2日目のスタンダードラウンドは早くも最終戦。
そんな中、The Last Sunならでは、混合フォーマットならではの対戦である、スタンダードプレイヤーとレガシープレイヤーとの激突をお送りしよう。
フィーチャーに呼ばれたのは『のぶ』として知られる斉藤。
ここhappymtgでもレガシーのコラムを連載している、強豪で知られるレガシープレイヤーだ。
対するは三田。立川の『ファミコンくん2号店』を拠点とするスタンダードプレイヤーで、ラウンド9のカバレージで登場した市川と同様に、遠藤、四本、角岡といった強豪コミュニティの一員であり、彼らのプレミアイベントでの活躍を喜びつつも、自分自身があまり活躍できていないことを悔しく感じているとのこと。
三田 「普段レガシーやられてる方ですよね?」
斉藤 「そうですね。普段はスタンダードは全く……」
三田 「僕はレガシー全然やらないんですよ」
そんな2人が同じフォーマットで対戦しているというのはいささか奇妙に思われるが、これもまたThe Last Sunの魅力の1つだろう。
スタンダードでは一日の長がある三田が勝つか、斉藤が強豪としての地力の高さを見せつけるか。
Game 1
先手の三田が《オルゾフのギルド門》でターンを終えると、返す斉藤が《思考囲い》。
《思考囲い》
《冒涜の悪魔》
《冒涜の悪魔》
《沼》
《静寂の神殿》
《静寂の神殿》
という三田の手札から《思考囲い》を叩き落とす。
そして続く2ターン目には《群れネズミ》!《思考囲い》からの《苦花》を思わせる、黒単信心の黄金パターンだ。
だが、三田も『占術』の力で引き込んだ《究極の価格》で対処。さらに2体目の《群れネズミ》も《肉貪り》と、斉藤の思惑をことごとく覆す。
しかし、キーカードをめぐる苛烈な攻防の序盤戦をくぐり抜けた後は、カードの枚数を競う中盤戦。
そのカギとなる《地下世界の人脈》を、一方的に手に入れたのは斉藤だった。
三田も《冒涜の悪魔》で攻めたてるが、追加ドローが《英雄の破滅》をもたらし、盤面の均衡を保ちながら手札の差を広げていく。
それでも、三田もようやく引き込んだ《群れネズミ》で斉藤に回答を迫るが、既に三田の手札は《群れネズミ》を躊躇なく分裂させ続けられるほど残ってはいないのだ。
対照的に、《地下世界の人脈》の力でたっぷりと手札を抱えた斉藤。
《アスフォデルの灰色商人》《冒涜の悪魔》と立て続けに展開し、ダメージレースをあっという間に逆転させると。
2枚目の《アスフォデルの灰色商人》が、少ない手札で身動きの取れない三田を介錯した。
斉藤 1-0 三田
Game 2
ワンマリガンの三田が《思考囲い》で、
《闇の裏切り》
《肉貪り》
《肉貪り》
《群れネズミ》
という斉藤の手札内容から《群れネズミ》を落とす上々の立ち上がり。さらに2枚目の《思考囲い》で斉藤が引き込んでいた《地下世界の人脈》を、1ゲーム目の再現はさせじと叩き落とす。
だがやはりマリガンの弊害か、土地が2枚で詰まってしまうと、やむなく《真髄の針》で《変わり谷》を指定して、盤面のクロックをひとまず抑えるしかない。
しかし、斉藤の土地も3枚で詰まっている様子。ここで三田、斉藤の《群れネズミ》を《肉貪り》した返しで3枚目の土地をトップすると、《地下世界の人脈》を一足先に設置することに成功する。
対して斉藤も4枚目の土地をトップデッキし、《冒涜の悪魔》を送り込むと、これが《英雄の破滅》されるや、本命の《夜帷の死霊》を満を持して投入する。
たまらずカードを探しにいく三田だが、これを除去できるカードに巡り合えない。
そして、この《夜帷の死霊》が生き残ってしまうと。
ダメージクロックつきという《地下世界の人脈》の上位互換が、次々と三田のライブラリーを斉藤のリソースとして貪っていく。
やがて。
《夜帷の死霊》は、斉藤にとって一番おいしい獲物を、三田にとって一番奪われたくないカードを、ゲーム外へと追放した。
すなわち、《群れネズミ》!!
三田もなんとか《冒涜の悪魔》《ヴィズコーパの血男爵》と立て続けにキャストしてはみるものの、全て《肉貪り》され、《群れネズミ》が盤面を埋めつくしていく。
《夜帷の死霊》と《群れネズミ》、リソースを増やし続ける斉藤の両脅威に、同時に回答することはできるはずもなく。
三田は自身のネズミに食い殺されてしまった。
斉藤 2-0 三田
三田 「《真髄の針》、《変わり谷》にダメージ稼がれそうだったんで指定したんですけど、悪手でしたね……」
斉藤 「裏目があるんで僕はサイドインしませんでしたね。まあスタンダードは全然よくわからないんで、やりながら学んでるんですけど」
ゲームが終わると、三田と斉藤の感想戦が始まる。
三田 「そういえば、スニークショーの記事のサイドインアウト、すごく参考になりました。レガシーとかよくわからなかったんですけど、そのままサイドインアウト使ったら昨日勝てました」
斉藤 「それはよかったです。 使い慣れてる人には当たり前のことでも、レガシー普段やってない人だと、サイドインアウトとか結構わからないですからね」
三田 「レガシーは密度濃いですよね。アップキープにフェッチランドを切ったり、1つ1つのアクションが丁寧で細かい」
斉藤 「そうですね。先の先を読みあうみたいな、そういった刹那的な攻防が多いですね」
和やかに、普段あまり慣れていないフォーマットでの体験について語り合う2人。
そこにはどのフォーマットであっても変わらない、対戦相手に対する敬意があった。リスペクトがあった。
同じマジックというゲームをプレイしている以上。
『スタンダードプレイヤー』『レガシープレイヤー』といった境界は、はじめからなかったのかもしれない。
三田 「残り、頑張ってください」
斉藤 「はい、あとはレガシーなんで頑張ります」