スーパーサンデーシリーズトーナメント最終戦。ここまで全勝と絶好調の「ドラゴンと天使を愛する男」黒田 正城(大阪)。
黒田 「いやぁ、昨日と打ってかわって絶好調やね。昨日こんくらい勝ってればもっと気分良かったんだけど……」
とのことだが、本戦を勝ちきれなかったのにはもうひとつ理由があるのだとか。
黒田 「バイ(不戦勝)が無いのがつらいね。今はPWPでバイが配られるから、普段大会に出れない社会人はバイをもらうのが少し難しくなってるんよね……PWP自体は良いシステムだと思うから、できればMagic OnlineのポイントもPWPに反映されるようになってくれれば!」
Magic Onlineでのプレイ量には自身があるという黒田。とりあえず、本日のスーパーサンデーシリーズではかなりの量のPWPを稼ぐことができたのではないだろうか。
黒田 「しかし、今日はホント絶好調だわ。なんでピークが昨日こなかったんだろ……」
川崎 「金曜日のラストチャンスから出てればピーク昨日だったんじゃないですか?実物のカードで助走をちゃんとしておかないと……」
黒田 「あぁ、たしかにそれは言えるね。そうしてればPWPも貯まってたしね!」
というわけで、最近のブームはPWP稼ぎということだ。
そんな全勝街道まっしぐらで予選ラウンド抜けが確定している黒田の話はさておいて、全体のポイントについて見てみよう。
現時点で、全勝の黒田一人に対して、1敗のプレイヤーが5人。スタンダードからトップ8に進出できるのは4名なので、黒田の対戦相手が黒田とID(合意の上の引き分け)をして確定、残る2つの1敗同士の対戦の勝者がトップ8ラウンドへの権利を得ることとなる。
ここで黒田とマッチアップされ、IDの権利を得たのが武内 彰成(愛知)。
武内 「ということなので、IDしましょう」
黒田 「いや、やるよ」
武内 「え?でも確定じゃないですか」
黒田 「だって、PWPが3倍だからね、スーパーサンデーシリーズ。PWP欲しい」
武内 「9点ですよ!!」
黒田 「普段稼ぐ機会無いから、その9点に泣くこともあるんやって!」
といったやりとりの末に、武内が腹を決めたように言う。
武内 「わかりました、やりましょう。負けて後悔しないでくださいよ!」
黒田 「しないよ。確定はしてるもん」
というわけで、赤単タッチ白同士の仁義なき戦いがはじまった。
Game 1
ダイスロールで先手をとったものの、武内はマリガン。対する黒田は初手をキープする。武内は、さらにマリガン。
だが、続く5枚の土地は、枚数の割には満足の行くものだったようで、2ターン続けての《山》セットから《灰の盲信者》をプレイし、2点のダメージを与える。
対して黒田は《凍結燃焼の奇魔》をプレイし、盤面を止めた……かにみえたのだが、ここで武内は手札を使い切ったビッグプレイ。2枚の《炎樹族の使者》から、《ニクスの祭殿、ニクソス》をプレイ、さらに生み出したマナで《モーギスの狂信者》をプレイし、信心分の7点のダメージを黒田へと叩きこむ。これで黒田のライフは11。
黒田 「すげーな……」
黒田は3マナをオープンしてターンを返し、武内のフルアタックに対して《灰の盲信者》を《凍結燃焼の奇魔》でブロックし、パンプ能力で打ち取り、残りライフは3。
武内の2体の《炎樹族の使者》に《モーギスの狂信者》という布陣に対して、黒田もすべてのマナを使用して《モーギスの狂信者》をプレイ、残りライフを1にしてでも、盤面を捌きに行くプランだ。
だが、ここで武内が呼び出したのは《鍛冶の神、パーフォロス》。なんとか盤面を捌く目算はあっても、1体のクリーチャー召喚がゲームエンドに繋がる場では、さすがの黒田も土地を片付けるしか無いのだった。
武内 1-0 黒田
Game 2
今度は先手の黒田がお返しとばかりに2ターン目に2体の《炎樹族の使者》をプレイするスタート。コレに対して、武内は《灰の盲信者》でアタックをけん制する。
黒田は《パーフォロスの槌》をプレイし、ターンを終了。一方の武内も《炎樹族の使者》を挟んで信心を貯めつつの《鍛冶の神、パーフォロス》をプレイしてターンを返す。
信心満タンといっていい黒田。ここで《ニクスの祭殿、ニクソス》セットから必殺とも言える《ミジウムの迫撃砲》の超過プレイ。武内の盤面を一度リセットした上で、4点の初ダメージを与える。
武内は《ボロスの反攻者》をプレイして《鍛冶の神、パーフォロス》顕現に必要な信心を貯めつつ、ターンを返すのだが、黒田は《パーフォロスの槌》で盤面にクリーチャーを増やしつつ2枚目の《ミジウムの迫撃砲》で《ボロスの反攻者》を除去する。
武内は、《ボロスの反攻者》の能力の対象を、信心を減らすべく《炎樹族の使者》に打ち込むと、5点ダメージをくらって残りライフは11。だが、《戦導者のらせん》でさらなる信心元、《炎樹族の使者》を除去しつつライフを15まで回復させる。
追加でクロックを持たない黒田は、《パーフォロスの槌》の能力で2体目のトークンを呼び出し、6点のダメージ。武内は《凍結燃焼の奇魔》を召喚して持ちこたえようとするのだが……この《凍結燃焼の奇魔》に《ミジウムの迫撃砲》が打ち込まれライフが3となったところで投了を余儀なくされた。
武内 1-1 黒田
Game 3
武内 「いや、キツイな、このマッチアップ……っていうか、除去を引けなかった……」
黒田 「怖いなぁ……きついなぁ……負けたらどうしよ……」
武内 「安全圏じゃないっすか!」
そんな茶番はさておいて、最終戦。
初手を見た武内は、「ふっ!」と笑いともなんともつかない声をあげるが、初手をキープ。黒田も初手をキープする。
武内が2ターン目に《炎樹族の使者》を1枚プレイしてターンを返すと、黒田も同じく《炎樹族の使者》1枚でターンエンド。これが相打ちすると、続くアクションは武内の4ターン目、信心1での《モーギスの狂信者》を待つこととなる。これは黒田が《戦導者のらせん》で除去する。
続くターンに武内がプレイした《灰の盲信者》が黒田のライフを削るが、残りは21。そして、この《灰の盲信者》は《岩への繋ぎ止め》で追放されてしまう。
土地の多めな手札をキープした武内はここでアクションを追加出来ない。そして、返すターンの黒田のアクションに「え!?」と声を上げる。
そのカードは、《太陽の勇者、エルズペス》。今日、何度も黒田に勝利を届けてきたこの英雄がプラス能力によって、兵士トークンを追加していく。武内はなんとか《凍結燃焼の奇魔》を追加するが、これも《岩への繋ぎ止め》されてしまい、1/1トークンがライフを削っていく。
なんとか、7となった《太陽の勇者、エルズペス》の忠誠カウンターは、《モーギスの狂信者》によって減らし、奥義の発動こそは防いだ武内だったが、黒田はそこに分身とも言えるクリーチャーを送り込む。
これによって、武内のライフはちょうど削りきられてしまったのだった。
武内 1-2 黒田
武内 「ありがとうございま……いや、これでやめちゃもったいないですよね……ちゃんと反省しないと。あの初手、キープはおかしいですよね」
土地5枚に《炎樹族の使者》《モーギスの狂信者》という初手の検討や、黒田のデッキに《太陽の勇者、エルズペス》を入れた上での白マナ比率についての話などを聞く武内。
そんな話をしているさなか、黒田が筆者に話しかける。
黒田 「そういや、川崎。結果記入用紙書く前だったらIDってできるんだよね?」
武内 「え?いいんですか?」
黒田 「まぁ、ホントは久々のマジックだから全力の勝負がしたかっただけやしね」
最終結果:合意の上での引き分け