【レガシー】Round 5: 国吉 真木朗(東京) vs. 細川 侑也(東京)

晴れる屋

By Atsushi Ito


 この4回戦では、3-1ラインから一風変わったデッキの対戦をお届けしよう。

 細川のデッキはメインボードに何と35枚もの土地が入った、土地単。

 そんなデッキでゲームになるのかと驚いたが、聞いてみるとこれが意外と強いらしい。レガシーは奥深い。

細川 「でも相手のデッキ知ってるんですけど、相性悪い……w」

 そう言われて対戦相手の国吉のデッキに目を向けると、《相殺》《師範の占い独楽》コンボを標準搭載した青白『奇跡』。確かに《相殺》によるロックは分が悪そうだ。

国吉 「今年まだ大会出るの5回目くらいなんですよね。昔ちょっとスタンダードやってたんですけど、デッキ作って5か月くらい経ったら使えなくなっちゃって、もうスタンはいいやって。その点レガシーは良いですよね、期間を空けてもいつでも戻ってこれるし」

 レガシー愛、《相殺》愛が深そうな国吉のデッキを、細川の土地たちは乗り越えることができるのか。


Game 1

 先手は細川。2ターン目の《踏査》《呪文貫き》されると、早速《相殺》を置かれてしまう。

 こうなると迂闊に動けない細川。土地が伸びるのを待って、5ターン目にさらに《踏査》プレイ。これは《相殺》誘発にスタックしての《渦まく知識》《剣を鍬に》をめくってカウンターされるが、この隙に《ヴェールのリリアナ》を通しにいく。これにはたまらず国吉も《至高の評決》リムーブの《Force of Will》で緊急回避。

 しかし、細川が続くターンにトップした2枚目の《ヴェールのリリアナ》をキャストすると、《相殺》のオープンカードは《渦まく知識》で外れてしまい、黒のプレインズウォーカーが戦場に着地する。細川、唯一の手札である《罰する火》をディスカードしてターンエンド。

 手札が枯渇する前にと国吉も《渦まく知識》、さらに《瞬唱の魔道士》によるフラッシュバックと、手札を次々循環させるが、なかなか回答が見つからない。

 逆に《トレイリア西部》をトップした細川が『変成』して《燃え柳の木立ち》をセット、《罰する火》コンボを揃えると、ついに国吉の手札が尽きてしまう。

 これを見て意気揚々と《罰する火》を回し始める細川だったが、国吉の苦し紛れの《相殺》誘発でめくれたのは《精神を刻む者、ジェイス》

 


 引き込み即座にプレイすると、まずは+2能力で様子見をしてから、続くターンに0能力を起動……はスタックで細川の《罰する火》が飛ぶ。《相殺》の置かれた状況下で、忠誠値をめぐる繊細なやりとりが続く。

 しかし、細川が国吉のエンド前に《罰する火》を回収したところで、《ヴェンディリオン三人衆》《罰する火》コンボを打ち破る唯一無二の回答だ。

細川 「強い……」

 さらに細川のドロー後、《Karakas》を起動。ソーサリーがほとんどの細川のデッキにとってはハーフロック……に、なるはずだった。

 ここで細川は引き込んでいた《罰する火》《ヴェンディリオン三人衆》に合わせる!

国吉 「そっちも強いな……w」

 再び《罰する火》がくるくると回り始める。

 さらに細川は《直観》をトップすると、《壌土からの生命》《罰する火》《世界のるつぼ》とサーチ。一方、国吉は淡々と《精神を刻む者、ジェイス》の0能力で手札を整えるのみ。

 そしてついに《ヴェールのリリアナ》の奥義が発動!

 スタックで《ヴェンディリオン三人衆》が細川の手札からせっかくサーチしてきた《壌土からの生命》を奪い去るも、国吉のパーマネントが土地と《精神を刻む者、ジェイス》のみになり、さらに《罰する火》でこれをも落とすと、細川の独壇場か。

 それでも国吉も、トップに置いておいた《相殺》を即座に置きなおすのだが、細川は《世界のるつぼ》《アカデミーの廃墟》で回収し、さらに2枚目の《燃え柳の木立ち》をセット。いよいよ《罰する火》コンボを盤石なものとしていく。

 しかしここで国吉も2枚目の《精神を刻む者、ジェイス》を引き込み、ゲームは泥沼の長期戦へと突入していく。




 さらに国吉、忠誠値を削りにきた《罰する火》《相殺》によりトップデッキの《瞬唱の魔道士》をめくってカウンターすると、ドロー後の《罰する火》、ライブラリの2枚目狙いはさらなる《瞬唱の魔道士》でカウンター!

 目まぐるしいやりとり。細川も続けて《ボジューカの沼》で墓地の《渦まく知識》を全てリムーブすると、《精神を刻む者、ジェイス》の0能力にスタックして《罰する火》2発を叩き込み、ついに青のプレインズウォーカーを落とすことに成功する。

 勢いづいた細川、《トレイリア西部》《暗黒の深部》をサーチ、ゲーム終盤に備える。

 だがこのタイミングで国吉のトップは、《精神を刻む者、ジェイス》の死に際の0能力により約束された『奇跡』!《天使への願い》!!

 それでも細川はようやく再びの《壌土からの生命》に巡り合うと、《トレイリア西部》3枚を回収し、『変成』で《仕組まれた爆薬》をサーチ!

 緑緑赤で、『烈日』X=2の《仕組まれた爆薬》プレイ!!

国吉 「(《相殺》を指して)……誘発で」

 国吉がめくったのは……さらなる《天使への願い》!!

細川 「マジックうますぎるでしょー!!!」

 それでも、16点を受けた返しのターンのアップキープに《アカデミーの廃墟》から《仕組まれた爆薬》を積み込み、盤面をイーブンに戻す。

 国吉も2枚目の《天使への願い》を手札からプレイ、さらにこれが《仕組まれた爆薬》で流されるや、《瞬唱の魔道士》《天使への願い》フラッシュバックと食い下がるが、細川の鉄壁は崩れない。

 そしてついに《仕組まれた爆薬》がX=2でプレイされ、《相殺》の呪縛が外れる。

 ……というところで、50分の時間切れ。残念ながら追加ターンへ突入してしまう。

 ここからの細川の勝ち手段は《暗黒の深部》《演劇の舞台》のみだが、さすがにこれだけゲームを続ければ国吉も《剣を鍬に》くらいは持っているだろう。

 自分の勝ちはない。とはいえ、国吉の側も、《Maze of Ith》《罰する火》コンボという鉄壁の防御を崩すことは残り数ターンではかなうまい。

 それが心の隙だったか。

 細川の追加4ターン目のエンド時、国吉が《師範の占い独楽》を起動。3枚見終えると、続けてタップ。え?

 そう、それはまさに『奇跡』。

 まさかの《天使への願い》3枚目!

 目が点になる細川。

細川 「3枚入ってるとは思わなかった……」

国吉 「久しぶりだったんで、今回は気分を変えて3枚入れてみたんですよ」

 国吉、追加5ターン目に見事な勝利!

国吉 1-0 細川