はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
8月26日(月)に 禁止制限告知が発表され、スタンダードは「変更なし」となりました。
スタンダードについては、先日初めて新たな3年ローテーションを迎えました。その後の環境はエキサイティングなものになっているように見えます!
私たちの新たなスタンダード計画における目標の多くは、達成されつつあります。
私たちはプレイヤーの皆さんがデッキやカードを長く使えることを望んでおり、新たなセットが既存のデッキに新戦力を加えながら、新たな戦略も生み出すことを願っています。『2024年8月26日 禁止制限告知』より引用。
とのことです。週末の大会ではどんなエキサイティングなデッキが活躍したのでしょうか。気になる結果をチェックします!
8/25(日)『第20期関西帝王戦スタンダード』
まずは、晴れる屋TC大阪にて開催された『第20期関西帝王戦スタンダード』の結果から見ていきましょう。
8/25(日)『第20期関西帝王戦スタンダード』
優勝 ジェスカイコントロール
準優勝 赤単
トップ4 ゴルガリミッドレンジ
トップ4 ボロスミッドレンジ
トップ8 ディミーアミッドレンジ
トップ8 ゴルガリランプ
トップ8 スゥルタイリアニメイト
トップ8 ボロスアグロ
アグロ・ミッドレンジ・ランプ・コントロール・リアニメイトとバラエティに富んだデッキがトップ8に入賞し、決勝はアグロ対コントロールという対照的なデッキの戦いとなりました。
ジェスカイコントロールを使用したサカタ ナオヤさんが見事優勝し、新たな関西帝王となっております。
ジェスカイコントロール
こちらが優勝したサカタさんのデッキです。《轟く機知、ラル》が4枚も採用されています。
全体除去とプレインズウォーカーの組み合わせが強いことは昔からよく知られ、サラ地となった盤面に定着した《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《放浪皇》の強さは誰もが認めるところです。ただ、これらのプレインズウォーカーはスタンダードの舞台を去り、コントロールデッキは新しいスターの登場を待ち望んでいました。
そして今回、《太陽降下》という頼もしすぎる相方を携え、華々しいデビューを飾ったのが《轟く機知、ラル》でした。
伝説のプレインズウォーカー – ラル
あなたがクリーチャーでない呪文1つを唱えるたび、轟く機知、ラルの上に忠誠カウンター1個を置く。
+1:果敢を持つ青赤の1/1のカワウソ・クリーチャー・トークン1体を生成する。
-3:カード3枚を引く。その後、カード2枚を捨てる。
-10:カード3枚を引く。「インスタントやソーサリーでありあなたが唱えるすべての呪文はストームを持つ。」の紋章を得る。
クリーチャーでない呪文を唱えるたびに忠誠度が増える能力はコントロールデッキに持ってこいの性能で、[+1]能力でブロッカーも用意できることを考えれば、4マナのプレインズウォーカーとは思えない強度を誇ります。
盤面をコントロールをしているだけでどんどん忠誠度が高くなり、奥義を使えるようになるまでさほど時間はかかりません。また、果敢を持った1/1のカワウソを並べることでも十分にゲームを終わらせることができそうです。
現スタンダード環境はグルール雄姿やボロス召集、トカゲなどアグロデッキが強力ですが、それを意識して軽量除去も多く採用されています。
終盤、《轟く機知、ラル》の紋章を得たあとは《稲妻のらせん》が事実上のエンドカードにもなるでしょう。
ローテーションによって《記憶の氾濫》という強すぎるドローソースを失ったコントロールデッキですが、代わりに 《世話人の才能》という優秀なドローエンジンを手に入れました。多少のラグはあるものの、《推理》が2ドローになったり、《噴水港》のような土地と組み合わせるだけで毎ターン、ドローを進めることができます。
終盤、《世話人の才能》のレベルを3まで上げることで培養器・トークンやカワウソたちが全体強化されるという豪華なオマケもついており、見上げた性能のエンチャントです。
サイドボードには墓地対策・置き物破壊・追加の打ち消しなどが揃い、隙がありません。
3色デッキでありながら《噴水港》《解体爆破場》を採用しており、マナベースには不安があります。プレイングでカバーするなど、コントロール使いの腕の見せどころになりそうです。
《轟く機知、ラル》の活躍が見られて嬉しいですね。この新型のコントロールデッキは今後、メタゲームにどのような影響を与えるでしょうか。
8/25(日)『NRG Series $10,000 Showdown – Madison』
つづいて、アメリカのウィスコンシン州マディソンにて開催された『NRG Series $10,000 Showdown』の結果を見ていきましょう。
8/25(日)『NRG Series $10,000 Showdown – Madison』
優勝 ゴルガリミッドレンジ
準優勝 グルール雄姿
3位 ディミーアミッドレンジ
4位 アゾリウスアグロ
5位 白単ミッドレンジ
6位 ディミーアミッドレンジ
7位 ラクドスリザード
8位 ドメインランプ
グルール雄姿や白単など新進気鋭のデッキが活躍するなか、優勝は昔ながらのゴルガリミッドレンジでした。
ゴルガリミッドレンジ
こちらが優勝したデッキのリストです。ゴルガリのメインストリームであった《亭主の才能》と《裏切りの棘、ヴラスカ》が不採用となっております。
《亭主の才能》は単なるコンボパーツに収まらない優秀なカードですが、現スタンダード環境は《世話人の才能》を軸としたコントロールデッキが幅を利かせており、どのデッキもエンチャント対策はしっかりしてきます。
《世話人の才能》のようにカードアドバンテージを得ることはできないため、対策カードによっていずれ破壊されてしまうと考えれば、今、積極的に採用したいカードではなさそうです。
一方、《執念の徳目》や《敵意ある調査員》は高確率で1対2以上のリソース交換が狙えるカードです。《亭主の才能》と《裏切りの棘、ヴラスカ》のように一撃必殺はできませんが、確実にアドバンテージを得ることができるカードとして採用されています。
また、このデッキでは《腐食の荒馬》も不採用でした。代わりに《グリッサ・サンスレイヤー》と《黙示録、シェオルドレッド》が3枚ずつと多めに採用されています。
コンボやランプが数を減らし、フェアデッキが多くなったことで《腐食の荒馬》のような戦闘において強くないクリーチャーは真価を発揮しづらいと判断されたのでしょう。《グリッサ・サンスレイヤー》と《黙示録、シェオルドレッド》は戦闘でも強く、ブロッカーとしても頼りになるクリーチャーです。
サイドボードには《屑鉄撃ち》が3枚と、置き物破壊は徹底しています。《羅利骨灰》はなんでも追放できる万能除去で、ゴルガリはこれが採用できる点が強みです。
また、《ぎらつく氾濫》や《悪意ある覆い隠し》のような横並べを咎める定番カードも採用せず、《ギックスの命令》が1枚採用されているのみに留まっております。クリーチャーの質が高いため、横並べ戦略とは真っ向から殴り合っても勝てるという読みなのかもしれません。
かなり洗練された構成のゴルガリミッドレンジで、メタゲームが回る速さを感じますね。
8/25(日)『Standard Challenge 32』
それでは最後に、マジックオンラインで64名が参加した『Standard Challenge 32』の大会結果をチェックしていきます。
8/25(日)『Standard Challenge 32』
優勝 グルール雄姿
準優勝 ジェスカイ召集
3位 ディミーアミッドレンジ
4位 白単
5位 ジェスカイ召集
6位 ジェスカイ召集
7位 白単ミッドレンジ
8位 グルール雄姿
トップ8にジェスカイ召集が多く入賞するなか、スピード対決となった決勝戦はグルール雄姿に軍配が上がりました。
グルール雄姿
こちらが優勝したデッキのリストです。《ヴォルダーレンの興奮探し》が1枚だけ採用されており、《心火の英雄》を《投げ飛ばし》するという必殺技を携えています。
ハツカネズミ・シナジーを活かしつつ、なるべく「雄姿」をたくさん誘発させることが狙いのデッキ構成です。《亭主の才能》は奇襲性がない代わりに継続的にクリーチャー強化しながら雄姿の誘発をサポートできる点が優秀です。
前回の記事で《精鋭射手団の目立ちたがり》が完全に不採用となったデッキを紹介しましたが、今回の優勝したデッキは《精鋭射手団の目立ちたがり》が2枚だけ採用されており、ハツカネズミとのハイブリッドとなっております。《精鋭射手団の目立ちたがり》が生み出す一瞬の爆発力はやはり魅力的なようです。
- 2024/08/20
- Just Nowスタンダード!vol.28 -新デッキが躍進!「白単」が優勝&連続入賞-
- 紳さん
サイドボードにはあまり見かけない《地盤の危険》が3枚採用されています。環境的に1/1トークンが多く登場することもあり、チャンプブロックをさせないための対策でしょうか。
しかし、《巨怪の怒り》や《悪魔の大騒動》によってトランプルを付与できるため、そこまでチャンプブロックを気にせずともよさそうです。となると、ジェスカイ召集を強く意識しての採用なのかもしれません。《イーオスの遍歴の騎士》の登場を遅らせることで、さっさと殴り勝ってしまおうということでしょうか。
今回のデッキには採用されておりませんでしたが、最近は《刺し背の恐怖》を採用しているケースもよく見られるようになりました。手札をガンガン使いきってライフを削るプランでいく場合、《刺し背の恐怖》より優秀なマナレシオのクリーチャーはそういません。
シンプルに見えて、構築の幅がかなり広いデッキです。マジックは殴ってなんぼ、という方はぜひ、お試しください。
おわりに
今回、トータル的にはかなりアグロデッキの入賞が目立っていたように感じます。優勝したミッドレンジやコントロールに関しても《執念の徳目》や《稲妻のらせん》といった除去兼ライフゲインのカードが4枚採用されており、アグロ優位環境といって差し支えないでしょう。
《跳ねる春、ベーザ》は今、環境のベストカードかもしれません。ほかにもアグロデッキに強そうなカードを探してみたいところです。
さて、次はどんなデッキが活躍するでしょうか。次回の大会結果もお楽しみに!