神の《鍛冶の神、パーフォロス》やフィニッシャーの《嵐の息吹のドラゴン》、採録された優秀な火力の《マグマの噴流》等赤いデッキの新戦力となり得る優秀なスペルとクリーチャーが多数含まれていることでした。
特に《嵐の息吹のドラゴン》、は前環境の赤のフィニッシャーであった《雷口のヘルカイト》の後釜としての活躍が期待されます。《アゾリウスの魔除け》、《拘留の宝球》、《戦導者のらせん》、《岩への繋ぎ止め》等の新環境で使われそうな白い除去に対して耐性があるのが強みです。
《鍛冶の神、パーフォロス》はトークンを生み出す《若き紅蓮術士》との相性が良く、《ボロスの反攻者》等を利用すれば赤への信心を集めるのも容易です。
23 《山》 2 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(25)- 4 《若き紅蓮術士》 4 《灰の盲信者》 4 《チャンドラのフェニックス》 4 《ボロスの反攻者》 3 《鍛冶の神、パーフォロス》 3 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(22)- |
2 《ショック》 4 《マグマの噴流》 3 《稲妻の一撃》 2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 -呪文(13)- |
-サイドボード(0)- |
総括
現環境最後の SCGO Atlanta StandardはNaya Midrangeの優勝で幕を閉じました。最近のスタンダード環境では珍しく去年のUW Delverや一昨年のCaw Bladeのように環境を支配する程のデッキは存在せず、様々なアーキタイプが結果を出していました。
今週末から『テーロス』が解禁になりスタンダードの環境が一変します。今回の記事では筆者なりに新環境で使われそうなデッキを考案してみましたが皆さんの参考になれば幸いです。
以上SCGO Atlantaの大会結果の解説と新スタンダードの考案でした。
次回の記事ではSCGO WorcestorとSCGO Clevelandの大会結果の解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!