富士山登頂を目指せ!サイドイベント8人ドラフトチャレンジ

晴れる屋

By Atsushi Ito


 グランプリ・静岡14の魅力は、メインイベントだけではない。

 サイドイベントにも、楽しいイベントが盛り沢山に用意されているのだ。

 その1つが、8人イベント

 内容としては、参加者が8人集まり次第スタートするフライト形式のシングルエリミネーションで、スタンダード、モダン、レガシー、そしてブースタードラフトの4つのフォーマットが選べる、というものだ。




 もちろんそれだけなら、いつものサイドイベントとあまり変わらないかもしれない。

 だが、今回はただの8人構築、8人ドラフトというだけではないのだ。

 まず構築フォーマットの8人イベントの優勝者には、『テーロス』日本語版ブースター1BOXが賞品として与えられる。

 さらに。

 スタンダード、モダン、レガシー、ブースタードラフト、いずれの8人イベントも、3-0するだけで『John Avon書き下ろしの富士山プレイマット』が獲得できるのだ!!


なくなり次第配布終了なので、参加はお早めに!


 これは参加しない手はないだろう。

 というわけで、富士山プレイマットを手に入れるべく、8人イベントに参加してみた。

 そう、これは富士山への挑戦

 3-0まで駆け抜けて、必ず登頂を成功させてみせる!!

 



富士山登頂チャレンジ~1合目~

 さて、まずはフォーマット選びだが、スタンダードとレガシーはデッキがなく、モダンはあまり人が集まりそうになかったので、手ブラでできるブースタードラフトに挑戦することにした。

 もっとも、これでもこの環境のPTQを抜けた経験がある身である。富士山登頂を目指すなら、いずれにせよ最も3-0の確率が高いフォーマットだろう。

 そういうわけで椅子に座って待っていると、ほどなくして8人の猛者たちが集結。早速ドラフトの幕が上がった。



 ……と、ここで話は少しだけテーロスドラフトに逸れる。

 happymtgにはテーロスドラフトについての詳細な解説を記した記事が上がっている。『what we need』がそれだ。

 そのpart3にて、興味深い記述があった。

 いわく、青赤はどうしてそうなるのかわからないというほどマイナーなアーキタイプであり、Tier1やTier2はおろか、Tier3の中でも弱い部類に入るアーキタイプだというのである。

 確かに、青赤は弱いかもしれない。勝てないかもしれない。

 だが、青赤にはまだ<魔心のキマイラ>がある。

 『テーロス』発売時に鳴り物入りで登場したにも関わらず、全く鳴かず飛ばずなこのカード。

 そんな遅れてきた救世主の可能性を確かめずに、簡単に青赤を諦めていいわけがあるだろうか?いや、ない。

 つまりソリューションは《魔心のキマイラ》なのだ。何が「つまり」なのかわからないが、もう決めた。

 もう<魔心のキマイラ>をフィーチャーした青赤しかピックしないぞ!!



1-1 《雨雲のナイアード》流して《パーフォロスの試練》これで<魔心のキマイラ>を育てて勝つ!
1-2 《魔心のキマイラ》がない。仕方ないので《ドラゴンのマントル》これで(ry
1-3 《魔心のキマイラ》以前にそもそも赤と青のまともなカードがない。仕方ないので<イロアスの神官>をピックして赤を枯らしにいく。
1-4 キマ…イラ…?
1-5 かゆ…うま…
1-9 ついに<密集軍の指揮者>が一周した。心が折れる音を聞いた。
2-2 《英雄の破滅》……取りきりとはいえ、こんなの取ってる場合じゃねぇ!《ドラゴンのマントル》で殺意を高める!!
3-1 やった!《思考囲い》を引いたぞ!これを取れば最悪参加費の元は取れる!!

 ……だが、本当にそうなのか?

 そんなんじゃねェだろ!俺が目指したドラフトの極みは!!

 《思考囲い》スルー!!《死呻きの略奪者》ピック!!!



 そうしてできたデッキがこちら。


「赤白」

8 《山》
7 《平地》

-土地(15)-

2 《イロアスの神官》
2 《アクロスの十字軍》
1 《恩寵の重装歩兵》
3 《死呻きの略奪者》
2 《闘技場の競技者》
1 《乗騎ペガサス》
1 《サテュロスの散策者》
1 《密集軍の指揮者》
2 《双頭のケルベロス》
1 《不機嫌なサイクロプス》

-クリーチャー(16)-
3 《神々の思し召し》
1 《稲妻の一撃》
2 《裏切りの先触れ》
2 《ドラゴンのマントル》
1 《パーフォロスの試練》

-呪文(9)-
-サイドボード(0)-
hareruya





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 なんだ、このゴミ束は。

 赤白『英雄的』なのに『試練』も《乗騎ペガサス》も1枚、《天馬の乗り手》《統率の取れた突撃》《不屈の猛攻》もない。

 ていうかそもそも青赤ですらない。

 ソリューションはどこに行ったんだ。ちなみに《魔心のキマイラ》はパックから出なかったのか、1枚も目の前を通過しませんでした。



 ……当然こんなクソデッキで勝てるはずもなく。

 結果は無残にも1回戦で敗北、シングルエリミネーションなので即終了。

 登頂どころか、そもそも1合目にすら辿りつけていない。

 こんなんだったら《英雄の破滅》《思考囲い》取っときゃ良かった……




 死にたい……


帰ってきた!富士山登頂チャレンジ~3合目~

 と、そんな簡単に諦めるわけにはいかない。

 負けたら連コインすればいいのだ。

 8人イベントの開催時間内である限り、8人集まり次第またトーナメントがスタートするのだ。それがフライト式の魅力でもある。1没ソルジャーたちがすぐさま集まれば、もう4人だ。言ってて空しくなってきた。

 とにかく、再び参加者を募る椅子に座りなおそう。

 富士山プレイマットにはそうさせるだけの価値がある。魅力がある。

 だが、少なくともドラフトの方針は見直した方が良さそうだ。

 先ほどは中二病をこじらせた挙句、『what we need』に真っ向から歯向かって青赤を決め打とうとしてしまったが、やはりドラフトはある程度上家からの流れに従わないと勝てない。

 ここは金先生の教えに従って、流れに沿って真っ当に強いアーキタイプをやろう。そう決めた。



1-1 《雨雲のナイアード》
1-2 レア抜けで《アスフォデルの灰色商人》
1-3 《洞窟のランパード》
1-4 《地平線のキマイラ》
1-5 《波濤砕きのトリトン》
1-6 《肉餓えの馬》
2-1 《タッサの試練》
2-2 《アスフォデルの灰色商人》
2-9 《難破船の歌い手》
3-1 《強欲なハーピー》
3-2 《アスフォデルの灰色商人》(!)



 できたデッキがこれだ。


「青黒」

10 《沼》
7 《島》

-土地(17)-

1 《苛まれし英雄》
1 《肉餓えの馬》
1 《蘇りし者の密集軍》
1 《蒸気の精》
1 《難破船の歌い手》
2 《血集りのハーピー》
2 《波濤砕きのトリトン》
1 《雨雲のナイアード》
2 《強欲なハーピー》
1 《フィナックスの信奉者》
1 《洞窟のランパード》
3 《アスフォデルの灰色商人》

-クリーチャー(17)-
1 《エレボスの加護》
1 《ファリカの療法》
1 《エレボスの試練》
1 《タッサの試練》
1 《災いの印》
1 《予記された運命》

-呪文(6)-
-サイドボード(0)-
hareruya



アスフォデルの灰色商人アスフォデルの灰色商人アスフォデルの灰色商人




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 パーフェクトだ、ウォルター。

 流れに乗った結果、めちゃくちゃ強い青黒が出来上がった。やはり『what we need』は正しかった。

 ここまで来ると、負ける要素が何もない。

 富士山プレイマット、もらったぁ!!!

























 何で負けちゃうかな……

 2回戦目で青白相手に《希望の幻霊》でハマってあっさり負けてしまった。決勝にすら辿りつけないとは、富士山登頂への道は険しすぎる。



 だが。

 幸い8人トーナメントは22日の日曜日にも開催されているようだ。

 どうしても富士山プレイマットが欲しい方は、会場にいらして8人イベントに参加してみてはいかがだろうか。

 厳しい戦いを乗り越えてから見る山頂からの景色は、きっと格別だろう。