SSS:魔王の嫁は吸血鬼

晴れる屋

by Takamasa Sato

スーパーサンデーシリーズのシートオールを眺めていると、
そこに燦然と輝く「Mihara」の文字を発見!

もしや、世界選手権優勝者であり、グランプリ京都準優勝者たる魔王・三原槙仁がこのスーパーサンデーシリーズに!?
いや、そんなはずはない。彼は既にスーパーサンデーシリーズの権利を持っているはず……。

疑問を持ちながら座席に向かうと……魔王の嫁こと三原綾が居た。



三原夫妻といえば、
「トイレ掃除の当番をマジックの勝敗で決める」
「大きい大会だと一定の成績を収めない限り家に入れない」
などなど、日本で一番マジックを愛する夫妻として知られている。

せっかくだし、見せてもらおうか。魔王直伝のシールド構築とやらを。



「三原 綾のシールドプール」

1 《希望の幻霊》
1 《鋤引きの雄牛》
1 《レオニンの投網使い》
1 《セテッサの戦神官》
1 《威名の英雄》
1 《ラゴンナ団の長老》
1 《百手巨人》
2 《セテッサのグリフィン》

2 《今わの際》
1 《異端の輝き》
2 《解消の光》
1 《神聖なる評決》
1 《邪悪退治》
1 《岩への繋ぎ止め》
1 《不死の贈り物》

-白(18)-

2 《波濤砕きのトリトン》
1 《はじけるトリトン》
1 《メレティスのほら吹き》
1 《海檻の怪物》
1 《水底の巨人》

1 《無効》
1 《トリトンの戦術》
1 《迷宮での迷子》
1 《反論》
1 《航海の終わり》
1 《タッサの褒賞》
1 《タッサの試練》

-青(13)-
1 《アスフォデルの放浪者》
1 《悪意の幻霊》
1 《肉餓えの馬》
1 《エレボスの使者》
1 《毒々しいカトブレパス》

1 《エレボスの加護》
1 《闇の裏切り》
1 《ファリカの療法》
1 《骨読み》
1 《殺し屋の行動》
1 《蘇りし者の行進》
1 《毒蛇座の口づけ》
1 《災いの印》

-黒(13)-

1 《アクロスの十字軍》
1 《イロアスの神官》
2 《ミノタウルスの頭蓋断ち》
2 《双頭のケルベロス》
1 《槍先のオリアード》
1 《不機嫌なサイクロプス》
1 《パーフォロスの使者》

1 《統率の取れた突撃》
1 《タイタンの力》
1 《稲妻の一撃》
1 《裏切りの先触れ》
1 《パーフォロスの激怒》
1 《落岩》
1 《パーフォロスの試練》

-赤(16)-
1 《菅草の蠍》
1 《サテュロスの享楽者》
1 《旅するサテュロス》
1 《ネシアンの狩猟者》
1 《彼方の工作員》
1 《サテュロスの笛吹き》
2 《信条の戦士》
1 《ナイレアの信奉者》
1 《フィーリーズ団のケンタウルス》
1 《定命の者の宿敵》

2 《拠点防衛》
1 《蛮族の血気》
1 《古代への衰退》

-緑(15)-

1 《戦識の重装歩兵》
1 《メレティスのダクソス》
1 《クラグマの戦呼び》

1 《つややかな雄鹿》
1 《メレティスの守護者》
1 《乳白色の一角獣》
1 《金床鋳込みの猛禽》
2 《速羽根のサンダル》

-多色・アーティファクト・土地(9)-
hareruya



三原 「つっても別に何も教えてもらってないよ?ドラフトは結構聞いたし、チームシールドはやったけど」

剥いたパックには《メレティスのダクソス》《威名の英雄》《百手巨人》など、一見青白系の強いパック。
とりあえず並べてみるが……。

三原 「うーん。英雄的出来ない」

すぐに破棄。

次に並べ始めたのは《定命の者の宿敵》2枚の《信条の戦士》を要する緑。
そこに、赤い《統率の取れた突撃》《パーフォロスの試練》《稲妻の一撃》
などの赤いパーツを足していく。

そこに《岩への繋ぎ止め》《希望の幻霊》を追加して

三原 「なんとなく形になったかな」



サイドからは白を濃くして《解消の光》を追加するパターンも
見据えているとのことだが……。

三原 「あれ?バントカラーの方が強そう?」

確かに、その方が強いカードは使える。

三原 「でもなあ、軽い除去大好きなんだよなあ」

あーでもないこーでもない。
シールドの楽しみは、たくさん悩めるところ。

三原 「うーん。やっぱ白か!緑じゃなくて白だな、これ!
《古代への衰退》より《解消の光》の方が好きだし!」

と、再びカードを並べ始める。
ここで、残り構築時間は10分とのアナウンス。
本当に大丈夫か?

三原 「うん!青白タッチ赤!」

あれ?……戻った?

とはいえ、一周して元に戻るのはよくある話。
『青い鳥』の寓話にもあるように、幸せは常に足元に転がっているもの。

三原 「しょうがないなあ。これにしよう!」

そうして生まれたのが……これだ。




白青タッチ赤

7 《平地》
7 《島》
3 《山》

-土地(17)-

1 《希望の幻霊》
1 《戦識の重装歩兵》
1 《威名の英雄》
2 《波濤砕きのトリトン》
1 《メレティスのダクソス》
1 《メレティスのほら吹き》
1 《槍先のオリアード》
1 《つややかな雄鹿》
1 《乳白色の一角獣》
1 《百手巨人》
1 《パーフォロスの使者》
1 《金床鋳込みの猛禽》
1 《海檻の怪物》

-クリーチャー(14)-
1 《トリトンの戦術》
1 《航海の終わり》
1 《稲妻の一撃》
1 《解消の光》
1 《神聖なる評決》
1 《岩への繋ぎ止め》
1 《タッサの試練》
1 《パーフォロスの試練》
1 《速羽根のサンダル》

-呪文(9)-

-サイドボード(0)-
hareruya



三原 「レアもあるし、ボムもあるし……でも、英雄的できるカードが赤に多いんだよねー。
 2色で組みたかったのになあ。どうにかなるでしょ!やっぱり強いレア重要だよ!レアレア!」

お、おう……せやな。

意気揚々と第一回戦に向かった魔王の嫁は、
《戦識の重装歩兵》《タッサの試練》《パーフォロスの試練》をエンチャントして、
早速ゲームに勝利!
2本目も《威名の英雄》《メレティスのダクソス》のコンビで蹂躙!

しかし、その後の成績は……3-4ドロップ!

何故だ!?
何故、勝てなかったんだ!?

この怒りをどこにぶつければいい!?

そんなの決まってる!もちろん、この人に、だ!



魔王 「ん?これを見ろって?基本に忠実だね」

基本、とは?

魔王 「この環境は授与を付けた者勝ちだから、強い授与とバウンス、それから軽い除去はあるだけ入れたほうがいいんだよ。でも、よく見るとデッキに合ってないカードが入ってるな」

三原 「え?」

魔王 「まずは、《速羽根のサンダル》。パワーが低いから回避能力をつけても仕方ない。次に《岩への繋ぎ止め》《山》3枚での運用は無理でしょ?この環境のエンチャントは割られやすいし」

三原 「でも、つかえたよ?」

魔王 「はいはい。あとは《金床鋳込みの猛禽》かな。これは明らかに弱いね」

三原 「でもさ、3マナ大渋滞だし」

魔王 「だからといって4マナを入れる理由になってないでしょ。あとは、《パーフォロスの試練》も怪しいけど、デッキには噛み合ってるね」

三原 「じゃあ、何を入れたらいいの?」

魔王 「色そのものは、青白メインでいくのは間違いないね。黒も授与が強いけど、《メレティスのほら吹き》があるから、火力を入れたほうが勝てそうだから、赤も良いと思う」

なるほど。実に明快である。

魔王 「まずは、ライザさんが言ってた通り《解消の光》は2枚は入れていいよ。除去だから。あとは、《はじけるトリトン》も色があってるし、強いね。この2枚は確定。一番難しいのは最後の1枚。《メレティスのほら吹き》があるからには、スペルがいいんだけど、《今わの際》にするか、それとも《パーフォロスの激怒》にするか……。《今わの際》は、『試練』プレイに合わせれば2:1が取れるし、いざとなったら自分の《威名の英雄》に使ってもいいし、ライフゲインとしても使える。《パーフォロスの激怒》は分かりやすい除去だし、《つややかな雄鹿》まで入っているマナフラッドしそうなデッキなら、重くて占術できるから強いだろうね。まあ、プレイングが簡単なのは《パーフォロスの激怒》だから、今回はこっちにしようか」



こうして、二人の愛でデッキは生まれ変わった。


白青タッチ赤:改

7 《平地》
7 《島》
3 《山》

-土地(17)-

1 《希望の幻霊》
1 《戦識の重装歩兵》
1 《威名の英雄》
2 《波濤砕きのトリトン》
1 《はじけるトリトン》
1 《メレティスのダクソス》
1 《メレティスのほら吹き》
1 《槍先のオリアード》
1 《つややかな雄鹿》
1 《乳白色の一角獣》
1 《百手巨人》
1 《パーフォロスの使者》
1 《海檻の怪物》

-クリーチャー(14)-
1 《トリトンの戦術》
1 《航海の終わり》
1 《稲妻の一撃》
2 《解消の光》
1 《神聖なる評決》
1 《パーフォロスの激怒》
1 《タッサの試練》
1 《パーフォロスの試練》

-呪文(9)-

-サイドボード(0)-
hareruya



どうだろう?
わずか3枚の変更で、この安定感……!

魔王 「このデッキなら、もう2勝くらいはいけたんじゃない?」

三原 「うー」

基本に忠実な構築を行ったうえで、デッキの構造を理解し、微調整。
更には使う人間の技量まで計算したうえでのカード選択。
魔王などと呼ばれておきながら、三原槙仁の構築は、愛に溢れていた。