マジックというゲームは勝つか負けるか二つに一つ。
・・・・もちろんそんなわけはない。
勝つと3ポイント、負けると0ポイント。
スイスドローのシステムにはもう一つ選択肢がある。
引き分けての1ポイント。
・中島主税に何があったのか
現晴れる屋の店長、中島主税は元プロプレイヤーだ。
と、書くと中島には怒られてしまうかもしれない。
度々出ていたプロツアーで結果を残すこと自体は遅かったものの、それでも2006年以降長くグレイビートレイン(プロツアーに継続参戦出来るラインの俗称)に乗り続けてきた。
最近のプロツアー参戦こそ疎らになっているわけだが、それでも誰よりも長くプレミアイベントに参戦し続けてなお一線に留まり続けている。
そんな中島が今回のグランプリでパートナーに指名したのは黒コントロールだった。
黒単信心はプロツアーテーロス以前とそれ以後で爆発的な広がりを見せたアーキタイプである。
それもそうだろう、プロツアー後に行われたグランプリルイビル、アルバカーキで優勝しているし、直前のグランプリダラスフォートワースの勝者もまた黒単信心の亜種である白黒コントロールを駆っていた。
(残り二回はグランプリサンティアゴの赤黒ビートダウン、ウィーンの青単信心)
そこまで大した評価を受けていなかった《冒涜の悪魔》《地下世界の人脈》の評価は上がる一方、青単信心でも使われている《夜帷の死霊》は引っ張りだことなり、2枚から3枚、3枚から4枚とメインボードの枚数が増え続けてしまった《群れネズミ》。
–「今回このデッキを選択した理由は何でしょうか」
中島 「最近勝っていた白黒コントロールは、青白と黒単信心には強いんですが、青単信心に弱いところが気にかかりました」
–「たしかに《ヴィズコーパの血男爵》は速いデッキに対して悠長な感じがありますね」
中島 「だから青単信心に勝てるように原点回帰した形にしてみたんです。結局《アスフォデルの灰色商人》も4枚に戻しました。コントロール系に効きづらい《破滅の刃》も3枚で」
そんな中島だが、グランプリ本戦では思わぬアクシデントに見舞われる。
5回戦で渡辺雄也のエスパーコントロールで引き分けてしまい、そこからエスパー、エスパー、白黒コントロールと完全にコントロール祭り。
中島 「あー投了したらよかったよ!」
グランプリで二日目に残るために必要なマッチポイントは21ポイント。
原則7勝2敗以上の成績が求められるため、無敗かつ3分けという稀有なスコアにでもならない限り引き分けはただの悪なのだ。
ましてコントロール以外にも焦点を当てた中島にとって、悠長なデッキが集う引き分けゾーンに向かうことは不利益でしかなかった。
その結果が5ラウンド以降、△×○×ドロップ。
–「ということは今回の敗因はやはり?」
中島 「完全に引き分けたせいですね。相手がナベだったこともあって、引き分けたこと自体は仕方がないんですが・・・・実際分けゾーンにいかなくてもコントロールに当たることはあるし、うーん」
–「ではまたスタンダードのグランプリがあったらどうしますか?」
中島 「またこのデッキで出ますよ!」
さすがはプロプレイヤーか、前述の行弘同様負けはしたものの、デッキ選択そのものには後悔は無いということだろう。
中島 「でもさすがに《破滅の刃》は減らすかな(笑)」
14 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《静寂の神殿》 4 《変わり谷》 -土地(26)- 4 《群れネズミ》 1 《死者の神、エレボス》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 4 《夜帷の死霊》 -クリーチャー(17)- |
3 《破滅の刃》 2 《肉貪り》 4 《英雄の破滅》 4 《思考囲い》 4 《地下世界の人脈》 -呪文(17)- |
2 《闇の裏切り》 4 《ファリカの療法》 2 《強迫》 3 《生命散らしのゾンビ》 1 《死者の神、エレボス》 3 《ヴィズコーパの血男爵》 -サイドボード(15)- |