新セットテーロスがリリースしてからしばらく経ちますが、皆さんどうお過ごしですか?
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) ClevelandとSCGO Milwaukeeの入賞デッキの解説をしていきたいと思います。
SCGO Clevelandは筆者も流行りのShardless BUGで参加しました。
メインから《血染めの月》を採用しているPainter Stoneやメインから《基本に帰れ》を採っている青白デッキ等特殊地形に頼ったデッキをメタったデッキに多く当たり満足な成績は残せませんでしたが、トップ64で何とかマネーフィニッシュは果たせました。デッキ自体は対策され尽くされている感があり、今大会ではあまり良い選択ではありませんでした。
SCGO Cleveland トップ8 デッキアーキタイプ
2013年10月6日
1位 UWR Stoneblade/トリコトラフト
2位 Reanimator/リアニメイト
3位 Reanimator/リアニメイト
4位 Goblins/ゴブリン
5位 Belcher/ベルチャー
6位 Painted Stone/ペインター
7位 Metalworker/茶単
8位 Four Color Cascade/4色ジャンク
テーロス解禁後初めて行われたSCGO Clevelandは久々に入賞したRenimatorを含めてコンボが多いトップ8でしたが、優勝したのはUWR Stonebladeでした。
会場を見渡した限りでは青い中速デッキの中でも最もポピュラーな型であるShardless BUGは使用人数は多かったものの、Painted Stone等も普段よりも多く存在したため勝ちきれなかったようです。
SCGO Cleveland デッキ解説
「UWR Stoneblade」「Reanimator」「Painted Stone」
4 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 2 《渋面の溶岩使い》 3 《石鍛冶の神秘家》 2 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(11)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《もみ消し》 2 《呪文貫き》 2 《剣を鍬に》 2 《ギタクシア派の調査》 4 《目くらまし》 3 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
3 《水没》 2 《翻弄する魔道士》 2 《安らかなる眠り》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《呪文貫き》 1 《剣を鍬に》 1 《摩耗+損耗》 1 《紅蓮地獄》 1 《Force of Will》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
最近コンスタントに入賞している 《秘密を掘り下げる者》を搭載したテンポデッキ寄りのStoneblade。《石鍛冶の神秘家》パッケージはマナを食うので本来テンポ重視のコンセプトとの相性はあまり良いものではありませんが、RUG Delver等が苦戦するマッチアップであるDeath and Taxesや部族デッキに対して強い構成です。
サイドの《紅蓮地獄》を見てもコンボよりもクリーチャーデッキをメタった構成であることが分かります。白の定番の除去である《剣を鍬に》がメインに2枚、サイドにも1枚と少な目で《呪文貫き》が2枚メインに採られていますが、コンボが多かった今回のメタでは正解だったようです。
2 《島》 2 《沼》 4 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 -土地(16)- 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 4 《グリセルブランド》 1 《潮吹きの暴君》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 4 《納墓》 4 《再活性》 3 《思案》 3 《思考囲い》 3 《死体発掘》 2 《目くらまし》 2 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 1 《動く死体》 3 《水蓮の花びら》 -呪文(37)- |
3 《真髄の針》 2 《呪文貫き》 2 《残響する真実》 2 《実物提示教育》 2 《裏切り者の都》 1 《灰燼の乗り手》 1 《墨溜まりのリバイアサン》 1 《棺の追放》 1 《ひどい憔悴》 -サイドボード(15)- |
1 《島》 1 《沼》 4 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《湿地の干潟》 1 《霧深い雨林》 1 《新緑の地下墓地》 -土地(15)- 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 4 《グリセルブランド》 1 《潮吹きの暴君》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 4 《納墓》 4 《再活性》 3 《思案》 2 《思考囲い》 4 《死体発掘》 3 《目くらまし》 2 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(38)- |
3 《真髄の針》 2 《蒸気の連鎖》 2 《狼狽の嵐》 2 《思考囲い》 2 《実物提示教育》 2 《仕組まれた爆薬》 1 《灰燼の乗り手》 1 《浄火の大天使》 -サイドボード(15)- |
大型クリーチャーのコストを踏み倒して場に出すコンボデッキとしては最近は 《実物提示教育》系のデッキの陰に隠れがちでしたが、今大会ではトップ4に二人送り込む活躍を見せました。入賞した両プレイヤー共にテーロスから新たに印刷された《灰燼の乗り手》が《絶望の天使》の代わりに採用しています。
釣りの対象は両プレイヤー共に定番の《グリセルブランド》、《潮吹きの暴君》、Omni-tell等の単色デッキをシャットダウンする《エメリアの盾、イオナ》、部族デッキなどのクリーチャーデッキの戦線を壊滅させる《大修道士、エリシュ・ノーン》を選択しています。残念ながら準決勝で同系の潰し合いとなってしまいましたが、天敵である《死儀礼のシャーマン》を使ったShardless BUGにとっては厳しいメタになってきているのもありデッキ選択としては正解だったようです。
今回準優勝したRobert Cucunato はメタの変化から自身と同様の結論を出すプレイヤーがいたことを想定したかのようにサイドに同系対策の《棺の追放》が採られています。彼の判断は正しく、準決勝の同系対決での決め手になりました。また、Robert Cucunato はサイド後の墓地対策に対抗するために追加の《実物提示教育》の他にも、速度を上げることができる《裏切り者の都》を採用しています。
3 《島》 1 《山》 2 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 2 《大焼炉》 2 《教議会の座席》 3 《古えの墳墓》 1 《裏切り者の都》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの溶接工》 4 《絵描きの召使い》 2 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 2 《赤霊破》 4 《Transmute Artifact》 3 《直観》 4 《Force of Will》 2 《オパールのモックス》 1 《ライオンの瞳のダイアモンド》 1 《トーモッドの墓所》 2 《師範の占い独楽》 4 《丸砥石》 3 《厳かなモノリス》 -呪文(30)- |
3 《呪文滑り》 3 《狼狽の嵐》 3 《血染めの月》 3 《トーモッドの墓所》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《赤霊破》 1 《罠の橋》 -サイドボード(15)- |
Shardless BUGやDeathblade等基本地形を一切採用していない中速デッキが流行るメタになって以来活躍し続けているPainted Stone。今回入賞したNam Tranのリストは普段よく目にする赤単色ではなく赤青の2色です。青を足すことでコンボパーツをサーチできる《Transmute Artifact》や《直観》、《Force of Will》等のカウンターにアクセスできるのが強みです。
しかし、2色になったことによりデッキ内の特殊地形の枚数が増え《血染めの月》が使い難くなりサイドに移されています。Shardless BUGやDeathblade等には《血染めの月》を場に出せばそれだけで勝てる場面が多いだけに残念ですが、今回のようにコンボが多いメタではそれほど気にはならなかったと思います。
SCGO Milwaukee トップ8 デッキアーキタイプ
2013年10月13日
1位 Sneak and Show/スニーク・ショー
2位 The Spy/ザ・スパイ
3位 Reanimator/リアニメイト
4位 Dredge/発掘
5位 4C Delver/カナディアン・スレッショルド
6位 Explorer Pod/出産の殻
7位 ANT/むかつきストーム
8位 UWR Delver/トリコトラフト
前回と同様にコンボが多く、その他のデッキはコンボデッキの対抗勢力であるDelver系のテンポデッキでした。そんな中優勝したのはSneak and Showでした。最近好調のReanimatorも入賞しています。
The Spy等非常に珍しいコンボも入賞している等前回と比べてデッキの種類が多彩なのが今大会の特徴です。
SCGO Cleveland デッキ解説
「Sneak and Show」「The Spy」「Reanimator」
4 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 4 《古えの墳墓》 1 《裏切り者の都》 -土地(19)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《呪文貫き》 3 《思案》 1 《撤廃》 4 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 2 《誤った指図》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 3 《師範の占い独楽》 -呪文(33)- |
3 《血染めの月》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 2 《紅蓮地獄》 2 《裂け目の突破》 2 《防御の光網》 1 《撤廃》 1 《残響する真実》 -サイドボード(15)- |
対策されているのにも関わらずコンスタントに入賞し続けているSneak and Show。今回優勝したJason Jacoはメインに 《師範の占い独楽》を3枚採用する等より安定した回りを追及しています。ドローの質が上がるので長期戦にも強くなっており第一波を凌がれても引き続き脅威を展開していくことが他のリストと比較すると容易です。《撤廃》は序盤を凌ぎつつドローを進めていくことができる優秀な妨害スペルです。サイドの《紅蓮地獄》はヘイトベアーや部族デッキ対策の他にも最近流行りのUWRの《聖トラフトの霊》等も除去できます。
-土地(0)- 1 《ほくちの壁》 1 《野生の朗詠者》 4 《ナルコメーバ》 4 《Elvish Spirit Guide》 4 《猿人の指導霊》 4 《地底街の密告人》 1 《研究室の偏執狂》 4 《欄干のスパイ》 4 《通りの悪霊》 1 《巻物の君、あざみ》 1 《栄光の目覚めの天使》 -クリーチャー(29)- |
3 《召喚士の契約》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《暗黒の儀式》 3 《陰謀団式療法》 4 《陰謀団の儀式》 4 《魔力変》 1 《戦慄の復活》 4 《金属モックス》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(31)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《ゴブリンの放火砲》 3 《ほくちの壁》 3 《大霊堂の戦利品》 1 《厳かなモノリス》 -サイドボード(15)- |
土地が一切採用されておらずスペルのみの構成な為「Oops,all spells」とも呼ばれている瞬殺コンボ。デッキの動きはまず《欄干のスパイ》でライブラリーのすべてのカードを墓地に落とし《ナルコメーバ》をコストに《戦慄の復活》をフラッシュバックし《栄光の目覚めの天使》を場に出して《研究室の偏執狂》と 《巻物の君、あざみ》を戻し《巻物の君、あざみ》を起動してカードを引きます。《巻物の君、あざみ》を起動した時点でライブラリーが空な筈なので《研究室の偏執狂》の能力で勝利です。
オールインな構成なので墓地対策とカウンターに弱いのが難点です。しかし、最近のメタは墓地対策が薄めなので以前と比べれば勝ち残りやすくなっています。今後の可能性は未知数ですが今回のリストのようにサイドボードに《ゴブリンの放火砲》コンボを搭載する等変形サイドボード戦略を採るのも相手の墓地対策に対して有効な戦略です。
1 《島》 1 《沼》 4 《Underground Sea》 1 《Badlands》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《湿地の干潟》 1 《新緑の地下墓地》 -土地(15)- 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 3 《グリセルブランド》 1 《潮吹きの暴君》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《核の占い師、ジン=ギタクシアス》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《納墓》 4 《再活性》 3 《入念な研究》 3 《思考囲い》 4 《死体発掘》 3 《目くらまし》 3 《イゼットの魔除け》 4 《Force of Will》 2 《動く死体》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(38)- |
3 《実物提示教育》 3 《真髄の針》 2 《暗黒の儀式》 2 《狼狽の嵐》 2 《裏切り者の都》 1 《鋼の風のスフィンクス》 1 《墨溜まりのリバイアサン》 1 《イゼットの魔除け》 -サイドボード(15)- |
今回入賞したJoseph Alane のリストは《イゼットの魔除け》の為に赤を足すなど他のリストと異なるアプローチを幾つかしていました。
Joseph AlaneはSCGO等の大会を通して知り合った筆者の友人でFacebookにてインタビューをすることができました。
筆者: トップ4入賞おめでとう! 今大会でRenimatorを使用した理由は?
Joseph: 実は密かにベストデッキとして今年の夏ごろからReanimatorを調整していたんだ。Omni-tellやSneak and Showが多く結果を残していたけど、このデッキの方がコンボスピードが《実物提示教育》系のデッキよりも速くて、特に青単色のOmni-tellに対しては《エメリアの盾、イオナ》があるから特に相性が良いんだ。準決勝でSneak and Showに微妙なハンドをキープして負けたけど、相性は60パーセント程は分があるマッチだったと思う。墓地対策が薄くてShardless BUGのように《死儀礼のシャーマン》を使ったデッキがPainted Stoneに駆除され始めていたのもこのデッキにとっては良い知らせだった。デッキが復権してきたから今後は対策が厳しくなりそうだけどね。
筆者: 他のリストと比べると興味深いアプローチをしているね。特に《イゼットの魔除け》の為に赤を足しているけど使ってみた感想は?
Joseph: 今回メイン、サイド合計4枚採用した《イゼットの魔除け》は青赤というコスト以外にはとても満足している。大会中はすべてのモードを使う機会があったよ。1番目のモードは相手の《死儀礼のシャーマン》やヘイトベアーを除去するのに役に立った。お蔭で他のデッキのように《実物提示教育》をメインから積まなくても済んだ。2番目のモードもコンボ相手に役に立ったし、特に墓地を肥やしながら《再活性》スペルを探しに行ける第3のモードはこのデッキにとって必須で、インスタントスピードなのもプラスだね。
筆者: なるほど。他に何か工夫したところは何かある?
Joseph: 他の多くのリストが 《グリセルブランド》をフル投入している所を3枚にして、代わりに《核の占い師、ジン=ギタクシアス》を1枚採用したところかな。相手の手札の上限をゼロにする能力は除去を採用していないコンボに対して特に強さを発揮したよ。除去耐性がないのは確かに少し気になるけど、1-2ターン目には相手もドロースペルで除去を探す余裕も無いはずだしエンドに除去されなければカードを7枚引けるから、返しのターンに回答をトップデッキされても引いた7枚が余程の外れでもない限りはカウンターするなり再度墓地に送って釣ってくることもできるから大抵は大した問題にはならないね。流石に3ターン目以降は除去にアクセスできるデッキに対しては他のファッティを釣ったほうが良さそうだけどね。
筆者: サイドボードは比較的オーソドックスだけど《暗黒の儀式》について教えてくれる?
Joseph: 《暗黒の儀式》は《Force of Will》を使用しないANT等のコンボを相手にデッキの速度を上げるためにサイドインするんだ。
筆者: 2週間後のSCG InvitationalでもReanimatorは活躍しそう?
Joseph: ここ最近の活躍で意識されてると思うから分からないね。参加する皆がどれだけ墓地対策をしてくるかにもよるけどOmni-tellやSneak and Showには相性は悪くないからメタ次第かな。
筆者: 色々と参考になる意見ありがとう。次の大会も頑張ってね。
相性の良いマッチアップの《実物提示教育》系のデッキの促進と墓地対策の薄くなった近年のメタの中復権を果たしたReanimator。2大会連続の入賞で今後は対策をされることが予想できます。果たして2週間後のSCG Invitational Indianapolisではトップメタの一角として活躍することができるのか、今後の動向に注目です。
総括
SCGO ClevelandとSCGO Milwaukeeはどちらの大会もコンボが上位に多いメタでした。そんな中SCGO Clevelandではコンボデッキとの相性の良さを保ったままコンボ以外のデッキに対しても《石鍛冶の神秘家》パッケージを搭載することで互角以上のゲームになるよう調整されたテンポデッキUWR Stonebladeが優勝し、その翌週のSCGO Milwaukeeではレガシーの定番のコンボデッキであるSneak and Showがタイトルを獲得しました。
Shardless BugやDeathbladeの姿は見えず、2週連続でRenimatorが入賞する等メタが変化していることが分かります。今後は多くのプレイヤーが墓地対策を用意することが予想されるので対策が進めばReanimator使いにとっては厳しいメタになりそうです。
以上SCGO ClevelandとSCGO Milwaukeeの解説でした。
次回の記事ではSCGO SeattleとSCGO Indianapolis, SCG Invitational Indianapolisの解説を予定しています。SCG Invitational Indianapolisには筆者も参加予定です。レベルの高い大会になりそうで今から楽しみです。良い結果が出せるようにベストを尽くしていきたいと思います。
それでは次回の記事で会いましょう。楽しいレガシーを!