【スタンダード】Round 2: 海老原 弘尭(千葉) vs. 白石 知己(群馬)

晴れる屋

By Atsushi Ito


 唐突な話になるが、最近の日本のトーナメントシーンでは、長野勢や新潟勢、和歌山勢といった、地方のコミュニティを中心とした調整チームの活躍が目立ってきている。次世代の日本マジックを支えるのは、そういったコミュニティ出身のプレイヤーかもしれない。

 ここで呼ばれた白石も、群馬というコミュニティを牽引するプレイヤーだ。何せ十分な実績がある。

 日本選手権09トップ8、さらに今年行われたグランプリ横浜13でもトップ8と、構築リミテッドを問わない総合力の高いプレイヤーなのだ。

白石 「でも今は群馬はあまりやる気勢がいないんですよね。僕が青単使ってることからわかるようにw」

 確かに群馬といえば、日本選手権09で先んじて親和エルフの可能性を見出していた、メタゲームの最先端だったはずだ。

 その白石が青単を使っているというのは、調整相手が少ないとはいえ、少し寂しい気もする。是非ともグランプリ静岡、そしてThe Last Sun2013で奮闘を見せて、群馬勢の立て直しを図ってほしいところだ。

 対して海老原は、先日The Last Sun予選で1位通過を果たした鵜澤 雄一やグランプリ横浜12トップ8の宮本 寛弥らと同じ、千葉の松戸勢とのこと。

海老原 「でも僕はおまけみたいなもんです。友人たちがみんな強くて、デッキをシェアしてもらってばかりですよw」

 と謙遜するが、強いプレイヤーがコミュニティにいれば自然とコミュニティ全体のレベルも上がるというもの。海老原自身も一廉のプレイヤーであることは間違いない。

 調整十分の松戸勢のデッキを駆る海老原が、群馬の希望の星、白石に立ち向かう。


Game 1

 先手は海老原が7枚キープに対し、後手の白石がワンマリガン。さらに海老原が初動《ラクドスの哄笑者》をプレイすると、

白石 「うわー、先手はダメですよそのデッキw」

 と困り顔。返しに《審判官の使い魔》を出すも、海老原は2ターン目にして《炎樹族の使者》からさらなる《ラクドスの哄笑者》展開というロケットスタート。

 白石も《凍結燃焼の奇魔》を出すが、海老原の《灰の盲信者》を出してのフルアタックには苦笑いするしかない。




 それでも白石もさるもの、《潮縛りの魔道士》《灰の盲信者》を止めてみせるが、既に残りライフは8。さらに《ボロスの反攻者》を追加されると、いよいよ涅槃が見えてきた。

 《ニクスの祭殿、ニクソス》セットから『信心』十分な《海の神、タッサ》をプレイ、ブロッカーとして立たせたはいいが。

 返すターンで海老原は、トップデッキした4マナ目、《聖なる鋳造所》を『ショックイン』。

白石 「あぁ~、死んだかなこれは……w」

海老原 「ですね」

 フルタップで繰り出されたのは《モーギスの狂信者》

 『信心』でぴったり8点!

海老原 1-0 白石


白石 「マリガンとか関係なかったw」

海老原 「ぶん回りってやつですねw」


Game 2

 今度は海老原がワンマリガン、しかも白石が《雲ヒレの猛禽》《凍結燃焼の奇魔》《海の神、タッサ》という良好な立ち上がり。

 海老原も《凍結燃焼の奇魔》《炎樹族の使者》《稲妻の一撃》と食い下がるが、ついに赤単使いにとっての悪夢、《波使い》が降臨してしまう。

 やむなく『信心』を達成した《鍛冶の神、パーフォロス》を送り出すが、《海の神、タッサ》のアンブロッカブル能力が強く、じわじわとライフを削られていく。

 それでも、次のターンには《波使い》《岩への繋ぎ止め》することに成功した海老原。《鍛冶の神、パーフォロス》を攻撃に向かわせる。さらに、『信心』を回復するためにプレイされた白石の《夜帷の死霊》も即座に《稲妻の一撃》

 再び《鍛冶の神、パーフォロス》が進軍し、あと一撃というところまで白石を追い詰める。

 しかし。

 白石の『占術』がもたらしたのは、攻防一体の《潮縛りの魔道士》

 《鍛冶の神、パーフォロス》を封じつつ自身の《海の神、タッサ》をクリーチャーとして顕現させると、アンブロッカブル能力でそのまま海老原を介錯した。

海老原 1-1 白石


Game 3

 白石の後手1ターン目《雲ヒレの猛禽》に対して海老原が《凍結燃焼の奇魔》を送り出すと、3ターン目には《炎樹族の使者》プレイ、セット《ニクスの祭殿、ニクソス》、浮いたマナで起動→4マナ出して《灰の盲信者》プレイ、さらに《凍結燃焼の奇魔》の能力起動×2というビッグプレイ。マナを綺麗に使い切っての5点アタックで攻め立てる。

 しかし白石が返しで《夜帷の死霊》をプレイすると、この絶好の除去タイミングで海老原はこれを落とすことができない。やむなく《凍結燃焼の奇魔》単体で攻撃に向かわせ、相打ちさせることを選択する。




 対して一息つけた白石は、まずは《家畜化》《灰の盲信者》を奪い去る。海老原も何とか《紅蓮の達人チャンドラ》を引き込むが、白石の《変わり谷》まで起動してのフルアタックで忠誠値は風前の灯だ。さらに《海の神、タッサ》までプレイされてしまう。

 どうにも動きが鈍い海老原。それもそのはず、《山》《ニクスの祭殿、ニクソス》しか引いていないのに、手札には《岩への繋ぎ止め》が2枚。どうにも噛み合っていない。

 そろそろ白マナを引いてくれ、と念じた《紅蓮の達人チャンドラ》0能力でめくれたのは、しかし無情にも《山》。仕方なく手札から《嵐の息吹のドラゴン》をプレイ、攻撃に向かわせるしかない。

 返すターン、白石が《夜帷の死霊》《審判官の使い魔》と立て続けにプレイすると、一気呵成にアタックし、ライフレースがついに逆転してしまう。

 海老原のドローは……《モーギスの狂信者》

 違う、これじゃない。やむなく攻撃せずにターンを返す。

 すると白石が『占術』で引き込んだのは……何とダメ押しの《ニクスの祭殿、ニクソス》

 すべてのクリーチャーがアンブロッカブルとなり、海老原は2枚の《岩への繋ぎ止め》を抱えたまま憤死した。

海老原 1-2 白石