皆さんこんにちは。
今月末には『The Last Sun2013』が開催されます。スタンダードとレガシーの両フォーマットで競われるので、参加権利持ちの方々は調整で大忙しだと思われます。
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) Oaklandの入賞デッキを解説していきたいと思います。それと先々週のSCGOはお休みだったため、代わりに11月24日にデンマークで開催された大規模なレガシーの大会であるDanish Legacy Masters2の解説もしていきます。
SCGO Oakland トップ8 デッキアーキタイプ
2013年12月8日
1位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
2位 Elves/エルフ
3位 Affinity/親和
4位 Death and Taxes/デス&タックス
5位 UWR Delver/白青石鍛冶
6位 Omni-tell/ドリーム・ホール
7位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
8位 UWR Delver/白青石鍛冶
優勝はEsper Stonebladeでした。EsperとDelver型の違いはあれど、今回もトップ8の半分を《真の名の宿敵》を使ったデッキが占めるという相変わらずの暴れっぷりでした。それ以外ではDeath and Taxes, Elves, Affinity, Omni-tellと、多様なアーキタイプが活躍しています。
SCGO Oakland デッキ解説
「Esper Stoneblade」「UWR Delver」「Affinity」「Omni-tell」
2 《島》 1 《平地》 1 《沼》 3 《Tundra》 3 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 3 《湿地の干潟》 1 《Karakas》 -土地(23)- 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《瞬唱の魔道士》 3 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(10)- | 4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 2 《思考囲い》 1 《コジレックの審問》 1 《思案》 2 《対抗呪文》 1 《名誉回復》 2 《至高の評決》 4 《Force of Will》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(27)- | 4 《翻弄する魔道士》 2 《盲信的迫害》 2 《安らかなる眠り》 1 《狼狽の嵐》 1 《流刑への道》 1 《思考囲い》 1 《至高の評決》 1 《謙虚》 1 《墓掘りの檻》 1 《万力鎖》 -サイドボード(15)- |
一時期はトップメタから遠ざかっていましたが、《真の名の宿敵》が加入して以来コンスタントに上位入賞しており、レガシーでも最も安定したデッキとしての地位を確立させつつあります。
今回優勝したCharles GordonのリストはGP Washington D.C.でもトップ8に入賞していた『メイン《至高の評決》搭載型』です。4マナと重いのがネックですが相手の《真の名の宿敵》を確実に処理することが可能で、Death and Taxesや決勝でも当たったElvesなど現在の環境にはクリーチャーデッキが多く存在していますし、青いカードなのでコンボ相手にも最悪《Force of Will》のコストになるという優秀なスペルです。また、メインのカウンター呪文の選択が他のバージョンと微妙に異なります。《対抗呪文》が《呪文貫き》よりも優先的に採用されており、確定カウンターを重視しているようです。
コントロール寄りの構成なので土地の枚数は23枚で、うち基本地形を4枚採用しています。青のダブルシンボルが多いので《島》が2枚採られていますが、個人的には《至高の評決》をキャストしたいような相手は大抵《不毛の大地》を搭載しているので、安定して白のダブルシンボルも出せるように2枚目の《平地》も欲しい所です。
サイドには相手のデッキや状況によっては《至高の評決》よりも軽い上にインスタントで使いやすい《盲信的迫害》が2枚採用されています。相手の《真の名の宿敵》を自軍のクリーチャーを巻き込むことなく処理できるのが魅力です。小型クリーチャーを多数搭載したDeath and Taxesや、決勝で当たったElvesに対しても高い効果が望めます。
デッキの構成上特に苦手とするデッキが存在せず、調整次第ではどんなデッキとも互角以上に戦えるポテンシャルを持っているデッキなので、お勧めです。
4 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《石鍛冶の神秘家》 1 《翻弄する魔道士》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(11)- | 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《呪文貫き》 2 《剣を鍬に》 2 《ギタクシア派の調査》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(29)- | 3 《翻弄する魔道士》 3 《紅蓮破》 2 《安らかなる眠り》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《真の名の宿敵》 1 《呪文貫き》 1 《剣を鍬に》 1 《Wear》 1 《墓掘りの檻》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
RUG Delver使いで有名なJacob Wilsonも今大会ではUWR Delverを使用しています。Owen TurtenwaldがGP Washington D.C.で優勝したリストをベースにアレンジが加えられています。
Owenのリストはメインに《呪文貫き》が4枚と非常に尖った構成でしたが、Jacobはメインの《呪文貫き》と《剣を鍬に》を減量して代わりに《ギタクシア派の調査》を2枚を採用するなど、丸い構成です。
RUG Delverを使用しているときにも《ギタクシア派の調査》を使っていたことから、同カードに相当こだわりがあるようです。メインに1枚だけ採用された《翻弄する魔道士》も興味深い選択です。《ギタクシア派の調査》と組み合わせれば《翻弄する魔道士》をより有効に使うことができます。
4 《古えの居住地》 4 《教議会の座席》 4 《囁きの大霊堂》 4 《古えの墳墓》 1 《アカデミーの廃墟》 -土地(17)- 4 《メムナイト》 4 《羽ばたき飛行機械》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《電結の荒廃者》 4 《刻まれた勇者》 -クリーチャー(24)- | 4 《思考囲い》 4 《オパールのモックス》 4 《バネ葉の太鼓》 4 《頭蓋囲い》 3 《ボーラスの工作員、テゼレット》 -呪文(19)- | 4 《エーテル宣誓会の法学者》 4 《安らかなる眠り》 4 《虚空の杯》 3 《呪文貫き》 -サイドボード(15)- |
今回入賞したIan Andersonのリストは、Affinityデッキではほぼ定番のはずの《物読み》が不採用なのが特徴です。スピードを意識しているようで、デッキのあらゆるクリーチャーをマスト除去に変える《頭蓋囲い》をサーチできる反面テンポロスのリスクのある《石鍛冶の神秘家》も不採用となっています。
メインに4枚採用されている《古えの墳墓》はArtifact Landではありませんが、2マナが出るので一度に多数のArtifactを出したいこのデッキにとっては最高の土地です。非常にアグレッシブなデッキなのでライフロスもそれほど気になりません。《メムナイト》と《羽ばたき飛行機械》は《バネ葉の太鼓》と《オパールのモックス》との兼ね合いでこのデッキのマナ基盤として扱います。
《刻まれた勇者》はいわばこのデッキの《真の名の宿敵》で、同カードの影響で現在はスイーパー系の除去が環境に増えつつあるのでほぼ単体除去のみだった以前の環境ほど強力ではありませんが、《刻まれた勇者》+《頭蓋囲い》の組み合わせは依然としてコンボ以外の多くのデッキにとって脅威です。
メインにフル搭載されている《思考囲い》はこのデッキにとって数少ないコンボ対策です。Esper Stoneblade等のコントロールデッキに対しても当然有効、でこのデッキに壊滅的な被害を加える《至高の評決》、《仕組まれた爆薬》や 《梅澤の十手》を相手の手札から捨てさせます。
《ボーラスの工作員、テゼレット》はこのデッキの勝ち手段の一つで、最速2ターン目に出すことも可能です。自軍のArtifactを5/5に変えればゲームを速やかに終わらせることができます。膠着状態に陥っても+1能力を使用してアドバンテージを取り、タイミングを見て-4能力で相手のライフを大量に削ることも可能です。
サイドは苦手なコンボ対策と墓地対策に綺麗にまとめられています。《呪文貫き》《エーテル宣誓会の法学者》《虚空の杯》と計11枚もの対コンボカードが採られており、カウンター、ヘイトベアー、置物とわかれているので、相手側も対策が困難になります。
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7 《島》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 1 《Karakas》 3 《裏切り者の都》 2 《古えの墳墓》 -土地(19)- 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(1)- | 4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《定業》 3 《狼狽の嵐》 2 《ギタクシア派の調査》 1 《親身の教示者》 4 《実物提示教育》 3 《狡猾な願い》 4 《Force of Will》 4 《無限への突入》 4 《ドリーム・ホール》 4 《全知》 -呪文(40)- | 4 《神聖の力線》 3 《防御の光網》 2 《猿術》 1 《否定の契約》 1 《蟻の解き放ち》 1 《計略縛り》 1 《直観》 1 《拭い捨て》 1 《Karakas》 -サイドボード(15)- |
最近はSneak and Showに見せ場を奪われがちでしたが今大会は久々の入賞のOmni-tell。3マナとやや重く《目くらまし》や《呪文貫き》に引っかかりやすい《直観》がメインからサイドに移され、代わりに追加のキャントリップかつ相手の手札の状況を確認できる《ギタクシア派の調査》が採用されています。
メインのカウンターも《否定の契約》の代わりに《狼狽の嵐》が採られています。ローリスクなぶん効果も限定的ですが、コンボを相手にした時に妨害スペルとしても扱うことができ、「ストーム」のおかげで相手にカウンターされにくいのが強みです。
サイドには定番のハンデス対策の《神聖の力線》と青いデッキ対策の《防御の光網》、《狡猾な願い》ターゲットの枠は勝ち手段に《蟻の解き放ち》、追加のサーチスペルの《直観》、妨害スペルの《計略縛り》と《否定の契約》、置物対策に《拭い捨て》と比較的オーソドックスです。クリーチャー、それも主にヘイトベアー対策として、《猿術》が採られているのが印象的です。
Danish Legacy Masters2 トップ8 デッキアーキタイプ
2013年12月8日
1位 ANT/むかつきストーム
2位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
3位 Esper Deathblade/白青石鍛冶
4位 Omni-tell/ドリーム・ホール
5位 UWR Miracle/白青奇跡
6位 Death and Taxes/デス&タックス
7位 UR Delver/青赤デルバー
8位 UWR Delver/白青石鍛冶
デンマークで開催されたレガシー大会のDanish Legacy Masters2(トップ16デッキリストは【こちら】)は賞品が非常に豪華なのが特徴で、上位入賞者には《Underground Sea》など、レガシーで人気のカードが多数与えられました。優勝はANTでしたが、SCGOと同様に《真の名の宿敵》を使ったデッキが多数入賞しています。最近のSCGOのトップ8ではあまり見かけなくなったRUG Delverも準優勝しています。
Danish Legacy Masters2 デッキ解説
「ANT」「UWR Miracle」「UR Delver」
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 1 《Bayou》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 1 《新緑の地下墓地》 -土地(16)- -クリーチャー(0)- | 4 《渦まく知識》 4 《定業》 4 《思案》 4 《暗黒の儀式》 4 《強迫》 4 《思考囲い》 4 《冥府の教示者》 4 《陰謀団の儀式》 1 《リム=ドゥールの櫃》 1 《苦悶の触手》 1 《炎の中の過去》 1 《むかつき》 4 《水蓮の花びら》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 -呪文(44)- | 4 《夜の戦慄》 3 《突然の衰微》 2 《殺戮の契約》 2 《外科的摘出》 2 《蒸気の連鎖》 1 《ザンティッドの大群》 1 《巣穴からの総出》 -サイドボード(15)- |
レガシーの定番コンボデッキの一つであるANT。ライブラリー操作カードとして、状況によってはサーチスペルと変わらない効果を発揮する《リム=ドゥールの櫃》が採用されています。永遠のライバルである青いデッキ対策に《強迫》と《思考囲い》のハンデス8枚体制です。《思考囲い》と《むかつき》によるライフロスが痛いので、Andreasのリストは通常のリストよりも運用が難しくなっている印象があります。
サイドにはヘイトベアーや《虚空の杯》等の置物対策として《突然の衰微》《殺戮の契約》《蒸気の連鎖》と多めの除去に加え、Death and Taxesに対して高い効果が望める上に特に厄介な《スレイベンの守護者、サリア》と《ルーンの母》をまとめてシャットダウンできる 《夜の戦慄》がフル搭載されています。メインでの青対策がしっかりしている分サイドのスペースに余裕ができたため、各種ヘイトベアーやクロックパーミッションの展開してくる脅威に対抗できるカードを多めに積むことが可能になったようです。
5 《島》 2 《平地》 2 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 1 《Plateau》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 2 《秘教の門》 1 《Karakas》 -土地(22)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(4)- | 4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《呪文嵌め》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- | 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《解呪》 1 《至高の評決》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《大祖始の遺産》 1 《殴打頭蓋》 1 《山》 -サイドボード(15)- |
メインは2色ですがサイドの《赤霊破》と《紅蓮破》の為に赤を足しています。《真の名の宿敵》デッキがメタに多数存在する現状では、全体除去の《終末》を使ったUW Miracleは良いチョイスです。
今回入賞したBjorn Lampinenのリストには《安らかなる眠り/Rest in Peace(RTR)》+《Helm of Obedience(ALL)》コンボは非搭載で、主なメインの勝ち手段は《天使への願い》です。また、サイドには《石鍛冶の神秘家》パッケージを追加の勝ち手段として搭載しています。サイド後は相手もクリーチャー除去を減らしてくることが予想されるので有効な選択の一つです。
《赤霊破》はSneak and ShowやOmni-tell等に対して追加の妨害手段となるだけでなく、《真の名の宿敵》をカウンターしたり、ミラーマッチでもサイドインされるなど、用途の広いカードです。Merfolk相手には追加の除去としても扱えます。
2 《島》 1 《山》 4 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《渋面の溶岩使い》 3 《若き紅蓮術士》 1 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(11)- | 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《呪文貫き》 4 《稲妻》 3 《もみ消し》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《誤った指図》 2 《梅澤の十手》 -呪文(30)- | 3 《破壊放題》 3 《血染めの月》 3 《大祖始の遺産》 2 《硫黄の精霊》 2 《紅蓮破》 2 《水没》 -サイドボード(15)- |
《秘密を掘り下げる者》を使ったテンポデッキはUWR DelverやRUG Delverなど3色がポピュラーですが、今回入賞したMathias Kureは青赤の2色に絞った形です。2色にすることで《石鍛冶の神秘家》や《タルモゴイフ》などのパワフルなカードにアクセスができなくなりましたが、代わりに基本地形を採用する余裕ができたことで、Esper StonebladeやUWR Delver等をシャットダウンできる《血染めの月》を採用できるようになりました。
また、Esper StonebladeやUWR Delverの装備品対策として、軽い上に『複製』によりカウンターにも強い《破壊放題》が採用されています。
総括
SCGO Oaklandは流行りの《真の名の宿敵》を採用したデッキの一つであるEsper Stonebladeの優勝で幕を閉じました。トップ8の半分が《真の名の宿敵》を使用したStonebladeのバリエーションと、相変わらずのパフォーマンスです。一方、デンマークで開催されたDanish Legacy Masters2ではANTが優勝しました。SCGO Providenceで優勝したSneak and Showと同様に《真の名の宿敵》を無視できるコンボデッキです。そのSneak and ShowはSCGO Oaklandの上位では見かけませんでしたが、SCG Invitational Las Vegasでは多くなることが予想されます。UWR Delverは全体除去とハンデスを多く搭載しているEsper Stonebladeに対してやや不利が付きますが、コンボに対しては《秘密を掘り下げる者》の早いクロックに加えて《目くらまし》《呪文貫き》等の軽いカウンターがあるので有利が付きます。Esper Stonebladeもコンボに対してはハンデスとカウンターで互角以上に戦えるポテンシャルがありますが、クロックがやや悠長な所が気になります。いずれにせよ、どちらの型もGPでも上位に入賞する程の強さがあり結果を残しているため、SCG Invitationalでも多くのプレイヤーが選択することが予想されます。
以上SCGO OaklandとDanish Legacy Masters2の解説でした。
次回の記事では年内最後のSCGイベントであるSCG Invitational Las VegasとSCGO Las Vegasの解説を予定しています。
それでは次回の記事で会いましょう。楽しいレガシーを!