優勝者には豪華シアトルマジック満喫旅行が待っているスーパーサンデーシリーズ。そのスタンダードラウンドだが、4回戦までを見ている限り、無敗の上位には青単と赤単のふたつの信心デッキ、そして青白系のコントロールが多いように見受けられる。
そんな中、気になったのが境野 雄太(東京)の使用しているセレズニアビートダウンだ。プロツアー「テーロス」前の環境超初期には話題になったものの、各種信心デッキに対しては爆発力で負け、青白系のデッキにも決して相性が良くないため、環境から姿を消していった。
しかし、境野のデッキは、瞬速を持ったクリーチャーを多めに投入し、さらに《群れの統率者アジャニ》の二段攻撃による突然死を入れ、青白系への相性を大幅に改善しているかのように見える。
惜しくも、4回戦目こそ赤単タッチ白デッキに敗北したものの、まだ1敗ラインは決勝トーナメントへの可能性をギリギリ残しているライン。というわけで、せっかくのセレズニアということで、ここでフィーチャリングすることとなった。
対する加藤 健介(埼玉)はオリジナルなチューンを施したエスパー系コントロール。果たして、相性通りに青白の加藤が勝利するか、それとも、境野の対青白への執念が勝るか。
Game 1
ダイスロールによって先手は加藤。後手の境野がマリガンをする。続く6枚の初手は満足の行くものだったようでキープする。
境野は、1ターン目の《実験体》を2ターン目の《壌土のライオン》で進化させてアタック。これを《アゾリウスの魔除け》でしのぎ、返しのターンで《オルゾフの魔鍵》を置く加藤。
《実験体》を再召喚させず、《壌土のライオン》でアタックすると、3マナを残してターンを終える境野。対して、加藤は《思考を築く者、ジェイス》をプレイ。すぐさまマイナス能力を起動する。
《解消》《拘留の宝球》に《島》という3枚がめくれ、境野は《解消》に島のおまけをつけ、加藤はこれをありがたく手に入れる。マナを残していた境野はターンエンドに《加護のサテュロス》をプレイ。《壌土のライオン》で《思考を築く者、ジェイス》の忠誠カウンターをゼロにしつつ、加藤のライフを《加護のサテュロス》で削りにかかる。
加藤はこの2体を《至高の評決》で全滅させる。が、しかし4マナオープンでターンを返していた境野は《ワームの到来》をプレイし、5/5を戦場へと追加する。瞬速を持ったカードで相手のソーサリータイミングでの除去に対応した動きができるのが境野のデッキの魅力だ。
5/5ワームトークンで本体へとダメージを与えた上で、《実験体/Experiment One(GTC)》と《放逐する僧侶》を追加し、一気にゲームを詰めに向かう。この3体に対して、マナを残してターンを返した加藤。こちらもインスタントでの対応とばかりに《遠隔/Far》《不在/Away》を融合で使用し、ワームトークンと《放逐する僧侶》へと対処しライフをまもる。
そして返しのターンに降臨するのは《太陽の勇者、エルズペス》。
加藤は2回のプラス能力使用でトークンを6体並べた上で、《スフィンクスの啓示》を境野のターンエンドに使用。この《スフィンクスの啓示》に対応して《ワームの到来》をプレイした境野ではあったが、このワームトークンは《拘留の宝球》で対処されてしまう。
攻め手を欠いた境野に対して、加藤は《太陽の勇者、エルズペス》の奥義を起動し、すべてのクリーチャーに+2/+2の修正、そして飛行を与える紋章を得る。
これによって3/3となった9体の兵士トークンが一気に勝負を決めてしまったのだった。
加藤 1-0 境野
Game 2
先手を得た境野は2ターン目に《復活の声》をプレイ、さらに3ターン目には《魔女跡追い》をプレイしプレッシャーを与える。加藤はタップインを繰り返しつつ3ターン目に《破滅の刃》で《復活の声》を破壊し、エレメンタールトークンを境野へと与える。
とは言え、呪禁の《魔女跡追い》が厳しい加藤。そして、境野はさらなるプレッシャーを与えるべく、マナオープンでターンを返した後に、加藤のターンエンドに《空殴り》をプレイする。この《空殴り》は《英雄の破滅》で対処した加藤なのだが、なかなか効率的にクロックを減らすことができない。
《実験体》をプレイされた加藤は《ヴィズコーパの血男爵》をプレイし、なんとか盤面を保とうとするのだが、ここで《群れの統率者アジャニ》が盤面に登場。マイナス能力によって2段攻撃が《魔女跡追い》に与えられてしまうと、加藤は残るライフを守り切ることはできなかった。
加藤 1-1 境野
Game 3
青白系王道のコントロールによって1ゲーム目を加藤がとり、緑系得意の青対策によって境野が2ゲーム目をとった最終戦。
ファーストアクションは境野の《万神殿の兵士》。続くターンにも境野は《万神殿の兵士》を追加。このうち1体を《破滅の刃》で加藤は対処。さらに続いて境野が追加した《壌土のライオン》も《拘留の宝球》で処理する。
プレッシャーは与えているものの、思うようにクロックを追加できない境野。マナが4マナ揃った所で、《万神殿の兵士》でアタックする前に少考、結果、《万神殿の兵士》でアタックした後に《魔女跡追い》を盤面へと追加する。
加藤は《オルゾフの魔鍵》を設置してターンを終了。これによって2マナを残した状態でターンをかえす。境野は、2体のアタックで5点のダメージを与え、加藤のライフを9まで追い詰めると、5マナを残してターンを終了。こうなると、瞬速の多い境野のデッキに対しておおぶりな《至高の評決》などで対処することも難しくなってくる。
加藤はドローをすると長考。そして4マナを残して《思考囲い》をプレイ。境野は嫌な空気を感じつつ、仕方なく手札をオープン。境野の3枚の手札は、《ワームの到来》《復活の声》そして《霧裂きのハイドラ》というもの。
手札とマナを数え、手札と相談して長考する加藤。結果、《ワームの到来》をディスカードさせると4マナを残してターンをかえす。
《オルゾフの魔鍵》が微妙に邪魔なものの、まずは《復活の声》をプレイすることを宣言する境野。これは通り、続いて《魔女跡追い》1体でアタックすることを宣言するがここは《オルゾフの魔鍵》でブロックされ、加藤はライフを1点回復させる。
加藤は自身のターンを迎えると、5枚のマナソースをすべて残してターンを終了。このターンエンドにトップデックしていた《空殴り》をプレイする境野。さらに、自身のターンにX=4で《霧裂きのハイドラ》をプレイすると、全軍で進撃をする。
この一斉攻撃こそ、《オルゾフの魔鍵》でギリギリ凌げそうなものの、続くターンにエレメンタルトークンまで含めた対処法がない加藤は、土地を片付けた。
加藤 1-2 境野
15枚のサイドボードを全力投球した境野が、1敗でギリギリ首の皮一枚をつなげる。