エドリックマスター吉田の『ブル~ムバロウ』レビュー!
「コマンドフェストin東京2024 日本統率者選手権」ファイナリスト
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みなさん、こんにちは。元統率者神の吉田です。今回は『ブル~ムバロウ』の発売に先駆けてカードレビューを担当させていただきました。
前回『モダンホライゾン3』を紹介させていただきましたが、その後も『Assassin’s Creed』が発売され「暗殺者」が強化されたり、対戦相手の手札を文字通り奪う《イスの秘宝、エデンの林檎》という物騒なカードが登場し話題になりました。追加ターン呪文を5枚も引いてしまった、事故った手札が持っていかれたときは震えましたね……
そんな『Assassin’s Creed』から1ヶ月もしない内に新セットの発売です。エターナルフォーマット故発売ペースの速さに翻弄されていますが頑張って見ていきましょう。
白
《髭谷の先駆け》
あの《有翼の叡智、ナドゥ》と似たような誘発条件を持つクリーチャー。自軍全体に2回まで能力を付与するあのカードが完全にぶっ飛んでるだけでこのカードも十分強いです。戻ってきた呪文で各ターン対象に取れる《贖いし者、フェザー》や、起動型能力でいつでも対象に取れる《野生の意志、マラス》などで使えばどんどんクリーチャーを手札に入れられます。ナドゥ同様明滅すればリセットされるので《祝福されたエミエル》がいればマナの続く限り展開することも可能です。
《世話人の才能》
1ターン1回ですが、トークンが出るたびにドローできるカード。《独演の代償》や《息詰まる徴税》があると相手ターンにも誘発できる可能性が上がります。
明滅すればまた誘発するようになるので《ゴライオンの養子、アブデル・エイドリアン》+《動く死体》のコンボ中に無限ドローも可能です。
今回再録された《風の憤怒、カイカ》とも相性抜群で、各ターンにインスタントを唱えるだけでマナも手札も補充され、レベル3まで上げればエレメンタル・トークンで殴り倒すことも現実的になります。《屍花》《華やかな支配者、テイサ》でも同様のことができそうです。
また、《運命に導かれし者、ケイリクス》《赤歯の執政、イェナ》などでこのカードのコピー・トークンを生成できればレベル2で自身をコピーできるようになり、マナの続く限りレベル2の世話人を増やすことができるようになります。
《落星の祈祷》
《二重詠唱の魔道士》や《練達の魔術師、ナル・メハ》と組み合わせて、《落星の祈祷》の解決前にコピーし、コピー解決時に《二重詠唱の魔道士》を蘇生することで再度オリジナルをコピー…という無限コンボが少し話題になっているようです。この2枚では《二重詠唱の魔道士》が死に続けるだけで何も起きませんが《衝撃の震え》系のカードがあれば無限ダメージですし、贈呈によるドローもコピーされるため相手に無限ドローさせてライブラリーアウトで勝つこともできます。無限ドローさせたら途中で止められるので《沈黙》は必須ですが、全体除去が無限コンボのパーツになるのはロマンがありますね。
青
《カワウソボールの精鋭、キッツァ》
序盤はルーティングで手札を整え、中盤からは呪文コピーに切り替えられる便利なクリーチャー。《破天荒、ステラ・リー》と異なりコピーするのに2マナ必要なので無限コンボは《劇的な逆転》+土地以外から3マナ出せるパーマネントなどハードルはやや高め。《時を越えた探索》などがコピーできるだけでも十分でしょう。ウィザードなので《完成態の講師》《繰り返しつくしたもの》の恩恵も受けれます。
《雷の頂点、ヴァドロック》とも相性が良く、パワーが3になるので変容ボーナスの呪文を即コピーも可能。2マナで青単色なので統率者指定よりもデッキ内に入ることの方が多そうです。
《マネドリ》
少しややこしいテキストですが、Xマナのクリーチャーをコピーするのではなく、X+青のマナ総量以下のクリーチャーをコピーするので《極楽鳥》ならX=0でOKです。1~2マナのクリーチャーが多いガチ対戦向きのカードでしょう。マナ総量は1なので《イーオスのレインジャー長》でサーチもできます。
《幻影の像》などは唱えたときに《激しい叱責》を置かれると0/0のまま死んでしまいますがこれは1/1の鳥として残るのがちょっとだけ嬉しいですね。 コピーすると飛行に加え鳥のクリーチャータイプも付与されるので後述する《渓間の洪水呼び》でこっそり強化、アンタップもします。
《両生類の神童》
そのままだと0マナのカードにしか反応しませんが、1回進化できれば1マナ以下のカードに反応してドローできるのでかなり強力。クリーチャーなので《世慣れた見張り、デルニー》《うろつく玉座》で2回誘発したり装備品でパワーを上げて誘発範囲を広げたりもできます。
早期に進化できるかで強さが大きく変わるので《リスティックの研究》《神秘的負荷》よりは強く使えるデッキは限られそうです。 ドローは強制なので《タッサの神託者》を使う場合や相手の《オークの弓使い》《黙示録、シェオルドレッド》には注意しましょう。
《渓間の洪水呼び》
『モダンホライゾン3』で《ネクロドミナンス》が登場、《ネクロポーテンス》2枚体制となったことで、30点近く払って《風に運ばれて》を引いてそのまま勝つデッキが増えてきました。《風に運ばれて》1枚だけでは不安ですが、こちらも2枚目が登場したのは大きいですね。
上で紹介した《カワウソボールの精鋭、キッツァ》と組み合わせると、クリーチャーでない呪文を唱えるたびに《カワウソボールの精鋭、キッツァ》がアンタップされルーティングが可能、これの+1/+1と果敢でキッツァ自身のパワーが物凄い勢いで上がっていきます。これ自身もアンタップするので《巻物の君、あざみ》《極楽のマントル》を使うのもいいですね。 《極楽鳥》やクリーチャー化した《変わり谷》もアンタップ対象です。クリーチャータイプはよく確認しておきましょう。
3/3以上になり得るのでブロッカーとしても非常に優秀。手札になくても3マナ立てて置くだけで攻撃されにくくなるかもしれません。
《群青の獣縛り》
相手の厄介なカードを縛れるクリーチャー。この手のカードにしてはクリーチャー以外にも《太陽の指輪》などのマナアーティファクトや《意志を縛る者、ディハーダ》などのPWも縛れるのが強力で対象には困らないでしょう。 攻撃しないと誘発しませんが、パワー2以上にはブロックされないので討ち取るにはパワー1が3体必要になりほぼ倒せません。コピーや《世慣れた見張り、デルニー》などが出てくるとどんどん状況が悪化するので、見かけたら早めに対処したいですね。黒
《ヘイゼルの醸造主》
《機械神の肖像》や《ジアーダの贈り物、ラクシオール》でたびたび過酷な労働に従事させられることで有名な《献身のドルイド》。《ヘイゼルの醸造主》は死んでも働かせます。死は労働をやめる理由にならんと《ファイレクシア流再利用》も言ってます。食物・トークンは召喚酔いしないので即無限マナに。
ほかにも《ウラモグの戦慄祖》や《アーチフィーンド、アスモデウス》を放り込むことで爆発的な展開も可能です。 《老いたる飛び牙》では各ターンに食物・トークンを生成できるのでかなり強力なカードになるでしょう。
《残虐爪の強奪》
贈呈で唱えれば相手にドローさせてから抜き盗れます。《対称な対応》で強力なカードを積み込ませてから奪い取る邪悪な動きも可能。《有毒の蘇生》も使える《抜け目ない取得者、ゴンティ》で嫌らしい働きをしてくれそうです。
《骨術師の達人》
タップするだけで《死の国からの脱出》のように墓からクリーチャーを次々と唱えられるようにできます。最終カウンターが乗ってしまうので再利用はできませんが《寄生された船長、ザビエル・サル》や《光明の不可思議、タヤム》なら問題なし。給餌コストと最終カウンターの両方をクリアしないと無限はできないので、どちらかといえばアド稼ぎとして使われそうです。赤
《熾火祭》
《炎の中の過去》系リメイク。最近だと《過去へ帰還せよ》の方が近いかも。フラッシュバックではなくこのカードの常在型能力で追放されるため、墓地から呪文を大量にスタックに載せた上でこれをバウンスすれば呪文は再度墓地に置かれます。
このターン、他のプレイヤーは自分の墓地から呪文を唱えられず、土地をプレイできない。このターン、あなたは他のプレイヤーの墓地にあるカードを、それらがあなたの墓地にあるかのようにプレイしてもよい。
また、意味不明カードとして一部で知られる《シャーマンの恍惚》とも相性抜群!追放されるのは自分の墓地に置かれるカードだけで、相手の墓地から唱える分には何のお咎めもないのでライフの続く限り相手の墓地にある《炎の儀式》を唱えることもできます。
《光輝の魔道士》
新生で唱えることで非クリーチャー呪文1回で1点ダメージが2回誘発。《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》では2枚ずつアドを稼げ、《最深の力、オヘル・アショニル》では各対戦相手に4点+4点=8点のダメージが飛ぶようになります。愛らしい顔(特に新生トークン版)ですが普通に悪さしかしないので容赦なく除去していきましょう…!
《嵐を断つ者》
インスタント・ソーサリーを唱えるごとに鼠算的に増えていきます(カワウソなのに)。終了ステップに消えてしまいますが《増殖されし者、マスター》がいれば生存するため次のターンには全員殴り倒せそうです。
《雲貫き》を上に重ねて変容していると変容情報含めてコピーされるため5/4速攻になり、もはやオーバーキル。 7回唱えれば128体出て全員倒せるので《大渦を操る者、イドリス》などのストームデッキでも活躍しそうです。
終了ステップの開始時に追放される能力がスタックにのり、その解決前にもう一度インスタントを唱えれば新たに生まれたトークンは次の終了ステップまで持ち越せるのは覚えておきましょう。
《美術家の才能》
クリーチャーでない呪文すべてに先捨てルーティングを付与するカード。《炎の踊り手、アシュリング》と異なり手札を捨てないとドローはできませんが、2マナのカードとしては十分便利でしょう。レベル2まで上げれば《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》では爆発的な展開ができそうです。
緑
《鋭い目の管理者》
《漁る軟泥》を思い出すスペックですが墓地追放に色マナが要求されず、中盤以降は7/7トランプルで殴れるのは強力ですね。多人数戦では墓地も多いので条件達成には苦労しないでしょう。
あまりなさそうな状況ですが、追放したカードのオーナーがゲームから退場すると追放したカードも参照できなくなり、一時的に3/3に戻ってしまうことがあるので戦闘時には注意が必要です。
《血根の薬剤師》
《波止場の恐喝者》《息詰まる徴税》《秘密売り、ティヴィット》などなど……統率者戦は宝物・トークンを多く使うフォーマットなので、それが4回までしか使えなくなるのはなかなかに鬱陶しいです。《溜め込み屋のアウフ》と違って自分は引っかかりません。
《牙持ち、フィン》《アトラクサの後継、イクセル》のような毒統率者のサポートとしても優秀。 トークンを持っていない人には《ウークタビーの王子、キーボ》《やり手の交渉人、ヴァジ》《授けるもの、グランチ》で配布して《硫酸の波》で無理矢理生け贄に捧げさせましょう!
《常緑皮の熊》
一瞬目を疑う「秘匿3、秘匿3」の文字。計6枚見れるなら何かしら踏み倒したいカードはあるでしょう。
《最深の成長、オヘル・カスレム》のようなカードですが、こちらはクリーチャー以外も踏み倒せるため《エント最後の進軍》や《エルドラージ覚醒》のような激重カードを使っていきましょう。
多色
《フォックスグローブ氏》
こちらの手札が少なければその分ドローできる統率者。相手が手札を使い切る前に出せれば多く引けるので《ライオンの瞳のダイアモンド》《ダイアモンドのライオン》による爆発的な加速も使えそうです。
統率者戦でよく見かける《リスティックの研究》《神秘的負荷》に対して強く、相手にガンガン引かせればこちらもその恩恵にあずかれます。相手がパーマネントを並べて手札を減らしたら《サイクロンの裂け目》超過で戻して無理矢理手札を増やさせましょう。
打ち消しを気にせず《堂々たる撤廃者》や《聖別されたスフィンクス》を出すこともできるので器用に立ち回れそうです。
《蓮葉跳びの導師》
無限コンボパーツでお馴染みの《祝福されたエミエル》が青緑になりました。
白いデッキでなくても使えるので《波止場の恐喝者》《パリンクロン》が使えるティムールカラーではお世話になりそうです。緑になったので《緑の太陽の頂点》《召喚士の契約》でサーチもできるようになりました!起動できるのはソーサリータイミングのみなので除去に弱い点には注意が必要です。
《茨の吟遊詩人、べロ》
自身が3マナと軽いので《処罰の力線》などの力線シリーズをゲーム開始時に置いておけばすぐドローできるようになります。
《狂戦士たちの猛攻》は相性抜群で打点が倍化する上にドローできる量も倍に。《不自然な成長》と合わせれば1体あたりから16点叩き出せます。 《ネビニラルの円盤》《爆積み》があれば毎ターン全除去も撃てます。ベロ本体は巻き込まれるので《苦行主義》で守りましょう。 4/4破壊不能になる効果はクリーチャーにも適応されるので《瞬足光線の大隊》《カットスローツのレイダー、ローズ》も安全に攻撃できます。
デッキ全体が4マナ以上のカードだらけになって重くなるので《開拓地の包囲》《貯めこむ運び屋》は優先的に採用しましょう。
無色・土地
《三本木のマスコット》
しれっと登場している多相持ちのアーティファクトクリーチャー。《虎の影、百合子》の忍者水増しに使えますし《羊頭スフィンクスの君主、アネシ》なら0マナの小型《嘘か真か》、《隆起する災い魔、アズラスク》なら起動コストをサポートしつつ滅殺1と破壊不能も得られます。
しかし一番恩恵を受けたのは《厚顔の無法者、マグダ》でしょう。《前兆の時計》があれば、これと宝物・トークンをタップしてこれ自身をアンタップすることで《厚顔の無法者、マグダ》の効果で宝物・トークンが生成され、同様の工程を繰り返すことで無限宝物になります。このコンボのためにかつては《アシュノッドの人体改造器》まで使われていましたが、もう不要かもしれませんね。
《樹皮形態の収穫者》
《三本木のマスコット》と同様に同族クリーチャーの水増しに使えますが、3マナのアーティファクトクリーチャーならそれなりにいるので、能力目当ての採用になるでしょう。
《リヴァー・ソング》《地下牢の管理人、グレンゾ》では狙ったカードを引ける/戦場に出せるキーカード。《鉤爪のジィーリィーラン》《始祖ドラゴンの末裔》ではこれをサーチすることで墓地に落ちたドラゴンを回収できるので、いざというときの保険として使えそうです。
《三本木市》
同族デッキの《ニクスの祭殿、ニクソス》!……なんですが加速として使うには同族のクリーチャーが4体必要となり結構準備が大変。《鏡の精体》などの抜け道はありますが、基本は《エドガー・マルコフ》《群衆の親分、クレンコ》《骨齧り》といったトークンを複数生成できる統率者向きのカードでしょう。下の能力起動時に色は選びますが、クリーチャーの色は関係ないのでエルドラージであっても問題なくマナを出せます。
過去セットの注目カード
今回は同族がテーマでリスがメインなので《リスの将軍、サワギバ》!……と言いたいところでしたが、統率者デッキでしっかり再録されてるのでもう組み直してる人も多いでしょう(ちなみにモダンホライゾン3の《巣穴の魂商人》で滅茶苦茶強化されてます)。
今回紹介するのは《雑食するもの、グロルナク》。《ギトラグの怪物》じゃない方の伝説のカエルで、複数匹のカエルが攻撃することで大量のアドを稼ぐことができます。
カエルをありったけ詰め込んでいく構築が無難ですが、あまりにもカエルの選択肢が少なくて《チャブ・トード》まで候補に挙がるくらいでした。
今回1~2マナのカエルが増えたので大幅に強化!
ちなみにカエルを使わない場合は《雑食するもの、グロルナク》がいる状態で《直観》から《手甲》《セファリッドの幻術師》と適当な何かを持って来れば墓地に落ちても蛙声カウンターが置かれるのでセルフライブラリーアウトできます。
展望
これで『ブル~ムバロウ』カードレビューは以上となります。今回紹介したカードの他にも面白そうなカードがたくさんあるので、みなさんもいろいろ試してみてください!